青葉 2012-01-06 22:03:27 |
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活字大好きさん、
いつもゴールを決めておいても、途中で軌道から外れてそのゴールじゃない別のゴールに向かっていく。そんな感じ(^^)
別のゴールが求めていた結果になるなら良いですね
違うゴールも青葉さんにとって、きっと、意味があるんだと思います
ゴールまでの過程も楽しみながら待っています
まどろみの中で夢を見てるのか、実際に過去あった会話だから、ただ覚醒しきれない状態で記憶を呼び覚ましているだけか?
「優ちゃん。いい天気だね。」
雪見は何かを話し出そうとしているが、言いづらそうだ。別に幼馴染みだから雰囲気だけで分かるというわけじゃない。もうこのセリフを聞くのが四度目だからそう思うだけだ。
「うん。いい天気だ。」
僕も四度同じ答えをする。
「優ちゃん、気のない返事するね。」
そろそろ、言いやすい雰囲気を僕が作らないといけない。雪見は無意識にそれを期待しているのだろう。雪見は僕に対してそんなところがある。
そして僕は雪見が何が言いたいか分かっている。どうして言いづらいのかも分かっている。でも雪見から言ってもらう内容だ。
「何かさ、最近楽しそうだね。」
(こんな切り出しでいいだろうか?)
本当は特に楽しそうにしているようには見えなかったから少し不安になる。僕は別になんの変化も感じていない。
「そう見えた?さすが優ちゃん。雪見のことよく解ってる。」
「何があった?」
「フフッ。何だと思う。当ててみて。」
どうやら切り出し方は正解だったようだ。
「さあ、誰かと付き合い始めたとか?」
この際、正解を言ってしまった方が雪見は話をしやすいだろう。
「え~!なんで知ってるの?まだ知ってるの何人もいないのに?」
雪見はびっくりしている。
(何人か知っていたら、すぐに広まるさ。特にこの手の話はみんな黙ってられないよ。特に相手が相手だから尚更だ。)
そう思いながらも、
「え!知らない。本当に?誰と?同じ学校?」
僕は茶番劇を演じる。
「同じ学校だし、優ちゃんも知ってるよ。その人のこと。」
その人とは新里一輝のことだが、雪見が僕になかなか言い出せないのは、僕と新里が仲良くないのをよく知っているからだろう。
「へえ。誰、誰?」
雪見はちょっと躊躇したが、 言えることができた。
「うん、野球部の新里君。」
僕は少し驚いた顔をするがすぐに、
「雪見って凄いんだな。新里は最近人気者の有名人。そんな倍率高そうなのと付き合えるなんて。でも相手が人気者じゃあ敵が急に増えたかもしれないな。」
と、表情を笑顔に変えて用意した言葉を言う。
「そうかな、それほどでも。でも敵は増えたかもね。新里君は女の子に人気あるからね。」
僕の笑顔につられたかのように、雪見も笑いながら言う。
「女の嫉妬は怖いからなあ。気を付けないと。」
僕は女の嫉妬の怖さなんか今まで実感したことはない。しかしよく耳にはする。いずれ経験する時がくるのだろうか。
「ねえ優ちゃん、怒ってる?」
雪見は不安そうな顔をして僕の顔を見ている。
「雪見が誰と付き合おうと怒る権利なんて僕にないよ。」
「そうだけど、権利はなくても感情は動くじゃない?優ちゃんが昔から新里君のこと嫌いなの知ってるのに、優ちゃんに何も言わないで新里君と付き合い始めちゃったから。怒ってる?」
雪見は本当に申し訳なさそうな表情をしている。
(僕が一方的に新里を嫌っているように雪見には見えるのかな。どっちかというと新里が僕を嫌ってるんだけどな。)
短い時間だが雪見は新里と付き合ったことで、新里側の視点でことを見るように変わってきた気がした。
「雪見が誰と付き合おうと、僕の了承なんて必要あるはずがないよ。怒るはずがない。」
僕がそう言うと雪見は安堵した表情になり、
「良かった。じゃあ、今まで通り優ちゃんと仲良くできるね。何かさ、心配だったんだ。優ちゃんが遠くなるようで。」
背景がなかったような気がする。
(やはり夢じゃないか。雪見と会話した記憶を思い出してただけ。)
完全に目を覚ました。
(今まで通りにいくわけないじゃないか。そんなこと新里が嫌がるし、許すわけない。遠くなるさ。まあ、今さらだけど。)
そんなことを考えていると目覚まし時計が鳴った。僕は起き上がり学校に行く準備を始めた。
よし、主人公の名字は一色にしよう。
一色優。
と、さっきやっと決めた。時間が掛かった。
名前を決めるのは苦手だから後回しにしていた。
次は雪見ちゃんの名字か……
また時間が過ぎてしまう。
ホームに電車が入ってきた。ドアが開くと降りる人はほとんどいない。車両の中は人が増える一方の様だ。僕は電車を待つ列の最後尾にいたが、それでも僕一人くらいのスペースはドア付近に残されていた。車両の中に乗り込みそのスペースに立ち、ドアが閉まるのを待った。すると後から駆け込んでくる人影があった。ドアの前に立っていた僕は慌ててスペースを作ろうとするが、もともと僕一人のスペースしかない。人影は車両内に飛びこんできた。体がぶつかる。しかし誰でも車両内に入る前は急いでいてもスピードを落とさざるをえない。思ったより大した衝撃ではなかった。相手の顔を見た時の方がむしろ衝撃が強かっただったろうか。相手は新里だった。
「なんだお前か。」
人に体当たりをしておきながら謝罪がないうえに偉そうに新里は言った。まあ、ぶつかった相手が僕でなければ頭ぐらいは下げただろう。
(朝から不運なことだ。)
一番出会いたくない相手と満員電車という密閉空間のなかで暫し共に時間を過ごさなければならない。
何も喋らなくても近くにいるだけで不快になるのだから、せめて黙っていよう。 それがお互いの為だ。そう思ったが新里は話し掛けてくる。
「何でお前がこんなところにいるんだよ。」
攻撃的な言い方でボリュームが大きい。
(満員電車なんだから、少し周りの迷惑を考えろよ。)
早速、不快感に包まれる。
「僕はいつもこの時間の電車で、この車両に乗ってるよ。」
僕は努めて冷静に言った。
「そうかよ!お前に会うくらいなら朝練休むんじゃなかったぜ!」
そう新里は吐き捨てるように言った。
新里は野球部の朝練があり、普段はもっとずっと早い電車に乗っている。だから今まで新里と電車ではち会ったことは数える程度だった。
「お前、思ったより随分冷酷だな。」
新里はいつもと様子が違う。何故か僕に話し掛けてくる。今までは電車で不運にも僕に会ってしまったら、さりげなく移動していた。また、満員電車だったら無言で通していた。
「なんのことだよ?」
そう言いながら、
(どうしたんだ、今日は?)
と不思議に思った。
「お前、雪見の葬式で泣かなかったんだってな。幼馴染みがあんなことになったというのに。ヒデェー奴だ。」
新里の言葉を聞き、よくそんなことを知っていると感心しつつ、そこを怒っているのかと納得しそうになる。が、何か違和感がある。
「涙を流すか流さないかで、悲しみの大きさを推し測るのは間違っていると思う。」
雨月さん、
寝てたらごめんね。
ナルガEXさん、
初めまして。小説トピを覗くとよく見る名前だ。
しゃべりば完全体さん、
誉め言葉として受け止めるよ。ありがとう(^^)/
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