青葉 2012-01-06 22:03:27 |
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青葉
「君は、曾祖母の代を調べたら姉妹の年齢差が5つだったと言ってたけど、実はそれは怪しいと思ってるんだ。」
Aさん
「何で?」
青葉
「どう調べたの?」
Aさん
「祖母に聞いたのよ。でも、それだけじゃないのよ。曾祖母と一緒に暮らしていたことがある母からも聞いたわ。間違いないって言ってた。祖母はともかく、母が言ってたから本当だと思うのよ。」
青葉
「男と次女ののろいを信じている一番あやしい二人の意見だよ。残念ながらこのことでは信憑性がない。君のお母さんの意見は君のお祖母さんの次に信じられない。」
Aさん
「二人とも嘘を言ってるように見えなかったわ。二人が一緒にいるところで聞いたわけじゃあないのに、同じ様に曾祖母も5歳差の姉妹だったと言ってたわ。そして姉が24で亡くなったとね。」
青葉
「二人は嘘をついているつもりがないよ。二人にはそれが真実だから。」
Aさん
「ノロイの話は意識したかしないかは別にして、祖母が考えたんでしょう?お母さんはそこまで深く信じていないんじゃないかしら。」
青葉
「どうかな?君のお母さんはのろいを目の当たりにしている。君のお祖母さんは姉と娘を亡くしてのろいを感じたけど、君のお母さんも姉を亡くした。身近な人を喪い、それを母親からのろいと言われたら信じてしまうよ。しかも、話を聞いただけでなく母親である君のお祖母さんがのろいに対抗する手段までとっているのを間近に見ているんだよ。お母さんにとって本当にあるのろいを目の当たりにしたことになるんじゃないかな?それに孫の代の君でさえ、のろいの年齢に近づいてきたら怖くなっちゃうくらいだからね。」
Aさん
「青葉君が曾祖母の姉妹の年齢差は5つ差ではないと思ってるのはわかったわ。」
青葉
「うん。君の曾祖母代は、のろいの話に繋がるような、24、19、5歳差、という数字はなかったと思ってる。それどころか、君の曾祖母は長女だったしても驚きはないよ。」
Aさん
「長女だった?曾祖母には早くに亡くなった姉すらいなかったというの?」
青葉
「いたのかもしれない。でも、いなくても不思議には思わないよ。いたとしても亡くなった年齢は24ではないと思う。幼少の頃に流行り病で亡くなったとかならあったかも。」
Aさん
「やはり祖母が嘘を言ってるってこと?」
青葉
「いや、それだけ自分の考えたのろいを信じているんだよ。だから代々24で長女は亡くなっていると本当に考えている。母親の……つまり君の曾祖母の代も例外のハズがないと信じている。君に質問されてもお祖母さんは、自信を持って母の代も24で亡くなった姉がいたと答える。そしてお母さんものろいの話を信じているから、君の質問に同じ答えをする。」
Aさん
「自分の家族の話なのに……そんなに記憶を蔑ろにするかしら。」
青葉
「君の曾祖母はいつ頃亡くなったの?」
Aさん
「母が子供頃みたいだけど、詳しくは訊いてないわ。」
青葉
「君のお祖母さんがのろいの創作したのは、自分の娘を喪った頃からで、そののろいに抵抗する為に普通じゃないことを始めたのは君の妹が産まれた頃。君の曾祖母がその頃まで生きていたいならば、君のお祖母さんののろいを防げたかもしれない。のろい感じ、自分の家族の記憶さえねじ曲げてしまう、そこまで思い込む前に止めてもらえただろうにね。」
Aさん
「完全には同意できないわ。青葉君の言ってることに。どっちかといえば、あたしはお母さんから聞いた話を信じてる。曾祖母には24で亡くなった5歳差の姉がいたのよ。」
青葉
「まあ、仮説だからね。信じなくても当然だよ。その仮説をつづけるけど、とにかく、5歳差の姉妹は2代だけだよ。君のお祖母さんの代と君のお母さんの代のみ。君たち姉妹の年齢差は代の数にプラスできない。最初から5歳差の養女を探したんだから当然だよね。」
Aさん
「あたしと妹はそうね。」
青葉
「そして、5歳差の姉妹の姉が24で亡くなったのも、妹が19で突然に家の跡継ぎになった悲劇がおきたのも2代のみ。同じく、君のお祖母さんの代と君のお母さんの代のみだよ。」
Aさん
「長女が24で亡くなったのは2代だけ……。」
青葉
「そう。2代だけ。でも、その2代が偶然、24で姉が亡くなり妹が19だった。そして偶然思い込みが激しいお祖母さんが両方の代の悲劇を経験してしまい、もう大事にされなくなった代々の戒めの話の中にのろいが隠されていることに勘違いながら気づき、意識しないうちに話をのろい主体に変えてしまった。そして、家族を不幸にするのろいを自分でかけてしまった。」
Aさん
「そういや、男のノロイは?男児は実際に産まれてないわ。」
青葉
「う~ん。」
Aさん
「何?」
青葉
「そこは一番解らないところだよ。そこは3代は続いているんだろうからね。」
Aさん
「そうよ。」
青葉
「さっき言ったけど、君の家は存続して、名前と血を残したんだから男児は産まれてたと思うよ。だから男児が産まれてないのは、本当にここ3代だけだと思う。君の曾祖母、君のお祖母さん、そして君のお祖母さん。」
Aさん
「男ののろいではないと言いたいのね。しかし歯切れが悪いわね、青葉君。」
青葉
「まあね。男児が産まれてないのは偶然なんだろうけど。まあ、それくらいの偶然がないと、いくら君のお祖母さんが思い込みが激しくても、のろいまで考えが至らなかっただろうし。」
Aさん
「そんな理由であたしを納得させられるのかしら?」
青葉
「君はのろいに強くかかっているよ。男や次女のではなく、お祖母さんのね。」
Aさん
「急に何?」
青葉
「さっきから君は、君のお祖母さんが作った男や次女ののろいの話を肯定したがっている。のろいを怖れているのに、のろいがあってほしいような話しっぷりだよ。不幸になりたいみたいだ。」
Aさん
「怖いからこそよ。解らないかな?完全に安心したいんだもん。完膚無きまでにノロイを論破してよ。」
青葉
「それは難しいよ。何せ仮説で話を進めているんだから。」
Aさん
「まあ、いいわ。男児が産まれてない理由は仮説さえ立てられないわけね。」
青葉
「まあね、でも世の中には男児が何代か産まれないことはあることでしょう?それに、君の家系は子供の数が少ないよね?もしかすると話に出ないだけで、他に妹がいるのかもしれないけど、3代とも子供が少ない感じがする。子供があまり産まれてないのも男児が産まれてこない理由に少しはなるでしょう。君のお母さんは一人しか産んでいないけど、君の妹の次は男児だったかもしれない。後は、そうだな、母体にストレスがあると男児が産まれないなんて説があるよ。つまり、領主ではなくなったとはいえ、旧家だけに跡取りに男の子を強く望まれてしまいストレスで逆に男児が産まれない。とか。どうあれ、まだ、たかが3代だよ。しかも子沢山の反対の状況でね。」
Aさん
「男児が産まれないのは、仮説が立てようないけど、産まれなくても不思議ではないと言いたいの?」
青葉
「まあ、そうだね。」
Aさん
「ふーん。」
青葉
「言いたいことは、こんなもんだよ。元々のろいの話はなく、戒めの話だった。だから男や次女ののろいは存在しない。それを君のお祖母さんが、勘違いでのろいの話にしてしまい、自ら強く信じ込んでしまった。そして本来ないのろいに対抗しようとした。そこから、君の家族が不幸になるのろいが始まってしまった。でものろいはそろそろ終る。君が25になった時、家族みんなののろいが終るよ。」
Aさん
「青葉君、敢闘賞をあげる。」
青葉
「敢闘賞?」
Aさん
「いままでにない意見だったわ。それにちゃんと聴いてくれて真剣に答えてくれた。ありがとう。」
青葉
「それで、のろいは少しは解けた?25を待つまでもないよ。」
Aさん
「まだかかっているわね。でも少し気持ちは違うかな。少しだけね。」
青葉
「お役にあまりたてなかったね。」
Aさん
「途中までは良かったんだけどね。男児が産まれてないのと、曾祖母が19の時に24の姉を喪ってないということは納得がちょっとね。」
青葉
「でも、のろいの話ではなく、戒めの話だったような気はするんだ。」
Aさん
「もしかしたら、とはね。」
青葉
「君の曾祖母の姉妹については、調べられるんじゃないの?詳しく知らないけど、戸籍謄本だとか除籍謄本とかを見ればいい。それでスッキリだよ。」
Aさん
「青葉君は、完全に曾祖母は19の時に、24の姉を喪ってないと思うのね。でも、そうもいかないのよ。」
青葉
「何で?今度帰省した時にでも役所に行けば良いだけだよ。」
Aさん
「それがね、ダメなのよね~。何故か祖母は、あたしに戸籍を見せようとしないのよ。」
青葉
「お祖母さんが見せたくなくたって自分で役所に行ってみればいいことだよ。一部100円くらいだっけ?」
Aさん
「それがダメなのよ。」
青葉
「なんで?」
Aさん
「青葉君には理解できないだろうけど、旧領主の家はそれなりに力を地元に持っているのよ。祖母があたしに戸籍を見せたくないと思えば、役所にその旨を伝えておけば、あたしは戸籍謄本も、その除籍謄本……も勝手にはとれないのよ。」
青葉
「そうなの?とろうとしてダメだった時があるの?」
Aさん
「あるわ。パスポートをとろうとした時にね、役場の窓口に行ってみたの。パスポートをとるには戸籍謄本が必要だからね。でも行ってみたらね、受付けた人に待つように言われたの。受付した人はあたしの家に電話してたわ。そして電話を切った後に、後日ご家族と来て下さい、今日はお引き取り下さい。と言われたわ。あたしが戸籍をとりにきたら連絡をするように前から予め祖母が役場に言ってあったみたい。あたしに戸籍を見られたくないみたいなのよね。」
青葉
「何故?」
Aさん
「さあ、でも、あたしだけでなく妹にも見せたくないみたい。」
青葉
「君は勿論だけど、妹も君が養女なのは知っているんだよね?」
Aさん
「知っているわよ。」
青葉
「うーん。何で見せたくないんだ?見せないようにする必要がない。」
大どんでん返しが待っている予感
色々予想中
関係ないが、自家を含め父方のイトコは9人いるが、男は一人しかいない
父も4兄弟で一人男
女系というノロイというやつか?という偶然
実は連休の青葉。今日こそ終わりまで……
活字大好きさん
性別不明だったけど9分の8の確率で女性なんだね(^^)
イトコ9人中で男が1人かあ。親戚で集まった時にイトコの中に男1人はちょっと大変そう。
Aさん
「さあね。おかげであたしはパスポートがとれなかったわ。24で命が尽きたら海外に行けない人生になるわね。」
青葉
「君の人生はまだまだ続くよ。」
Aさん
「そうだ、思い出した。あたしが、お母さんはノロイをそんなに信じてないじゃないかと思ったことが最近あるのよ。」
青葉
「何?どんなこと?」
Aさん
「戸籍謄本が取れずパスポートもとれなかった時ね、お母さんに泣きついたの。妹の身代りでそろそろ人生が終わるなら一度くらい海外に行ってみたい。パスポートがどうしても欲しいから、あたしの代わりに戸籍謄本をとってきって、て。本当はノロイは半信半疑だったけど、完全に信じているふりしてね。そうした方がとってきてくれそうだと思って。」
青葉
「なるほど。」
Aさん
「そしたら、お母さんは涙を流して言ったの。」
青葉
「なんて?」
Aさん
「ゴメンね。とりには行けないの。でもあなたは必ず自由になって海外にでも何処にでも行けるようになるから、もう少しの辛抱だから。あなたは必ず未来があるから。今回は諦めて。本当にゴメンね。って、泣かれてしまったんで引き下がっちゃたんだけど。何だか変に申し訳ない気分になっちゃって。泣かれちゃうとねぇ……。」
青葉
「そうだね。泣かれると押し辛くなるよね。」
Aさん
「でも、あたしに自由と未来があると言ってたわ。その時ね、あまりお母さんがノロイを信じてないんだなぁ~と思ったのよ。でもそのすぐ後、妹はパスポートとって海外へ修学旅行に行ったけどね。何だか実子と養女の差を感じて腹が立って、お母さんの涙を忘れていたわ。」
青葉
「妹はパスポートを取れたんだ。」
Aさん
「そう。だけど戸籍謄本は母が取りに行ったし、パスポートも代理人として母が取りに行ったわ。だから妹も戸籍は見てないけどね。祖母が妹にパスポートをとってあげるように母に言って、母も動いたんだろうけど、でも実子だと母もそこまでしてあげるのよ。」
青葉
「とにかく戸籍は君達姉妹には徹底的に見せないのか。ねえ、君のお父さんと君の妹はどんな関係なの?君は仲良さそうだけど。」
Aさん
「え?さあ、普通じゃないの。」
青葉
「お父さんは君と連絡をとってるけど妹とはどうなの?」
Aさん
「妹と?妹とは連絡とってないみたいね。この前、妹にお父さんの連絡先を知らないか訊かれたから。養女のあたしが知っていて、実子が知らないのは傷つくと思って、知らないって答えたけど。お父さんはあたしに随分と同情しているのね。あたしには連絡をとるのに、妹とは音信不通なんて。」
青葉
「なるほどね。そうかもしれないけど、違うかもしれない。」
Aさん
「何?何か解ったの?」
青葉
「いや、仮説を思いついたんだよ。あくまで仮説だよ。またね。」
Aさん
「聞かせてくれるんでしょう?」
青葉
「いや、ちょっと突拍子もないことを考えてしまったかな。さっきの話で十分だよ。どっちにしてもこの先、のろいで命が終ることはないから。」
Aさん
「それでも気になるじゃない。そこまで言っちゃったんだから。」
青葉
「じゃあ、奇抜な仮説としてね。今からの話はあまり信じるのをお奨めしない。」
Aさん
「わかった。」
青葉
「結論から先に言うと、君が実子で妹が養女なんだよ。」
Aさん
「ああ、それは信じることはあり得ないわね。結論から言ってくれて良かった。」
青葉
「もう止めておく?」
Aさん
「どうしてそう考えたのか興味があるから続けて。でも、あたしには施設にいた記憶があるからね。その仮説はないわ。」
青葉
「今度の仮説は、さっきの話と何処が違うかというと、次女ののろいの防ぎ方なんだ。」
Aさん
「防ぎ方?」
青葉
「そう。長女が早くに不幸になるのろいだから、血の繋がらない養女を長女にして、不幸を受け持ってもらうのがさっきの話の、のろいの防ぎ方。でも違う方法でのろいを防ごうとしていたんだ。」
Aさん
「あたしは祖母から、妹に降りかかるはずののろいを被る身代りだと言われたわ。そして祖母は、その通りに実行している。違う方法なんてとってないわ。それにあたしは施設にいた記憶があるって言ってるじゃない。」
青葉
「わかってる。そこをわかっていながら言っているんだよ。」
Aさん
「そうなの?じゃあ、実子のあたしに何で施設の記憶があるの?」
青葉
「それは施設にいたからだよ。」
Aさん
「そりゃそうよ。質問を変えるわ。何で実子なのに施設にいたのよ?」
青葉
「君に、自分が養女だと思わせる為に。」
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