青葉 2012-01-06 22:03:27 |
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Aさん
「そう……。有ると思うんだ。」
青葉
「無い方が良かった?」
Aさん
「有る、で良いのよ。無いなら青葉君の話を聞くまでもないもん。今まで話を聞いた人達と同じ答えならばね。」
青葉
「そんなもんかね。」
Aさん
「で、次女のノロイが降りかかるのはどっちだと思う。あたし?妹?」
青葉
「何と説明すればいいかな。いや、どっから話せばいいかな。頭の中が整理されてない。」
Aさん
「結論から言えばいいのよ。どっち?」
青葉
「いや、これから話そうと思うことの整理がついていないんだよ。その話の内容は、どっちにのろいが降りかかるかという質問は的外れなんだ。」
Aさん
「じゃあ質問を撤回するから話せる所から話してよ。」
青葉
「うん。まずね、領主の話の時代についてなんだけど、豪族や土豪が争っていたんだから世の中が落ち着いた江戸時代より前のことだよね。少なくとも今から400年以上前。予想だけど、もう数百年前のような気がする。」
Aさん
「確かに江戸時代より前の話だと思うけど。」
青葉
「うん。で、思ったんだけど、少なくとも400年前から男児が産まれず、尚かつ長女が必ず早世していて、代々次女が婿養子を迎えることを繰り返してきて本当に血を残せるのかな?400年以上だよ。もっともっと長いかもしれない。どっかで血が絶えるんじゃないかな。それに何世代も連続で婿養子を迎えてきながら、領主として名前を何百年も残せるだろうか?どこかで家の乗っ取りがあっておかしくないよ。代替わりするごとに領主が他家から入ってきては家のアイデンティティーも薄れる。家臣団の忠誠や団結も望めない気がする。だから乗っ取りは簡単にできたはず。」
Aさん
「でも血も名前も残ってきたわよ。」
青葉
「そうなんだよ。だから思ったんだ。男児は産まれてきていたし、長女も代々早世することなんてなかったんじゃないかな、と。」
Aさん
「何でそうなるの?それにノロイは有ると言ったじゃない。」
青葉
「有ると言ったのろいは男や次女のとは別のだよ。それに本当は男も次女も、のろいなんてかけていないと思うよ。」
Aさん
「別のノロイ?それに男と次女はノロイをかけていない?青葉君が何を考えたのかサッパリ解らない。」
青葉
「そう?繰り返しになるけど、別ののろいがあると思う。そして男や次女はのろいを実はかけていないから、男児は産まれてきていたし、長女がのろいで早世することもなかった。そもそも、あの領主の時代の話は、のろいを伝える話ではないんだよ。」
Aさん
「ノロイの話じゃないなら何なの?」
青葉
「あの話は領主一族に主体を置いているし、その時に実際に見ていないと残せない状況が伝えてある。話を残したのは、きっとその当時の領主側の誰かだよね。次女の病気や、長女が次女になりすましたこととか、領民は知らないことが話に残っているからね。そして、当時の領民には知られてはいけない話が盛り込まれている。領民は長女が人柱になったと思って、領主との対立を止めたんだから、長女が生きているのを領民に知られるわけにはいかないよね。」
Aさん
「そうだとして、それで、ノロイの話ではなく何の話だというの?」
青葉
「もう少し聞いてよ。領主側の誰かが話を残したのは、誰に聞かせる為なんだろうね。」
Aさん
「領民ではないのよね?」
青葉
「そう。領民には知られたくない話だからね。」
Aさん
「誰に残したというの?」
青葉
「領主一族の子々孫々にだよ。」
Aさん
「子々孫々?何のために?」
青葉
「元々あの領主の話は、子孫への戒めの話だったんじゃないかな。でもある時からのろいの話に変わった。」
Aさん
「戒めの話?それがノロイの話に変わった?いつ?」
青葉
「あくまで仮説だよ。そのつもりで聞いて。本来は戒めの話だったと思う。のろいなんて全くないね。」
Aさん
「ノロイがない……どんな戒め?」
青葉
「領民を敵にまわしてはいけない、という戒めだよ。領民を敵にしてしまい、領主は逃散されたり主権を奪われたり、領主だけでなく重臣まで総入れかえ。挙げ句に娘の命まで奪われることになってしまった。家の存亡に関わる事態になってしまった。」
Aさん
「うん。」
青葉
「そんなことが今後ないように、家名を残せるように話を残したんじゃない?領民を大事にすることが、家を存続させるためには第一だと伝えるために。元の話は、つまりオリジナルは、さっきの話から男や次女の吐いたのろいの部分をカットすればいいんだと思う。いや、さらにもう少しシンプルな話だったかな。」
Aさん
「ノロイはないの?」
青葉
「オリジナルにはね。でも、オリジナルにのろいを被せ、戒めから、話をそののろい主体に変えてしまった人がいた。」
Aさん
「何でノロイの話に変えるの?いつから誰が?」
青葉
「いつからか、というと、何百年も前からあったこの話の歴史としては最近のことだね。何せ、戒めをのろいの話にしたのは君のお祖母さんだから。」
Aさん
「あたしの祖母が?」
青葉
「そう。」
Aさん
「そうかな?なんか飛躍してる気がするわ。祖母はノロイを恐れているんだから、それはどうかな?……まあ子孫への戒めは解るとしても……そうだ、戒めと一緒にノロイのことを残したのかも。」
青葉
「オリジナルの中に、のろいのことはないよ。話を残したのは、当時の領主側の誰かだよ。当時のね。例えのろいが実際にあったとしても、まだのろいは始まっていないから。今後男児が産まれてこないか、産まれてきた長女が早世するかなんて、その当時の人には判らない。始まってない話を残そうとはしないでしょ。」
Aさん
「話を残したのが、本当にその当時の誰かならばね。でも仮説でしょう?」
青葉
「でもさ、どんな話でも事実に基づいた話ならば、口伝えだろうと書き残そうと、まず当時の人が残さないと残らないのは当然でしょう。内容的に考えて、あの話を最初に残したのは内情を良く知ることができた当時の領主側の誰かだよ。」
Aさん
「最初に残したのはそうでも、後の誰かが男と次女のノロイが家に発動してることに気づいて、話を付け足したのかも。」
青葉
「そう、その通りだよ。だからオリジナルはのろいのことはなかった。そして後世、のろいに気づいた人が話にのろいを入れ込んで、戒めからのろい主体の話にしてしまった。それが君のお祖母さんだよ。ただ、のろいは勘違いというか、思い込みだけど。」
Aさん
「そうかな?……祖母が話を変えた……もっとずっと前の人が付け足したんじゃないかな~。」
青葉
「まあ、そうかもね。全部が仮説だから。」
Aさん
「どうして、あたしの祖母という仮説になったの?」
活字大好きさん
ごめんね、今夜は夜勤なので進めることができない(+_+)いつもモチベーションくれてアリガトウ(^^)
(|||゚Д゚)<㌶㌍㌶㌍㌧さん
天才だよ!
と言ってみたい。
天賦の才能欲しかった。天才の脳で世の中を見たかった。
旅斗さん
久しぶりだね!ちゃんと読んでいてくれてたんだね。ラストスパートは近々に必ず。
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