とりとめない思考

Ａさん
「ねえ、ノロイをかけることって上手い下手があるのかな？」

青葉
「さあ、判らない……あるのかもね。何で？」

Ａさん
「ノロイをかけるのが上手い人と下手な人がいるならば、下女は犯人ではないかも。」

青葉
「？？？」

Ａさん
「男や次女は自分への理不尽な仕打ちに対してノロイで報いてきたのよ。下女だって犯人じゃないならノロイをかけてもいいじゃない。でも下女のノロイは伝わってないわ。つまり下女は、男や次女と違って、斬首されても仕方ないと自分で思ってこの世を去っていったんじゃないかしら。領主に口止めされていたのに誰かに話してしまったから。口止めもタダではなかったんじゃないかって思うのよね。」

青葉
「そうなのかなあ。」

Ａさん
「でも、ノロイをかけるのが、上手い人と下手な人がいるなら話は別ね。男と次女は上手かったけど、下女は下手だった。ノロイをかけたものの、下手でかからなかった。とも考えられるわ。」

青葉
「どうだろう。」

Ａさん
「とにかく、下女からのノロイはなかった。」

青葉
「下女の話はあまり重要ではないということだね。」

Ａさん
「そうね。」

青葉
「その根強い噂は、なんで根強かっったんだろう？」

Ａさん
「それはね、男と一緒になる予定だった女がその噂を強く支持していたことにあるの。」

ふむ。奥が深い話ですね・・・

読んでたら興味出てきてね

続きが更新されていると嬉しい

待っててくれる人達がいるなんて嬉しいな(^-^)

青葉
「ここで女が出てきたか。」

Ａさん
「女はね、その噂が真実だと確信めいたものがあったみたい。」

青葉
「どうして？」

Ａさん
「さあねぇ、女の勘かしら。」

青葉
「女の勘とは万能なんだね。」

Ａさん
「長女は誰かの子供を宿し、狂言で男を刑死させた。長女は流産したがまだ屋敷の座敷牢で生きている。そう女は、領主や婿を迎えた長女にとって不都合なことを声高々に領内で言ってまわる。リークされた情報の通りに。」

青葉
「なんでそんなことを？女の目的は？」

Ａさん
「今となっては推測するしかないわね。でも、一緒になるはずの男が亡くなり傷心の女にとって、男と長女の駆け落ちや心中の噂は、きっと耐えられない追いうちになったと思うの。領民達は本気で噂をしていたんじゃなくても、それを聞いた女はかなり辛かったんじゃないかな。男の名誉の問題でもあるし。そんな中で女も納得できる噂と出会った。納得と言うか、それこそ真実と思ったんでしょうね。そこで、他の噂が消えるくらいに声を大にして言いまわったんじゃないかしらね。男の名誉の為に。さらに辛い心持ちが続くなかで自分の心が壊れないようにする為、なんて理由もあったかもしれない。」

青葉
「脅して領主からお金をせびろう。とかじゃあないんだ。」

Ａさん
「そんな考えは浮かばなかったと思う。女も男と同じで、性格の良い、とても評判が良い人間だったから。」

青葉
「いい男には、いい女が寄ってくるのか。」

Ａさん
「そして、いい女には、いい男が寄ってくるのよ……。女はお金うんぬんより、男の不名誉な噂を消したいと考えたんだと思うわ。まあ、前に言ったように、領民はみんな男のことを評価していたし好きだったから噂なんか信じてなかったけど。だから女が思うより男の名誉は全然傷ついてなかったんだけどね。」

青葉
「過剰に反応したのか。でも領主に恨みは持ってただろうなぁ。命にかかわるけど、悪いのは領主達だ！と言いふらしたい気持ちもあって不思議はないよなぁ。。」

Ａさん
「まあね。噂とはいえ、女はその噂を真実と直感したんだろうし、そうなれば領主や長女に恨み心を少なからず抱くわよね。でも女は、純粋に男の名誉を回復させたいだけだったんじゃないかな。そう思うな。」

青葉
「女の思いが強く、噂は根強く残るわけか。」

Ａさん
「そう。でもそれは、領主にとっては大変不都合なことよ。早く噂が消えて欲しいのに、なかなか消えない。」

青葉
「75日経っても？」
Ａさん
「消えるどころか、広まっていき、段々と、今までに消えていった噂と違って、噂ではなく真実として領内で語られ始めていったのよ。」

青葉
「元から真実にかなり近いもんね。」

Ａさん
「話に信憑性があるのもそうだけど、何と言っても女は評判良く、正直者として有名だったからね。そんな女が話すことだから話を聞いた領民はすんなり信じていくのよ。」

青葉
「なるほど。」

Ａさん
「いつからか領主も、女が噂を広めているのを知るようになる。下女を斬首にして憂いは絶ったと思ったのに新たな憂いが生まれていたことに気づいたの。」

青葉
「それで、領主は女にどう対処した？」

Ａさん
「女に警告をしたわ。内容は、妙な噂をたて続けるのは止めよ。豪族の耳に入ったら、せっかくの婚姻関係が崩れかねない。そうなれば豪族が攻めてきて領内で戦が起きるかもしれない。お前の噂のせいで、領民の命が危険に晒されている、という感じでね。」

青葉
「警告だけ？しかも正論で。思ったよりソフトだね。」

Ａさん
「最初はね。できるだけ穏やかに終わらそうとしたみたいね。噂がなくなってくれて、豪族や、豪族の三男である婿の耳に入るリスクがなくなればいいんだから。領主だって鬼じゃないのよ。」

青葉
「最初は？……ってことは、女は警告を聞き入れず噂を広げ続けたんだね。」

Ａさん
「ハズレよ。女は警告を聞き入れて、噂を広げることを止めたわ。自分の命ならば兎も角、領民達の命がかかっていると言われたら、女の性格から止めないわけにはいなかい。」

青葉
「でも、最初は……って言ったよね？」

Ａさん
「言った。女は警告通り噂を広げるのを止めた。だから最初領主は穏便に済ませるつもりだった。けど、結局領主は女の命を奪う決断をしたのよね。」

青葉
「鬼だ。」

Ａさん
「領地と領民、そして家を守るためよ。喜んでやろうとしたわけじゃないわ。それに領主は女の命を奪うことに失敗するし。」

前世の話を超えるエピソードないかな。

先ずは今の話を続けよう。

青葉
「失敗するんだ。でも、そもそも何故そんな決断をしなければならなかったの？」

Ａさん
「女が噂するのを止めても、噂は領内に十分広まっていたのよ。さっき言ったように真実の話としてね。そして、女は悲劇のヒロインになった。元々評判良く、領民に好かれていた上にね。皆、女に同情する。そして領主と長女に反感を抱く。」

青葉
「領主の父親としては、かなり困った事態だね。」

Ａさん
「女は大人しくなったけど、領民達は女の姿を見る度に女を不憫に思い、女の姿をみるたび噂を思い起こすことになる。」

青葉
「女の存在が領民達に噂を想起させるわけか。」

Ａさん
「そんな感じね。だから噂を終息させる為にも女には生きてもらっていては困ると領主は思ったんでしょうね。」

青葉
「そうなるのか。」
Ａさん
「領内には、台風の時期になると毎年のように落ちる橋があってね。」

青葉
「うん。」

Ａさん
「その橋が落ちないように人柱を立てる話が前からあったみたいなの。」

青葉
「人柱かぁ。領主は白羽の矢を女に当てたの？」

Ａさん
「そういうこと。」

たくさん更新されている！
嬉しい！

活字大好きさん、モチベーションを上げるのが上手い。

青葉
「女にはあの世に行ってもらって、噂の終息に向けようとしたのか。女はいくなり、誰もやりたがらない人柱問題が解決する。一石二鳥だもんね。」

Ａさん
「でも、そう上手くはいかないのよね。」

青葉
「意図したことが失敗だったわけだからね。」

Ａさん
「女が人柱になることを聞いて領民達はさらに反感を抱いてしまったの。」

青葉
「女は悲劇のヒロインで人気者。反感が強まるのは当然か。女は表向きどんな理由で人柱に？」

Ａさん
「女が人心を惑わす噂を流した罪人だからよ。」

青葉
「女は罪人だったんだっけ？警告をされただけじゃないの？噂を広げるの止めたし。」

Ａさん
「罪人ではなかったんだけどね、罪人にしたのよ。突然に。その辺りの風習では人柱は罪人にやらせていたのね。」

青葉
「人柱にすることを決めてから、罪人にしたのか。」

Ａさん
「そう。そして領主は女をすぐに捕縛した。」

青葉
「捕縛までしながら失敗したの？」

これってどこの国の話なんだろう？
自分的には古い中国のどこかの国ってイメージ。

旅斗さん、久しぶり(^^)
いやいや、日本だよ。

いつの間にか更新されてたΣ(ﾟдﾟlll)
読むべし読むべし

Ａさん
「いざ女を捕縛したら領主が思ってた以上に領民は怒ったのよ。人柱になるということは、女は命を落とすことになるわけだし無理ないけど。まあ、領主が思ってたより女に人気があったんでしょうね。」

青葉
「領民の怒りを恐れて女を解放したの？」

Ａさん
「領民はね、かなり本気だったのよ。実力行使にでだわ。」

青葉
「一揆？」

Ａさん
「違う。青葉君、さっきから勘が悪いわね。逃散よ。逃散したのは領民の一部だけど。」

青葉
「逃散のほうか……しかし、逃散でも、そこまでするのかね。いくら女が可哀想でも逃散した領民達自身にもリスクが高すぎる。いくら女が良い人でも自分達の生活を危うくしてまで女を救おうとする理由が見えない。」

Ａさん
「逃散したのは、女が良い人間で助けたいと考えたのは一つの理由だけど、まだ他に理由があったと思うのよね。」

青葉
「どんな？」

おや、雨月さん。２ちゃんから帰って来たね。

あれ２ちゃんのはなししたっけ？