とりとめない思考

ファンタジーだったか。でも良かった。

さて、読み終わったよ。

青葉
「想像妊娠？想像とはいえ、何もないのに？そんなことになるのかな？」

Ａさん
「箱入り娘よ。どうやて子供ができるかなんて知らなかったんじゃない。父親からは、長女が男性に近づかないように、男性に触れただけで子供ができてしまうと嘘を聞かされてたのかもしれない。」
青葉
「触れ合ったのは助けてもらった時か。そこで妊娠を思うのか。」

Ａさん
「本当のところは判らないけどね。それでね、想像妊娠とは判らない父親は激怒したわ。」

青葉
「そうだろうね。色々な面目が丸潰れだ。」

Ａさん
「面目だけでなく死活問題よね。婚姻関係を結ぶはずだった豪族にそっぽを向かれてしまうかもしれない。それどころか領内に攻め込まれるかもしれない。口実としては十分だからね。」

青葉
「庇護を求めるはずが、敵になる可能性が高くなった訳だね。しかも相手は有力な豪族。」

Ａさん
「父親は、領主としての決断で長女を幽閉したの。座敷牢にね。そして妊娠を知る者には口止めをした。他人との接触が殆どなかったから口止めは簡単だった様ね。そして、長女は亡くなったことにして、次女を豪族の三男と結婚させることにしたのよ。」

青葉
「なるほど。それで男の方はどうなったの？」

Ａさん
「それよ。まず一つ目のノロイが始まる。我が愛娘をたぶらかした上に、領民を危険に晒したことで捕らえたわ。恨みつらみがつのってる。そして斬首。」

青葉
「無実だけどね。」
Ａさん
「そうね。無実だからこそノロイは始まるのよ。男は性格が良くて、とても評判がよかったの。領内で男を嫌いな人はいないくらいに。そんな男が急に罪人として刑場の露と消えた。」

青葉
「罪状を明かすわけにはいかないよね。豪族にばれたら大変なことになる。」

Ａさん
「そう。罪は領民には明かされなかった。男は領内で評判が良かったから大騒ぎになったようよ。あんなに良い男が何をした？ってね。」

青葉
「それで？」

Ａさん
「男は身に憶えがないことで捕縛され死刑まで言い渡されたので、無罪を懸命に訴えたわ。当然ね。でも退けられる。長女のお腹は大きくなってるし、その長女が相手はその男だと言っているからね。」

青葉
「長女が言ったんだ。」

Ａさん
「長女は男が刑死になるなんて思ってなかったからね。」

青葉
「なるほど。」

Ａさん
「男は無実ながらも観念し運命を受け入れた。けれども、現世には未練がある。男には近々一緒になる女がいたのよね。」

青葉
「へえ。」

Ａさん
「自分のことだけならば兎も角、女のことを考えるとやりきれなかった。だから男は最後の時にノロイを吐いた。」

青葉
「なんて？」

Ａさん
「この理不尽な裁きを受け入れよう。しかし、鬼となって今後この家に男子が産まれることを末代まで阻もう。ってね。」

青葉
「それが男子が産まれないのろい。」

Ａさん
「そう言って男は生涯を終えたわ。」

青葉
「それから、次女が豪族の三男と政略結婚するわけか。すぐに？」

Ａさん
「そうするつもりだったけど、長女が亡くなったということにしているので、少し時間を貰ったのよ。」

青葉
「喪に服すフリをした？」

Ａさん
「そんな名目もあったのかもしれないけど、第一の理由はね、次女にも異変が起きたから。」

青葉
「次女も想像妊娠したの？」

Ａさん
「馬鹿みたいに大ハズレ。」

青葉
「冗談だよ。」

Ａさん
「最初はね、身体に発疹が少しできた程度だったの。次女本人も父親もすぐに治ると思ってわ。でも段々と重篤になっていく。肌か崩れていく。らい病に次女はかかってた。今はらい病と言ってはいけないけどね。」

青葉
「ハンセン病か。」
Ａさん
「領主である父親は、今度は次女を病気の為に座敷牢に隔離しなければならなくなった。他の人にうつさないようにね。その当時はうつる病気と考えられていたから。」

青葉
「父親も災難続きだ。」

Ａさん
「次女を座敷牢に入れる頃には、長女を座敷牢から出したの。」

青葉
「何で？」

Ａさん
「男が刑死したのを知った長女のお腹は不思議なことに元に戻っていったからね。どれくらいの時間がかかったのかは分からないけど。とにかく元の体になったから。家の外には出さなかったけど。」

青葉
「想像妊娠だもんね。お腹がへっこんで父親は確かに不思議だったろうけど。」

Ａさん
「長女を座敷牢から出したのには父親の計算もあった。次女に婚姻はもう不可能。でも元に戻った長女には再度婚姻させることができるようになった。長女には到頭にきていたけど、他に子供がいないからね。それに、やはり父親として長女が可愛いかったんだろうね。男は斬首にしたけど長女は無きものに出来なかったんだし。」

青葉
「長女が生きていることが知れると、豪族や領民に対して難しいことになるもんね。それでも座敷牢に入れたとはいえ生かしていた。」

Ａさん
「それが、また状況が変わった。豪族との婚姻関係は絶対に必要。でも長女の代わりの次女は病気で婚姻は無理。でも今度は長女は……。」

青葉
「父親の計算とは？」

Ａさん
「長女は亡くなってることになってるから、豪族にやっぱり長女と結婚してくれと言うわけにいかない。それで、長女を次女として、豪族の三男を迎えることにしたのよ。」

青葉
「ややこしい話だなぁ。つまり、長女が次女のフリをすることになったのか。」

Ａさん
「ある意味、元の鞘に納まったとも言えるわよね。」

青葉
「犠牲の上にね。」
Ａさん
「どうしても豪族との婚姻関係が必要だったから。それに犠牲あってこそノロイがあるわけよ。長女も次女も幸い豪族に顔を知られていない。そんな時代だったのよ。父親はそれを利用した。」

青葉
「のろいの二つ目は、妹がかけたの？」
Ａさん
「そう。」

青葉
「自分が得られるはずだった幸せを取られた妬み？」

Ａさん
「違うわよ。婚姻は元々次女は長女の代わりだったんだし、それに病気は長女のせいではないでしょう。」

青葉
「じゃあ何でだろう？」

Ａさん
「後に次女は命を落とすことになるんだけど、それは病気のせいではないの。長女によってなのよ。結果的に。」

いいところで続く！
気になる

反応ありがとう！活字大好きさん、明日続けるよ(^^)

青葉
「それを恨んでの、のろいか。」

Ａさん
「そう。直接命を奪ったわけではないけど、長女の存在のせいね。」

青葉
「どういったことだろう？」

Ａさん
「うん。ほどなくして、父親と長女は豪族の三男を迎えることが無事にできた。でもね、男の痕跡は消せていなかった。」

青葉
「痕跡？」

Ａさん
「迎えた三男には、つまり婿には、男のことは知られてはいけないのは当然でしょう。なのに男と長女についての噂が領内に広がっていたのよね。長女が妊娠したことも、男が刑死した理由も領民には知らせてないはずなのにね。まあ、妊娠ではなく想像妊娠だったけど。」

青葉
「この頃には想像妊娠をどう捉えてたんだろう？現代と同じような概念があったのか、それとも……そうだな胎児の神隠しのような不思議なこととして考えていたのか。」

Ａさん
「さあ、そこは判らないわ。何でそんなことを？」

青葉
「もし、状況と想像妊娠がどんな事なのかを解っていれば、男のことを知られても、そんな大問題にはならないんじゃないかなと思って。」
Ａさん
「状況っていうのは？」

青葉
「だからさ、長女は箱入り娘で、何も無いのに妊娠したと思い込んでしまったことだよ助けてもらった時に、ただ触れただけという。」

Ａさん
「そこは例え赦されたとしても、豪族には嘘をついているからどうかしら。最初に長女は妊娠したので亡くなったことにして、それで次女を代わりしておきながら次女は病気なので、嘘をついていたけど実は生きている長女を……ってね。バカにしてるわ。」

青葉
「そりゃあ、そうだ。で、領内での噂とはどんな？」

おー久しぶりに来たらいたー

本当に久しぶりだね、雨月さん。

Ａさん
「いろいろと噂があったのよ。男が刑死してから、すぐに長女も亡くなったことになってたからね。あって当然なんだろうけど。いろいろとある噂は……例えば男と長女は駆け落ちしただとか、心中したとかね。」

青葉
「領主の娘と評判の良い男だもんね。二人とも有名人だから話題性はある。」

Ａさん
「今も昔も人は噂好きなのよ。だけど噂は噂。みんな口に出しても真実だとは思っていない。男は誠実だったから尚更ね。」

青葉
「じゃあ、困ることないじゃない。」

Ａさん
「駆け落ちや心中程度のはね。」

青葉
「そうじゃない都合が悪い噂があったのか……」

Ａさん
「そう。とっても看過できない真実に近い噂がね。しかも、他のどうしようもない噂は淘汰されていくのに、その都合の悪い噂は根強かったのよ。」

青葉
「その内容は？」

読んでいると自分が好き勝手できているな、と思う

活字大好きさん、そこまで思慮深く読んでくれて、ありがとう>_<

どんどん面白くなってきますね。先を楽しみにしています。

名無しさん、ありがとう！

ちょっと続ききになるな

雨月さん、ありがとう。
でも雨月さんはあまり興味ないないようかと思ってたな。違ったね。

Ａさん
「領主の長女が妊娠した。宿した子供の父親は不明だが、長女は身を助けてくれた男が子供の父親と言った。その狂言のため男は刑死した。豪族の手前、領主は長女の身を隠すため座敷牢に入れ、その後に座敷牢の中で長女は流産した。長女は領主に匿われて座敷牢の中で今も生きている。こんな感じよ。」

青葉
「かなり的を得ている。間違えは実際に妊娠して流産になっっている所くらいか。」

Ａさん
「そういうこと。でも、さっきの話しで思ったけど、この時代に想像妊娠の概念がなければ、完全な正解とも言えるかも。子供が産まれなかったのならば流産というのが自然よね。」

青葉
「あと、長女が座敷牢から出て次女になりすましていることも噂にはないよね。」

Ａさん
「この噂は長女が座敷牢にいる時に既にあったからね。」

青葉
「そう。しかし噂の域を越えているよ。」

Ａさん
「父親もそう考えたわ。かなり事情を知っている誰かがリークしていると。」

青葉
「誰？」

Ａさん
「特定の誰かまでは分からなかったみたい。でも手を打ったわ。」

青葉
「どんな？」

Ａさん
「そこまで事情を知っている人間は限られている。親族の一部と、重臣と、領主の屋敷で下働きをしていて長女の世話をしている下女。」

青葉
「なるほど。」

Ａさん
「その中で一番怪しい者を見せしめにしたの。長女の世話をしていた下女の一人を斬首。」

青葉
「斬首？怪しいだけで。それでいいの？真犯人でなかったとしてもいいの？」

Ａさん
「誰だか完全には判らなかったけど、相当怪しかったんじゃないかな。多分、その斬首になった下女が本当に噂を流したんだと思うわ。その後は新しい情報の入った噂は流れなかったからね。次女の病気のことや、長女が次女になりましてることやら、噂の続報として凄く面白いスキャンダルなのにね。だから、やっぱり本当に犯人だったのよ。」

青葉
「いやいや、見せしめだったんでしょ？見せしめが功を奏しただけかもしれない。どうして自信あり気にその下女が犯人だと思えるのかが解らないよ。」