通りすがりさん 2024-10-19 20:23:00 |
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ハーッ、ハーッ…結構、しんどい、かも……も、もしかして、オスカー氏……も、もう……ふ、腹筋とか…ゼェ……終わったの…?
(推しの応援ボイスを脳内再生しながらなんとかあと5回、といったところで彼から声をかけられる。震える腕でなんとか彼の方を見やると、なんということでしょう。そこには自分よりも遅く始めたはずなのに涼しい顔でスクワットに移行しようとする彼の姿が。さすがディアソムニア、つよい。そんな事を考えつつもなんとか残り五回を終わらせ、一瞬安堵の表情を浮かべるもまだまだ残っていることに気がつき、まるで地獄の呵責を受けている亡者のような顔をして)
…あ゛ー、終わったー……って違う、まだあるじゃん!!……もうやだ、早く部屋に帰りたい……
……ああ…。
(彼の問い掛けにはぼんやりとした表情のまま頷く。心配して声を掛けてはみたが、どうやら調子か振るわないらしい。早く部屋に帰りたい、と悲痛な調子で嘆く彼の言葉と絶望に満ちた表情を一瞥し、視線を空中に泳がせて何やら考え込んだ後─運動着の胸ポケットに仕舞ってあったマジカルペン─他の生徒とは違い、赤や緑のものではなく、何処までも透き通った透明の魔法石が埋め込んである─それを音も無くすっと取り出し、バルガスの方をちらりと見る。どうやら今のところ、バルガスは他の生徒の指導に夢中でこちらに意識が向いていないらしい─それを確認してから軽く目を伏せた後、不明瞭な声で呪文を呟いた。すると白い繭のような物体が空中に形成されていく─のを横目に、既に体力の限界を迎えているのであろう彼に声を掛けて)
……帰りたい、なら…帰して、やろうか。…おれが、怒られれば…済む、話…だからな。
…へ?え、なにどういう…えナニソレ???なに???それで帰るの?え???
(唐突に彼からかけられた言葉に目を見開きながら彼を見る。と、そこにいるのは変わらず無表情な彼と白い繭……繭??…彼が魔法石を持っていることや魔力反応があることから、多分彼の魔法なのだろうとは分かるが…初めて見る魔法にどうやらそれどころではないらしい。…これ、入ったら帰れるの??口をあんぐりと開けながらしばらく呆然とするものの、はっと我にかえり、少しだけ冷静さを取り戻した頭で考え始める。…確かに帰れるなら僕としてはありがたいが、後々がうるさくなることは確実。…そして、流石に初対面(しかもディアソムニア)に罪を被せるのも、なんというか申し訳ない。顔はそらしつつも目だけ彼の方に向け、やんわりと断って)
……いや、いいよ。に、逃げたら逃げたで…後々めんどいし。……あと…その…僕のためなんかに、君が怒られるのも……悪いし。
…そうか。…お前は、良い奴…だな。
(空中の繭を見上げて呆気に取られている彼の様子を暫しまじまじと眺めていたが─ふと掛けられた彼の断りの言葉にこくりと頷き、半分程完了していた魔法をあっさりと解除し、マジカルペンを再び運動着の胸ポケットに戻す。彼の頭上を中心として空中に形成されかけていた繭は風に流されて跡形も無く解け、魔法の痕跡は綺麗さっぱり消え失せた。他の生徒を熱心に指導するバルガスを横目に、嫌々ながらも課題に取り組む彼を─焦点の合わない瞳なりに、じっと観察する。運動着の袖から見える腕は想像していたよりも色白で細く、どう考えてもこういった運動には慣れていないであろうことが読み取れた。時折ぱちり、と緩やかに瞬きをしつつ、彼の課題が終わるまでの間─特に何を言うでもなく、静かに彼を見守っていて)
…いや、まぁ……うん。ありがと。
(どちらかといえば保身の為に断ったというところが強いのだが…まぁ、褒められて悪い気はしない。一瞬、ほんの数秒だけだが…目線を彼に向け、ほんの少しだけ口角を上げた。うん、自分にしては本当に頑張った。すぐにまた顔を背け、ぷるぷるとした生まれたての子鹿のような手足で腹筋へと移る。もうすでに体力は限界を迎えており、今の自分を支えるのは推しの声(脳内再生)と補習になってたまるかという執念のみ。時折ぶっ倒れつつもどうにか課題を進めていき、ボロ雑巾のようになりながらもようやく課題を達成して)
…ヒュー、ヒュー……あ゛ー……一生分の運動した………ゲホッ、ハー……しんど………ゼェ……
……回復程度なら、できる。
(彼のぎこちない笑顔に反応したのか、普段は不安定に揺れ動く瞳の焦点が少し、本当にほんの少しだけではあるが─彼をじっと見据え、瞳が緩やかに細まって美しい三日月形を描いた。そうして微かに微笑んでみせた後は─また焦点は虚空を落ち着きなく彷徨い始める。その後は時折崩れ落ちながらも何度も起き上がり、課題を達成した彼を見つめながら─誰に言うでもなくぼそりと呟き、運動着の胸ポケットからマジカルペンを取り出した。─どちらかと言えば、魔法よりはマレウスを筆頭とした妖精族の扱う"祝福"に近いのだが─まあ、どちらも同じようなものだろう。一人で納得した後、呪文とはまた違った不明瞭な言葉を発し、マジカルペンを軽く揺らす。ペンに埋め込まれている魔法石によく似た、透明な─自分の"妖精"としての力である、癒しの力を帯びた光─の粒が空気中にぱっと散った後、彼を柔らかく包み込んで)
…?えっちょ、なにこれ………?…あれ、なんかすっごい疲労回復してる!?えっえっ、すご…これ、オスカー氏が?
(ぐったりと地面に倒れ伏していると、どこからかふわりと光の粒子が自身を優しく包み込んでくる。あまりの唐突さに目を丸くしながらそれを見ていると、先ほどまで自身を蝕んでいた疲弊感がふっと嘘のように消えた。なにこれなにこれ、ときょろきょろと周りを見渡すと、マジカルペンを手に持つ彼が目に映る。そういえば彼は妖精で、妖精は相手になんらかの魔術を付与する祝福が使えると聞く。…もしかして、それでは?疲労が消え、さっぱりとした思考でそこまで辿り着くが、確証は持てないため、君がやったのかと相手に問うて)
………
(目立った言葉こそ返さないものの─彼の言葉を暗に肯定するかのようにこくり、と小さく頷く。彼の様子を確認してからマジカルペンを再び胸ポケットに戻し、よく頑張った、と声を掛けようとしたところで─授業の終了を告げるバルガスの声がグラウンドに響き渡った。声に反応してそちらへ一瞬だけ目を向けた後、相変わらず焦点の合わない瞳なりに彼をじっと見つめ─一度だけ軽く会釈をしたかと思えば、ずっと自分の傍に控えていた箒に腕を預け、グラウンドの中心にいるバルガスの方へ向けてふわふわと緩やかに飛び去っていく。解散、の合図を聞いた後は─先程彼に行使しようとした、白い繭を形成する呪文を唱えた。暫くの間は空中に形成されていく白い繭をぼんやりと見つめていたが、やがて完全に形成されきったその中へと入って身を委ね─ディアソムニア寮へ帰還しようとして)
…あ、ありがと……あっ、ちょ……
(自身の言葉を肯定する彼に対し、普段の調子で感謝を伝えようとするも…バルガス先生の終了の合図に全てかき消された。ふざけるな、と頭の中で抗議していると、いつの間にか箒で先生の方にふわふわと飛んで行く彼が見えた。呼び止めようにも、自身の声が小さすぎて聞こえなかったようだ。今だけ自分が恨めしい。集合し、解散の合図を聞くと、周りをきょろきょろと見渡し先ほどの彼を探す。と、先程見た白い繭が目に入った。絶対あれだ、と確信すると早歩きで繭へと向かい、自分にしてはなかなか大きい声で彼を呼び止めて)
…居た……ちょ、ちょっとストーップ!!
……?
(一度経験したマレウス曰く、"存外居心地が良い"らしい繭に包まり、今正に寮へ帰ろうとしていた矢先─先程の彼の声が聞こえたらしく、首を傾げながら繭に施した移動魔法を一時的に解除する。あらゆる外敵を拒絶するように固く閉じていた繭の入り口がふわりと解けたかと思えば、その中から現れた─焦点の合わない、ぼやけたような色合いをした金色の瞳が彼をぼんやりと見遣った。─まだ何か、自分に用事でもあるのだろうか─と言わんばかりの雰囲気を漂わせつつ、ただ置物のように沈黙して彼を見つめる。そうしている内にも生徒達はどんどんとグラウンドを後にして行き、バルガスが職員室へと戻っていく後ろ姿が微かに見えた。そこからまた暫くの沈黙を挟んだ後、ようやっと自分から口を開いて)
……まだ…何か、ある…のか。
ぇっ、あ、えと……
(流石に礼の一つはしなくては…と声をかけたは良いものの、いざ話しかけると言葉が詰まる。この時ほど自分のコミュ障を恨むことは無い。もじもじとしているとすでに周りの人々はグラウンドを後にしており、残ったのは自分達二人だけ。ただでさえ一対一のこの状況に緊張しているのに、目の前の彼がまだ何かあるのかと言わんばかりの雰囲気を纏わせるせいで余計になにも声が出ない。と、彼に声をかけられた。小さく「ひっ」と悲鳴を上げるが、向こうから要件を聞いてくれたおかげで、緊張が0になった訳ではないが少し話しやすくなった。運動着の裾をきゅっと握りつつ、冷や汗をだらだらとかきながらも彼に顔を向け、口を開いて)
…その、今日は…色々、ありがと。ペア、組んでくれたり…課題、終わった後…疲れ、取ってくれたの。……えと……それだけ、デス。ハイ。
……気に、するな。
(彼の言葉が随分と意外だったらしい。何処か呆気に取られたような、あるいは驚いているような表情を彼に向けながら─ぱちり、と目を一度だけ瞬かせる。自分に向けられるぎこちない礼の言葉には首をゆっくりと横に振った─拍子に長い黒髪がばさばさと揺れ、繭の底面を擦って白い糸を散らした。目に見えて人と話すことに慣れていない彼を見かねたのか、「……お前の、気持ちは…有り難く、受け取っておこう」と、一本調子ながらもほんの少しの柔らかさを帯びた声を掛けた後、移動魔法を再開して繭に完全に包まる直前─彼に目線を向け、軽く会釈をする。そのまま繭の中で瞳を伏せ、繭ごとディアソムニア寮へと帰還した。応接室を通って自室へと戻り、ベッドに横たわって)
う、うん…ありがと………………あ゛ーーーーきんっっっちょうしたぁ!!!!!ほんと対人とか無理すぎるって…てかオスカー氏とあれだけ長く話せるとか拙者、まじで一生分の会話スキル使い果たしたのでは?………まぁ、オルトへの土産話はできたかな…
(繭からの軽い会釈にはとても小さく手を振って返し、繭が消えるのを見届けると大きく息を吐く。これだけ初対面の誰かと長く話したことはない。ハイスコア更新だ。ぶつぶつと自分の先ほどの会話を自己評価しながら自寮への帰路に着く。……あのオスカー氏と10分以上、しかも生身で話したんだ…なんてオルトに話したら、目を丸くして喜ぶだろうな。そんなことをぼんやりと考えていると、いつのまにか寮に着いていた。全く今日は散々な一日だった。そんな風に思いながら自室へと戻り、服もそのままでベッドに倒れ込むとそのまま瞼を閉じて)
(/キリもいいので、そろそろキャラ変更いたしますか?)
(そうですね…!キバナさんでもチリちゃんでも、お好きな方で大丈夫です…!)
……
(自分の出演するアイスショーの開演前、控え室の中でゆっくりと息を吐く。表情にこそ出さないようにしているが、自分が緊張していることを察したのか─心配するような表情で足元に擦り寄ってくるグレイシアとアローラキュウコンの頭を優しく撫で、微笑んでみせた。─自分よりもポケモン達の方が緊張しているのに、彼女たちのトレーナーである自分が緊張してどうする。自分の頬をぱんと張り、気合を入れてからリンクに出た。満場の歓声の中、礼儀正しく一礼をして─自分の周囲を飛ぶモスノウに「ふぶき」の指示を出した。舞い散る雪の結晶の中、優雅に滑り出して)
……おぉ、すげぇ……
(二つチケットが当たったから、とダンデに誘われて来たアイスショー。普通ならあまりこう言う場には来ないし、最初は断ろうと思ったのだが…出演者の名前を見て、そんな気は吹き飛んだ。ヴェスカ。たまたま見つけた彼女のコンテストの切り抜きを見てからと言うもの、すっかり魅了されてしまった。どうにか彼女のショーを見れないものかと模索していたところに舞い込んだ幸運、逃すわけにいかないとすぐに了承し…そして今、目の前に本人が居る。その立ち姿に感動していると、彼女がモスノウが繰り出した「ふぶき」が舞い散る中美しく滑り出す。動くたびにふわりと舞う長い水色の髪、雪と共に消えてしまいそうなほど白い肌。なるほど、「氷の妖精」と言われる所以がよく分かる。いつまた彼女のショーが見られるか分からない、絶対にこの目に焼き付けようと彼女の一挙一動をじっくりと見て)
(/折角ですので、キバナ様で始めさせていただきました~!個人的にキバナ様は少し難しいので、頑張って似せていけたらなと思います…!)
(了解です…!)
……
(モスノウが完璧なタイミングで繰り出すふぶきに合わせて氷を滑る最中、ふと客席に目を遣る。気のせいかもしれないが、普段ならば見覚えのあるファンたちが座っているプラチナ席に─今回は、どうも見知らぬ顔があった。だがそんなことを考えたのも一瞬で、足元を滑り始めたグレイシアとアローラキュウコンに「オーロラビーム」の指示を出す。彼女らの作り出す美しいオーロラの中、ユキメノコやサーナイトの手を取って華麗にステップを踏み、最後にはポケモン達全員と共に観客に向けて一礼して演技を終えた。控え室に戻った後は水分補給もそこそこに、ショー終了後のファン交流会に向けての準備を整え始め)
………
(例えるならば、まるで一つの映画を見終わった様な。そんな満足感と寂しさが混ざり合った心持ちでショーの最後を見届け、拍手を彼女に贈る。ぽけーっと放心したままショーの余韻に浸っていると、ちょいちょいとダンデに肩を叩かれた。一体なんだと振り返ると、「下の方を見ると良い」と何かのスケジュール表を手渡される。どうやらこのショーのスケジュールらしい。言われた通り下を見ると、そこには『ファン交流会』の文字。勢い良くダンデを見ると親指を立て、「早く行こうぜ!」と手を小招いている。この時ほどダンデに感謝したことは無いだろう。そのままダンデと共に交流会の会場に行き、今か今かとそわそわした様子で彼女を待って)
……こんにちは。
(演技で乱れた髪を夜会巻きにまとめてから、控え室を出てファン交流会の会場へと向かった後─一人のファンと向かい合わせになる、所謂握手会やサイン会のような形で長テーブルに腰を下ろす。まず最初に来たファンは、毎回自分のアイスショーを観に来てくれている古株─人の良さそうな中年の女性だった。にこやかに微笑みながら彼女と握手をして一言か二言、言葉を交わす。─そうして何人かと交流をした後、案内されてきた次のファンに「こんにちは」と挨拶をしながらその顔を見上げて─ぱちり、と瞬きをした。彼は確か、ドラゴンタイプの─名前は何と言ったか。兎も角、有名人であることには違いない。他のファンに向けるような笑顔を浮かべて彼に手を伸ばし、声を掛けて)
…観に来てくださってありがとうございます。
あぁ、どーも…
(先ほどは下ろしていた髪をまとめ、他のファンににこやかに応対する姿を見ていると、緊張から胸が苦しくなる。全く、自分らしくない。そうこうしているうちに、自身の順番が目前に迫る。…大丈夫か?手汗とかかいてねぇよな?そんな心配をしていると、ついに自分の番が。笑顔で差し出される手に自身も手を出しながら、来場への感謝に言葉を返す。先程のショー、状況に応じた彼女の指示は、ショーを盛り上げる的確な物だった。さすがは元ジムリーダーと感服したし、それと同時に闘志も燃え上がった。彼女の状況を把握する力は、きっとバトルでも映えるだろう。今のこおりジムリーダーであるメロンはストイックでシビアな戦いを好むが、彼女はどう戦うのだろう。見てみたい。戦ってみたい。ショーの感想を口にすると、上記の想いも彼女に伝えて)
…アンタ、すげーなぁ。指示も的確だし、動きも綺麗だったし……一回、アンタとバトルしてみたいもんだぜ。きっと、すげー綺麗だろうから。
(/お返事遅くなりました~! 申し訳ありません!)
(いえいえ、お気になさらず…!)
…そう言って頂けて、嬉しいです。
(柔らかく握り返した彼の手は少しだけかさついて、骨張った─過去の自分と同じ、ジムリーダーの手だった。その感覚に僅かな懐かしさを覚えていると─ふと彼から掛けられた言葉に少しだけ目を伏せ、軽く頭を下げる。彼と談笑しながらそれとなく周りを見回してみたところ、もう彼以外のファンは残っていないようだ。それ故か─先程から自分にちらちらと視線を送ってくる、自分の斜め後ろに控えている"剥がし"のスタッフに向けて首を横に振り、時間いっぱいまで彼と話すことを決めたらしい。少し考え込んだ後、手元に有ったメモ用紙に何かを書き付けて彼に差し出し)
…公式のものですが…連絡先です。…ドラゴンタイプの方とは戦ったことがありませんので、機会がありましたら…是非。
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