ビギナーさん 2024-09-07 21:36:57 |
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……
(カルナの自己紹介を聞いた頼光は一層笑みを深くし、"まぁ、ご親切にどうも。私、源頼光と申します"と胸元へ手を当てて頭を下げる。金時と渡辺綱は一度顔を見合わせた後、金時の方が"頼光様はオレっちに任せて、綱の兄ィはあいつの案内してやってくれ"とカルナを指差した。渡辺綱は少し悩むような素振りを見せるものの、すぐに頷いて"分かった、頼光様に失礼のないようにな"と釘を刺してからカルナの方へと歩み寄る。"こっちだ"と言葉少なに声を掛け、シャワールームの方へ向かって歩き出し)
頼光……なるほど、お前が金時達の主君か。
(頼光が名乗りながら頭を下げると、こちらもお辞儀で返す。彼女の名前、頼光四天王……繋がった。彼女こそ、金時達が仕える主人なのだろう。少し目を見開き、驚いた様子を見せる。なにせあの強さを誇る彼らを従えるのだ、きっと彼らの主人はとても屈強な男なのだろうと考えていたからだ。だが目の前にいるのは、とてもおしとやかな女性。金時や綱が反抗する様子が無いのを見るときっと彼女も彼らほど、もしくは彼ら以上の力を持っているのだろう。いつか彼女とも手合わせしたいと考えつつ、「…いい部下を持ったな」と自身の言葉を選びながら金時達を褒める。と、綱に声をかけられる。どうやら彼が案内してくれるようだ。礼を言うと、頼光達に別れを告げてから綱の後ろをついて行って)
…感謝する。金時と…頼光、だったか。また、あとで会おう。
(頼光はカルナの言葉に少しばかり目を瞬かせた後、"ふふ、ええ…また後で"と穏やかに微笑む。そして渡辺綱の方を見据え、"綱、貴方も"と言葉少なに声を掛けた後は金時に案内されるまま─"金時、案内は任せましたよ"などと言いながら逆方向へ消え、やがてその背中も見えなくなった。渡辺綱は頼光の言葉に"承知"と応えて恭しい礼を一つ、そして消えた方をちらりと見た後─視線を前に戻したかと思えば、"…頼光様は強いぞ"と誰に言うでもなくぼそり、とそう呟く。その後は何を言うでもなくシャワールームへ一直線に進み)
…やはり、か。いずれまた、手合わせしたいものだ。
(頼光達の背中が見えなくなるまで彼らを見ていると、綱の呟きが聞こえる。あの女性は…動きや挙動は優しくおしとやかな女性のものなのだが、その端や気配などから感じられる気はまさしく百戦錬磨の戦士のそれ。先程も思ったが、綱の言葉で確信した。やはり彼女は只者ではない。いずれ勝負したいと考えながらずんずんと進んでいく綱の背中を追いつつ、ぽつりと呟いて)
(そのまま何事もなくシャワールームに到着し、渡辺綱が扉に手を掛けたところで─カルナの呟きが聞こえたらしい。一瞬動きを止めた後、後ろを振り返って─ゆったりと目を伏せ、"…そうか。ならば…俺から頼光様にそう言っておこう"と答えた。返答を待つ様子は無いままにシャワールームの扉を開き、入れと言わんばかりに室内へ視線を滑らせる。"…では、俺は頼光様の案内に戻る"とだけ言い残し、カルナに軽く一礼をした後─シャワールームを立ち去っていった。─一方その頃、眠っていた櫻井はようやく目を覚ましたらしい。大きな欠伸と共に伸びをし、少々遅い食事を摂るために食堂へと向かう。─サーヴァント達に作ってやったものよりも随分と簡素な、と言うよりは雑な食事─小さめのおにぎり二つをのそのそと食べ始めて)
!…感謝する。
(シャワールームに到着、と言うところでぴたりと綱の動きが止まる。どうかしたか、と聞こうとしたときー先ほどの呟きが聞こえたのだろう、頼光に伝えておくと綱が言う。聞こえていたのにも驚くが、それを凌駕する嬉しさに目を見開く。戦士として、強者と戦えるのは喜ばしいことだから。柔らかい声で礼を告げると、彼の入れと言わんばかりの視線に従ってシャワールームに入る。案内に戻ると言いながら一礼する綱に「ああ」とだけ返すと自身も一礼し、綱の背中を見送る。さて、自分もそろそろ水浴びをしなければ。奥へと進み、蛇口を捻るとシャワーを浴び始めて)
…ん?ああ、綱さんらか。
(のそのそと食事を食べていると、食堂の扉が開き─渡辺綱らがひょっこりと顔を出す。律儀に一礼する綱と、"あら、マスターさん"と笑顔で挨拶をする頼光には普段通りの笑顔で応え、またおにぎりを食べる作業へと戻った。─のだが、金時は"まぁた握り飯ばっか食ってんのかよ"と何処となく苦い表情を浮かべる。金時にも曖昧な笑みを浮かべて誤魔化しつつ、食道から出ていく彼らを見送って)
……腹が、空いたな。
(シャワーを浴び終え、ほこほことした湯気を纏いつつ髪をタオルで拭きながら廊下を歩く。さて次は何をしようか、先ほど見かけた談話室でくつろごうかーそう考えていると、ぐうと大きく腹が鳴る。…少し、運動しすぎたか。幸い今はシミュレーションルームの前、ここから食堂への道は分かる。タオルを首にかけ、何か適当に食べようと食堂へ向かうと、そこには小さな握り飯をのそのそ食べるマスターが。今から飯か、少し小さすぎはしないかと思いながら彼に近づき、話しかけて)
…随分と粗末な食事だな、マスター。
…ん、ああ…あんたか。
(渡辺綱達が出ていった後、欠伸混じりにのんびりとおにぎりを食べていたが─ふと掛けられた声に手を止め、後ろを振り返る。その際視界に入ったのは彼─カルナで、へらりと曖昧な笑みを浮かべてみせた。食事に関しては父親にも良く言われたがどうにも、量も質も食べる気になれなくて─小さなおにぎり二つか三つで事足りてしまう。"そない腹減ってないんよ"と誤魔化しつつ、彼に目を配った。食堂へやって来たということは─食事を作った方が良いだろうか。おにぎりを片手に立ち上がりながら問い掛けて)
腹減ってんやったら、何や適当に作るけど…
…いや、自分で作ろう。軽食くらいなら、多少は作れる。
(腹が減っていない、と目配せする彼にただ「そうか」とだけ呟く。少食か、それともただ本当に腹が減っていないだけか。どちらにせよ、本人の健康に問題が無いならばそれで良い。握り飯を片手に立ち上がり、何か作ろうかと聞く彼に対して首を横に振る。軽食なら昔、戦場などで作ったことがある。なにより、わざわざ主人の食事タイムを自分の都合で台無しにするのも忍びない。調理場へ向かうと、まず材料を確認する。…各種野菜、スパイス、紅茶の茶葉…そういえば先程、聖杯からの知識にいくつか軽食のレシピが混じっていた。ちょうど目の前の材料で作れるものが二つある、せっかくだから作ってみよう。そんなチャレンジ精神を発揮していると、主人が目に入る。…そういえば、悩み相談や食事の礼がまだだ。たとえ胃が小さくとも、飲み物くらいは飲めるだろう。そう考えると、櫻井に声をかけて)
…マスター。紅茶は、飲めるか。
え、飲めるけど…どないしたん?
(素っ気なく断られ、少々残念そうな様子で元の席に戻ると─またおにぎりをのそのそと食べ始める。彼の様子を見守りながらようやく二つ目の半分程に差し掛かった所で、キッチンで何やら作業をする彼から、紅茶は飲めるか─と声を掛けられた。目を何度か瞬かせながらもその問いに頷き、彼の手元を改めて見てみる。─冷蔵庫に入れてあった野菜とスパイス、それと─紅茶を淹れようとしているのだろうか、ガラスのティーポットが見えた。テーブルに置いたままだったお茶のペットボトルに一瞬目が行くものの─それは自身の座る椅子の方へ避けておいて)
…そうか、それは重畳。
(飲めると聞けばふわりと微笑み、作業を開始する。湯を沸かし、ぬるま湯と薄力粉、塩とサラダ油を用意するとそれらを混ぜ合わせ、何かの生地を作り始める。それをラップで試行錯誤しながら包んで置くと、スパイスを三種ーカルダモン、シナモン、クローブを取り出し、手鍋に水と共に入れて火にかけ始める。沸騰したら弱火にし、1分ほど経ってから火を止め、茶葉を入れて3分ほど蒸らす。冷蔵庫から取り出した牛乳を加えて火にかけ、焦げ付かないように混ぜ合わせながら沸騰直前まで煮込む。…辺りにスパイスの香りが充満し始め、またくぅと腹が鳴る。あと少し、あと少しの辛抱だ。そう考えているとまさに鍋は沸騰直前、少し慌てて火を止めるとポットにそれを移し替える。二人分のカップを取り出してはポットの中身を注ぎ入れ、そのうちの一つを主人の目の前に差し出して)
…マサラティー、というらしい。初めて作るが、悪くない出来だ。飲んでくれるだろうか、マスター。
おおきに、頂くわ。
(慣れない手付きで調理をする彼を微笑ましげに眺め、残ったおにぎりを口の中へ放り込んだ。もそもそと音を立ててそれを咀嚼している内に、彼の方の作業は終わったらしい─目の前に、ほんのりと湯気を立てるティーカップが差し出される。米粒で汚れた手を拭きながら礼を述べ、そのティーカップにのんびりと口を付けた。程良い甘味が口の中に広がり、今の今まで眠そうだった表情と─無意識の内に張り詰めていたらしい意識がふわりと緩み)
…どう、だろうか。
(もう一つ、軽食の生地ができるまであと十数分。それまではこの紅茶を飲んで待っていようと考えながら一口飲む。…少々シナモンを多く入れたからだろうか、ほんのりと甘い。初めてでこの味、この出来栄えなら、我ながらよく出来たものだ。ほっとしたように微笑むが、はっとした顔で櫻井の方を見る。…もしも彼の口に合わなかったらと心配していたのだが…不味そうな顔はしておらず、むしろ先ほどより緩んだような表情を浮かべている。どうやら不味くはないらしいと胸を撫で下ろしつつ、味はどうかと聞いて)
ん、美味しいで…ありがとうな。
(自身と同じように微笑む彼の顔を横目に、また一口カップの中身を喉に流し込む。心做しか心配そうに尋ねてくる彼を安心させるように─ふわ、と緩やかに笑いながら首を縦に振った。カップを一旦テーブルに置き、また無意識の内に─彼の頭へ手を伸ばし、手触りの良い髪をふわふわと撫でる。ペットか何かを慈しむような優しい目線を彼に向けつつ、暫くの間また彼の頭を撫でていて)
…それは、良かった。
(にこりと微笑みながら首を縦に振る彼を見ると、つられて自身も口角を上げる。紅茶はまだ少し残っている、おかわりはいるかと聞こうとした時。頭に、彼の暖かい手が添えられた。なにやら小動物かなにかを愛でる様な目線を向けられている様な気がするが…心地良さにそんな不満も全て吹き飛んでしまう。机にもたれると彼の方に身体を預け、穏やかな顔で目を閉じる。…彼の手にはなにか、人をリラックスさせる魔術でも宿っているのだろうか。そんなふうに考えつつ、なされるがままに撫でられ続けて)
…
(彼の髪の感覚が心地良く、暫く無心で撫で続けていたが─またはっと気付いたらしい。が、今度は手を引っ込める前に彼の表情をまじまじと観察したかと思えば─もう少しの間撫でた後に手を離した。渡辺綱やら新宿のアーチャーやらを撫でるなど恐れ多いし、金時は肩を叩く程度のもの。頼光─女性の頭を撫でるなど論外。それ故だろうか、こうして頭を撫でさせてくれる彼のような存在が居ることで、気が楽になるのかもしれない─内心そんなことを考えつつ、テーブルに頬杖をつきながら自分の髪を弄って)
…あんたの髪、ふわふわやな。俺の髪はクセ強いからな、ワックス使こても上手いことまとまらんのや。
…む……髪、か。生前、友にもその様なことを言われたことがある。特段、何もしていないのだが…
(手が頭から離され、目をぱちりと開けると手を頭に置く。普段は気にしたことがなかったが、彼の言う通り確かにふわふわとした手触りだ。…生前、親友であるドゥリーヨダナが『お前は美しい髪をしておるなぁ!!』とよく褒めていたな。なんて考えていると、目の前の彼が頬杖をつきながら自身の髪を触っている。髪のクセが強いと聞くと、まじまじと彼の髪を見る。確かに全くまとまらず、すぐにはねてしまっている。…ぽん、と彼の頭に手を乗せてみる。自分の髪よりは確かにふわふわではないが、触り心地は良いものだ。微笑むとそのまま、くしゃくしゃと彼の頭を不器用に撫でて)
ふわふわ、とは言えんが…お前の髪も、撫でがいがあって好ましいな。
…そうやろか?
(自身が撫でられるとは思っていなかったようで─髪を弄る手を止めて、少し驚いたように目を何度か瞬かせながら首を傾げる。少しぎこちない彼の手付きに何を言うでもなく目を細め、黙って彼の方へ身を預けた。─暫くの間、そうして穏やかな時間を過ごして)
…ああ、とてもな。
(驚いた様に瞬きする彼の反応が少し面白く、優しく撫でてみたり、かと思えば少し雑にわしゃわしゃと撫でたりしてみる。人の頭を撫でるのは初めてだが、表情を観察しているとどうやら安心してくれている様で、自身も少し安心する。…しかし、彼に触れる、触れられると本当に落ち着く。もしやリラックス効果のある固有結界の持ち主か、なんて的外れな事を考えつつ、しばらく彼の頭を撫で続けていると……ぐぅぅぅ、と少し大きな腹の音が。少し驚きつつ時計を見やると、もう十数分以上経っている。そろそろ生地も発酵している頃だろう。最後に大きく二回ほど撫でてからそっと彼の頭から手を離し、再度厨房に戻って)
…今からもう一品、軽食を作るが…初めて作るため、上手く作れるか分からん。良ければ味見をしてくれないか、マスター。
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