トピ主 2024-07-26 06:44:45 |
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聖教国編 「教皇の癇癪」
(大聖堂の大広間にて、白と黄金を基調とした豪華な装飾で彩られたこの空間に、パイプオルガンの荘厳な音色が響いていた。奏者は高位司祭の祭服を身に纏っているが肌はドス黒く、人型でありながら目や鼻といったパーツがない。まるで人の影のようなそれが低位の悪魔であることは多少の知見がある者ならば簡単に察しが着くことであろう。そのような異色な空間の中央には、玉座に腰掛けた教皇グレゴリアスとその付き人であるカグラの姿があった。)
カグラよ、しばらくティ……う~ん…聖女の姿が見えないが何処へ行ったのじゃ?
ティア様は先程、儀式を執り行う為に国境沿いの教会へと向かいましたわ。
ああ、ティアか…そんな名前だったなあれは。そうじゃった、そうじゃった。今日は儀式の日であったな。して、護衛は勿論レイラなのじゃろ?帰還後に顔を見られることが待ち遠しいわい。
残念ながら今回はレイラ様ではありませんのよ。タイミングが合わなかったようで即席で別の冒険者が依頼を受けたと聞いておりますわ。
なんじゃと…!レイラの顔を見れないのであれば護衛など必要あるまい!全く余計なことを…
それが、道中に一行がエルフらの襲撃に遭ったと異端審問省から報告を受けていますわ。レイラ様でないにしても護衛を付けたことは正解かと。
聖女の身などどうでもよいのじゃ…!まるでレイラに会えないことを嘲笑うかのように襲撃など許せん!断じて許せんぞ…!カグラッ!穢らわしいエルフ共を八つ裂きにして来るのじゃ…!
しかし、私の力ではエルフのみに標的を絞ることなど出来ませんわよ。
構わんッ!田舎の教会が一つ潰れたところで何ら痛くないわい。どれだけ巻き添えても良い、今すぐにエルフ共を殲滅して来るのじゃッ!
…ハァ…仰せのままに。
(初めは何気ない会話であった。カグラに聖女の行方を聞いた教皇であったが、儀式の為に大聖堂を発ったと聞くなり護衛はレイラの筈だと思い込み舞い上がる。しかし、すぐにカグラによって訂正され、挙句にエルフの襲撃まであったと聞いてはその低い怒りの沸点が頂点に達した。教皇はカグラに対してすぐにエルフを殲滅しろと命令を下すも、自らが持つ力では周囲を巻き込むことになると一度は断るカグラ。しかし、再度命じられては最早断ることなど出来ず、大きい溜め息を着いた後に渋々国境沿いへと足を進めた。)
>539
ふふ、どういたしまして……ん?血の臭い…?しかも、複数の…
(券を受け取ってお礼を言うクレアに同じように笑みを浮かべてどういたしましてと返して。クレアが教会の扉に手をかけた辺りで警戒した面持ちに変わり、扉の向こうに何が待っているのか…そう思いながらショットガンにそっと手をかけて。扉が少し開いた段階で、中から漂ってきた複数の血の臭いに気づき、そのことについてクレアに話しておこうと思った…だが、それよりも先に扉の向こうに広がっていた絶望的な光景を目の当たりにして、言葉を失い。人よりも長く生きて人の亡骸や亡くなるところは何度も見てきたが…ここまで酷い光景は見たことがない。部屋の中にいたダンテの声が聞こえるまで、放心状態のように固まっており…声が聞こえたと同時に我に返ってそちらを見て。)
…っ……助けよう…アレを野放しにしたら、みんな殺される…!
(ダンテの前に立つ人物…雰囲気だけでわかる。この惨状を作り出した張本人だということが…正直、勝てる気がしない。だが…あの人物をこのまま放って逃げたら、この部屋で生き残ってるダンテ達はもちろん、ティア達も殺されるかもしれない。クレア視線の意図にいち早く気づき、共闘を選びチェーンブレードとショットガンを手にして銃口を敵に向けて。この場に不死鳥の翼に所属していた2人がいる、倒すまではいかなくても退けさせることはできるかもしれないと強く思い、引き金に指をかけて指に少しずつ力を込めて)
>542
…決まりですね。
(ミミの返答を聞いて覚悟を決めたクレアは剣を構え新たな刺客との距離を徐々に詰める。刺客とあと数メートルの位置まで縮まった途端クレアの動きはピタリと止まった。言い知れない恐怖心がクレアを侵食しており、呼吸が乱れ手の震えや嫌な汗が止まらない。相手は見るからに普通の人間の筈であるが、放たれるプレッシャーはかつて対峙した神竜を連想させた。)
あらまぁ…冒険者様方ではありませんか。随分とお早い到着ですこと。貴方々と鉢合わせる予定ではなかったのですが、私の姿を見られた以上は仕方ありませんわね。その命、頂戴致しますわ。
(本来ティア率いる一行が来るまでにエルフ共を片付けて早々に撤退するはずであったカグラだが、S級冒険者ダンテとの予期せぬ対峙もあり思いのほか時間を取られていたらしい。外部の人間には教皇の付き人としての自分の存在が秘匿されていることもあり、姿を見られた以上は斬り伏せる他にない。困り顔で天を仰ぐが起きてしまったものは仕方がない。目の前のダンテを轟音を立てた斬撃で壁際まで薙ぎ払うと、固まったクレアの横を素通りして、自身に銃口を向けるミミの元へ瞬く間に距離を詰めると、喉元目掛けてその白く鋭い刃を振るった。)
>543
…クレア?どうしたの…?
(クレアの返答を聞き、敵との距離を徐々に縮めていくのを見て敵がどう動いてもいいように狙いを定めて、本来の手筈通りにクレアの援護をしようとしており。だが、クレアがある程度の距離で足を止めてしまい目だけ動かしてどうしたのかと問いかけながらクレアを見て。後ろ姿だが、呼吸が荒く手が震えているのが見えて…まるで目の前の敵に恐怖しているようだ。確かに、この部屋を鮮血と亡骸まみれにした張本人だ…恐怖するのはわかるが……クレアが目の前の敵にここまで恐怖するのは流石におかしい。)
…っ…!!速い…!!
(目の前の敵の発言から、意図的に此処へ来てエルフやシスターを葬ったということがわかる。そして、自分達が此処へ来ることも知っていたかのような発言…聖教国の者だろうか?それだと此処に来たダンテとエルフ達を消すために来たのも説明がつく…が、それだとシスターまで葬っている理由がわからない。…だが、まともな人間がいない聖教国だ、そう考えればシスターごと斬ったことも納得がいく…あるいは、聖教国に恨みを持つ別の勢力か…そう考えていると、ダンテの攻撃を薙ぎ払い一瞬で自分の目の前まで来ており。本来なら対応ができなかっただろうが…流石は猫の半獣人か、間一髪後ろに飛んで攻撃をかわして。飛んでる最中に即座に銃口を向けて、流石に対応できないだろうと判断しカウンターの要領で引き金を引き金を引いて発砲しようとして)
>544
ふむ…仲間の死はさぞ辛かったであろう。一年間の紆余曲折があったとは言えそれを乗り越えたのは大したものだ。人によっては何時までもその呪縛から逃れられないからな…
(レドの身の上話を聞いては、レイラも近い経験をしていたこともあり神妙な面持ちで同情を見せた。途中、なにやらレドから殺気に近い邪な感情を感じ取り警戒して聖剣に手を添えるがすぐに収まった為に警戒を解き、紆余曲折の末に結果として仲間の死を克服できたレドを手放しで称える。それと比較するように自らが姉と慕った人物を思い浮かべ、人によっては何時までも呪縛から解放されないとポツリと呟いた。その後、自身の瞳にレドの視線が向けられていることを意識すると、一瞬ピクッと身体が反応した末に僅かに頬を赤くしてレドから目を逸らした。今までの人生においてレイラは同年代の異性とまともにやり取りをした経験がない。普通の男はレイラを恐れて近付かず、絡みのあった男共を思い浮かべれば、年の離れた暑苦しいハゲ、姉の彼氏のなよなよした優男、絡みが鬱陶しい数千歳の老人。どれも異性として意識するような対象ではなく、レイラは初めての経験に明らかに動揺している様子であった。)
>545
面白い動きですこと。貴方人間ではありませんのね?
(人間離れしたミミの動きを見て、カグラはミミが獣人であると確信した。面白いものを見たかのようにニヤッと口角を釣りあげると、弾を発射させまいとミミに向け刀を振りかぶる。後ろに飛ばれた為に通常であれば到底刃の届く距離ではないが、剣聖にそのような常識は通用しない。空を斬った筈の刃の衝撃は、まるで飛び道具のように空中を伝播してミミへと迫る。)
…ミミちゃんッ…!!!
(カグラとの距離が空いた為に平静を取り戻したクレアはハッとした表情でミミへと視線を向けた。今まさにカグラの攻撃がミミへと迫っており、最早クレアが防げる距離ではない。それでも本能的な足掻きでミミへ精一杯手を伸ばし声を張り上げた。)
>546
お心遣い痛み入ります。ただお言葉を返すようですが、悲しみの重さは人それぞれ。私も亡くしたのが恋人であったならとても―――
……あ、あの、勇者様?どうやらひどくお疲れのご様子。こんな受付の前ではこみ入った話もできません。お話の続きなら……あちらの奥の席で致しませんか?
(こいつぅ!気配読んでやがる!仕掛けたらやられてたな。Sランクは、クレアさんは遠いなぁ……という悔しさを神妙な面持ちで隠しながら、レイラの労いの言葉を受け取って。レドは3年前の「あの日の事(>468)」を目撃している。「呪縛から逃れられない人」がクレアを指しているのは察しがついた。だがレイラもまた過去を清算できていない様に見える。無理もない、憧れの人があんな事になっては。クレアさんもまた3年前に死んだんだろう。リーダーと同じように……と思いを馳せていると、何だかレイラが挙動不審になっているのに気が付けば、彼女を恐れた冒険者たちが逃げ出して空けた奥の席―――2人でゆっくり話せそうな席を指し、あちらに座り直しましょうと提案して。レドも鈍感なものだから、レイラが動揺している理由が連戦の疲れか何かだと誤解しているのであった。)
>547
…失礼だね、にちょっと運動神経がいい人間だよ…!!
(今の動きで敵に獣人であることがバレてしまい、相手がまだ聖教国の人間かどうかは不明だが…聖教国のシスターや司祭もこの場にいるため、一応運動神経のいい人間だと告げて。引き金を引こうとしたところ、至近距離で斬撃が飛んでくる…今から狙いを斬撃に向けるのは間に合わない、錬金術で壁を作れば防げたかもしれないが、ショットガンと同じ理由で間に合わない。かと言って、チェーンブレードであの斬撃を防げるとも思えない…視界の端に自分の名前を呼んでこちらに手を伸ばして走ってくるクレアが見えたが…ミミは諦めたように目を閉じた…その瞬間。)
…!?
(教会の入り口の方から凄まじい速度で黒炎が飛んできて、ミミに当たるはずだった斬撃を打ち消して。ミミもそっと目を開けて、自分に斬撃が当たってないことに一体どうなったのかというように周りを見て……入り口に、見覚えのある人物…エレオノールが立っていることに気づき)
>548
…ああ…そうだな。…しかしレド、貴様は妙に私を取り巻く環境に詳しいようだな。実はどこかの回し者なのか?
(何やら変な心配をかけているようで、レイラは一呼吸置いて務めて平静を装った。そして、促されるままに席を移ると、そこに座るなり僅かな疑念に思い至ったレイラはジト目でレドの顔を見据る。いきなり自分と受付嬢の間に入ってきたと思えば、話してみるとやけに不死鳥の翼周りの事情に詳しい様子だ。不死鳥の翼の活動現役時ならば周辺の噂や足跡を吹聴する輩もいたが、活動を休止して数年が経つ現在にそれらを記憶に留めているものは稀である。その為レイラがレドに対してあらぬ疑いをかけることは必然であった。)
>549
おやおや…今宵は随分とお客様が多いようですわね。
(教会の入口に佇むエレオノールを見るなり、カグラは笑顔を崩さぬまま現状を皮肉った。しかし、余裕を取り繕った表情と比べその内心は決して穏やかなものではない。冒険者事情に疎いカグラであっても対峙すれば自ずとその等級が幾つ程度なのかは予想が付く。カグラの見立てでは今まさに登場したエレオノールを含めてS級が三人とA級が一人、もはや超難度クエストへ臨むレベルの布陣に焦らない方が異常であろう。時を同じくして壁際に飛ばされたダンテもむくりと起き上がっており、カグラはこのまま戦闘を続ければ良くて相打ちと判断し、当然刺し違える気など微塵もなく引き際を考え始めた。)
ミミちゃん…良かったぁ…
(クレアはミミの無事を確認すると瞳を潤ませて自身の胸を撫で下ろした。あのままミミを失っていたらきっと消えない後悔がまた一つ増えることになっていたであろう。この戦いが終わったら、この窮地を救ってくれた少女に礼を言おうと心に誓ったのであった。)
>551
…貴方が何処の誰かは知りませんが…その人に手を出すなら、容赦しません。
(入り口からゆっくりと歩き始めて、ミミの前まで移動すると立ち止まり。既に鞘から抜いてある禍々しい剣…覇剣の切っ先をカグラに向けて。見た目16歳くらいの少女だが、その歳の少女…いや、人間が出せない程の殺気を放ちながら自分の後ろにいるミミに手を出せば容赦はしないと告げて。移動する最中に確認したが、部屋の中にクレアとダンテがいることを把握しており。相手が仮にS級冒険者以上であったとしても、この場にS級レベルの冒険者三人とA級冒険者が一人…負けることはまずないだろうと判断して。)
エル…!ありがとう、本当に助かったよ…!
(自身に迫った危機を救ってくれたエレオノールに笑みを浮かべてお礼を言い。先程のエレオノールの発言もそうだが、エレオノールのことをあだ名で呼ぶ辺り二人はかなり仲がいいことがわかる。そして先程助けようとしてくれたクレアに視線を向けて、瞳を潤ませ安堵しているクレアに「私は大丈夫だから、次の攻撃に備えて」と視線を送って)
>550
回し者?ははは、勇者様も冗談がお好きで。冒険者を、剣士をやっていてこの国の剣士の最高峰「不死鳥」を知らないのはモグリでしょう。ましてやあなたは教皇様の覚えめでたい権威あるお方。いずれ覇権を握られる方の事はよく存じ上げておかないと……そこは先輩方も、ギルドも!よくお分かりのはず。
(レイラの着席を確認してから「失礼致します」と断って、彼女の向かい側に座って。いきなり自分が回し者ではないかと疑うレイラを、単に勇者様が有名だからとケタケタ笑いながら否定して。更には「先輩方も」とレイラを恐れて近づかない冒険者達、「ギルドも!」とギルドがレイラにおもねって用意したであろう受付の特別席を指しながら、噂で聞いた聖教国の教皇の後ろ盾……人々が彼女を恐れるもう一つの要素にも触れてみる。レイラをおだてつつも彼女のジト目を見返す眼はどこか冷たい。ここで持ち上げられるまま教皇の権威を振りかざす下郎などに、クレ……不死鳥の翼に憧れ、追いかけるに至った生い立ちを語るほど自分は安くない。そんな意向なのだろう……)
>552
(ミミの視線に応えるようにクレアは剣を構えてカグラを牽制し、ダンテもそれに倣った。目の前の少女、エレオノールの放つ殺気は本物だ。その上でS級冒険者に囲まれた状況において実力行使でこの場を脱することは得策ではないと思い至ったカグラは顎に手を添えて困ったように首を傾げる。しばらくの間考えあぐねていると見覚えのある聖女様が息を切らしながら教会に駆け込んできた。)
ハァ…ハァ…お止め下さいカグラ様…教皇様のご命令であることとお察し致します。しかし…これ以上教会の者を減らされては儀式を執り行うことが叶いません。
(どうやら教会内の異常を察知したティアはミミやクレアを心配して咄嗟に飛び込んできたようだ。周囲を見渡して大方の状況を読み込んだティアはカグラに静止を呼びかけた。一連のやり取りから、ミミ達にしてみれば突如現れた謎の刺客であるカグラが聖教国側の人間であることや教皇に近い人物であることが明らかとなる。)
はぁ…仕方ありませんわね。任務失敗、この後は大人しく教皇様に叱られてまいりますわ。…先ずは皆様、突然剣を向けたことをお許しください。今し方皆様と敵対する理由がなくなりましたので、ここに謝罪致しますわ。
(これ以上戦闘を続ければ間違いなくティアを巻き込むこととなる。教皇は気にも留めない筈であるが、一国の要人が突如姿を消せば対外的にも対内的にも混乱の収拾が面倒であると判断したカグラは大人しく退却する事に決めたようだ。国外の人間に、姿どころか名前まで知られてしまったことは不本意であるが、敵対する理由がなくなった以上は非礼を詫びるのが筋である。カグラは刀を鞘に収めると、綺麗な所作で頭を下げた。)
>553
(不死鳥を知らないものはモグリ。この言葉の真偽は定かではないが、自らが属するパーティーを客観視したことなどないレイラは、そういうものなのだろうかと内心で納得した。しかし、その後に続けられた自分に対するお世辞には気を悪くしたようで、可愛げのあるジト目から一転しその表情は怒りで険しいものとなる。自分の実力には一切触れず、教皇による権威のみを称えたことをレイラは侮辱として捉えたようだ。)
…剣を抜け、この場で斬り伏せてやる。
(レイラがゆっくりと席を立ち、その後にポツリと呟いたこの死刑宣告を聞き逃さなかった周囲の冒険者達は大挙してギルドから走り去る。続けてレイラが聖剣の柄に手をかけて鞘から抜くべく動作を始めると、黄金に輝くその刀身が数cm顔を覗かせた段階で、剣に秘められた膨大な魔力により辺り一帯の机や椅子が壁に叩きつけられる。)
>554
(クレアとダンテが武器を構えるのに続いて、3人の援護に回ろうと再びカグラにショットガンを向けて。カグラの様子から、カグラにとってあまりよくない状況だということはわかる…それもそうだ。S級3人の内、二人は元不死鳥の翼のメンバー。もしカグラが聖教国の人間であれば、勇者の仲間として認識があるはず。エレオノールに関しては…今も放ち続けている殺気でどれ程かは把握できるだろう。これならいけるというように口角を上げたところ、入り口の方から足音が聞こえてきて…再び入り口を見ると、ティアが息を切らしながら走ってくる光景が見えて)
…やっぱり、この人…聖教国の人だったんだ。しかも、かなり高い地位にいるみたいだね…。
(カグラに背を向けず、恐らく一人でここまで来たであろうティアの近くまで移動して。もし戦闘が続いた場合のことを考えて、ティアを守れるようにと思っての行動だろう。ティアの話から、あの刺客はカグラという名前で聖教国の人間。しかも、聖教国の教皇から直々に命令を下された辺りかなり高い地位にいることが読み取れる。聖教国で教会の関係者や異端審問の人達がどれだけ危険か、異常さも既に理解しているミミはカグラが司祭やシスター達ごとエルフ達を斬ったことにも納得しており)
…貴方に敵対する理由が無くなっても…私が貴方を斬る理由はありますよ。此処を去っても、お忘れなく…
(流石に聖女まで斬るつもりはないのだろう、恐らく聖女のことを思ってという理由ではなさそうだが…。カグラの顔と名前を覚えて、謝罪するカグラを見ながら自分には斬る理由があると告げて覇剣を鞘に納め。関係ない人達まで斬ったとか、仲間に刃を向けた……という理由ではなく、ミミのことを斬ろうとしたことが理由だろう。自分やクレア達に刃を向けたことに関しては、特に気にしていないようだ…)
>555
その気骨……なるほど、クレアさんが気に入るわけだ。ルーシエル、すまない。あなたにもらった命、ここまでらしい……
(逃げ出す冒険者たち、吹き飛ぶ諸々には目にもくれず、怒りに震えるレイラを穏やかに見つめて。勇者様、乱暴だが些細な事で人を斬ったという話は聞いたことがない。どうやら権威があってもそれに頼らず、己自身の力で生き抜こうとする気高さを自分は汚してしまい、今までになく怒らせたようだ。そんな気骨を見抜けなかった時点で俺の負け。腰の刀やナイフを床に捨て、隙あらば首筋に突き立てて一杯食わせようとした背中のスプーンを放り投げると、床に正座して)
俺の負けです、どうぞ斬ってください。俺も地元の剣士として不死鳥の翼を追い続けた身の上。勇者様に斬られるなら悔いは無い。
>556
あら、可愛いお顔に似合わず怖いことを仰りますのね。それでは貴方が一人で私を斬れるようになるその時まで何百年でもお待ちしておりますわ。
(カグラは頭を上げるなり、上品な笑みを向けてエレオノールに言葉を返した。明らかに十代の少女が出せるはずのない殺気に、エレオノールが自分と似た身の上であることを察したカグラは何百年でも待つと含みのある言葉を残し、優雅に教会の出口へと足を運んだ。)
ああ…招かれざるお客様方の処理はお任せ致しますわ。ふふっ、それではご機嫌よう。
(カグラは去り際に思い出したかのように立ち止まると、振り返ることもなくダンテやエルフ達の処遇はミミ達に一任すると告げ、楽しいひと時を過ごしたと言わんばかりの満足な笑いを零しその場を後にした。カグラ程のイレギュラーな存在にとって自身の身の危険を感じる事など殆どなかった為に、数百年に渡る退屈を満たした貴重な一夜であったのだろう。)
ミミちゃん…!ごめんなさい…私が動けなかったばかりに危険な目に合わせてしまって…
(カグラがその場を去った後、クレアは真っ先にミミに抱きついた。目に涙を浮かべながら、自身が恐怖で動けなかったことでミミを危険に晒したことを詫びる。その横ではティアもペコペコと頭を下げて「うちの者が申し訳ありません。」とカグラによる敵対行為を謝罪した。その隙を見て、完全にアウェー状態となったダンテはその場を去ろうと忍び足で出口へと向かうが、如何せんその巨体で気配を消すことには無理があり、察したクレアは涙目から一転して事の発端であるダンテに殺気に満ちた視線を向けた。)
>557
ま、待て…!素直に首を差し出されて斬れる訳がないだろう…!斬ると言った私が言うのも変だが考え直せ…
(少し脅して、土下座までするなら許し、抵抗するなら力で捩じ伏せ、もし逃げるのならそれまでの関係だ。そう考えていたレイラであったが、まさか無抵抗に首を差し出されるとは思ってもいなかったようで、慌てた様子で剣を完全に鞘に収めて膝を着くと、視線を合わせてレドを宥めた。困り顔で額に汗を流すレイラは、すぐに感情的になる自分の情緒を反省しつつ、目の前の男がなぜそこまで不死鳥の翼に拘るのかそこが不思議でならなかった。)
>558
…えぇ、いいですよ。ただ、百年もかからないとは思いますが…貴方程度を斬れなければ、到底“アレ“を斬る事は出来ませんからね…
(何百年と言ったのは、恐らくそのままの意味だろう。恐らくカグラはただの人間ではない、もしかすると自分と同じ不老不死の可能性があることに気づき。不老不死の人間の命を奪うことはできない…はずだが、その手段を既に見つけているような口振りで告げて。最終的に別の誰かを斬ることを目標にしているのか、カグラ1人に時間は掛けらないという意味を込めて百年もかからないと告げて)
大丈夫だよクレア、多分だけどあの東刀が原因だろうし…それにほら、私は無事だからさ!クレアは悪くないし、気にしなくていいよ!
(去っていくカグラを見ているとクレアに抱きつかれ、驚いた表情を浮かべてクレアを見て。正直斬撃が飛んできたときは終わったと思ったが、エレオノールのおかげで怪我を負わずに済み、クレアの後頭部に手を回して頭を撫でながら気にしなくていいよと笑みを浮かべながら告げて。あの東刀から、クレアの持つ東刀に似た何かを感じて恐らく心があまり強くない者が近づくと恐怖心が増す…といった力があったのだろう。この場に居合わせたダンテが何ともないのがその証拠だ…こちらに謝罪するティアに対しても「大丈夫ですよ、幸い怪我はしてませんし…それに聖女様も悪くないでしょう?」と、同じように笑みを向けて)
…貴方のその図体でそれは無理があるでしょう…この場から逃げるのは不可能ですよ、城塞。
(忍び足で此処から去ろうとしていたところ、クレアに気づかれてしまったダンテ。そんなダンテに歩み寄りながら、冷静にその巨体では無理があると告げるエレオノール。恐らくクレアが此処から逃げ出すことを許さないだろうと、諦めなさいという様子で話し…彼の名前ではなく異名を口にして。少なからず、ダンテのことは知っているようだ。)
>559
ちょっ、あんた!今更吐いたツバ飲んでんじゃねぇよ!ああもう、長年クレアさんの下にいて何を学んだんだこの野良犬は……こんなことなら敵討ちは後にして早くクレアさんに弟子入りを……
……あ、失礼。勇者様もだいぶお疲れのご様子。冒険者とは名ばかりの臆病者どもも消えました。よろしければゆっくり飲み交わしながらお話ししたい……いかがです?
(剣を抜き、店を滅茶苦茶にしておきながら今更尻込みするレイラに困惑して、正座こそしたままだがつい元の荒くれ口調で話しかけてしまい。この人は自分がした事が分かっているのだろうか?片手で顔を覆いながら呆れる内に、話すつもりは無かったクレアへの敬慕をつい明かしてしまった……のに気が付くと再び敬語に戻り、正座のまま両手を小さく広げ、飲みながら話しましょうと提案して。その必死で反省する姿、噂ほど悪い人じゃなさそう。それに何だか可愛くて……そして俺に似てる気がしないでもない。そう確信するとレイラと腹を割って話す気になったのである。)
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