「 夢焦がれ夜空に沈み月を見る
誰が為の影は向後の月虹 」
「 双眸へ空へと描く陽の色
吹き抜ける風の音は祝福に 」
『 瞳の奥に光が降り注ぐ。きっと、そういうものが一番美しいと知っていた 』
(心ひとつ、夜の静寂に溶けてゆく。夜の色に背中を預けて音のない時間そのものに身体も溶けてゆく。陸を目指して泳ぐ魚のように夜空へ向かって言の葉たちがひらりひらりと舞い散る様子を眺めて飽きた頃、瞼をゆっくりと下ろしてしまおう。朝の光が降り注がなくても、あのメロディが聞こえなくなっても、僕は再び目覚めると信じて。)
『 決して揺るがない真実と
自分で作り上げる自由を愛している 』
『 レコードに花束を 』
(あの頃のように上手に笑えていたのか。鍵を掛けてしまったはずなのに、鍵は壊れていた。失くした自己が今日も見当たらないまま手放した自己が戻ってきた事実が刺すように冷たかった。舞台に上がることも無いのだから、壊れて使わなくなったレコードを戸棚の奥に隠すみたいに雪に紛れてしまいたかった。
そんなことないよ。きっと自嘲を隠しきれなかった。次はあの頃みたいに上手に笑うよとはにかむ。少し心が痛んだ。だけど、いつも冷たい私の手が流れる涙がこの瞬間だけは温かかった。)
(星を名乗るものは数あれど、一つの輝きだけを見つめている。)