グラサンオールバックの悪魔(♀) 2023-07-02 08:48:30 |
通報 |
…ハッ、そうかよ。
(まだ白ワインが半分程入ったグラスを呷り、一気に飲み干してしまうとコトンとテーブルの上に置いた。そのまま、ジャスティスはぼんやりと軽食に手を出す。広いソファの上にだらしなく脚を投げ出し、ゆるやかなハーフアップの金髪を片手でガシガシと乱暴に乱しながら「…ワインの良し悪しは分かんねェや。ま、適当に寛いどけ」と口に出し、客を迎えている主人らしくない態度で気怠げに微笑んだ。─矢張り自分の部屋は落ち着く。いつでも心地良い夜の匂いに包まれていて、手を一つ叩けば、何不自由なく何もかもが提供される─ジャスティスはそんなことを思いながら、アリシアの方にそれとなくワインのボトルを押しやり)
……意外ね。貴女は家に誰も入れないタイプだと思ってたわ。
( 此方に渡されたボトルを受け取れば、テーブル上にある彼女のグラスに白ワインを注いだ後に自分のグラスも全て飲み干してまた注ぎ。ワインの銘柄を興味深そうに眺めながらいつもの甘ったるい声でからかい混じりに上記を述べてはまた一口ワインを呷る。フルーティーな果物の中にジャスミンのような華やかさの混じった其れは、この静かな夜の空間によく馴染む味だ。確かそこそこ値の張る年代物だったと記憶している、昔遊んだワインに詳しい男がペラペラと説明していた気がするが…もっとちゃんと聞いとけばよかったわね。なんて日頃滅多にすることのない後悔の念を払うようにふわり、と花が咲くような笑顔を浮かべては夜のようなこの部屋で一等光る彼女の美しいピジョン・ブラッドを見つめながら柔らかなソファにゆっくりと身を預けて。─── 夜を纏うこの部屋は酷く落ち着いて、其れは果たしてこの部屋の纏う空気なのか、それとも目の前の悪魔の空気なのか。その判断も付かないままアリシアは触り心地の良いソファをそっと撫でて。 )
…まァな。オレも驚いてるよ。
(ジャスティスは眠たげにピジョン・ブラッドの目を伏せ、顔を背けつつも小さく欠伸をしながら答える。だらしなく伸ばされた脚がソファの上で組み変えられ、自身の髪を乱す手は更に動きを早めている。余程眠いのか、品の良いイブニングドレスはすっかり皺くちゃに、ハーフアップに纏められていた金髪も全力疾走した後のように乱れ切っていた。暫くするとのろのろと軽食を摘んでいた手が完全に止まり、口に手を押し当てつつ、大きく欠伸をしながら「…やっぱ自分の部屋だとすぐ眠くなっちまうなァ」と呟いて)
まあ。せっかく綺麗に結んであったのに。
……ふぁ、
( ぼんやりと彼女の金髪が真白の手に乱されていくのをぼんやりと眺めながら苦笑いを漏らせは、彼女の欠伸が移ったのかアリシアももっていたワイングラスをテーブルに置き両手で口元を隠しながら小さな欠伸をひとつ。─── コトが終わったあとでも人前で眠たくなるなんて滅多にないのに。…きっとこの家の夜の香りとワインのせいね。自然と自らの口からこぼれた欠伸に自分で驚きながらも誰にする訳でもない言い訳を心の中で呟いてしまえば、いつの間にやら軽食に手を伸ばしていた彼女の手が止まっている。どうやら本格的に眠たくなってきてしまったようで、アリシアはそんな彼女にくすくすと笑ってしまえば白いワンピースに隠された自身の太ももをぽん、と叩いては「 貸して差し上げましょうか?…それとも〝別の場所〟がいいかしら。 」なんて彼女とは対照的に流れるようにウェーブしたブロンドをさらりと肩から落としながらからかい混じりに問いかけて。 )
…ハッ、お気遣いドーモ。
(ジャスティスは一際大きな欠伸を一つ、ソファから気怠そうに身体を起こすと、ドレスの裾に刻まれた皺をぞんざいに伸ばしながらクイーンサイズのベッドへと向かった。彼女はまるで吸い込まれるかのようにベッドに飛び込み、枕に顔を埋めたまま「…寝るわ。シャワーでも何でも好きに使えよ」と言い残し、目を半分伏せながら欠伸を一つ、虚空に向かって手を叩いた。その後暫くするとベッドからはジャスティスの静かな寝息が聞こえ、部屋は一層深い夜闇と沈黙のヴェールに包まれて)
……はぁい。
( 余程眠たいのか、此方のからかいに何か反応を示すわけでもなくそのまま広いベッドに飛び込んだ彼女にツン、と不満げに唇を尖らせては幾分かもしないうちにすぐに寝息を立て始めた彼女を起こさないように特に騒ぐことも無く静かにソファを立ちお言葉に甘えてシャワールームへ。─── …なにかした訳でもないのに、シャワー浴びてる。わたし。と頭上から降り注ぐ眠気覚ましの冷水に段々と頭は冷静になったものの、アリシア濡れたブロンドから滴りタイルに落ちていく水滴をぼんやりと眺めてはシャワーを止めてついでに冷静になったが故の思考も止めて。くしゅん、とくしゃみを1つした後に勝手に拝借したタオルで水分を粗方拭き取った後、ひとつ指を鳴らしていつもの服装よりもゆったりとしたギリシャワンピースに着替えては夜闇に包まれた部屋にふらりと戻ってきて。もう1つ小さなくしゃみをした後にぽすん、とソファに座ればだんだん部屋の空気に充てられたのか暗闇の中で優しく光るエメラルドをうとうとと閉じようとして。 )
(返信が度々遅れて申し訳ありません…)
……
(─ああ、また…"あの夢"だ。出来ることなら思い出したくもない、地獄の底─コキュートスに勤務していた時代の夢。─勿論、今が年増だなんて言うつもりは微塵もないが─今よりずっと若く、無知で、純粋だった頃。眠っているジャスティスの瞼は引き攣り、眉と口元は小さく苦痛に歪む。彼女の脳裏に浮かぶ映像は、決まって背の高い椅子と机の上から部下と罪人を一瞥で見下しては、廃棄だの何だのと偉そうな"指示"を下している場面のようで、彼女の隣に座っているのは、─あちこちに跳ねた髪や成長途中の顔立ちこそ若々しさが目立つものの─コキュートスホールで出会った元同僚、ズドラータ。─そういえば自分から志願して拷問課に異動してやった日は、ズドラータの誕生日だったな─なんて、下らないことで意識を逸らしながらも寝付けないようで、ジャスティスは時々寝返りを打っており)
( /いえいえ!
私がただ暇で毎日お返事してるだけですので、背後様は背後様のペースでお返事していただければ…!無理なさらず…! /蹴可 )
、…ジャスティス?
( もう少しで夢の中へ爪先から浸かろうとする頃。鼓膜をくすぐる衣擦れの音にぱち、とエメラルドグリーンを開いては彼女を起こさない程度の小さな声で名前をぽつりと呼べばそのままシャンプーの香りをまといながら彼女が眠っているベッドの方へ。まっさらなクイーンサイズのベッドで眠る彼女はひどく苦しそうで、アリシアはベッドにそっと腰をかければまるで母親が子にそうするように彼女の頬をするりと撫でて。白いシーツに溶けてしまいそうなほど白く滑らかな肌を撫でた後は苦痛に歪む眉と、瞼と、唇。それらを伸ばすように優しく撫でては「 怖いものは何も無いわ。あなたを脅かすものは全て虚像。虚像は全て熔けて、それから無くなるわ。 」といつものような甘ったるいどろりとした蜂蜜の声で言い聞かせるように囁いた後にひとつだけ額にキスを落とし、そのまま彼女の髪をさらりと指先で撫でて。 )
…
(額に触れる柔らかな感触。瞳を伏せ、寝苦しそうに呻くジャスティスの表情が心無しか和らいだような様子を見せる。─拷問課に異動してからは、随分と気が楽になった。自分は椅子の上から偉そうに指示を出すより、実地で相手を拷問する方が得意だと気付いたからだ。それに、今は拷問課に気の合う同僚たちもいる。二度とコキュートスに戻る気は無い、無いのだが…まだ、夢を見るなんて─未練があるということなのか、それとも─「…ン"…」ジャスティスはほんの微かに声を出したが、起きる様子はないらしく)
……。
( 彼女の表情が幾分か和らいだのを見て、アリシアは小さく安堵の息を吐く。少し漏れた彼女の声に起こしてしまったかと覗き込んだ彼女はまだ起きる気配はなく、そのまま母親が子どもにそうするように─── はたまた眠った恋人にそうするように、天使の白魚の手は悪魔の金色の髪の先を弄び、ぼんやりと彼女の寝顔を眺める。「 …ふ。眠っていると随分と可愛らしいこと。 」彼女の寝顔にくすくすと笑ってしまえば、そっと長いまつ毛に覆われたエメラルドを閉じて小さな声でマザーグースを奏でる。…歌の中のハンプティ・ダンプティは元に戻らなかったけれど、彼女の夢が少しでも苦痛なものでないように。 )
……寝すぎたわ。
(暫く時間の経った後、ジャスティスはふと目を覚まして不機嫌そうに頭を掻き毟り、そう声に出した。眦にはいつの間に流したのか覚えのない涙の跡が筋を描いており、それも彼女の不機嫌を助長させる原因になっているようである。乱暴に眦をごしごしと拭い、虚空に向かって手をひとつ叩いてはいつもの衣装─黒いスーツの上下─に着替えていた。テーブルの上に置いたままだった軽食のパンを手に取り、食いちぎってはもそもそとやけに鈍い動きで咀嚼しており)
、……ん……。
( いつの間にか先程の状態のまま眠ってしまっていたのだろうか、アリシアは彼女の声に薄らとエメラルドグリーンを開いては眠たそうに何度か瞬きを繰り返した後にまだ覚醒しきってない─── もとい、座ったまま寝てしまったがゆえの睡眠不足か─── ぼんやりとした頭でいつの間にかいつものスーツ姿に戻り軽食を摂っている彼女の方を見つめて。「 …おはよう…、? 」といつもの甘ったるい声とは違う、どこか幼さの残るたどたどしい口調で彼女に声をかけてはまだ眠たいとこちらに信号を出す頭をリセットするようにふるり、と緩く首を横に振って。 )
(こちらの都合により、大変長らくお返事が出来ず申し訳ありません。まだいらっしゃいますでしょうか?)
ン、おはよ。
(彼女も起きているとはいえまだ完全には覚醒しきっていないのだろうか、赤い瞳はきゅうと細めたまま、どこか寝惚けたような甘い声で答えながらアリシアの頭に手を伸ばし、その髪をくしゃりと乱す。その後は気怠げな欠伸をひとつ、また手を虚空に向けて叩き、空になった自身の皿を下げさせた。普段とは違う銘柄の箱から抜き出したメンソールに火を点け、乱れているネクタイを締め直し、煙を吐き出しながら「で?もう帰ンのか?ま、オレはどっちでもいいンだけどよ」と素っ気なくも、どこか引き留めるようにも聞こえる微妙な声色でアリシアに尋ねて)
( / お久しぶりです…!私も返事が途中まちまちでしたのでお気になさらず!
またお話できて嬉しいです…、! )
─── ん、ふふ。おはよう。
( まだ若干微睡みの中にいる意識の中で彼女の甘い声と髪を乱す手にふにゃりと微笑めば、くすくすと擽ったそうな笑顔を零しながら改めて挨拶を。ふわりと鼻腔を擽る煙草の匂いは自分が普段よく吸っている細身のメンソールによく似ていて、彼女も気に入ったのかしらなんて柄にもなく嬉しくなってしまう。だんだんと覚醒していく意識に身を任せていれば、ふと告げられた彼女の言葉に─── 正確にはその言葉の温度感や声色に ─── ぱちり、と柔らかなエメラルドグリーンの瞳を丸めたあとにすぐに花が綻ぶような柔らかな笑顔を浮かべて 「 まだ一緒に居たいわ。だめ? 」といつもの甘く蕩けた蜂蜜のような声で強請り。あくまで強請っているのは自分、だけど先程の彼女の声色からはどうしても引き留めるような色が混じっていたような気がしてアリシアは上機嫌そうにこてりと首を傾げて見せて。 )
好きにしろよ。
(声は素っ気なく聞こえるものの、どこか満更でも無さそうにも見える表情を浮かべながらジャスティスは煙草を灰皿に押し付けた。慣れない味をした煙草の口直しをするかのように水を一気に飲み干し、尻ポケットで着信を告げる携帯を取り、電話越しの同僚と今日の業務の打ち合わせを始める。「あ?5人だ?今日はやけに少ねェな。…ま、いいけどよ。ン、10分で向かうわ」電話で会話をしながらも彼女は乱れたままの髪を整髪剤でセットし、サングラスを磨き、普段の姿へと用意を進めていく。完全に普段の彼女に戻ったところで「オレ、もう出るけどよ…どうすんだ?アリシア」とベッドの上に腰掛けたままのアリシアに声を掛け)
拷問課の責任者様のお仕事が見たいわ!
( 仕事の電話らしい其れに聞き耳を立てていれば、どうやら今日は仕事量が少ないらしい。職場体験はさせてもらったけれど、実際に責任者である彼女の拷問は見たことがないな…とふと思いつけばアリシアはきらきらとエメラルドグリーンの瞳を輝かせてはひょい、とベッドから立ち上がり、天使らしい美しいブロンドを両サイドから今日に編み込んでいき後頭部の下あたりでクロスし簡単にまとめていく。それからぱちん、と指を鳴らせば真白のギリシャワンピースは全身をすっぽりと隠すほどの黒いローブに早変わり、最後に目元あたりまでフードを被ればまじまじと顔をのぞき込まない限り天使には見えないだろう。「 これなら騒ぎにならないでしょう?罪人みたい? 」アリシアはくい、と軽く両手でフードを上げてはその下からくすくすと悪戯っぽい瞳を覗かせながら笑って。 )
ハハ、いいぜ。見学させてやンよ。
(アリシアの早着替えに茶化すような口笛を一つ、煙草の箱とライターを尻ポケットに押し込みながらジャスティスはアリシアの手を引いた。玄関を出るなり踵で路地の石畳を何度か叩き、普段の出勤方法である─骸骨の腕を地面から召喚し、職場である地獄へと引きずり込んでもらう、一見するとかなり奇抜な方法―で今日はアリシアを連れて拷問課へと出勤し、適当に同僚に声を掛けつつ3号室へと入っていく。目の前の椅子には天使らしい男が拘束されており、無駄な抵抗を必死に行っていた。ジャスティスは拷問器具を手にし、軽薄な声色で「今日は寒いなァ」と何の意味もない、返答すら求めない世間話をしながらにその男の歯を引っこ抜いて)
─── 、。
( 骸骨に引きずり込まれて落ちた地獄。その移動方法は流石のアリシアの初めてでちょっと怖かったのかきゅ、と彼女のスーツの裾を軽く掴む。だが到着した地獄は特にいつも通り─── とは言ってもちゃんと見学したのは昨日が初めてだが ─── 悲痛な叫び声や耳の痛くなるほどの悲鳴ばかりに満ち溢れていて。そうして入室した部屋に居たのはアリシアもよく顔を知っている天使、確か彼は最近恋人ができたとかなんとかで幸せそうに笑っていたのを覚えている。なんてことも無いように、世間話の延長として、淡々と行われていく彼女の拷問というのは実にスムーズで、幸せの絶頂だった同胞が痛み苦しんでいる姿よりもよほど目がいってしまう。アリシアは目深に被ったフードからじ、とその様子を見つめては、止める様子などミリもなくただただ眺めて。 )
あ?何だお前、女いンのか。
(ジャスティスは拷問の片手間に目前の男についての資料に目を通しており、ふとそんなことを口に出す。途端に男は目を見開くと彼女に手を出すな、と叫びながら発狂したかのように暴れ出し、半分程歯を抜かれた口ではあったが彼女の手袋越しの手にぎり、と噛み付いた。だが彼女は「痛ッて、何すンだよ」と然程痛くも無さそうな声色で小さく漏らしただけで、今度は男の脚にナイフの刃を当て、容赦無く脚の筋を切断する。散々嬲った後、ほぼ肉塊と化した男に飽きたかのようにすっくと立ち上がり、煙草の煙をゆったりと燻らせた。噛まれた手からは手袋に吸収される程の僅かな量ではあったが、血が滴っており)
トピック検索 |