匿名さん 2022-12-30 12:35:51 |
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……………性に、関する悪魔…。
(我ながら酷い言いようだな、と思う。一見勘違いされそうだとも思ったが、勘違いも何も事実だ。そもそも殆どが女性だから、馴染みがない。彼は性に興味があるようには見えないし、寧ろ毛嫌いしそうなタイプだ。だから言いたくなかった。今すぐその手を振り払って、記憶でも消して何処かへ飛んで行きたかった。けれど、そうしたら、逃げている気がするから。逃げることじゃなく、聞いてくれた彼を置いていくことに躊躇して、結局、足は、その場に踏みとどまっていた。
性に対する…
(そう呟いてまた黙り込んでしまう。はっきりと言われたら少し驚いてしまうが、覚悟を決めて言ってくれた相手に対しては失礼だろうと。あまり恋愛とかには興味を持っている訳では無い、むしろそこらの人より引き目にしているタイプである。相手も自分も恋愛対象は女性だ。それだったら俺は何が出来る?周りの女性は自分の見た目か持っている金にしか興味が無いのが手に取るようにわかる。そんな女性たちを紹介したらいいのか、と斜め上な発想しか出てこない、混乱しているのだ。「もし、嫌じゃなかったら座ってください。嫌だったらその扉から逃げてもいいですから」と相手の手を離す。落ち着いてから話したい、そう思った)
…何時でも追い出して、
(そう皮肉の掛かった言葉を投げて、そろりと席につく。まだ少し焦っている心を秘めて、深呼吸をした。大したことではない。途轍もなく人生の中で、一瞬のこの出来事も、何故か凄く緊張した。嫌われたくない、拒否られるかもしれない。逃げようとしたその感情が戻ってくる感覚。後戻り出来ないような、ここは、越えないといけないような感覚。上手く話すことも出来ないくらいだ。相手には、気づかれているだろうか。そう考えるも、生憎心は読めない。しかも、彼も女性なら喜んだものを、野郎とくると早く出て行ってほしいと思うものではないのか…。引き止められたり、サポートされてばっかだな、なんて自分の不甲斐なさを感じながら、相手に耳を傾けた。
わかりました、まず本当の歳を聞いてもいいですか
(席に着いてくれたことに安心して、1番に気になっていたことを聞く。歳を聞かないとこれからどうやって対応したらいいかが分からない為だ。職業病なのか尋問みたいになってしまう。自分の職業は警察だ、そのせいなのか詳しく知りたがる癖もある。性格は話している中で十分に分かった。少し内気で、でもこちらをくすぐってくるような性格、淫魔の性質なのかそこも全て知りたい。)
…歳……、人間で言えば、20代…、
(目を逸らしながらそう告げる。嘘は言っていないものの、本当の年齢、と言うには相応しくないだろう。問い方から少し慣れを感じる彼は、役員や、人に対応する職なのは理解できた。いつになく真剣で、かつ少し柔らかくて、不思議と、緊張はもう溶けていた。
20代ってことは、人間とは数え方が違うんですね
(胸ポケットに入っていたメモとペンを出し書いていく。名前は本当だろうと思い聞くことはせず。「どうして、俺なんかに話しかけたんですか」とじっと観察していたのは俺の方なのに何言ってんだ、という感情を抑えながら質問をする。手元のスマホで少し調べたが、淫魔というのは人間に性的な夢を見せて、そのような行為をするという悪魔のことらしい。もし、そういうのが目的なら俺ではなくもっと違う人だっていたはずだ、相手の口から選んだ理由を聞きたくて)
…目に入ったらから。
(これも…強ち間違いではないのだ。目に入った。だから、声をかけたのだ。奇麗なそのシトリンの瞳に目を奪われた。それだけだ。誰かを選ぶのに、出会うのに、勘以外に何を信じる。直感以外に何を信じる。眼の前でメモを取ったり、質問したりスマホをいじる彼を見て、何故、と少し疑問を感じた。)
…それって、俺に見とれたって事ですか?
(悪い癖だ、人をからかいたくなるのは。さっきの真面目そうに聞く顔とは一変して、そこには怪しく笑っている顔があった。まるで新しいおもちゃを見つけたように。スマホとメモを机に置く。こんな調べたらわかる情報なんてもうどうでもいい、自分で触れて調べたい。「しっぽと角以外は人間と同じなんですね。…しっぽ触ってもいいですか?」と揺れるしっぽに触れるか触れないかで手を持っていき)
…いいけど…
(そう言って尾をゆらりと揺らし、相手の前へ持っていく。触れるか触れないかというところにある手に、するりと尾を絡めた。どう、?なんて首を傾げて、余裕を持って聞くが、少しこそばゆく感じていた。さっき誤魔化した、見惚れていたかという問を思い出す様な瞳がこちらを見つめている。その好奇心溢れる目に、興味を持ってくれたことに、少し、心が踊った。
へぇ、こんな感触なんですね
(絡められた尾に触れる。なぞったり撫でたりして感触を楽しむ。尾を触りながら「さっきの答え、貰ってないですけど」と見とれていたのかに対しての質問の答えを促す。尾を触る手つきが段々と艶めかしくなっているのに本人は気づかないまま。「聞かせてくださいよ」どうすら笑いを浮かべて)
…なんとなく、
(そう言って相手から視線を逸らす。少しばかり艶めかしく、それでいてそっと触る手付きに体が微かに身じろいだ。其の事に気づかれない様、ほんの僅か意識する。唯、無理矢理もういいでしょ、なんて取り上げる無慈悲な事も出来ない。大人しく、じ、っと満足する迄待とう,と自己解決したものの、誤魔化しても、尾は少しだけ反応していた。相手を見れば、笑みを浮かべていた。その笑みは何処か楽しんでいて、大人びていて、けれど、少し、子供っぽくもあって。悪戯っ子の様なそれに、少し又嬉しくなる。自然と、此方も顔に出ていないか心配だった。
なんとなく、ねぇ…
(全てを見透かしたような目をして相手を見る。口角は微かに上がっていて、シトリンの目も薄くなっている。自分が触れる度身じろぐその動作に「ここ、触られるとくすぐったいですか?」とわざとその箇所に触れてみる。擦ったりなぞったり、いろいろと試す。目線は角の方に行っており「その角も触っていいですか?」と問う)
つ、角…?
(耐えていた擽ったさが、少し甘く感じたタイミング、聞かれた問に、曖昧にうん…、なんて答える。角と尾に興味を持っているのだろうか、触りたがる其の好奇心に、ふわりと心が少し浮く。特別感を感じる。全て見透かされた様に、心が丸見えな様に感じた其の表情。自分が何者かも忘れてしまいそうで、悪魔という生き物という意識が薄れてしまいそうで。そんな、自分でも分からなくなった感情を他所に、角に来る手を待った。)
気になって、駄目ですか?
(聞きながらもう手は角の方に伸びていて。返事を聞いて、ゆっくりの角を触る。「どんな感覚ですか?」と声を潜めて耳元で聞いてみる。今自分は特別な存在に触れているという背徳感と優越感が混じった感情をもう抑えられてないのか、少し恍惚とした顔を浮かべてしまう。少し強くしたり弱くしたり、力加減しながら角を触る。その手つきは優しさを感じられて)
、くす、ぐったい…
(優しい手付きに安心する、何方も、神経の通った急所。其の部分を触られる、命の危機でもある。けれど、どうやらそんな事は無さそうで。唯、強弱を付けて触れられる角に神経が集中する。何処か楽しそうで、艶めかしい。そんな刺激に少し耐えながら相手を見れば、ドキリと心が鳴った。)
くすぐったいんですね
(この答えに満足そうにしながらも手は止めない。角とか尾なんて神経とか通っているだろうし、下手したらきっと急所にもなり得る場所だ。それを触らせてくれるなんて、どんだけ俺に心許してるんだか、と相手を見る。彼も意識しているのが丸わかりでまたぞくりとした。「質問、続けますね」と次は「どこに住んでいるんですか?」と世間話の延長のような質問をして)
住んでるとこ、ない、
(野宿をしている、基、他の人の家で寝ることが殆で、自分の住処などなかった。あわよくば今日は彼の家で寝られるかな、と思う様な、そのレベルだった。そう伝えるも、手付きに魅せられた事を、途切れ途切れの文が証明していた。少しの優しく触る手付きが焦れったい。彼がそんな風に触っていない事など百も承知だが、動く尾はそんな事実を無視し、強請る様にするりと手に絡んだ。そんな無意識な行動に、気づきもせず)
住所不明、という事ですか?
(彼がそんな状況に置かれているなんて想像もせず、目を丸くして固まってしまう。手が自然と角から離れ、ふらついてしまった体をギリギリの所で支える。育った環境が恵まれていたのか、家がないなんて生活を考えられずに、額に手を当て深いため息をついてしまう。「嘘でしょ」と呟く。思わず素が出てしまった事も気にならないくらいに動揺している)
…汚いから、嫌い…?
(ふらつく相手を見て驚く。何がいけなかったのだろうか。必死に頭を回して考えた末、きっと、自分の家も無いような自分は汚いのだろうと思った。其れは精神的にも、物理的にも。動揺する彼の部屋を見るに、かなりの潔癖症な可能性は捨てきれなかった。心は読めない。だから、何を考えているか分からない。分からないから疑問を持つ。ふらつく相手を見て、少し俯いた。悪い事を、してしまった気がした。)
汚いなんて思う訳ないじゃないですか
(心配そうに聞くそのか細い声に否定をする。「家がないと言う事実に驚いただけです」とそのまま思ったことを述べて。「まず汚いと思っていたなら、俺触りませんよ」とさっきまで触れていた部分に目をやる。潔癖な所があるのは認めるが、それは仕事柄の所もある。「では、日頃どうやって過ごしていたんですか?」と聞く)
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