鬼の哭く夜（〆)

「いいえ、迷惑なんてとんでもない。息子がもう一人増えたようで嬉しいですわ。」
(浅木の母は首を横に振り、ルカの手を華奢な手で握ると笑顔のままそう云う。浅木もそんな母の様子を見て柔らかな笑みを浮かべており)

…わたし、澪のお母様も好きです。本当にありがとうございます
（手を取られると少し微笑み、嬉しそうにいうと相手にも「澪、ありがとう」と言って）

…貴方が、愛おしいからですよ。
(慈しむような眼差しをルカに向け、浅木の母がちょうど「お茶を淹れて来ますね」と応接間を後にしたところで自身からルカの唇に自分の唇を重ね)

っ…わたしも好きだよ
（不意に相手から口付けをされて分かりやすく赤くなりながら「澪って中々大胆だね…」と少し恥ずかしげに笑って）

……貴方の所為、ですよ。
(浅木も顔を赤くしつつ唇を離すと顔をふいと背け)

え、わたし？
（相手の言葉に少し驚いたように首を傾げて）

…貴方が、恥ずかしげもなく愛を囁くから…です。
(顔を背けたままそう言った浅木は一層顔を赤くして)

え、そうかな…？
（自覚はなく、首を傾げて少し考えるものの矢張り分からず「控える方がいいのかな…？」と尋ねて）

…いえ、そんなことは。
(ルカの疑問には首を横に振り、ルカの背に手を回し)

……こんな風にわたし直ぐにスキンシップしてたっけ…確かに恥ずかしいかも
（背中に手を回した相手にそう告げて）

…今は嬉しいので、大丈夫ですよ。
(ルカを強く抱き締め、穏やかに微笑んで)

……もう一回キスして
（強く抱きしめられてそのまま抱きつきながら顔を隠しながら言って）

…はい。
（浅木は頷くと、顔を隠したままのルカの顔を持ち上げて唇を重ね）

ん……なんか、澪の実家でキスするって背徳感？がすごく…あるね
（唇を重ね、離れるとこれが澪のお母様に見られたら死んでしまいそうなほど恥ずかしいと思って小さく呟いて）

…大丈夫ですよ、
（浅木がそう言いかけたときに浅木の母親が戻ってきては「さあ、お茶でもどうぞ。」と微笑んで）

あ、ありがとうございます
（顔が少し赤いまま、お茶と言われて相手と少し離れると笑顔でお礼を言って）

「…澪、戻ってきてもいいのよ。」
（浅木の母親は心配そうな眼差しで浅木を見つめてそう言う。浅木は顔を伏せながら「…ええ。」と頷き）

……澪が戻ったら一緒だね
（澪の母親の心配そうな表情、澪の返事などを聞きながら自分が口出すことではないけど、戻ったら一緒なんだな…と考えていたのが少しだけ口から出て）

…ですが…軍を、辞める訳には参りません。
（浅木は申し訳なさそうに頭を下げ、母親の瞳を見返すと母親は「…そう、そうよね。澪は軍が大好きだものね。」と眉を下げて笑い）

……まぁ、帰る頻度は増えそうだけど、ね
（２人の会話に、少しフォローするようにそう言うと、笑顔を見せて尋ねるように首を傾げて）