古の腐男子 2022-06-07 10:18:23 |
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「仕事でも絡みたくないですけどね、貴方みたいな適当な人」
携帯を触り出した相手を睨みながら自分達が住むように言われた家へ向かい。
仕事場から徒歩数分後、まぁまぁ綺麗な家が見えて預かった鍵で開け
「では、取り敢えず今日は仕方ありませんが明日からは別々です。あぁ、女性とかは連れ込まないでくださいよ、うるさいので」
と言ってからまとめられた自分の荷物をもち
「…ったく、何で俺がこんな…」
環は渋々といった感じで荷物と呼べるのか分からない軽装の荷物を持ち、同じように家の中へと入る。
投げられた嫌味に反応はせず、部屋の端の方に荷物を置くなりクッションにもたれかかってスマホゲームを遊び始めた。
「部屋は個室みたいですね、よかった…遊んでいるところ悪いのですが、夕食などは別々で構いませんよね?」
さっと扉に紙が貼られて、名前が書かれている部屋に入ると居心地は悪くなさげで。
荷物を置いてからクッションにもたれかかって遊んでいる相手に向かって言い
「顔も見たくない相手との食事は嫌なので、時間を決めて台所を使用しましょう。風呂は夕食後すぐ入るか先に入るかで決めましょう。どっちがいいです?」
紙にざっくりとした表を書いてから、後者か前者かを相手に選ばせ
「わかった、じゃあ早めに終わらせてくれ」
ゲームをやめない姿に呆れながら紙に書くにもしょうもないと思ってそのまま置いていき、部屋に戻る
「はぁ……せめてまともな会話ができるやつにしてくれれば」
と呟き、すでに用意されている自室のソファーに腰掛け
「…マジダリぃ。」
携帯をスリープモードにすると環は包装を破った駄菓子を齧りつつ服を脱ぎ、浴室に入ると数分後にはもう出てくる。
「…寝る以外全部終わった。後好きに使えよ」
城崎の部屋の扉を薄く開いて声を掛けると、環はそのまま立ち去っていった。
「……全部って、いくら何でも速すぎないか?まぁいう心配する義理はないからいいが…」
ノックと共に聞こえた言葉に耳を疑ったが相手がどう過ごそうが関係ないと呟き、部屋から出て台所に立つ。
持っているものは少しなので簡単に炒飯を作っている間にお風呂も沸かしてしまい。
ご飯を食べ終えると、そのままお風呂に入って部屋に戻り仕事の予定などを確認してからベッドに入り
「まぁ、案外変わらなし家賃も理由をつけて上司払いにしましょう」
と少し計画しながら
「…推し出ねえな…あー…マジで最悪。」
環はこれまたクッションに頭を預けつつスマホゲームを遊んでいたが、しばらくして心底嫌そうに呟いたかと思うと駄菓子を齧り、気怠げにぼやいた。
「……防音とはいえ落ち着かない…普段と違う場所だから、はぁ…」
目を瞑っても眠れず、台所へ行き気持ちが落ち着くようにと思ってホットミルクを作って飲み。
相手に干渉はしなとい言ってもゴミ箱にあるお菓子の服をから察するに夕食もそれで済ましたようで呆れ果て。
「これで体調を崩されても困る…気づかなかったら僕の明日のご飯にすればいいか」
と眠れないため手軽にできる料理を作り
【あまったから食いたければ好きにどうぞ】
とだけメモに書いて再び部屋に戻り仕事を始め
「まぁ、予想通りですね。さっさと食べて上司に文句言いに行きますか」
翌朝、目が覚めるとやはり残っており作る手間が省けたと思いながら食べ、相手が目覚めているのかどうかは知らないが、どうでもいいのでそのまま上司の元へ向かうために支度をし、鍵は合鍵があるためもし相手が先に出ていても防犯は大丈夫なように施錠して
「……あ”~…」
環は地を這うような不機嫌な声を上げながらのそりと起き出し、普段の彼とは似ても似つかないような仏頂面で駄菓子を齧りながら支度を済ませ、鍵を掛けて家を後にする。
「おはようございます、経費として家賃光熱費、食費は落とされますよね?」
無遠慮に上司にそう言って昨日買ったもの全て領収書には『経費』と書かれており、文句は言わせないと言わんばかりの珍しい不機嫌顔で出社
「というか、他人と住むのは良いとして人の好意も無碍にするク…んん、奴と一緒にいるなんて無理です」
と言って
「ああ、君らの生活で掛かった費用は全てこちらで負担させてもらう。心配するな。」
上司は咥えタバコで領収書を受け取り、作業をしていた部下に渡す。
「いや、そう言われてもな…」
上司が困ったように頭を掻いたところで環が入ってくる、が入ってくるなり挨拶もなしに自分のデスクに座ってまた駄菓子を齧る。
「家でもあの様ですよ。交流して仲を深めること自体不可能です」
挨拶なしに入ってきた相手に視線を促し、親睦を深めるなんて無理だと宣言し
「それに、僕は仕事は一人でこなせます。僕一人でも十分でしょう。プライベートでも仕事相手とは居たくはありません。あいつにも聞いたらどうですか?」
と相手も今すぐ辞めたいと言うだろうと思い言ってから自分のデスクに座り
「ふむ…それもそうだな。桜井!」
上司の呼びかけに不機嫌な表情で振り向いた環は隠そうともせずに片手間で答える。
「…なんすか?」
「城崎との同棲はどうだ?」
「…あ~…普通です。必要以上に俺に干渉してこないんで楽ですよ」
環は意外なことに、やる気のなさは見えるが不機嫌さはなぜか多少マシに思える態度で答えたのだった。
「はぁ…」
聞こえてきた発言にそこは、うざいとでも言ってくれと思いながらため息をつき
「空気読めないやつですね、まぁ経費で家賃なども落とせますし毎日豪華な夕食にして会社の金使ってやりますよ」
と上司に聞こえないくらいの声で呟き
「個室完備なのが楽でいいです。顔合わせないで済むんで。でもこれでコンビ仲改善って…無理っすよ、絶対。」
環の苦言に上司は苦笑いを浮かべるものの、困ったように上司の上司からの命令書をちらつかせる。
「同意見が気に食いませんが、会話もろくにできない関係ですしコンビ仲改善が無理なのは賛成です」
命令書をちらつかせる上司に近寄ってそう言い
「上司の上に言っておいてください、仲悪いもの同士が一緒に住んで損害になっても知らないとか」
と言って
「ああ、一応伝えておこう…」
上司はまた困った様子で笑い、報告のためかその場を立ち去っていく。
「……」
環はまた黙り込んで仕事に戻ってしまった。
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