終わる世界で貴方と生きて(NGL/募集中)

別に気にしないでいい。私はただ放っておくと気分が悪いと思っただけだし……まあ、あなたの言うとおり、傭兵みたいなことはしてる。目的？でも、私はただ娘の生死を確かめてきてほしいと民間人に依頼されただけ。もしも死んでいるようなら施設に出来る限りの痛手を負わせてくれって言うオプション付きでね。もう連絡は済ませてきた。

(横たわる相手の隣に正座し、枝毛を探しながら淡々と説明を始める。連絡は済ませてきたと言えば何かの端末を取り出し、そこでの通信履歴を相手に見せて。番号は全て非通知となっており、下のメモ書きには『依頼人』と書かれている。最後の通信は今から三十分ほど前のようで)

何処かの国に雇われた訳でもないし、その義手が目的の訳でもない。少なくとも、あなたの敵ではないと言っておくよ……私は記憶喪失でね。自分の名前も覚えてるし、知識だって学者にも負けない自信がある。ただ、自分の過去だけが思い出せない…まあ、つまり。私は自分が何人かはわからないってこと。

・・・ふーん、そうなんだ、今、君に返せるもののは何も持ってないんだけれどもボクが今出来るお礼はこれくらいかな？
(相手が自分の敵では無い事は分かると少しホッとし助けてくれたお礼と言って隣に座る相手の唇に自分の唇を重ね合わせた後、そのまま自分の防毒マスクを頭に被り「それじゃあ世話になったね、助けてくれた借りは返せるか分かんないけどこれ以上君の迷惑になりたくはないし何処かへ行くことにするよ？」と無理矢理立ち上がるとふらふらの状態でこれ以上相手の迷惑になりたくないので行く宛も無く外へ出ようとして)

っ！ちょっと、いきなり何する……待って、何処にいくの？出ていくにしても、あんなところに捕まるようじゃ行く宛なんてないんでしょ？

(突然重なる唇とその初めての感覚に正座を崩して一瞬動揺するが、まだ回復しきった訳でもないのに何処かに行こうとする相手を見て咄嗟に相手の手を掴んで引き止めて)

迷惑なんかじゃない、どちらかと言うと助けた人が何処かで野垂れ死んでる方が嫌だし……礼がしたいっていうなら、暫く此処に居て。私はアスタ、これからよろしく。

うおっ！？・・・何だこれ？
(相手に突然左手を掴まれて引き止められるとガチャリと変な機械音がしたかと思えば手首が外れて掴んだ手と腕からワイヤーが伸びてしまえば驚きながら「確かにもう少し君と一緒に居た方が良いのかも・・・でも、良いの？ボク、男性は無理だけど女性が恋愛対象だから間違いなくアスタの事、襲うよ？」と左腕のワイヤーが巻き戻しながらアスタを自分の近くまで抱き寄せると背は低くて幼めに見えるがアスタの事は女性として見ている為、ハッキリとカミングアウトをしつつ防毒マスクを外してまじまじと相手の目を見つめると「さっきのキス以上の関係になっても良いのならボクをここに置いてくれる？そしたらボクは君の相棒だろうと恋人だろうとなるからさ？」とニヤニヤと悪い笑顔で挑発じみた告白をして)

別にいいよ、簡単に襲われるほど弱くないから…恋人になるかどうかは分からないけど。まあ、死なれるよりは良いし。

(ワイヤーによって相手の近くまで抱き寄せられるが、相手の告白には乗ることなくするりと身を翻して相手から離れて。相手の恋愛観等は別に気にしないが、その義手を狙って来る者も居るかもしれないため、折角助けた命くらいはある程度守ってやろうと決意したらしく)

まあ、私のことを襲えるなら好きにしたらいい…そんな事が言えるんだったら、そのくらいの元気はあるってことでいいよね。

いつ何時でも女性を口説く余裕くらいないとこんな世界で今まで生き延びて来られなかったからね・・・いつ死ぬかも分かんないし思い残しがない人生を送りたいもんだろ？
(口は回るものの体力はまだ戻ってきていない為、横たわりながら自分の価値観を口にすると「この左腕を使いこなせる様になったら少しは君の役に立てるかな？・・・」と先程のワイヤーの様にまだ色々と何かに使えそうな左腕を見ながら話しているといつの間にかまた気絶した様に眠ってしまって)

…そう。確かに、この世界じゃあ死に時なんて選べないしね。

(相手の言葉を自身が目覚めてからの経験などに当てはめ、今回の研究施設の一件も含めて相手の価値観も分からないことは無いと少しだけ共感する姿勢を示し。そうもしている間に眠る相手を見れば呆れたように「最初から大人しく寝ておけばいいのに…」と呟き)

出発の準備だけ済ませておかないと。そろそろこの場所も危ないだろうし。

・・・おはよう
(翌朝、ぐっすり眠れたらしく目が覚めると熱は下がり身体もだいぶ楽になるとすぐ近くに誰かがいる生活は久し振りの為、当たり前のように相手の頬に口付けすると「これからどうするの？」と今後の方針を尋ねて)

おはよう…今日は取り敢えず此処を出ていく予定。取りあえずはバイクで国境の辺りまで行こうかなって思ってるけど、乗り物酔いとかはない？

(コンバットナイフや拳銃の手入れをしていたが、カラスが起きたのを見るとその二つをそれぞれのケースにしまい。起きてすぐに口付けをする相手に少々思うところはあるが、ため息を吐くだけに留めておいて今日からの予定を相手に伝えて)

バイクは昨日の依頼をくれた人から貰った。メンテナンスもしたけど、問題はなかったよ。貴方さえ良ければ何時でも出発するけど。

ん、了解、乗り物酔いは無いけど国境って言うけどどの国の国境を目指すんだ？
(バイクに跨りながら相手に尋ねると「そう言えば、アスタは傭兵なんだろ？ドッグタグっていう2枚1組の薄い金属製のプレートって持ってる？ペース、カースス、メモリアの軍人じゃなくても傭兵が身分証明の為に持ってるはずだからそれを見れば自分の過去を思い出せるんじゃないか？ボクも君の相棒になるのであれば何処かで自分のドッグタグ作らないといけないし装備もこの左腕だけだと心許ないかな？」と相手に取り敢えずフリーの傭兵になる為に自分のドッグタグを作りたい事と装備が欲しいとお願いして)

とりあえずはメモリアの近くまで。今からだったらだいたい半日で着くと思う…ドッグタグは持ってない。傭兵みたいなことはしてるけど傭兵って訳じゃないよ、ただの便利屋。国を移動するときだって魔力の検知を掻い潜って無理矢理移動してきたから。

(バイクに跨がってエンジンをつけ、瓦礫などが散らばっている道を何事もないかのように切り抜けて行き。道中で相手の質問にも答えるが、国力検知の関門を掻い潜るなどと言った事を当然のように口に出しており。それと同時に自分が正式な身分を持っていないことも明かして)

ただ、三つの国を転々として分かったことがある。だいたいの軍人は私を無視するけど、兵長とかの部類になると私を追うように部下に命令してる。しかも、こっちの話はまるで聞く気が無いみたいだし。まあ、それも全部撒いたけど…武器なら後で用意する、もうしばらくは大人しく守られてて。

そうか、アスタは傭兵じゃなくて便利屋なのか、それなら別にドッグタグでなくても裏社会利用して偽の身分証明を作れるんじゃないかな？割と高価だとは思うけどあれば正式に国境も越えたりできるはず・・・。
(バイクに乗りながら身分が無いのは戦争孤児である自分も同じ為、特に何とも思わないがそういった立場の人は裏社会を利用して身分を偽装するのだと話せば「アスタって幼く見えるけど多分、ボクより年上なんじゃないかな？」と暇なのかバイクに乗りながら暇つぶしに話し続けて)

裏社会か…ドッグタグを偽造できる知り合いはいる。でも、私は軍に狙われてるから。最悪、その人が軍の奴に捕まるかもしれないでしょ。

(相手のドッグタグを偽造するという案を聞いては、以前助けた相手にそのような技術を持つ相手が居たなと思い出す。その人物は腕は確かだが、自分を助けたとなれば軍からどのような扱いを受けることになるかは想像もできない。となれば、相手の分だけ作ってもらえばいいと考えて「貴方の分は作ってもらえるようにするよ」と話し。そうこうしている間にも時間は経ち、道も残り半分と言ったところ。相手に何も言わず急カーブして崩れかけた建物の陰に入り、バイクから下りてガスマスクを付け始めて)

…誰かが追ってきてる、多分ペースの軍からだと思うけど。ちょっと片付けてくるから、此処で大人しく待ってて。

了解、ここで大人しく待ってるよ
(相手が敵を片付けに行くというので建物の影に隠れていれば「ボクもこの左腕が使いこなせれば役に立てるのに・・・」と待っている間、拳をロケットパンチの様に射出してワイヤーで戻せないか試してみたりしていれば「・・・よく見たら掌に穴があるぞ？」と掌の穴を前に向けて左腕を右腕で支えると「うわっ！？熱っ！？・・・でもこれ使えるかもしれない」と掌から熱光線の様な物が発射されれば戦いで役に立てるかもしれないと相手が戻ってくるまで左腕の練習を続けて)

すぐ戻るから、安心して待ってて。

(そう言ってアスタが拳銃の弾を握りしめると、弾は一瞬緑色の光を放ち。どうやら魔力を込めていた様で、それが終わると同時にすぐに建物の陰から飛び出し、暫くしてから三回拳銃を発砲した音と同時に硝子の割れる音と車両が建物に激突する音が辺りに鳴り響き。それから数十秒後、手をぱんぱんと軽く叩きながらカラスの前に戻ってきて)

お待たせ、何か変わったことは…何してるの、それ。

おかえり・・・レーザービームってやつなのかな？こんなんが戦争に導入されたらもっと激しい戦いになるね？
(相手が帰ってくるとレーザービームの訓練を止めれば「ペース国の最新技術は凄いね、これで少しは君の役に立てるかな？」と当たり前のように帰ってきた相手の頬に口付けすれば微笑んで見せると「さぁ、国境へ急ごう！！」とバイクに跨って)

役に立とうなんて考えなくていい。死ななければいいだけだから…戦争のことなんて考えるだけ無駄だよ、どうせ勝ったところで意味なんてないんだから。

(これからの戦争が激化するという可能性が浮上すれば、また何の意味もない戦いに自分以外の誰かが死んでいくのだと半ば諦めのような感情を含んだ声で三つの国や争いをする全てに向けて悲哀と怒りを孕んだ言葉を呟き)

…貴方は何で私を口説こうとするの。別に機嫌なんて取らなくても私は貴方を何処かに捨てたりはしないのに。

んー・・・死ぬまでに愛し愛されてみたいじゃない？
(何故口説こうとしているのかという問いに対して機嫌取りのつもりはなかった為、首を傾げながら「命の恩人と添い遂げるなんて絵本のお姫様みたいで良くない？」とまだ小さかった頃、何冊か読んだ絵本の中のお姫様を思い浮かべていて)

そう言うものなの？私にはよくわからない。絵本も読んだ事がないし…私が読んだものなんて三つの国が自国に報道するための捏造された勢力図とか、良いように書かれた君の悪い新聞くらいだから。たまに新兵器とか新魔術について書かれた物も読んだけど。

(日も沈みかけてきて気温も下がってきたところ、白い息を吐きながらバイクを走らせ、今まで読んできたうんざりするほどの戦争に関する文献に舌打ちしたくなる気持ちを抑えながら相手の言う絵本に思いを馳せてみる。そうこうしている間にも目的地に着いたようで、バイクを物陰に止めてから辺りを見渡し、誰もいないことを確認すれば相手に手招きで此方に来るよう誘導し)

とりあえず隠れ家に行くけど、体が冷えたりしてない？私はお酒を飲めるけど、カラスは飲めるの？

ボクのガラガラ声は大声で叫んだり酒を無理矢理飲んで作ったものだからね、もちろん飲めるよ？寒いならボクの左腕に抱きついてなよ？熱を帯びてるから暖かいよ？
(相手の後についていきながら男の振りをする為に潰した喉の話をしながら左腕で相手の肩を抱き寄せると「隠れ家っていくつもあるの？」と質問して)