着ぐるみパンダさん 2022-02-12 16:39:37 |
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あら、狼さん、私に怖がって欲しいの?
確かに、物語の中では悪者だけれど…貴方は今、私を助けてくれたもの。私にとって、親切にしてくれたのは貴方だけよ。
( 脅すような、寂しいような、そんな声色で話す相手に、離せ の声には従わず、尚も毛ざわりを楽しむように優しく撫でながら上記を述べた。
彼の言う通り、幼い頃、まだこの目に世界が映っていた頃、母に貰った絵本でおとぎ話を読んだ事があった。狼は女の子とおばあさんをぺろりと食べてしまうと、最後には狩人に倒され、幸せになるのは女の子とおばあさん。
それでも、今の自分にとって、助けてくれた彼は恐ろしい存在なんかじゃなかった。仮に、この後、絵本の中の女の子のように食べられて仕舞おうとも、どのみち、自分には帰る家がないのは分かっていた。
それにしても、と相手を撫でる手を止め、もう一度顔を上げて辺りを見渡す素振りを行えば、その手は相手の背に置かれたまま、狼と話しているという状況に不思議そうに首を傾げた。)
……夢、じゃないのよね、
私、実はとっくに死んでいるのかしら。
(此方の脅しは通じず、今なお少女に背中を撫でられている狼。物心ついた時から孤独に過ごして来た狼に対して少女の言葉に対して耳を疑う。
少女の手を離さなければならない。
そう強く思うのに、この手を離してしまうのは惜しいという相反した初めての感情に困惑していると、しばらく背中で動いていた温もりがふと止まり、自分の生死を問い始めた。
これ以上の脅しは通じ無いと判断し、そのままの状態でぶっきらぼうに話し始める)
……夢だと思いたきゃそう思えばいい。
この世界は満月の日に結界が揺らぐんだ。月に1度。帰るのなら今日か次の満月まで待つことになる。
なぜここに迷い込んだか、知らないが戻るなら早い方がいい。
それに満月の日は……
(話の途中で目眩がして、顔を歪ませる)
くそ…こんな時に……、、
早く離れろ…。早く、戻れ……。
(急に呼吸が荒くなり、少女にもたれ掛かりそうになるも弱々しくも元々立っていた木々がある方向に押し戻し、よろめきながらその場から離れようとするも3歩も行かぬうちに崩れように倒れる。)
( ぶっきらぼうにも返してくれるその言葉に耳を傾けながら、適度に相槌を打ちつつ、すぅ、と深呼吸をした。そして、母も言っていた 満月 の音に見えるはずもない空を見上げて見せる。
彼の言うことが現実ならば、月に一度のこの日に、自分は未知の世界へと偶然ながら足を踏み入れてしまったらしい。
しかし、戻るなら早い方が良いと助言してくれる相手の言葉も、何故か心には響かなかった。それはきっと、掌から伝わってくる彼の体温が優しいほどに暖かいから。)
……狼さん?
ど、どうしたの!?しっかりして!
( 迷い込んだ経緯を話すべきか口篭り、一間してから口を開いた刹那_。
触れていた相手の身体が苦しそうに上下するのを感じると、よろめくようにして離れていく。戸惑っていれば、少し離れたところから何かが重々しく倒れるよう音が聞こえ、悲鳴に近いような驚きの声を上げながらも、慌てて相手の位置を弄りだす。
縋るようにして倒れたその体に寄り添えば、苦しそうな相手の額を撫でた。 )
(見えないながらも心配し手探りで近付きた少女の温かい手がそっと額に置かれる
その額は先程まで触れられていた体温より明らかに高い。そして肩で大きく息をしていた。)
っ、、はぁはぁ。帰れ……。
触るな…俺みたいな中途半端なやつどうせ他人も仲間も家族も……
うっ…はぁ、はぁ…、裏切るじゃないか……!
(少女に宛てたつもりの言葉の後半は魘されるように叫ぶ。
これ以上の優しさや温もりも拒否するかのように、少女が早く帰るように。
霞んだ視界で少女を見ると深い海の色をした目が大きく見開かれているのが見え、その目に思わず吸い込まれるかのように手を伸ばし、先程出来た傷のある頬に手を伸ばし、ぐっと引き寄せる)
美味そうな血だな…はぁはぁ……。お前を今、この場で食べたら少しは魔力も安定するかもな?
(そう脅すが微かに手は震え、鋭い爪を立てることはしなかった。この少女の近くに居てはいけない。その一心で脅した。それに人間を喰う気になんて1度もなったことはないがそうでもしないとこの純粋な目は騙せないと思った。)
( 明らかに高くなった体温も、魘されるように上げる声も、自分にはどうすることも出来なくて、それが情けなくて、心配そうに毛皮を撫でていた手に力が入る。
しかし、次の瞬間には大きな腕で引き寄せられ、耳元から低い声が脳裏に響く。心配しているはずなのに、情けなくて握ったはずの手には汗が滲み、本能が逃げ出したいと言っているのが分かる。
それでも、頬に添えられたその手に、静かに己の手を重ねた。)
…私は、助けを呼ぶことも、手当をすることも、何も出来ないの。それどころか、誰かの力を借りないと行くべき道さえ分からないわ。
だから、いいのよ。
もし、本当に私を食べて、狼さんが元気になるのなら。
それでやっと、私も誰かの役に立てるんだもの。
( 自らを裏切り者のように扱う相手に、そんなことは無いと伝えたかった。それどころか、自分の方が周りの期待を裏切り、病に犯され、使い物にはならなかった。
そんな自分に最初で最後に優しくしてくれた相手だから、本能が邪魔をして僅かに震える手も声もお構い無しに、優しく、笑ってみせた。
どのみちこの森の何処かで果てるのであれば、親切をお返しした方が、少しは自分の気持ちも晴れやかなのだ。 )
(自分の手に重ねられた温もりに静かに問う)
お前は怖くないのか?……俺のことも、命も。
(先程より呼吸が穏やかになり、身体を起こそうとした時に少女の服からちらりと露出している肌にある傷が目に入る。)
人と違うことで傷付いたりしないのか…?
(少女はもしかして元の世界に帰りたくないのではないか…という予想は何となくすぐ予想出来た。急に迷い込んで異世界だと言ったときもさほど大きく取り乱す様子はなく、肝が据わりすぎているとは感じていた。先程の脅しだってそうだ。あんなことを言ったら普通は恐ろしいだろう。自ずと元の世界で何かあったのではないか…という仮説が経つのは容易だった)
…怖くないわ。
もっと、怖くて寂しいものを知っているもの。
生きているのに、ここに居るのに、腫れ物のように無視されて、一人ぼっちでいる方が随分と苦しいわ。
( 身体を起こそうと動く相手に、尚も手を添えながらも、幾分呼吸が落ち着いたようで安心し、静かに問いかける言葉に耳を澄ませる。
一間、呼吸を吸えば、はっきりと怖くないと伝え、ぽつりぽつりと言葉を続けた。
人は、忘れられることが本当の死だと言うが、その通りだと思う。まして何も見えない自分にとって、1人で居ることは無の世界しかないのだ。)
勿論、傷付いたけど、今は何ともないの。
見えない分、“感じる ” けれど、それも全部気づかない振りをすればいいのよ。
( もう1つの問いについても、答えはすんなりと出てきた。突然視力が奪われていく恐怖と、周囲の視線は幼心には随分と応えるものがあった。
しかし、傷付いて嘆いたところで、この瞳に光が戻ることは無いし、優しくされることも無い。また、それを期待しているわけでもないので、気にしたら負けだといつからか諦めることが得意になっていた。その代わり、笑顔を絶やさなければいつかはいい事があると信じていたのだ。
これもまた笑顔で上記を述べ終われば、心配を掛けてしまっただろうか、と再度相手の背を優しく撫で 「 私は強い子だから平気なのよ 」と肩を竦めて微笑んだ。)
お前は強いな……。
(少女の笑顔は痛みや闇をよく知っている者の笑顔でなんとも言えない気持ちになる。生憎孤独に生きてきた狼にとって少女の慰めの言葉など対して思い付かなかったのだ。)
もうだいぶ良い。お前のおかげでいつもより早く楽になった。
……もう、何も出来ないとか言うものではない。
少し離れるが戻ってくるからここで待ってろ。
(それから少し間を置き、自由に動ける程度の体力が戻って来たことを実感すると、自分の背中に回っていた手をゆっくり退け、のそのそと立ち上がり足音が聞こえなくなるほどの離れた場所へと行く)
楽になったのなら良かったわ。
フフ、私でも、役に立てることはあったのね。
………分かった。ここにいる。
( 相手の言葉に、もう一度にこりと微笑むと、楽になったという言葉に安堵する。また、続けられる言葉に、自分の無力さが少し晴れたような気がして嬉しそうに頷く。
しかし、触れていた手を退けられ、立ち上がる相手の気配を感じれば、待っていろと言う言葉に少し視線を泳がせた。この手が行き場を失うのは、なんだか少し寂しい。だが、それを口に出すことはなく、足音が聞こえなくなるまで其方を見つめていれば、暫くして辺りは静寂に包まれる。
立ち上がることも無く、体勢を変えて膝を抱えれば、肌を掠めゆく冷風に肩を震わせる。
優しい彼を疑いたくはないが、待たされるのはあまり好きではない。だって、このまま戻ってこなくても、自分は追いかけることも、探すことも出来ないからだ。幼少期には、よくからかわれ、置き去りにされた。
それでも、とにかく今は、相手を信じてその場で待ち続けた。 )
(おおよそ4~5分程度経った頃、少女のもとに戻ると、寒さからか肩を震わせていた。)
すまない。思ったより時間が掛かってしまった。
ここは冷えるから何か羽織ものがあった方がいいだろう。
(そう言いながらカシミアで出来ているような肌触りの良いストールを羽織らせ、彼女の手の平に温かい石を乗せ自分の手で包み込み握らせる。その状態で言葉を続ける。)
先程も言ったが元の世界に戻るなら今のうちだ。俺もお前に助けられたんだ。だからお前がしたいことに出来るだけ協力したいと思っている。お前は……君はどうしたい?
…取りに行ってくれたの?とても素敵な肌触りだわ。
それに、石かしら…とても暖かいのね。ありがとう。
( 暫くして、足音が聞こえてくれば、顔を上げて音のする方へ瞳を向ける。そして、聞こえてきたのが彼の声と知ると、謝る相手へ首を振って、笑顔で上記を述べた。
今まで触ったことが無いほど上質なストールと、掌に感じる温もりに、先程まであった不安も溶けていくような気がした。
そして、協力したいと続けられる相手の言葉に、一度口を閉じて考えると、偶然にも、相手の瞳を見つめる様な形で視線を向ければ、ゆっくりと立ち上がった。)
…狼さん。私を攫っていって。
戻っても、もう、私には帰る場所がないの。
そうか、分かった。
ふっ…狼が攫うなんて如何にもそれっぽくていいかもな。
(少女の迷いの無い言葉は真っ直ぐと向けられた目で分かった。そして少女の潔さに降参したように初めて声のトーンが和らぐ。)
とりあえず今夜はもう遅い。ちょっと離れたところに小屋がある。少し歩くが着いてこれるか?
(自分も立ち上がり、少女の身体を労わるように心配する。)
貴方に触れていれば方向が分かるし、問題なく歩けるから平気よ。
…あ、そうだわ。私、アイリスって言うの。
伝えるのが遅くなってごめんなさい。
( 初めて聞く声色に、相手が笑っているのを感じ取れて、此方もなんだか頬が緩む。「 確かにそうね 」と同意するかのようにフフッと微笑めば、自分のことを気にかけてくれる発言に、大丈夫だと言わんばかりに頷いた。
白杖も持たない状態だと、自分では周りの状況や方向を把握するのが難しいため、極めて歩くのが遅くなってしまうが、相手へ触れていれば自ずと進むべき道が分かるため、円滑に歩みを進めることが出来る。
そして、名乗っていないことを思い返せば、相手のいる方へしっかりと体を向けて、会釈混じりに自分の名を告げては笑いかけた。 )
アイリスか…いい名前だな。
俺は特に名前という物に縁が無いんだ。アイリスの好きなように呼んでくれ。
(しっかりとお辞儀をした少女…アイリスを見て、素直に思ったことを口にする。そして本来なら相手の名前を知るタイミングで自分も名乗るのが常識だが、生憎孤独に生きてきた狼には名前などに縁が無かった為、呼びやすいように呼んで欲しいと伝える。)
……あと、俺はどうすればいい。
その、あまりこういう経験が無くてな。…女性をエスコートするような…。
(名前のことを言い終えると少しぎこち無い様子で触れていたら大丈夫という"触れていたら"の部分について質問する。目が見えないからというよりも1人の人間としてアイリスをどう接すれば良いのか分からないでいた。)
フフッ、私もエスコートされるのは初めてよ。
そうね…手でも、背中でも…私が触れてていいのなら、差し出してくれると嬉しいわ。
あとは、道を示すように、1歩前を歩いてリードしてくれたらいいの。
( 好きなように呼んでくれ、と言われれば、そうね…と腕を組んで考えるような仕草をする。そうしながら考えていれば、今度はぎこちなさそうに問い掛けてくる相手に、優しく笑みが零れ、上記を返した。
此方を丁寧にも、女性とした扱ってくれるのがなんだか恥ずかしながらも嬉しくて、エスコートとはどういったものなのか自分でも分からないが、とりあえず自分の中にある其れを伝えては、相手の方へと片手を差し出した。
そして、あ、と小さく声を漏らせば、嬉しそうに笑いかけた続ける。)
…私を、導いてくれる強い光…。
貴方を、“レイ”って呼ぶのはどうかしら?
( どうやら、相手をなんと呼ぶか思いついたようで、明るい声音でそう言うと、問い掛けるようにして首を傾げる。
目の見えない自分に道を示してくれる、闇の中の力強い光。そんなイメージが頭の中に浮かび、それが彼にはぴったりだと感じたのだ。)
レイ……。俺にそんな名前が付くなんて思って無かったな…。
俺は君が思い描く程、立派では無い……が、アイリスが付けてくれた名を大切にしたい。
(差し出された手と言葉にそうか…と納得したように頷くと、アイリスの手に触れるように腕を近付けようとした時に、小さく声が聞こえ、動きを止めてアイリスの顔を見るとぱっと花が咲いたような明るさで名前の提示をしてきた。今まで通り"狼さん"や又はそれに近い呼び方で…と想像していた為、まさか自分に名前らしい名前が提案されたことに驚き、果たして自分にその名前を背負う資格があるのかと不安になる。しかし、アイリスの屈託の無い笑顔を見ると不思議と心が温かくなる。)
これで大丈夫か?
…俺はずっと1人で過ごしてきたんだ。自分から孤独になった。だからお前のことを傷付けたりするかもしれない。でもそれでも良いのなら、お前が元の世界に戻りたくなるその時まで一緒にいよう。
(アイリスの手を右手でそっと掴み、左腕に掴ませて、エスコートとして合っているのかを尋ねる。
そして、孤独な狼として生きてきた自分でもアイリスの笑顔を守りたい。という一心で言葉を続ける。)
あら、これ以上ないぐらいぴったりだと思うわ。
( 立派ではない、と謙遜するような相手に上記を述べては、続けられる言葉に頷いて肩を竦めて笑いかけた。
実際に視覚的に相手の姿を捉えることは叶わないが、それでも、この短時間だけでさえ相手の優しさにたくさん触れることが出来た。その優しさは、自分にとって光と比喩するに相応しいものだと思う。
そして、優しく右手に触れられれば、誘導させられるがままに相手の左腕を掴み「 ありがとう 」と尋ね口調に頷いては微笑んだ。 )
…傷付くぐらい平気よ。
それに強い子だって言ったでしょう?
一緒にいてくれるって、そうやって言ってくれるだけでとても嬉しいもの。私達、おひとり仲間ね。
( 相手を頼り歩みを進めながら、ゆっくりと返答の言葉を並べる。
最初、此方を遠ざけようとしていた様子を思い返してみれば、きっと、彼も多くのことに傷付いてきたのだろう。
人を遠ざけようとした事はないが、孤独でいるその気持ちは痛いほどわかるからこそ、自分も彼に出来ることを探してみようと思うのだった。 )
ふっ…おひとり仲間か…。
それもいいかもな。
(彼女を気遣いながら普段よりゆっくりと歩みを進めながら満月を見上げる。)
満月の日は嫌な日だとばっかり思ってたがそうでも無いな…。
(独り言のように呟くと、ひんやりと澄んだ風が過ぎ去っていく)
……満月。
( 独り言のような言葉を聞けば、此方も釣られて上記を呟き、上を見上げた。視線の先に、その満月は映っているのだろうか。
過ぎ去る寒風にストールをかけ直せば、暫く頭上を見上げた後にもう一度前方へ向き直り、そして、隣でゆっくりと歩幅を合わせてくれる彼の方へ向き直った。 )
…ねぇ、レイ。
さっき、倒れてしまう前に、何か言いかけていたわよね。
苦しくなってしまったのも、満月と関係があるの?
( 思い返せば、彼がこの世界の事を話してくれた時、何か言いかけていたことが気になった。また、その後に苦しげに倒れてしまった事も、もしかしたらこの満月と関係があるのかもしないと思考し、首を傾げながらも問いかける。)
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