匿名のなめ 2021-12-25 22:01:06 |
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急なお声掛けにも拘わらず即対応して下さり、こちらこそありがとうございました。よろしくお願いいたします。とても私得な設定だったので、これから日陰者同士の静かで甘い物語を紡げることにわくわくしております。
PFをざっと作成するにあたり、世界観は和洋どちらがお好みかか、暗殺者に対する萌え萎えなどお伺いしてもよろしいでしょうか……?
ご足労くださり、ありがとうございます!
そう言っていただけて何よりです。改めましてよろしくお願いいたします。
和洋どちらでもニヤニヤしてしまいますが、どちらかというと洋の方が近いかと思います。具体的にはフリーの暗殺者、もしくはマフィアのソレを想像していました。
暗殺者さんの人物像につきましては、願望スレにてご提案いただきました「30代前後の気だるけ愛煙家」の全てがドストライクだったので、そのまま ねむ様(とお呼びしてもよろしいでしょうか)のお好きなようにお考えいただければと………!!
こちらのハッカーちゃんについて今のところ考えている設定では、年齢は10代後半~20代半ば、自宅警備員兼情報屋(ハッカー業含む)で生活力は低めの子を想定しています。もし萎に触れる点やご希望、萌等ございましたらお聞かせ願えればと思います………!!
「バスルームはそこを入って右だ」
「……居候する気なら、朝までこのままでいさせろ」
【Name】アレク・ガルシア
【Old】31歳
【Looks】短い黒髪に灰褐色の瞳、浅黒い肌。いつもくたびれた雰囲気の、しかし端整な顔立ち。身長178cm。「力仕事」の従事者であるため鍛えられた肉体の持ち主。うなじから背中にかけて、聖母マリアや骸骨をモチーフにしたタトゥーを入れている。服装はごくシンプル。仕事をこなすときはそれに合わせて装うが、オフの日は黒いTシャツにジーンズといった服装。ただしいくつかごつめの指輪をつけているほか、首元には小さな金色の十字架のネックレス。これでもキリスト教信者(本人の中で、特典宗教への信仰生活と殺人を生業とする暮らしは全然両立できるらしい)。
【Character】
いつも気怠げ、オフの日はインドアがほとんど。大概半裸で寝て過ごすタイプ。休みに入ればまず環境を整えてから好きなだけ惰眠を貪るのが習慣。活動するとしても、料理を作ったり、本を読んだり、映画を流し見たり、暗器の発注・整備をしたりする程度。効率化と称していつも食事には紙皿を使うなど、元々ミニマリストじみている(これはいつでもその家を捨てられるようにするためである)。どうしても直接商品を取りに行かねばならないこともあるため、その際は怠いと思いつつも出かける。収入はかなりあるため、ベッドや棚といった自宅の数少ない調度品はいつでも捨てる気でいるというのに質の良いものが多い。
暗室任務の実働部分を常に淡々と独りでこなす職人気質。上からの命令で標的を手にかける上で、罪の意識は一切抱かない。むしろぬけぬけと「平穏な暮らしを得続けたい」という願望すら思い描く。本人の言う平穏な暮らしとは、「向いている仕事(殺し)を営みながら、日々普通に寝食ができる生活をしていけること」。ただし何とも思わないのはあくまでも男女問わず大人相手に限られ、子どもを巻き込むことは避けたい様子。それでも必要なときは、できるだけ苦痛を与えずに手心を加えた形で仕事を果たすのだが、その後しばらくは珍しく、あまり自覚のない形でストレスや罪悪感に駆られる。
煙草を吸う理由は口寂しさ・胸の内の空虚感を満たすため。それが許される関係であれば、無意識に若干のキス魔になるほか、相手の髪の匂いで肺を満たしながら眠ることが好き。この欲求のため過去何人か、業界外の恋人を設けて自宅に連れ込んでいた時期もあったのだが、仕事の都合であっけなく捨てたり、正体を悟られ通報されかけたためさくっと処分したりと、本人は本気になったことがない模様。ここ二、三年は「面倒臭くなった」という理由で特に作っていない。
【Past】
元はメキシコ系季節労働者の息子。母親はアレクの双子の弟を連れて、父親とアレクを捨て白人の会計士と駆け落ちし行方を眩ませた。その事に荒れた父親がアルコール中毒に陥った上夜毎女を連れ込むため、住処にしていたキャンピングカーに寄りつかなくなり、そのうち同年代とつるんで非行に明け暮れだし、やがて初めての殺人を犯す。仲間の何人かは「こちら側」ではない人間だったため怯えたり罪悪感に苛まれたりしたのだが、アレクはこの瞬間「ああ、俺は殺しに向いてるんだな」と奇妙な確信を抱き、自らの意志でその道へ。当時の仲間とはそれなりの青春を経験したので今も友人関係が続いているのだが、殺し屋になったことは伏せているほか、実は何人かを口封じのため消してすらいる──アレクの破滅への入口はここにある。
【Work】
マフィアの雇われ暗殺者。一応はイタリアンマフィア・ギャランテファミリーに飼われている形だが、積極的には交流せず、あくまでもビジネスライクな関係。「良い仕事をする」らしく信用を得ており、仕事を果たす上で必要な武器商人や情報屋、不動産屋の斡旋を受けている。アレク自身が面倒見の良い性格であることもあり、ギャランテや武器商人の幹部に頼まれて、彼ら側の若手に多少の手ほどきをすることもあるらしい。このため提携先の兄貴分としてそれなりの人望もあるのだが、如何せん本人は「怠い」の一言で最低限の関わりしかもたない(ギャランテにとっては必要以上に出しゃばらないとしてそんなところも気に入られてすらいる)。
気に入っていただけたようで良かったです。長くなってしまいましたがPFが完成いたしました、ご査収ください。
ハッカーの少女について、萎え要素はございません。2点こちらかの要望として、
①容貌がいわゆる地雷系女子( 日本の地雷女子、もしくは映画『ハーレクイン 華麗なる覚醒』のヒロインのような感じ)。三十路のアレクにとってはいささか奇妙と感じる独特の可愛らしさの持ち主。ただし精神性もそのタイプであるとは限らない(がっつりそちら系の女の子でも好きですし、見た目がそうと言うだけで中身はまた全然違うのもギャップがあって好きです)。
・②接点として、ギャランテの情報部が斡旋したハッカーであり、アレク同様何かしら孤独な生い立ちゆえこの道に至った。
以上の要素を、可能であれぱお願いしたく。御検討くださいませ!
「やっぱりわたしの勝ち。分かってたことでしょ?」
「あ、ぐ。………近付いてよ、…落ち着かないから、」
◯Name シャルロット・セディフ
Age 19
◯Looks
絹のような黒髪はすらりと腰まで伸びており、インナーカラーに白を入れている。顎あたりで少量の束を姫カットしていて、それも相まってかなり小顔に見える。かんばせには所謂“地雷メイク”を施しており、透明な肌に各パーツが随分と映えている。特筆すべきはその目と口、縁は赤系統の色で愛らしい印象だが、その黒い瞳の中には年齢にそぐわないような冷たさを感じさせる。涙袋は細かな輝きを纏っており、まるで砂糖菓子のよう。そして唇には、欲情的なダークローズの彩。
服装は黒を基調としたものがほとんどで、ガーリーからダークまで広く好む。頻繁に見られるのは、長袖ショート丈のシャツワンピースにハーネスベルト。右腿にガーターベルト、足元は網ソックスにバックルのついた厚底パンプス。シルバーの質感を好んでいるため、身につけるアクセサリーも多め。向かって右の首元に10センチほどの切創、左に花と英文字“rana”のタトゥー。「仕事に支障が出る」ということでネイルはしていない。 身長157cm。Bカップ。
◯Personality
冷酷でありながら慈愛を持ち、独尊と笑いながら劣等感に震えるなど様々な面で二面性が見られる。破壊による快楽主義もその一つで、我に帰ってはその罪悪感に自身を精神的に追い詰めることもしばしば。最も、この性質はここ数年の努力の成果により表出する機会は減っている(特に仕事の場において)。しかし哀れなるかな、その反動で挑戦的な発言の増加や煽りスキルが向上したのも事実。
いつも心のどこかに寂寥感を抱いており、何か埋めるものを無意識に求めている。それはもっぱら行動に現れ、具体的にはその時近くにある枕やら水筒やら抱えている。
だが基本、「シャルは可愛い、シャルは愛されて当然、みんなわたしのことを見つけられなくてかわいそーう」と思(うようにな)っているので良くも悪くもしなやか。
◯Other
LIKE FPS、クラシック音楽、モノトーン
FPSの中でもバトルロワイヤル系を好む。オ依頼のない日は一日中やりこんでしまうほどの没頭具合。仕事の報酬は美容費と世話費とゲームへの廃課金という程の熱中具合である。技術は全体の中の上の下くらい。
クラシック音楽を好きになったきっかけは、楽譜を見た時の驚きから。白と黒の世界、数多の記号が立体化したときの感動も影響している。好きな音楽家はチャイコフスキー。
家事スキルは皆無。洋服を洗うために洗濯はかろうじてできるが、料理をさせてはいけない。その点については薄々自覚があるため、食事はサプリでまかなう。衣類と美容品が持ち物の大半を占めるため、部屋に物はなく散らかりづらい。
◯Back Story
生まれは極東の島国。家は裕福だったそうだが教育に厳しく、複数の習い事を掛け持ちしては出来が悪いと飯を抜かれたり暴力を受けたりと破綻した家庭であった。転機が訪れたのは9歳、小学校の定期健康診断にて体にあるいくつもの痣を発見され、児童養護施設へと保護される。これにて落着かと思えば、ネグレクトによる体の弱さからいじめを受ける。首に残る傷跡はその時の暴行によるもの。力では敵うこともなく、新参者なために施設の大人からの信頼も薄く、泣き寝入りしていた頃たまたまTVでハッカーのニュースを目にした。内容はハッカーによる情報提供により犯罪組織の幹部が逮捕された、という旨。この時まさに天啓を得て、そこから2年間施設の事務室に忍び込んでは学習と実践を繰り返し、11歳とは思えない実績を携えて自らをオークションに売り出した。そしてギャランテに買われ、本拠地へ旅立つ。その際に名前などの個人情報は情報部の係に全て改められた。また渡欧して2年後、思い出したかのように前の両親への情報流出による報復をおこなっている。
住まいについて、初めの頃はホテル住まいをしていた。その後仕事上での出会いと生活費の節約から他者への依存生活へと移行した。
◯As a HACKER
仕事に対しては過剰なほどにリアリスト。発注されたものは例外を除いて受け、遅くとも期限の前日には提出する完璧主義。ただしその例外というのは、自分の住む世界ではなく 明るく日の差す表社会の無辜の人間へのもの。彼女がこの社会に生きる上で、心を失ってしまわぬよう と自分に課した最後の掟である。これに触れる、またはその可能性のあるオーダーは断固として受けない。そのため腕前と達成率は一級でありながら、ギャランテの評判はいいとは言えない。本人は気にしていない様子。
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こんばんは、お返事お待たせしてしまい申し訳ありません…!
“地雷系”というジャンルに疎いため、ご要望に添えているか不安なのですがいかがでしょうか……?もし変更点などございましたらお教えください。
それと並行して開始のシチュエーションについてもご相談させていただきたいです。こちらからのご提案としては、夜(もしくは深夜)にアレクさんがお帰りになったところがよいのではと思っております…!ねむ様のお考えございましたらお聞かせくださいませ。
こんばんは、作成ありがとうございました!
隅から隅までものすごく好きです、本当になんと練りこまれたお嬢さんであることか。特に「シャルは可愛い、シャルは愛されて当然、みんなわたしのことを見つけられなくてかわいそーう」というセリフに彼女のすべてが集約されていてとてつもなく好きです。そこでぶわっと、生き生きしたキャラクターとしての彼女を一気に知ることができました。
変更を願う点は全くないのですが、懸念が一つ。
ノナメ様にとってやりづらいジャンルをオーダーしてしまったとのことで、今後也を交わしていく上でも動かしづらさを抱かせ続けてしまうのではないかと危惧しております。
多かれ少なかれ、自分の性に合うキャラクターがあるかと思いますので……
このため、きめ細やかなPFを作っていただいた後に言い出すのもひどい話なのですが、ノナメ様がより埋没して楽しい方向への完全改変や部分改変など、ぜひお気兼ねなくしていただければと。
お見せいただいたPFで主様の力量やセンスに深く惚れ込み信頼しておりますので、「暗殺者とハッカーの少女の仄暗く甘い生活」という基本コンセプトを主様が心から楽しめる形にしていただければと思います。
続いて、開始のシチュエーションについて。賛成でございます!
この場合、アレクとシャルはすでにある程度同居生活をしている、或いは数日前から始めた、という形でしょうか。もしくは、帰ったらすでにシャルが上がり込んでいて、ギャランテから彼女の面倒をしばらく見るよう頼まれたことをそこで知る、というのも面白いかもしれません。
上述のキャラ造形についてとこのあたりが固まり次第、さっそく物語を紡いでいけたらと思っています。特に、もしもPFの修正が発生する場合、ノナメ様の負担が大きいので、初回ロルはこちらにお任せいただければなと。よろしくお願いいたします。
こんばんは*
身に余るお言葉、恐縮です…!気に入っていただけたようで何よりです。
また、こちらへのお気遣いまでありがとうございます。そうですね。確かに触れたことのないジャンルではありますが、だからこそ開拓に寧ろワクワクするといいますか……( ) この子を生んでおきながら、実はこの子の内情についてまだまだ闇の中を手探り状態でして…( ) それ故アレクさんとの交流から何を感じ得るのかにも興味があります。
中々絶妙なバランスで成り立っている子なので私の技量不足や采配ミスでぶっ飛んでしまう可能性もありますが、それでもよろしければぜひ可愛がっていただければと……!!もし也中に改善点が発生した場合、お手数ですがご指摘いただければと思います。
(彼女自身への影響はありませんが、追加要素として『コードネーム:ペーチャ』を加えます。よろしくお願いいたします。)
既に同居しているという体を想定しておりましたが、帰宅したらシャルが居座っていたというご提案がとても魅力的なので(アレクさんが呆気に取られる顔を見たい)、その場面から始めたく存じます…!
それと、これはいずれの流れで出来たらと考えているのですが、アレクさんのタバコの煙をシャルが口移しで受け取るというもの、いかがでしょうか…?!
※長くなってしまいましたが、物語をいよいよ紡ぐにあたり最後の事前相談をお願いするような箇所はございません。蹴り可能です!
創作の探求心に溢れるノナメ様推せる……非常に推せる……推すしかない……かしこまりました、ともに双方のキャラクターを深く探ってまいりましょう!
現時点では特になくともいずれ設定を変えたい箇所が出てきた場合も、
是非お気軽にお伝えくださいませ。
追加要素も把握いたしました。
麻雀か皇帝か、はたまたそれらとかけたランサムウェアか別物か。背後様が暗中から浮かび上がらせた彼女の背景を知っていくのが、今からとても楽しみです。
シチュエーションの採用もありがとうございます!
煙草に口移し、喫煙要素と甘美要素が合わさっていてとても好きです。いや天才か……?どのような経緯で至るのであれ、初めて唇を重ねたのがそれだった、というのなら、一般の恋人関係とは異なるが、それでもやはり甘い雰囲気なそれと感じられてさらに滾ります。純粋に甘い雰囲気でやるもよし、それもありつつなにかしら彼女への仕置として彼女に含ませてみたというのもよし。初めての感覚に咳き込む彼女を見て珍しく小さく笑うアレクが目に浮かびました、怒られてしまえ……。
妄想はさておき、まずはご提示いただいたこの「煙の口移し」をひとつの到達地点として一緒に目指していけば」、歩調がちょうどよく合わさって良い感じになるかなと思います。
また、暗殺者とハッカーの、仕事中ではなくオフのお休みをメインにした物語ということで、シャルロットが熱中する様子から興味を抱いたアレクがFPSに参加するだとか、そのために用事ついでに一緒にコントローラーを買いに行くだとか、いざ遊んでみれば曲がりなりにも本職の人間なはずがシャルにフルボッコにされて手も足も出ない、だとかも良さそうです。
それと個人的に、「一緒に料理を作る」というのが、描写次第で素晴らしく艶やかな雰囲気になるものだと思っておりまして(味見をさせあうだとか、一緒に生地を捏ねるときにあすなろ抱きのような構図になりながら掌を重ねるだとか、料理下手ゆえ(?)頬に飛び散らせてしまったジャムを他方が食べてしまうだとかだとか)。シャルの料理スキルをどうにか改善するという名目で、そのあたりもいずれ機が訪れたら一緒に楽しんでみたいところです。勿論急ぎではございません。
今浮かぶこちらの要望はこのくらいでしょうか。改めてよろしくお願いします……!
(素敵すぎるご提案の数々に興奮してしまい、お返事だけ一足先に書かせていただいた次第です。就寝時間が近いため、初回は明日以降に投稿させていただきます。ご了承ください。)
ねむ様、さてはご正体神様ですね。(確信) 素晴らしく萌で天才的なご提案本当にありがとうございます……、アア…お仕置きパターンも良いですね、ニヤニヤが止まりません…………。ぷりぷりしているシャルと小さく笑むアレクさんの画が浮かびます…。ねむ様のひとつひとつの言葉の用いられ方が秀逸で妄想が捗ります…脳神経が喜んでいます……ありがとうございます…………………。
推し様に推していただけるなんて何たる光栄……!今回ご縁を結ばせていただいたことに心より感謝いたします。全方向に土下座をさせていただきました。( )
FPSのご提案もお料理のご提案も後々ぜひ取り入れたいですね……!!特にコントローラーを買いに行く、となった場合、(ある程度仲が深まっていれば)「これってデート…なんちゃって」な~んて浮かれても良いし(全ての反応が美味)、外出機会の少ないシャルがウィンドウショッピングに夢中で迷子になってしまうというのも良さそうです。
煙草の口移し、採用ありがとうございます。そうですね、まずは2人の交流度を高めて関係を親密にしていけたらと思います。
物語が始まる前でこんなに楽しいのに、始まってしまったらどうなってしまうか予想もつきません ( ) こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします!
(お返事蹴っていただいて結構です。おやすみなさいませ )
いつか、幼い頃の風景がフィルム映画のように不鮮明に、しかしながら鮮明に思い出される。
「では、みんなで空をかいてみましょう」
当たり前のように青や赤や緑のクレヨンを手に取り、心のゆくままに色を塗りつけるおともだち。_____理解できなかった。
「……ちゃん、どうしたの?」
それでも、幼き日のわたしは蔓延るマジョリティや透明な圧力に立ち向かっていた。本当に、どうしてそんなに熱心になれたのか今では分からない。ただ、教師と呼ばれる大人の少し眉を下げた表情はよく覚えている。ああ、いや、彼女に罪はないのだろう…今思うに。……しかしあの目は忘れられない。“目は口よりものを言う”という言葉はある意味真理だ。彼女は語っていた。_____理解できない、と。
「何、コレ?」
棄てられた。知っていた。知っていながらその身に裂傷を作った。わたしにとっての空は、そらが“空”と書くように空虚なものだった。わたしの持ち帰った空は透明だった。
それは記憶の奥底に収納されていたモノ。無意識に避けていたモノ。されど、かく念ずるほどにその長いテープが引き出されていく。どうして、今更。
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(丁度良い空調と定期的な発進停止を繰り返すとあるバスの車内。ゆりかごの如く快適、ではないが同じく誘眠作用があるかもしれない。呼吸の合間を縫って目覚めの口付けをしたのは、車掌の低く静かな停車案内だった。こくり、こくりと微睡みつつ端末を弄ると開いたままにしていた交通案内の検索結果が一面に。ん~…、成程?次で降りる……と、二度寝をしている場合ではない。シートから身を起こし ぐぐっと背伸びをして体にも起床を促す。その後身嗜みやら環境を整えていたら、あっという間に到着してしまった。降りるのは自分だけなのだろうか、運転手に軽く感謝を告げると自分を迎えるこの街に向けてはじめの第一歩!小さな跳躍による黒髪の滑らかなうねり、スカートの裾から伸びる透き通るような肌のコントラストが美しい。)
__って、誰かがわたしをパパラッチしていたら良かったのに。きっと傑作だったわ。
(ふわりと着地する。ちなみに本日のコーディネートはワインレッドのフリル襟ブラウスに黒のレーススカート。腰にコルセット。左手薬指に少し大きめのハートのモチーフがついたリング、右手親指に幅広のリング、小指に透明な石の入ったリング。いずれもシルバー。髪を耳下で二つ結びにしてリボンで纏めているため、少し幼く見える。一応これから世話になるということで、手持ちの洋服たちの中でもお気に入りのものを選んできたつもり。う~ん、やっぱり可愛い。世界は総じてわたしを愛するべきだけれど、秘された花というのもまた甘美。よってその答えは、対人関係の少なさから先ずギャランテの紹介した人物の反応に委ねられた。さて、トランクからキャリーケースを二つポーターから受け取り、バスを気持ち見送ってから新しい住まいへと歩き始め暫く。ピンの位置に辿り着いては少し観察して。ホテル住まいであった故に大抵の住居には家庭的な雰囲気というか近寄りづらさを感じてしまうが、上からの指示とあらば意を唱えることもできまい。洋服のポケットの中の更に巾着の中にあるスペルキーを取り出して静かに鍵を回す。今は家の鍵まで網羅して管理されてるのね、なんて僅かな憐憫。そして自分もその管理のもとにとうとう入り込む。部屋の中には静寂だけ。「お邪魔…します……」控えめに挨拶をするも返事はなく、やがて端末のライト機能を使って探索を始める始末。それにも飽きて結果、一つのキャリーケースからノートPCを取り出し家主について情報を確認している。電気もつけず、小さな発光と液晶が闇に浮いているように見えてどこか気味が悪い。)
…アレク・ガルシア……スペイン系かしら…、31歳、シカリオ…、
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(/初回失礼しました…!書いているうちに楽しくなり、少し長くなってしまいました。普段は大体300字~なので、お気になさらず綴っていただければと思います。よろしくお願いします*)
こんばんは…!あけましておめでとうございます。
一週間、時間が空いたのであげさせていただきます。年末年始でお忙しいかと思いますのでどうかご無理なさらず…!もしお暇ございましたらお返事いただければ幸いです。まだまだ寒い日が続きますね…暖かくしてお過ごしくださいませ*
こんばんは、あけましておめでとうございます……!
お察しいただいたとおり、年末年始のあれこれでバタバタしてしまっておりました。連絡もせず申し訳ない。
それでも最近落ち着いてきたので隙間時間にロルをこまごま練っていたのですが、実は恥ずかしながら、「これ無言で随分空けてしまったけれど大丈夫だろうか」「さすがにもう遅すぎるか」「初めの肝心な時期にこれでは……」などととうだうだ悶々するうちに完成できずにおりました。ノナメ様からの温かい言葉を見てそんな場合ではなかっただろうお前!とめちゃくちゃ恥じ入っております。そしてそれ以上に安堵と感謝の念を抱いています、本当にありがとうございます……。
今週末をめどにお返ししますので、どうか今しばらくお待ちくださいませ!朝夕は特に冷えますね、ノナメ様もほかほかのお風呂やふかふかのベッドであたたかくしてお過ごしください。
こんにちは、度々失礼いたします。
どうしてもリアル事情が厳しく、もうしばらくロルをお返しすることができなさそうです。本当に申し訳ございません。
せっかく結んだ素敵な物語ゆえ、お待ちいただけるのであればいつか必ずアレクの帰宅シーンを投稿しますが、初めからあまりに長引いてしまっているので、いっそ打ち切りたい……という思いがございましたらその意に沿うようにいたします。
待たせるばかりではしのびないので、取り急ぎ現状報告をさせていただきました……!
こんにちは、ご連絡ありがとうございます*
左様でございましたか。いえいえ、どうかお気になさらないでください…!もしプレッシャーになってしまったら申し訳ないのですが、実はねむ様との交流の中で、ご本人様にもアレクさんにもそして紡がれる物語にもすっかり心奪われております。その気持ちのあまり、先日は催促するようなご連絡を差し上げてしまい申し訳ありませんでした。
それと、こちらの初回で「こうしてほしい」などご希望ございましたらお教えください…!お恥ずかしながら、真っ暗闇からの開始とは些か奇妙すぎるのでは…?と投稿してから気付きまして……。
重ね重ねになりますが、こちらのことはどうぞご心配なく!何よりもリアルが大切ですから、お身体壊されませんようお気をつけてお過ごしくださいね。シャルと洋菓子でもつまみつつ、ここでゆるゆるお待ちしております。いってらっしゃいませ。
──その人はかつて、最愛の存在だった。
生活苦のせいで日に日にやつれていく彼女を見れば、どうにかして助けたい、そう思うのも必然のこと。
親父の稼ぎだけでは足りない。長く厳しい季節労働、おまけに狭苦しい車中生活では、到底からだが休まらない。
なら、俺が金を稼げばいい。学校など二の次だ。少しでも生活の足しにして、贈り物だって買おう。すべてはもう一度、あの人の笑顔を見るため。また抱きしめてもらいたかった。
そんな、無垢な子ども時代。
けれど、あの人はいなくなった──俺に瓜二つの、双子の弟だけを連れて。
家には怒号と、混乱と、寒さだけが取り残された。
──────────
……、くだらねえ。
(長く耽っていた物思い、しかしそれを振り切るように、小さく鋭いため息をひとつ。漆黒のクライスラー300を片手ハンドルで操作しつづけるまま、もう片方の手でジタン・カポラルを咥え、ライターで火を点けた。広がる苦味、肺に煙が降りる感触、脳に染み渡るニコチンの味。心地好い──己を取り戻していくのがわかる。
そうだ、この心の乱れはあくまで、今回の標的のせいにすぎない。富豪の息子だというあの男が、数年前に見つけたミゲルと同じように検察官をしていて、背格好もよく似ていたから。だから連鎖的に思い出しただけ──時が経てばどうでもよくなる。
それでも念には念をと、車内の音楽プレイヤーを再生し、ふとすれば脳内に蘇りそうになる情景をロックで無理やりかき消した。ストリングスを利かせた特徴的なイントロに続くのは、どこまでも爽やかな男性ボーカルの歌声。エルサレムの鐘にローマ軍の聖歌隊といった、華やかなモチーフのサビに差し掛かるころには、気分もだいぶ和らいでくる。
歌を聴くのは好きだった。本や映画も同様に、自分の人生を彩ってくれる数少ない楽しみだ。今夜で受注分は一旦すべて片付いたことだし、久々に何かゆっくり観ながら夕食にするのもいいかもしれない。何がいいだろう、弱冠28歳のスピルバーグが手掛けた世界一有名なあのサメ映画か、カメラが初めて森に入ったとまで評された日本のあのクロサワ映画か。
そんな計画はしかし、レジデンスの車庫に車を入れてエレベーターを上がり、玄関に着いた瞬間霧散した。……古典的な方法だが、念には念をとドアの隙間に木の葉を挟んでおいたのだ。それが見当たらない。管理人が勝手に立ち入ることなどなければ、構造上、風に吹かれてなくなることもないはず。つまりは──誰かがドアを開けたのだ。
究極まで無駄な思考を削いだ頭をフル回転させながら、煙草を捨てて踏み潰し、数時間前に使った拳銃の薬室を確認する。弾丸は残り4発。先手を取られなければ、制圧にはおそらく充分。
肚を決め、案の定鍵の掛かっていないドアを警戒しながら押し開いた。電気はついていないが、真っ暗ではない──奥の方に薄明かりが見える。後ろ手にドアを閉め、安住の地ではなくなった我が家に足を踏み入れる。突き当たりの正面には黒いジャケットにジーンズ姿の男が仄暗く浮かんでいたが、鏡に映る自分だとわかっていた。リビングルームのソファーからその鏡を見れば、玄関の来訪者を確認できるようにしたからだ。つまりはあちらも鏡さえ見れば気づくはずだが、その気配はない……耳を澄ます。カタカタという音が聞こえる。タイピング音か?
一歩、二歩、三歩、五歩、七歩。足音と息を殺して辿り着き──様子を伺い──最小限の家具以外置かれていないがらんとしたリビングルームで、ついにそれを目にした途端。銃口こそ降ろさなかったものの、気配が漏れ出るのもとどめられずに絶句した。暗闇に沈んだそこには、白く小さな、やけに造りものめいて見えるかんばせが、ぼうと浮かんでいたからだ。
見知らぬ女だった。顔を照らしているのはノートパソコンの液晶画面で、女は床に座り込んだままそれを一身に眺めている。ゴシックドールとでもいえばいいのか、ある種のカルチャーにあるデザインとは知っているもののまるで馴染みのないその姿は、まるで精巧に造られた愛玩人形のようで、人間味が感じられない。
だれだ? なんだ? そんな気配は感じられなかったが、この無防備な様子を見るに、外に仲間がいるのか。いったい何のために──こんな……妙な雰囲気の女が。)
大変お待たせいたしました……!
様々なお返事、またシャルと洋菓子を……というお言葉から、ノナメ様もこの物語に愛着を持っていると知り、温かい気持ちになりながらアレクについて再考察してまいりました(その辺りで更に時間がかかってしまいました、申し訳ない!)。
初回についてはこのままで大丈夫です! 奇妙な出会い、こちらとしてはむしろウェルカムでございまして。この通り、よもや曲者かと色めきたっていたアレクが、まさかの美少女人形(※人形ではない)出現に思わずぽかんとしております。なんなら若干のホラーだった様子……。
とはいえシャルも銃を向けられているわけで、とりあえずはお互いに誤解をとくところから開始になりそうですね。このあたり、アレク側で「子守を頼むかもしれないという話はギャランテから聞いていた」「ギャランテの飼うハッカーのひとりにペーチャと呼ばれる者がいる」「マフィアもIT戦を迫られるこのご時世、ギャランテはペーチャの腕を(彼女のポリシーにやきもきしつつも)重宝している=アレクは遇さざるを得ない」などの前提知識を有していることでスムーズになればと思っております。
また、シャルがギャランテの雇われ暗殺者に過ぎないアレクの家に身を寄せることになった経緯について、「ギャランテ内部の人事及び不動産関係が警察の捜査を逃れる目的でごたついており、有能だが扱いにくいお抱えハッカーに必要以上の厚遇もできず、とりあえず信用のおけるギャランテ外部関係者のアレクに丸投げすることにした」……みたいなものでいかがでしょうか。
またロルの字数について。初回故長くなりましたが、こちらもテンポよく回すとなると200~400字程度(今回のロルでいう1~3段落程度)になる予定です。マンモスロルも大好物なのですが、長ければ長いほどシャルとの絡み部分の比重が減ってしまう問題もあるため、モノローグや情景描写、回想などを必要としない通常のシーンでは、行動や感情変化も短くまとめて打っていきたいと考えております。
最期に、アレクの設定について少々追加・変更を。
【追加】コードネーム:クラネオ
【追加】書類上の偽名:サウロ・フリアス
【変更】幼い子どもを殺すのがトラウマ:掘り下げるうちに違和感を感じたため削除。そこまでの倫理観はない。ただし、「寂しそうな眼をした貧しい子ども(=幼少時代の自分)」には、多少目をかけるところがある。
【変更】動揺する標的:弟ミゲルに似た子どもや大人。「母に望まれた」ミゲルへの妬みを代償的に晴らせる一方、「母に望まれなかった」己の劣等感を自覚してしまうため。大人になったミゲルのことは、数年前に偶然見かけてから調査して知っている。もっと暴けば母親のもとにも辿りつけるとわかっているが、そうしていない──会って問い詰めたいが、どの果てにきっと殺してしまうとわかっているので。
(暗いところで液晶をみないように、という教えは数年前から彼女の頭にはなく只画面に没頭していた。こちらへ来てから何にも信を置かず、雇い主であるギャランテの内部情報でさえ筒抜けに集めたデータブックには「妖精エアと死のワルツ」の譜面のごとく文字が羅列している。そこからこの業界での名__クラネオを摘み上げたところで身を脅かす危険を背後に感じ取った。PCはたちまち夜と混ざり合い、即座に不審者への集中と分析のマルチタスクが開始される。部屋の構造的に対象との距離は十歩もないだろう。その位置で停止している状況を鑑みると恐らく警戒状態か。僅かな思考時間に暗順応は完了した。注意を高めぬようゆっくりと顔を回して相手を一瞥し、その背格好から本人であろうと解を導き出す。ならば邪魔の挨拶をば。緩慢に立ち上がり振り返って、そこで漸く自身に向けられた敵意を認識した。)
___あら、
(声にならぬ声。不明な感情を纏った残滓がその唇より零れ落ちる。月の光でも差せば一瞬の少女らしい表情が見られたかもしれないが、夜の帷はすっかり落ち切っている。底抜けしそうな闇へ踏み出してアン・ドゥ・トロワ。いつか画面の向こうで見た景色だ、恍惚な色を浮かべた彼女はその額を銃口にあてがった。そして端正な顔立ちを視界におさめると礼儀とも挑発とも判別つかない笑みを浮かべる。スカートの裾を軽く持ち、ちょこんと一礼。)
ご機嫌よう、お邪魔しているわ。
わたしがペーチャよ。ギャランテから話は聞いているでしょう?
こんばんは~*
ご考察でさらに素敵になったアレクさん、早速堪能させていただきました (早)
よかったです~!そうですよね、確かにパッと見の印象は日本人形とかでしょうから別の意味でも衝撃的な出会いになったかと思います( )
アレクさんの前情報と経緯のご提案、ありがとうございます…!とても良いと思います。是非そのようにお願いします。
炉留について承知しました~!ついつい書き込みたくなってしまう性ですが、アレクさんとの絡みのためにもできる限り調節する方向で回そうと思います。(わくわく)
アレクさんの追加変更点についても把握いたしました。初回で思いっきり本名踏み抜いてしまいましたが ( ) 、偽名を読み上げていたという風に変更させてもらえればと思います。お互いの本名を明かすイベントがあっても面白いかもしれませんね~!
最後に申し訳ないご連絡なのですが、一月中盤から二月頭にかけて予定が立て込んでおりましてお返事をお待たせしてしまう可能性があります。二月の第二週目からは平常に戻ると思いますので何卒ご容赦いただけますと幸いです…!
(暗殺稼業という職業上、死線を潜り抜けるような事態は今まで幾度となくあった。ゆえに、ほんの数秒油断するだけで如何に容易く死にかけるか、骨身にしみていたつもりだ。
──ならばこれはどういうことか、と己の失態に狼狽する。気づいたときには、すぐ目の前に女の姿。薄闇の中でもわかるほど鮮やかな紅を引いた唇、そこに妖しげな弧を描き、やけに優雅な淑女の礼をとっている。あろうことか、その気になればこちらの喉を掻き切れる距離までの接近を許してしまったということだ。
その危機感が、揺らいでいた頭をかえって冷やし、常の理性を取り戻させた。彼女の名乗りを聞き取るなり、す、と目を眇め、差し向けた銃口を決して外さぬまま低い声で問答。思い当たる件が脳裏を掠めてはいるが、信用するにはまだ早い。実在するギャランテ独自の照合方法、そして居もしない即興の人間の名を涼しい顔で織り交ぜながら、真偽のほどを推し量って。)
……明確な事前連絡は入っていない。アニエロからコインは預かってきているか?
あんなにも早くお返事をくださっていたとは夢にも思わず、再び遅くなってしまいました! すみません……!
諸般の採用や把握、ありがとうございました。文中に登場するコインでの確認方法ですが、ふんわり出したものですので、ノナメ様のほうでお好きにつくりこんでいただいて構いません。
また本名の件ですが、元々彼女のハッキングスキルの高さを裏付ける要素としてそのまま本名にしていたためお気になさらず! ……と言おうと思っていたのですが、本名打ち明けイベントが天才すぎる発想なのでぜひその方向でお願いいたします(単純)
ご多忙の旨もかしこまりました! 先にこちらが何度もお待たせしている身ですし、むしろ明確なご予定を教えてくださってありがとうございます。現実生活でご自身を労わることを第一に、お気兼ねなくゆとりをもってお過ごしください。こちらもアレクとともに映画をおんびり鑑賞しながらお待ちしております。
※こちら、ふと思い立って書いてみた幕間のようなものです。時系列は、初対面時の数時間から数日後。捏造が多々ありますが(なのでアレクについてもこの先ノナメ様側で捏造いただいて全然大丈夫ですむしろ大歓迎です)、これからシャルと親しくなって彼女に甘くなっていく前のアレクの様子のひとつとして、暇つぶしにでもおつまみください。
完全趣味ゆえ、ご感想やお返しを求める類のものではございません。先ほど投稿した背後の挨拶含めて蹴り可ですので、お気遣いなく!
──────
「厳密にはうちの女じゃないから、いくらでも手はつけ放題だぞ」
遠くくぐもって聞こえる喧騒の間から、笑いの滲んだ声が聞こえた。
直後に銃声一発。電話越しでも耳をつんざく甲高い悲鳴が上がり、ガラスの砕け散る音が響く。
「その辺りの〝お代〟も踏まえたうえでの人選だからな。だがくれぐれも、使いものにならなくするのだけは勘弁してくれよ。あれでもかなり重宝してる」
「……あのなりを見て、そんな気を起こすものかよ」
煙草の火を灰皿で潰し、ため息一つで苛立ちを押し殺した。
ギャランテのなかでもこいつは比較的に気さくな男だが、それが過ぎてかえって疲れるのも困りどころだ。
ソファーに腰を下ろし、こめかみに手を当てる。
「御託はいい、さっさと話せ。ペーチャはどういう人間だ?」
「19歳。ルーツは日本。7、8年ほど前だったか、『スピーヴ』で自分をオークションに出してたのを、シモンが拾いあげてきた」
「ダークウェブの人材販売サイトか。……そのころはまだ子どもじゃないのか?」
「そう。日本の養護施設の化石みたいなパソコンから、死ぬ気で這い出てきたらしい。あれは絶対に捕まえておけってあいつがうるさいもんで、わざわざ面倒な養子縁組や袖の下を通してまでこっちに引っ張ってきたんだよ。でもま、大正解だった。4年前のあの大掛かりな脱獄作戦の軍資金、だれが調達したと思う?」
「……」
心当たりを覚え、当時の記憶を細かに探る。
あの頃は確か、デンマークの大企業の口座から一億ドル相当の金が消える事件があった。手垢も足跡も何一ひとつ残さない完全犯罪、しかしその企業の不正のオンパレードを白日の下に晒す置き土産だけが堂々残されていたこともあり、随分世間を賑わせていた。
だがあれは、半年ほど経って、世界的に有名なハッカー集団の仕業だと警察が結論付けていたはずだ。
「察したな」
愉快そうな声。同時に、相手が立ち上がった気配がし、移動する物音も聞こえてきた。
向こうが随分騒がしいからだろう。手負いの獣めいたひとりの男の呻き声、それを冷やかすような複数の笑い声、それに何やら金属棒やらドラム缶やらを扱っているらしい音が、こちらにもずっと届いている。
響き具合からして、通話相手がいるのはどこかの広い室内らしい。が、そこで何をしているのか邪推するのは放念しておくことにした。
「あれの立役者がペーチャだ。彼女のそういう実績は、ほかにもいくらでもある。ここで言えないようなものもな。おまけにプロ意識も一流だ。仕事を落とすこともなければ、成果は毎回120%以上のものをきっちり仕上げてくる。ハッキングとクラッキングにかけちゃ掛け値なしに天才だよ。ま、問題がないわけじゃないが」
「というと?」
「甘ちゃんなんだ。惜しいほどにすこぶる甘い。彼女はうちの飼い猫になって尚、人の心を捨てまいと頑張って、自分の有能さを盾に仕事の選り好みをしてる。そのおかげで古株のハッカーと食い合いにならずに済んでもいるが。しかしまあ、いかんせん健気だよなあ……どうせいずれは火付け役に慣らされるしかないのにさ。うちに関わるってのはつまりそういうことだって、早く学んでほしいもんだ」
「……なあ、嫌な予感がするんだが」
「おまえの物わかりの良さを、俺は本当に愛しているよ」
思わず眉間に皺が寄る。額に手を当てながらうつむき、深く長く息を吐いた。
、、、、
「その辺の情操教育までやれと……?」
「絶対ではないさ。その辺りはきちんとした依頼じゃないから、大した結果が出なくても別に問題はない。ま、お上はそれを期待しておまえを選んだみたいだ、ってのも否定はしないが。いったいどうやってあの爺さん連中を誑し込んだんだ? 俺にも教えてくれよ、おまえのそういう手練手管」
「死ぬほど面倒くさいんだが……」
「諦めてくれ。ペーチャに必要以上の金をかけるわけにもいかないんだ。少なくとも2ヵ月はおまえのところにいさせなきゃならない。何せ、ヘマやらかしたバカの尻ぬぐいでこっちは大変でね。今もヤキを入れてるが、それでどうにかなる問題じゃなくなっちまってる」
ああ、と妙に合点がいった。鈍く響いている苦悶の声に聞き覚えがあると思ったが、道理で。
今拷問されているのはギャランテの下っ端だ。名前は覚えちゃいないが、何度か顔を合わせたことがある。自分のファミリーのやりかたをよく知っているだけに、自分がどういう末路を辿るか否応なくわかってしまい、恐怖のどん底にいるのだろう。……同情はまったく沸かないが。
「そういうわけで、しばらくはそっちで頼む。どうせお前も休みに入ってるんだろ。ペーチャのほうにももう数日は仕事を振ることもないから、彼女とゆっくり過ごしてくれ。というか、今彼女はどうしてるんだ? 家だろ?」
「シャワー中だ。じゃなきゃさすがにこんな話はできやしない」
「女のシャワーは長いっていうよな。なあ、彼女は歴代の中で何番目くらいになるんだ。ジャクリーンが2時間とかだったよな?」
「……とりあえず、ペーチャについておまえが言える情報はこれくらいということでいいか」
「まあな。彼女はあくまで飼い猫で、うちの身内じゃない。だからとりたてておまえに隠しておくようなこともないよ。ああでも、ひとつだけ」
相手が歩きだした気配。そういえば、呻き声が途絶えているのにふと気づいた。ほかの男たちの笑いさざめく声もしない。
「ペーチャはどうにも不安定なところがあるらしい。俺が直接見たわけじゃないが、過去に引き取らせたうちの人間の何人かからそういう報告が上がってる。養護施設育ちだし、まあそういうことなんだろう。自傷癖はないみたいだが、衝動的にいろいろ壊したこともあるという話だから、怪我は──特に両目と両腕だけは──させないよう心がけてくれ。折檻の程度は任せる」
真剣に聞き入っていた次の瞬間、ぱあん、と高い打擲音がした。次いで、先ほどまで私刑を受けていた男の、喉を振り絞るような情けない絶叫。まだ生きていたらしい。
顔をしかめ、携帯を少し耳から離す。
「……聞かずにいようと思ってたが、何してるんだ」
「ん? これか、そうだな。それこそ折檻だよ、愛ゆえの。俺がわざわざ出張ってきたのも、このお楽しみのためだけだったわけだしな。ほら、締まりが悪いと気持ち良くないの、おまえだってわかるだろ? まずは何度か鞭打って──」
「いい、いい。やめろおまえの変態話は。クソ、最後の最後で大事な話をしやがって……とにかく、わかった。もう切るぞ」
「ああ。再来月に飲みにでも行こうぜ、アレク。お互いの──今夜の──お楽しみの話でも──しながら──」
再び繰り返されはじめる、打擲音と男の悲鳴。聞き苦しさのあまり、何も答えず、無言で通話を切った。……耳を削ぎ落したい気分だ。
おまけに頭も痛かった。突然の来訪を受け、責任者の権利としてこうして確認してみれば、やはりペーチャは厄介な性質の女らしい。
情緒不安定な女、とはいえ雇い主の重宝する相手。そんな人間の面倒を見なければならないのは、正直気が重かった。彼女は文字通り世界を股にかけているのだ、桁外れの有能さを推し量れるだけに質が悪い。簡単に追い出してしまえたら楽なものを。
ため息をつき、天井を仰いだ。しばらくそうしていたのち、そばに置いていた箱を拾い上げ、ジタンの新しい一本を取り出す。
ライターで点火。深呼吸して、心地よいむず痒さをもたらす煙を肺のなかに満たしていく。目を閉じ、深く味わいながら、己のなかに澱のようにたまった雑念とともに吐く。ぼんやりと眺めてみればれば、白い渦はかすかな気流に乗って部屋の中を流れ動いた。……浴室の方へ。
「……」
切り替えるしかないと割り切る。どうせしばらくの辛抱だ。ギャランテのほうが落ちつき次第、新しい居候先のほうへ出て行ってくれるだろう。
しかし、それまでは自分の責任下。とりあえずなにか食わせるか、と重い腰を上げた。冷蔵庫にベーコンや卵が残っていたはずだ。パスタ一品で充分だろう、などと考えながら、キッチンに入っていった。
──────
>あのなりを見てそんな気を起こすものかよ
☆紛うことなきフラグ──……!
……へえ、聞いたことない名前。もしかして別のおうちのパパ?
(己の生殺与奪を握られていて尚、人形めいた少女はその瞳を愉快げに動かす。半月の中に閉じ込められた射干玉は、黒の純度でいえばまだ世を知らぬ幼子のソレのよう。勿論、『アニエロ』という名の人物がギャランテにおいて虚偽の存在であることは理解している。只、目前の暗殺者は『雇われ』。覆面の可能性も完全に否定はできない。故に無邪気な視線を巡らせ、自然な疑問を装って言の葉を返す。続いて「そうでなくとも飼い主の名前を違えるなんて、とんだ駄犬ね」と零した。とは言えど相手の言葉が完全に偽かとなると答えは否。指摘されたコインは確かに所持している。電波飛び交う時代にアナログ手法、しかもこんな安易な物品とは何処か馬鹿らしさもあるが、上の爺たちはやけに信を置いている。終いにはこの男も たかが金属円盤一枚を頼りにしているのだから行先が思いやられるのはある意味事実だ。間違っても一緒に堕ちることはないけれど。後ろに手を組むと質問に返答する。要求されたものもお目にかけよう。ただし文句と条件を添えて。)
コインね、ええ持ってるわ。でも渡す相手は決まっているの、知らない人には渡せないわ。
それに……客人の来訪にはせめて出迎えの言葉くらいあるものと思うけれど。この銃は歓待のお心算かしら?
夜分に失礼いたします~*
丁度一段落したところで素敵なお返事の数々を頂戴して、幸な気持ちなりました~、ありがとうございます!
そして予定が思ったよりも早く片付いてしまったので、お返事も平常に近いペースでできそうです。温かいお言葉ありがとうございました~!お菓子持って行きますのでみんなで映画パーティーでも催しましょう!( )
本名イベントについて承知しました!シャルへのご配慮もありがとうございます。折角なのでここのニュアンスの変更で「幹部やお偉い方、危険人物、同業者の情報は粗方調べ尽くしており、その他構成員についてはまだ基本情報のみ(いずれ手をつける予定)」という体にしていただければと思います…!電子レポートやオーダーなどの連絡網はまるっとハックしているイメージです。非常に私特(シャル得)な設定ですが…よろしくお願いいたします。
葉っぱやコイン、ねむ様の用いられるモチーフはどれもオシャレでその都度背後がウワ~~~~~~!!!と悶絶しております(合掌)……一つ質問があるのですが、このコインはギャランテ内における証明書的なものでしょうか…?それとも今回限定のものでしょうか……?
幕間、拝読いたしました。シャルとの交流外でのアレクさんを覗き見することができて終始ニマニマしておりました( )
また、ねむ様の中でシャルが可愛がられているのが感じ取られて、とても嬉しい気持ちになりました~!!浅い闇に漂う子猫、この業界だからこその純真無垢という捉えられ方が解釈一致で頭抱えました……。いいように利用されて絶望しているシャルも見たくなりました…( ) このように素敵に綴っていただいて本当にありがとうございます……!!(親馬鹿)
アレクさんの気になる台詞然り、個人的には、『白い渦はかすかな気流に乗って部屋の中を流れ動いた。……浴室の方へ。 』の箇所がオシャンと情緒が溢れ出ていて、この文章を拝めただけでも幸せ者です、ありがとうございます…………………(土下座) 『今夜のお楽しみ』も唆られるワードで、その後を想像するだけでエヘエヘしちゃいますね……( )
後半は重度気味なオタクと化してしまいましたが( )、素敵な物語をありがとうございました…わたしはねむ様のオタクです……、こちらもアイデアの産声を聞き次第幕間や独白といった形式で少しずつ紐解いていければと思っております……!
ところで『シャワー』というお言葉でふと考えたのですが、ノーメイクのシャルとの邂逅って、アレクさんにとってはかなりカルチャーショックだったりギャップを感じたりするでしょうか……?もし需要あれば教えていただければ……!
……、いいだろう。そこに掛けろ。
(こちらのかけたはったりを、しかし女は笑みながらさらりと唾棄。嘘の在りかを正確に見抜いているのが否応にもわかる声だ。しかも女はそれだけでなく、彼女のほうでもこちらをただでは信用しない、という堂々たる態度を返してみせた──大した度胸の持ち主と言えよう。
少なくとも、直近の危険はない。そう見て取り、銃を下ろすと、そこで初めて彼女から視線を外した。壁際のスイッチを押して部屋の電気を点ければ、薄橙のナイトランプで照らされたそこには、カーペットの上に男ひとりが寝そべれるほどの大きさのソファー、ローテーブル、座椅子がひとつ、向かいにテレビ、その横に小棚。すべて質の良い暗い材質と色調でまとめた、ごく簡素な空間が広がる。
とりあえずは手で示して女に座るよう促し、自分も座椅子を引き寄せて真向かいに腰掛ける。開いた両膝に肘を預け、やや身を乗り出したそのままに、彼女の黒い瞳をまっすぐに捉え。胸元から取り出した古い金貨を机上に置き、彼女の方へと滑らせる──おそらくペーチャは、雇われの暗殺者が与えられている今の数字かも知っていよう。)
ギャランテの専属〝技師〟、クラネオだ。この家はモレロの厚意で、サウロ・フリアス名義で借りている……代わりに、向こうの都合次第で人の面倒を見ることもある。
俺のがこれだ。そっちも出せ。交換して数字を確認、それでいいな。
お帰りなさいませ! 喜んでいただけたようで何よりです。またお忙しい件が早いうちに片付いたとのこと、おめでとうございます、お疲れ様でした! 物騒な舞台の裏で背後も含めのんびり過ごせて、やりとり開始以来とても和んでおります。
ニュアンスの変更、了解です。その辺りの設定はこちらがアレクを動かすうえでほとんど支障がございませんので、この先も追加・変更・削除のいずれもお構いなく。また個人的な考察として、ハッカーとしての専属の暗殺者を長期で雇えるギャランテは枝葉の大きなファミリーでしょうから、末端の構成員まで含めれば2000人ほどの規模ではないかとみています。
コインについて、文中でも少し匂わせましたが、一応の背景として以下を考えておりました。なのでシンプルに回答すると、ギャランテ独自の本人確認方法です。が、いかんせんふんわりとしたイメージですので、シャル側における別事情設定や改変など、是非お好きにしていただきたく!
・1900年代に贋金造りをしていた名残でファミリー独自のコインを所有し、数量限定で保管・配布している(末端構成員には決して配られない)。新規の製造はもうなされていない。ひとりが自分専用の1枚を長年保持することもあれば、機密保持のため定期的に交換させたり、或いは必要に応じて一時的に所持させてから返還させたりするケースもある。いずれもギャランテ上層部における権力や重要度に依る。
・表面にはファミリー創設者の肖像。裏面にはファミリーの紋章のほか、三桁の続き番号を打ち込んでおり、いざ提示させた際にギャランテ上層部が割り振った番号と所有者が一致しなければ、何らかの問題が発生したとわかるようになっている。
・続き番号によってコインの意味が若干異なる。特定の台の数字であれば、ギャランテ若頭、幹部、もしくは彼らに信頼を置かれた者である証であり、野心ある者にとってその数字のコインを得ることがある種の象徴でもあった。ただしこの数字は、やはり機密保持のため一部例外(特定の権力者、または名誉として永遠にその番号の所有者が定まった場合)を除き不定期で変更される。同様に、ギャランテに認められたという証ではなく、ギャランテ専属の外部の人間であることを示す桁も存在し(これも不定期で変更される上、若頭や幹部のコインと混同されない数字であれば、象徴する数字の桁は十の位や一の位であることも多かった)、このコインは信頼の証というより本人照合の意味合いが強い。
そして幕間へのご感想、ありがとうございます。相も変わらず驚くほど速く返してくださっただけでも嬉しいのに、お褒めの言葉の数々があまりにも冥利に尽きます……。アレクとシャルの物語はノナメ様とだけ共有して楽しめるものですので、この先も筆を遊ばせたいときに気まぐれに書くつもりです。ノナメ様のも楽しみにしております……!
シャワーについてですが、おそらくシャルとの好感度によるのではないだろうかと考えています。常に気だるげな上最近恋愛に飽きてすらいたアレクは、女性に対し男のロマンを強く投影するタイプではなさそうな……。普段のシャルを見知っているため「一気に地味になったな」という失礼な考えはナチュラルに持つと思うのですが、元々シャルは顔立ちがかなり整っているでしょうし、好感度が低い状態でも、初見の印象を不気味がっていただけに「こっちのほうが人間味があるな」くらいの感慨かもしれません。
無論、シャルのことを気に入るようになってからはメイク姿も素直に綺麗だと捉えると思うのですが、すっぴんに関してもこう……メイクを落としている=そのまま寝落ちる準備ができている=一晩中付き合わせて美味しい思いをしても構わない、的な意味を見出すようになるのではないかと()。
>また個人的な考察として、ハッカーとしての専属の暗殺者を長期で雇えるギャランテは枝葉の大きなファミリーでしょうから、末端の構成員まで含めれば2000人ほどの規模ではないかとみています。
「ハッカーとしての」は「ハッカーや」です。他にも誤字はございますが、文意を損なう程度の大きさを見て、取り急ぎこちらのみ訂正いたします。
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