トラノコ 2021-10-09 01:38:13 |
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ゾロ
ダンベルを動かす手を止めると浮かび上がるあいつの顔。あいつの事が頭から離れねぇなんて俺はそうとうおかしくなっちまったらしい。あの日珍しく二人で酒を呑んだ日だ、俺は酒に呑まれねぇが、徐々に赤くなるあいつの顔からどうも目が離せなかった。いつも喧嘩か罵り合うことしかしねぇのに、この気持ちはどうしたことかなんて考えてたら聞こえてくるあいつの声に耳を疑った。…どうやら同じ気持ちだったらしい。酒もほろ酔い程度で顔つきも随分真剣だから冷やかしじゃねえ事は分かる。「奇遇だな、俺もお前と同じだ。」なんて言うと自分から言ったくせに俺の言葉に驚くあいつに思わず頬が緩みそうになる、まぁ可笑しくもねぇか。あんだけ喧嘩してる野郎二人が今では恋人同士なんだからよ。
…だがあいつとそういう関係になってかららしい事は一つもしてねぇ、やっぱりあいつはあの時本気じゃなかったのかなんて女々しい事考えてる自分に腹が立ちながらも、あいつの事を自然に目で追ってる自分にまた腹が立つ始末だ。トレーニングなんざ、もちろん集中できねぇわけで。…参ったな、なんて呟く声が空に消えていく。
ある日、昼寝をしてたら横腹を軽く小突かれ不機嫌そうなあいつの声で目が覚める。どうやら俺にわざわざ飯を持ってきたらしい。…散々寝てた俺は気分が良いせいか、たまには素直になってみるのもアリだなと思い礼を言う
「悪ィな、メシ」
先レスありがとうございます!小説描きの方がやりやすいので助かります。なにかご指摘あればお申し下さい。
そつなんですね!分かりました!
サンジ
いくら犬猿の仲といっても敵の察知能力は高い男だ、近くに寄ろうものなら斬り伏せてくるだろう。そう考えると軽い小突き攻撃のためとはいえ無防備に寝顔晒したままなのは気を許している証拠で受け入れられているという実感ができて嬉しい。なんて思いながら隣にメシを置いて主に船長のせいで戦場となっているであろうダイニングに戻ろうと腰を折ったところにだ、ゾロが薄ら目を開けた。隻眼になってしまった今でも真っ直ぐ前を見据える光を失わない瞳がゆっくり動いておれを映す。その瞬間にドクン、と体全体が揺れてしまいそうなほど大きく心臓が鳴り咄嗟に視線を地面に逸らした。料理を置いて、動揺を誤魔化すように鼻で笑うとゾロに顔を向けないまま体勢を正し「はっ、テメェから礼なんざ気持ちわりぃな」と水平線を見つめながらタバコを取り出して火をつける。すうっと煙を吸って吐き出し、それからやっとしまったと思った。冗談でもコイツが気に食わねぇ相手に好きだと言うはずなんてない、これはゾロからの歩み寄りなのだと気がついたもののいつも通りが口から出てしまっては後に引けないという気持ちが非常に厄介なのである。咥えタバコのままどかりと隣に腰を下ろせば極力ぶっきらぼうに声のトーンを落として
「ったく、わざわざ持ってきてやったんだ。さっさと食って感想くらい聞かせろ」
ゾロ
メシを置くとぶっきらぼうな言葉と裏腹に少し嬉しそうな顔をしてるあいつから目が離せなくなるが、誤魔化すようにメシに目をやる。
…俺もまだまだガキだな。
隣に座りタバコを吸う姿に見とれそうになるのを誤魔化すように 「なァ、メシ食わしてくれねぇか」なんてあいつの座る横でまだ体制を変えてない状態で言うもんだからあいつの顔はハッキリ見えねぇが、本当のところあいつの表情や反応がどうも気になる。
自分から言っといてなんだが、恥ずかしくなりガシガシ頭を?くと体制を整え「…どうやら暑さのせいでおかしくなっちまったらしい。気にすんな。」なんて誤魔化すようにメシに手をかける。
サンジ
メシを食わせてくれ。そう言われ「あァ?メシなら食わしてんじゃねェか」と言われている意味がわからずにやっと視線をゾロに向けて答えるとゾロが下手くそな態度で誤魔化しを口にするものだから、あー。そういうこと…と心の中で納得する。今日はどうしたのだろう、甘えたい日なのだろうか。コイツにもそういう時ってあるんだなぁ。と咥えたままのタバコをふらふらと上下に緩く遊ばせながらぎこちない動きのままメシを口に運ぶ姿をぼんやり眺める。甘えたいなら、そう言えばいいのに。そうすればおれはお前をうんと───そこまで考えて止めた。素直に甘えたい、触れたいと伝えるのがおれ達の間ではとんでもなく難しいのは知っているから
「ゾロ」と呼んで手を伸ばす。指先が僅かに触れる程度に頬に触れてするりと撫で、少しくらいおれもコイツに貪欲になってもいいのかもな。などと考えながら、ふ、と柔らかい笑みを浮かべ
「食わせてやるからさ。夜、キッチン来てくれよ。お前の好きなモン用意して待ってるから、な?」
ゾロ
どうやらあいつは俺の言葉を理解してねぇみたいで、自分で言った言葉が蘇り顔が赤くなりそうになるのを必死に抑える。あいつの前ではどうも俺はおかしくなる、それも相当だ。気を逸らすためにあとでルフィと釣りでもしようかと考えてると伸びてくるあいつの手。俺の名前を呼ぶ声、初めて見るんじゃねぇかと思うぐらい優しい顔に思わず頬が緩みそうになる。だが、俺は負けず嫌いだ。なんだかあいつの大人びた行動に負けた気がして、頬にある細い手首を掴み近づけ同じように、ふ、と笑みを見せる
「…へぇ、俺の好きなもんか。期待していいんだろうな?」
サンジ
不意に手首を掴まれて驚いていたところを強く引かれ、突然のことに体勢が崩れた。咄嗟に掴まれていない方の手を倒れぬようについたがあっという間にゾロとの距離が急激に縮まって眼前にはゾロの顔がある。恋する乙女じゃあるまいしと思うだろうが惚れた弱みだからとでもいうのだろうか、それだけで顔に熱が集まるし簡単に調子なんて狂わされる。キスだってしていないからこんなに近くで見るなんて初めてで、まつ毛が長いとか唇が薄いとかそんな感想を抱きながら視線を彷徨わせる。するとその唇が小さく開き口角が上がったかと思うと挑発的な言い方だがいつもの口喧嘩に発展するようなものではなく言葉の通り、期待している。そんな口ぶりだった。そんな風に言われちゃあ期待以上を与えてやりたいと染みついたコック本能が騒ぎ出すというものだろう。それと同時にバクバクと忙しなく心臓が暴れだす。ヤベェ…そう思ったら顔が熱いくらいになった、掴まれている手を弾かれたように振り払い、距離をとるように後方に下がりながら立ち上がると、照れを必死に隠すためにこちらも挑戦的にビシッと人差し指をゾロに向けると声を大にして
「ったりめぇだ!おれを誰だと思ってやがる、テメェを満足させるくらいわけねェ!覚悟しろよ!!」
そう告げると大股でその場を去る。こんな顔でダイニングの皆の前に出るわけにはいかず隣の医務室に逃げ込んだ。恥ずかしいほど取り乱しちまったのはわかってるがそれ以上に夜が楽しみで、早く独り占めしてぇとさえ思う。本当に重症だ
ゾロ
あっという間に距離が縮まり目の前には、驚いてはいるがそれ以上に薄っすら顔を赤くしてるあいつの顔がどうも俺の心を擽る。
普通ならすぐに退くなり、振り払うなりすると思うが俺の顔を上から下まで見るあいつに俺も目が離せねぇわけで。もちろん恋人らしい事をしてなければこんな至近距離になるのも初めてなわけで、好きになった以上俺の中で色んな感情が込み上げてくる。今すぐにでも…なんて思春期のガキじゃああるまいし、そこはタイミングってもんがある。
照れ隠しか、でけぇ声で俺に告げるとダイニングに戻らず隣の医務室に入るあいつにちょっとばかり安心する。これが独占欲ってやつか?今のあいつの顔を誰にも見せたくねぇ、なんて思うほどだ。
「早く夜になんねぇか。」
と、誰も居ない甲板に俺の声が空へ消えていく。
サンジ
どうにか顔の熱を鎮めてからダイニングに戻ると予想以上に混沌を極めている惨事だった。いつもならキッチンに常駐するサンジが食事となると落ち着きをなくすルフィをいなしながらおかわりをよそうのだが、長い間離れていたからコンロにかけていた大鍋ごと食い荒らしたようだ。その行儀の悪さはいつもの事だが蹴りの制裁が下ったのは言うまでもない。ルフィのおやつ無しを言い渡し、食い足りなかった他のクルーへの追加料理を作るのと荒れたダイニングのセッティングのし直し、キッチンの掃除、そしていつも通り食器の片付けに追われて、おやつの分配以外 今日は夜までキッチンに篭もりっぱなしになってしまった。そして更に約束した夜の逢瀬のための仕込みもしっかりと、だ。やっと終わった頃にはすっかり日は沈んで暗くなっていた。皆が眠る準備を始めて今しがた今日の作業を終えたらしいチョッパーにおやすみを言って送り出したところだ。昼間とは打って変わって静かになった船内の様子を感じながらバーカウンターに寄りかかり仕事終わりの一服、ふー。と長めに息を吐いて上空に長く煙をあげ忙しながらも口の端を僅かに上げてずっと楽しみにしていた時間が来るのを待っていた
ゾロ
ダイニングから聞こえる騒がしい音に若干イライラする時もあったが、今ではその音に何とも思わねぇし寧ろ落ち着く。まぁ、大体何があったか予想はつくが、ルフィがメシでも食い荒らしたんだろうよ。…しかし、コックは大変だよな、とふと考える。朝メシを夜のうちに仕込んでるのを一度見たことがある。あいつちゃんと寝れてんのか?一日だけでも代わってやりてぇとこだが、俺も含めて皆んなあいつの作るメシ以外、正直味がしねぇも同然だと俺は思ってる。そんな俺が代わったって仕方ねぇ事だ、でもいつかあいつが素直になって俺に頼る時が来たなら、俺はメシを作る。…あいつらの意見は無視してな。なんて、トレーニングしながら考えてたら気付いたらもう暗くなり始めてる。今日はどうも時間経つのが早ぇみてぇだ。あいつとの時間が迫ってる中俺の心臓の動きがいつもと違うことぐらいは分かる。なんだこの気色悪りぃ動きはよ。これじゃあ、本当にガキじゃねぇか。
風呂を済ませ、適当に拭き上げ、下だけ履いてあいつの待ってる所に向かう。
カウンターに寄り掛かりタバコを吸う姿に見惚れそうになるのを誤魔化し「…よォ」と、だけ声を掛ける。他にもっと言うべき言葉はあるが、俺の変なプライドが邪魔しやがる。
サンジ
ガチャリと扉が開く音がして首だけ動かし、やって来た人物を確認すると穏やかに笑んで「おう、来たな。」と返した。まぁ座れよとバーカウンターのイスを指し示して座ることを促すとタバコを咥えなおし、氷でキンキンに冷やした辛口の酒瓶を氷の中から取り出してトクトクとコップに注ぐ。それをゾロの前に置いてからゾロのために作った料理とつまみを準備。いつもならばそれで終わりだ、仕込みとか材料の確認とか他の作業をするのが常だが今夜は違う、キッチンから出てきてゾロの隣に座ったのだ。しかも作った料理はゾロの前ではなくサンジの前に置いている、まずは昼のご要望に答えるつもりなのだ。素直になれないのはお互い様、でもいつか先へ進みたいならどこかで踏み出さなければならない。そのきっかけは昼にもらった。だから、素直におれが伝えられる愛情表現でゆっくり、でもちゃんと恋人として変わっていくから。
スプーンで料理をすくって「ほら。」とゾロの口元に差し出して
「お前専用の味付けにして、お前のためだけに作った愛情たっぷりの料理だ。責任もって全部、おれの手から食べてくれよ、ゾロ」
ゾロ
俺の適当な言葉に対して、優しく微笑むあいつの顔に俺の心臓が大きく音を立てる。バレてねぇかドキドキしながらも、余裕ぶってる顔つきのままイスに座る。すると、手際良く目の前に俺好みの酒に料理やつまみを次から次へと出してくれる。好きなやつが目の前に居て更に俺の好きなもんまで揃ってんだ、これ以上の幸せあるか。なんて考えながらまずは酒を一口呑む。「…最高だな。」なんて噛み締めて言葉を発し、サンジに視線を向けると美味そうな料理を乗せたスプーンが俺の口元に近付く。昼時に言ったあの事だろう、自分から言っといてなんだが、俺はこんな経験した事ねぇし正直恥ずかしい。元々女好きのあいつなら経験した事ぐらいあんだろ、なんて余計な事を考えるまでだ。だが、いつまでもこうしてる訳にもいかず、俺の要望に答えてくれたんだ、そう思うと嬉しくなり 「そりゃあ、責任持って食わねぇとな。」と言い、目の前の料理を口に含む。俺はサンジみたいに言えねぇし、多少乱暴だが伝わってるとは思ってる。頭を撫で、嬉しそうに笑うサンジの顔は堪んねぇな。今日は一段と酒が美味い。
サンジ
おれがスプーンを近づけると最初は躊躇いがちだったものの回数を重ねるうちにそれは消えていき、かぶりつく様子はまるで猛獣を餌付けしている気分になる。まさか野郎相手にこんなことをするとは夢にも思わなかったが差し出したメシがゾロの口の中に消えて立派な喉仏が上下に動き、落ちていくまでをじっと見つめていると改めておれが作った料理をおれが食わせてゾロを満たしているんだと、そんな実感から充足感を得てサンジを満たしていくのだ。口元に持っていって、ゾロが合わせて口を開ける。それだけだがかわいい、思わずにやけちまった。ゾロが酒を飲みたいという動作を機微に汲み取ってスプーンの手を止めては何をするでもなくゾロの姿をただ眺める。恋人になってから今までのことを思えばこれは相当大きな進歩だろう。悪くねェ時間だ。たぶん、抑えきれていない幸せオーラというか機嫌がいいのがダダ漏れのような気もするが表情を緩めたままで、ここに入ってきたときから思っていたことを口にする
「つーか、せっかく約束までした2人きりの時間だぜ?服くらい着てこいよ」
ゾロ
期待以上の美味い料理に俺は、食べさせてもらってる恥ずかしさも忘れるほど夢中になってメシを食ってた。俺が酒呑みてぇ時も何も言わねぇで手を止めるあいつに、本当に気が利くんだなァ、なんて思いながら酒片手にサンジを見つめる。今までの俺達からは誰も想像できねぇだろうが、そんな事はどうだっていい。こうやって少しでも進歩できたんだからよ。まぁ、でもこの状況がいつまで続くかなんて分かんねぇし、もしあいつの前に俺なんて相手にもなんねぇ程のあいつ好みの女が現れたらどうしようか、なんて不安になる事も多々ある。その時はその時だ、俺はあいつの負担になる事は一切しないつもりだ。だが、腹括って諦めるか、いっその事ぶった斬ってしまおうか。なんてバカみたいな考えをする自分に少し笑いそうになる。
目の前で幸せそうな顔をするこいつは何考えてんだろう。ちっとは俺の事考えてくれてんだろうなァ?もちろん。
…しかし、どうも俺はあいつの恥ずかしがる顔が好きみてぇで少しからかってみる
「あァ?どうせ後で脱ぐことになるんだからいいだろうがよ。それともなんだ、お前が脱がしてくれんのか?」
サンジ
最後のひと口をゾロの口に運び終えてそれが飲み込まれるまで見届けるとその口からとんでもなくこの甘いムードをぶち壊すほどの露骨なセリフが飛び出してくるものだから一瞬頭の中が真っ白になった。暫しの沈黙の後、遅れて言葉の意味を消化し始めた脳は予想されるこれからを否応なしに伝えてきてじわりと頬を染め「なっ、に、言って」などと拙いものしか喉から絞り出すことができなかったがタバコが緩んだ唇から外れ、軽くサンジの手の甲を炙ることにより、ぅあっつ!と叫びつつも少し調子を取り戻すことができた。落ちたタバコを拾って灰皿で潰してから頭を抱え、大きくため息をつく。
待て待て、キスはおろか手だって繋いだことないんだぞ。もしかしてこの筋肉マリモ、恋人との愛情表現はベッドの上でってことしかないのか!?いや、最終的にはそうだし、いきなりそういう展開もなくはねェが、おれ達の場合は飛躍しすぎてねェか?そんな考えがぐるぐる巡る。もちろん想像しなかったわけではない、いつかはと考えていたことだ。どちらが下にしろ今じゃない、最初こそ肝心なんだ、大事に…してぇから。ゆっくり顔を上げて困ったように目を逸らすと
「いや、まぁ…船の中とはいえデートなんだからよ。身だしなみ気にするだろってことだ
それに、順番……違ぇだろうがよ」
ゾロ
俺の言葉に対して頬を赤く染めるあいつの顔に大満足していると、あっつ!なんて言いやがるから、…ッおい!大丈夫か!?と声を掛け視線を移すとどうやら相当俺の言葉に動揺し、タバコを落としたらしい。まぁ、動揺するのも、仕方ねぇ事だ。もし、これが逆の立場だっとしたら、俺はこいつ以上に動揺しただろう。
だがよ、順番ってなんだ?俺はしたい時にしたい事をする。お互い好きなんだからよ、我慢しなきゃなんねぇって事はねぇだろ?まぁ、かと言って今すぐこいつとベッドで…ってなると多少は考える。やっぱりまだ早ぇのか、とか。
そんな事よりも俺はサンジどころか女ともそういう事をした事がねぇわけで。正直言って、自信はない。あいつの方が上手だったらそれはそれで俺の負けず嫌いがでそうだし、そのせいで喧嘩事になるのはごめんだ。…まっ、そういう事はまだまだ先の話だろうな。
まずは、目の前で困った顔をしてるコックをなんとかしねぇとな。
「へいへい、服着てくりゃあいいんだろ。照れ屋さん」
フッと笑い、頭を撫で服を取りにバーを出る。
サンジ
想いを通じ合わせて、デートをして、ドキドキしながら手を繋いでキスをして、そんな触れ合いを何度も繰り返してから夜の営みに望む。テンプレートのような恋人模様だけれど少しずつ距離を縮めている様はおれ達にピッタリだと思っている。だから、こんなにも奥手になっていて笑われてしまうかもしれなかったが大切にしたいというのは本気なのだ。くそ、笑うなら笑いやがれ。そう覚悟していたのに返ってきたのは嘲笑うものではなくあやすような、寄り添って同意してくれているような上手く表現できないが、そんな風で頭を撫でられて服を取りに行くのだろう。席を立って出ていった。
扉が閉まる音を聞いてから、はぁーーー………とこれまた長い息を吐きテーブルに突っ伏す。冷静に今日一日を思い出したら調子狂わされてテンパってんのはおれだけ、だ。アイツは顔色ひとつ変えやしねェ。「おればっか、かよ…クソ……」と小さく呟いて、先ほどゾロが触れた場所を確かめるように手を置き髪をぐしゃりと握る。自分一人だけが余裕がないようで悔しくて、寂しい。まだ距離があるとはいえ恋人におれを焼きつけて、心を揺れ動かしてほしいと思うのは重い…だろうか。もう一度小さく息をついて空になった皿をまとめて、コップに酒を継ぎ足してから自分も席を立ってキッチンに戻ると皿洗いを始めた
ゾロ
服を着てバーに戻ると、もうサンジの姿はない。少しだけ寂しい気持ちになり、キッチンに行くと皿洗いをしてるサンジに何故かホッとする。そして、サンジの持ってる皿を取る「…今日ぐらい俺にやらせろ。」心なしか、少し寂しそうな雰囲気を纏ってるあいつに、一度ちゃんと話し合わねぇとな、なんて思いながら皿を洗う。この船に乗ってる以上、二人きりになれる時間なんて限られてるわけで、かと言ってまだお互い、肝心なことが言えねぇしなかなか素直になれねぇ。まぁ、すぐにってわけじゃねぇけど、言いたい事やしたい事があるなら言ってほしいし、もちろん俺も言いたいし、したい事だって山のようにある。
ゆっくりでもいい、これからもっとお互いがお互いのことを理解し合って、一つでも不安な事が無くなればいい。そんな事を思ってるとすぐに終わってしまった皿洗い。
「お前ちゃんと寝れてんのか?今日は早く寝ろよ。」
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