後輩×先輩no.3

「…岳じゃん、今何処に居んの？」
電話が掛かってくれば出て、歩き出しながら問い掛けて。

『えっと、学校の前にいます。先輩は何処ですか？』（マスクもしていてさらに熱もありいつもよりくぐもった声で返答し

「分かった、俺の方から直ぐ行く。」
相手の声色を不審に思いつつ、すれ違いにならないよう此方から出向く、と伝え校門前へ向かって。

『ありがとうございます、待ってます』（そう返答すれば外壁に体をもたらせて座り込んで相手を待って

「岳？おい…、体調崩してたのか。」
校門前へ来てみれば座り込んでいる相手を見つけ、駆け寄り辛そうにしている様子で額をくっ付かせ熱を測った後、有無を言わせないまま「俺が漕ぐ、お前は後ろな。」と自転車を借りて。

(返信遅れてすみません、バタバタしてましたっ。)

『先輩...、すみません、昨日布団で眠れなくて熱出ちゃったみたいです...』（後ろにのってくれと言われれば『ごめんなさい、先輩も体辛いだろうに...』と申し訳なさそうにしながら後ろに座って

（大丈夫ですよ?？）

「そうか…、気にすんな。確り掴まってろ」
謝り申し訳なさそうにする相手にゆるく首を振り、漕ぎ出して。

（相手の腰に抱きついてもたれかかり目を瞑って静かにしていて。『...先輩は寒くないですか？』と前で自転車を漕ぐ相手に当たる風を気にして

「別に、寒くねぇよ。寒気は？」
此方を気にする相手に、お前こそ如何なんだと心配して。

『少し寒いですけど、先輩があったかいので大丈夫です』（頬を相手の背中に密着させた相手の熱を感じながらそう述べ

「そうか。」
短いも、声音には優しさが滲んで。

（ぐったりともたれかかりつつも相手の体温と香りが心地よくてうとうとして

「着いた、ぞ。歩けるか？」
暫くして相手の家へ着けば、無理そうなら担ぐつもりで訊ねて。

『大丈夫です、先輩は体が冷えちゃうから早く帰ってください』（そういい自転車をゆっくり降りるもふらふらとしていて転びそうになり

「無理すんな。」
危なっかしい様子を見て、後ろから腰辺りに腕を回し支えて

『ありがとうございます。すみません、そしたら部屋まで送ってもらっていいですか？』（支えを受けながらゆっくり歩いて

「あぁ、勿論だ。」
相手に歩調を合わせながらも、三階の部屋まで上って。

（部屋に入りベッドに横になれば『ありがとうございます』と微笑み。『先輩に移したくないけどもう少し一緒にいたいっていう我儘な俺はどうすればいいですか...』と尋ねて

「俺が看病してやるよ。」
訊ねられて、ベッドへ横になる相手の額へ口付ければ、手を握り返答して。

『本当ですか？嬉しいです』（額へ片付けられれば口角を上げて微笑み相手を見上げて『...じゃあたくさん甘えていいですか』と見上げながらきいて