宵闇の男 2020-09-10 22:11:01 |
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(視線重なり合うと職業柄表情の変化には敏感で、一瞬だけだったが怯えた様な表情見逃さず。”Alain Robert”という人物について彼女はあまり知らなかった。隣人の好で親しくなったがプライベートな事はプライバシーもあり詳しく訊けず、彼も今まで話してこなかったので深く考えた事はなかった。表情が変わったのもそうだが、触れてから何故か拳を固く握って耐える姿も見逃さず。彼は何に怯え耐えているのかカウンセラーとしてもだが、関係なくひとりの人間として理由が知りたくなった。後れ毛に指が絡まる感覚で我に返りハッとさせられ、顔を上げると再び視線重なる。見上げた先で見つけたのは吊り上がる口角とその口から発せられる言葉。暫くそのビジョンが頭から離れず反応に遅れ、結局返せずに。椅子を引いてくれた彼の気遣いに感謝すると静かに椅子へ腰を収め、正面には彼がいる。言葉には意味があるはずだ。彼は何を思い言葉にしているのだろう。彼が考えている“価値”とは何なのか。時に彼の言葉は鋭い凶器ともなり____今の内だから。何故かその言葉に背筋が凍りつき、僅かにだが瞳は大きく見開かれる。考えるのはやめよう、今は食べる事に集中する為食前の挨拶をしてからスプーンを握り熱々のシチューを咥内へと運ぶ。大きめに切られた野菜は食べ応えがあり、肉厚で脂の乗ったラム肉はほろほろに柔らかく煮込まれていた。全ての食材を生かすミルクは濃厚でスプーンが止まらない。夢中でシチューを食べ進めているとカチッっというケトルが沸騰報せる音が響く。スプーンを皿へ置き立ち上がった途端視界がグニャリと歪み、立っていられない程に身体はふらつきフローリングの床へ雪崩落ちるように仰向けに倒れ。薄れゆく意識の中無意識に彼を捜して視線彷徨わせ、頑張って言葉引き出し囁くとそのまま瞼はゆっくり閉じられた。)
____Alain、私はアナタの味方だから。それだけは忘れないで。
______珈琲、飲みたかったな。
(彼女がシチューを口にし倒れるまでそう時間は掛からなかった。シチューに混ぜ入れたエスタゾラムは本来術前に投与される強力な眠剤であり覚醒は六、七時間後、半減期は二十四時間つまり覚醒後も暫くはふらつきや眩暈に襲われ現実と幻想の狭間を行き来する事だろう。それまでに仕上げなければなら無い事が山程とある。手付かずの皿と相手の皿を手に取り仰向けに倒れる彼女の横を通り過ぎて流しへと処理し、鍋の中身も一滴残らず流し捨て蛇口を捻り水を注ぎ入れ。鍋の底を満たしていく流水を眺めながらふと彼女の”あなたの味方“と言った言葉が頭を過ぎる。何の感情も宿らぬ瞳で死んだ様に眠る美しい姿に視線を落とした、偶然か必然か、己に選ばれてしまった哀れな運命に今後も打ち拉がれるだろう。きっとその言葉を贈った事に後悔する事になる、そう思うのだ。___それからは随分と時間を掛けて部屋中の証拠隠滅の処理にかかった。凡そ三時間、彼女の私物と己の私物を詰め込んだ鞄を片腕にかけ、力無き華奢なCarolineを抱き抱える。予めマンションの監視カメラには一時的にノイズが入る様に細工をしていた為、大胆にもエレベーターを使用して地下の駐車場へと移動。トランクへと荷物を詰め込み、助手席には眠りに付いた身体を収め、深夜の国道に車を走らせた。辿り着いた先はベルギー寄りの山奥にポツンと建つ山小屋、辺り一面は雪に覆われ現在も灰色の空からは仕切り無しに白い結晶が溢れていて。ガレージに車を収納した後、幾つもの鍵で塞がれた山小屋の中へ。「………久しぶりだね」半年以上留守にした我が家へ再会を喜びながらまるで恋人に触れる様に優しく木製で出来た壁をなぞりながら、更に南京錠やら頑丈に守られた地下へ繋がる扉へと足を進める。Caroline Morist、君が最期を迎える為の場所。漸く…漸くこの部屋に招待する事が出来た、底知れぬ興奮に口元が緩み、悪魔の様な低く短い嗤い声が込み上げて来る。地下はコンクリート剥き出しの非常に無機質な場所、用意した大量の兎や熊の縫いぐるみが可愛らしく出迎える異様な光景が広がっていて。幾つか仕切りがあり鍵の掛けられた扉も複数ある。先ずはもう時期目覚めるであろう彼女を天蓋付きのベッドへと寝かせ、何の躊躇いもなくその身を纏う衣服を剥いで行く、此れもまた事前に用意していたウェディングドレスの様に白くレースの多いオフショルダーのワンピースを着用させ、結いていた髪を解き、片脚には地下を一周出来る程に伸ばされた鎖付きの足枷を嵌めた。まるで牢獄に囚われた姫の様、何を着ていても似合っていたがやはり白が良く似合う。奥のクローゼットには似た様な衣服が詰まっており、何れ彼女に好きなだけ堪能してもらう事にしよう。余分な衣服は山小屋裏の破棄場で燃やす事にして、己自身も“人当たりの良い隣人”に成り済ます為に着用していた衣服を脱ぎ捨て白シャツにサスペンダー付きのズボンへと変更し。また脱走予防のスタンガンと愛用のフォールディングナイフを懐へとしまい一通りの用意は出来た。次いで運んで来た彼女の私物を丁寧に並べる、此処が君の家だと言わんばかりに。一度表に戻り優雅に己の食事を終わらせてから、椅子を引き摺って彼女の眠るベッドの前へと設置。まるで此れから男女の営みが始まるかの様に愛おしい彼女を鑑賞する、これまで結いていた己の髪も解放させ長く被さっていた前髪を一度掻き上げた。此処までの流れも一種のアートだ、最高の傑作となるに違い無い。____どのぐらい経ったのか、現実世界から切り離されたこの場所に時計などは無く目覚めを待つ男は獣の様に瞳をギラつかせながら、耐え難い衝動の吐き口として親指の爪を噛み続けながら眼前に眠る彼女の目覚めを待ち続け。)
(彼女は意識を失ってから長い長い、幸せな夢を見ていた。隣に男性らしき人物が居て、身体寄り添いお互いに笑い合っている。二人からは親しげな雰囲気を感じられるも隣にいる男性らしき人物の顔は靄が濃くかかっており、誰だか判断出来ない。____アナタは誰なの?余りにもリアリティな夢に思わず瞼は開かれ、楽しい夢から別れを告げる。ようこそ、現実。真っ先に視界へ映り込んで来たのは全く見覚えの無い、無機質な天井。瞼は開かれるも薬の副作用なのか自由に身体を動かす事が出来ず、鉛のように重たい身体。辛うじて頭は動かす事が出来、室内全体見渡すと獣の様にギラつく瞳と一瞬かち合う。この状況を理解すべく頭をフル回転させて考えるも、薬の影響もあり判断力が平常時より鈍る。取り敢えず焦ってはダメ、落ち着こう。情報収集の為に再び視線彷徨わせると室内には大量のぬいぐるみと子供用の玩具が置いてあり、私物が何点かあることに気付くとほんの少々気分は落ち着いた。私物の件はまだいいが一番の問題は意識を失う前と着ている服が違う事。着替えた覚えはなく、必然的に選択肢は限られる。きっと彼____Alainが着替えさせたのは明確だ。今更異性に下着を見られて恥ずかしがる様な年齢ではないが、何故か不思議と彼に下着を見られたと考えるだけで羞恥心から頬は軽く紅潮し心拍数上昇。今は下着の件で恥ずかしがっている所では無い、もっと重要なのは私がこの部屋に居る理由と片脚に足枷を嵌められている事だ。何時から見られていたかは不明だが、じっと眺められると動物園の動物の気持ちがわかった気がした。取り敢えず彼と話し合わないと理由を知る事が出来ぬ為、教えてくれるか判らないが刺激させぬ様慎重に言葉選び。前髪掻き上げられた事により目が顕になり、あの時一度だけ見ることのできた金色の美しい瞳に再び目を奪われながらも、何時も見せている朗らかな笑顔で話し掛ける。)
アナタは私の知っているAlainですか?この服、肌触りが良くてとても素敵だわ。アナタが用意してくれたのかしら?もしそうならきちんとお礼を言わないと。ありがとう、アラン。下着を見られてしまったのは恥ずかしいけど……。
_____愚問だな、”親しき隣人”は誘拐罪で数日後死体で発見される。勿論俺じゃ無い、”Alain Robert”両親のために田舎から上京した可哀想な男だったよ。
(待ちわびた瞬間につい自然と微笑が溢れた。然しそれはかつての温厚なものでは無く、妙に悪徳めいた妖艶な笑みで鋭い眼光が薄暗がりの中嫌な光を放つ。口調や声色も以前の彼と大して変わらぬものの、何処か暗く深く低い。まるで陽の光を完全に消失させた暗黒の海原の如く漠然としていて理由も無しに不安に駆られる様だ。未だ朦朧とした意識の中、現場を把握しようと此方を伺う彼女に包み隠さず全てを暴露するつもりで、取り繕う必要は無いと伝える様に一度首を緩く横に振り。何やら懐から使い込まれた革のカードケースを取り出し、そこから保険証や運転免許証を引き抜くと彼女が横たわるベッドへと放り投げた。カラッとプラスチックがぶつかり合う音が静寂な地下に響き、彼女の足元へと転がり寄る。____ ”Alain Robert”、氏名の欄に明記された名は変わらないが付属の照明写真には雰囲気こそ似通っているものの全くの別人が写っていて。偽造では無く正真正銘の実在した人物であり生まれ故郷を離れたタイミングをつけ狙われた哀れな男の遺影だ。…最期まで命乞いをしていたな、なんて脳内で戯言をほざきつつ視線をカードから彼女へと戻した。さてはて、事の真相に彼女は追い付いているだろうか、現在に至るまで疑う事も知らずに信じてきたものが打ち砕ける感覚に陥っているだろうか。絶望した顔が見たい、己の興味は彼女の感情の変化に興味を唆られ一寸たりとも視線を離さず、食らいつく様にして表情を眺め。室内は幾つかスタンドライトやブラケットライトが設置されており、どれも臙脂色に近い発光で薄暗く照らしている。此処からの眺めもそう悪くは無いがもっと間近で彼女を見たい、愛する恋人に囁く様にその名を口にしながら椅子から身を起こし硬い靴底を地面に叩き付けながらゆっくりとベッドへと歩み寄った。白い肌に良く映えたワンピースは死装束の様にも捉えられ非常に美しい。きめ細やかで艶やかな彼女の頬へと冷たい指先を寄せて首筋まで這わせては頭上から己の顔を近付けて小さな耳元へと唇を寄せ。)
馬鹿なキャロル、ニュースでも言ってたろ、用心しろってさ。君は本当に甘い、本当に馬鹿だ、犬を懐けるよりずっと簡単だったよ。
そんな馬鹿な私にアナタの事をこれからなんて呼んだら良いか教えて?本物の”Alain Robert”はもうこの世には存在しないのに、Alainと呼んだら本人に失礼だから。
(薄暗がりの中でも鋭い眼光には蛇に睨まれた蛙の様で、一瞬だけだが萎縮する。口調や声色も以前の彼と大して変わらないのだが、取り繕うのをやめたのか衝撃的な目を背けたくなる真実を聞かされると予想以上に衝撃は受けなかったのだが真実を聞いてしまい、いつか本物の”Alain Robert”の様に彼の手によって殺められてしまうのか____そんな事を考えていると足元に何かが当たった。重い身体を動かし上体起こすと片脚の枷が動いて音が響き、その足に当たったのは保険証や運転免許証だった。手に取り証明写真と彼を見比べ、やるせない表情した後弔いも兼ね黙祷を捧げ。真実を知りあの名で呼んだら失礼に値すると思いもう呼べない、どうしたらよいのだろう。そんな風に思案していると靴底を響かせながらゆっくりと近付いてくる。至近距離で冷たい指先が頬から首筋へと這わされるとその温度は体温奪われそうな程、これから呼び方をどうにかせねばと差し障りのない質問を投げ掛け。彼に絶望した顔を見せてしまったら彼の思う壷だ。どんな理由でも人が亡くなるのは悲しい事、今迄カウンセラーとして色々なケースの患者を診てきたが彼の様な人物は例外で未知数だ。あの様子だときっと殺めたのは一人や二人ではなさそうだと考えては余計に刺激させては駄目だと警戒。彼はどうして人を殺めるのか____根本を考えてみた。彼が過去に受けた傷が原因なのか理由は解らないが、何か原因がある筈。刺激させぬ様慎重に言葉選びつつ、グリーンアイは至近距離で近くなった金色の瞳をじっと捉えて。)
ねえ、本当のアナタは何処にいるの?私、本当のアナタが知りたい。カウンセラーとしてではなくて、Caroline として。こんなこと言ったらまた馬鹿だとか甘いだとか言われそうだけど。
投稿後読み直したら納得がいかず、少々手直しいたしました。連投申し訳ないです。
そんな馬鹿な私にアナタの事をこれからなんて呼んだら良いか教えて?本物の”Alain Robert”はもうこの世には存在しないのに、Alainと呼んだら本人に失礼だから。
(薄暗がりの中でも鋭い眼光には蛇に睨まれた蛙の様で、一瞬だけだが萎縮する。口調や声色も以前の彼と大して変わらないのだが、取り繕うのをやめたのか衝撃的な目を背けたくなる様な真実を聞かされると、思っていた以上に衝撃は受けなかった。しかし真実を知ってしまったので、口封じと称され私もいつか本物の”Alain Robert”の様に彼の手によって殺められてしまうのか____そんな事を考えていると足元に何かが当たった。重い身体を動かし上体起こすと片脚の枷が動いて音が響き、その足に当たったのは保険証や運転免許証だった。手に取り証明写真と彼を見比べ、やるせない表情した後弔いも兼ね黙祷を捧げ。真実を知りあの名で呼んだら失礼に値すると思いもう呼べない、どうしたらよいのだろう。そんな風に思案していると靴底を響かせながらゆっくりと近付いてくる。至近距離で冷たい指先が頬から首筋へと這わされるとその温度は体温奪われそうな程、これから呼び方をどうにかせねばと差し障りのない質問を投げ掛け。彼に絶望した顔を見せてしまったら思う壷だ。どんな理由でも人が亡くなるのは悲しい事、今迄カウンセラーとして色々なケースの患者を診てきたが彼の様な人物は例外で未知数だ。あの様子だときっと殺めたのは一人や二人ではなさそうだと考えては余計に刺激させては駄目だと警戒。彼はどうして人を殺めるのか____根本を考えてみた。彼が過去に受けた傷が原因なのか理由は解らないが、何か原因がある筈。刺激させぬ様慎重に言葉選びつつ、グリーンアイは至近距離で近くなった金色の瞳をじっと捉えて。)
ねえ、本当のアナタは何処にいるの?私、本当のアナタが知りたい。カウンセラーとしてではなくて、Caroline として。こんなこと言ったらまた馬鹿だとか甘いだとか言われそうだけど。
………どうでも良い、好きな様に呼べば良いじゃないか。…まさか顔も知らなかった男に同情するの?
(最悪な状況下でも亡き者を慈しむ純粋故の憐憫の情に苛立ちを覚え、僅かに片眉を動かし眉間に皺を寄せながら至近距離のグリーンアイに刺のある視線を送る。たかが名前の一つ、何を気遣おうというのか。想定していた表情よりもずっと彼女には余裕が見られた、恐怖を目の当たりにして怖気付いた様にも感じられ無い。その身を守る防衛本能なのだろうか。事態を呑み込む以前に己を知ろうとする姿勢に益々調子を狂わせられ、非常に胸糞の悪い感覚が腹底に生まれた。怪訝な面持ちのまま眉間の皺を深めて行き、頬に触れていた指先を曲げて艶やかな皮膚を瞬く間も無い内に爪で引っ掻き。軽めのミミズ腫れの様な赤い縦線が真っ白な頬に浮かび上がるのを食い入るの様にじっと眺め、少しは怯えた顔を晒さないかと瞳を一瞥する。絶叫に耳を傾けるのも実に心地良いがじっくりと地獄を味合わせるのもまた甘美、彼女には後者をと密かに選択を。____世に生まれ堕ちた際に授かった名など忘却の彼方に消え失せた、人格も同様に。理解しようとするのは自分が置かれた状況だけで良い、そう言い聞かせる様に傷付けた頬を撫でながら再び彼女の小さく柔らかな耳元に唇を寄せ「難しい事を考えるのはやめよう…折角だから僕と大人の遊びをしようよ、キャロル。」子供の好奇心に乗せられた声色で静かに囁いた。その刹那、彼女の細く直ぐにでも折れてしまいそうな首元に此れまで撫で付けていた手で鷲掴みベッドへと強引に押し倒し、懐から愛用のフォールディングナイフを取り出す。眠剤により中枢神経を抑制された身体は反応まで鈍る事だろう、そのナイフを張の良い上腕に突き立てれば間違えて傷を付けてしまわぬよう慎重に指先まで伝い。覆い被さる形で再び前髪が瞳を隠すが、揺れる前髪から覗ける金色は確かに狂気じみた欲情したハイエナの様な視線となっており、指先まで伝い終えた刃は彼女の小指、爪と肉の間に滑り込み。逃げられぬ様しっかりと親指で指の根本を押さえつけながら、ナイフに力を入れて)
投稿に気付かず、返信を送ってしまって申し訳御座いません。私だけでなく、背後様も繰り返し読まれている事を知ってなんだか嬉しく感じられました。再投稿の方もしっかりと読ませて頂きました。食い違いを発見しましたら変更するかもしれませんが今のところ大丈夫そうなので此方からの返信はこのままにさせて頂きます。
アナタからすれば名前なんて、と思うかもしれないけど…私は違う。名前は大切だから同情から言った訳ではないわ。家族やきょうだい、愛しい人には大切な名前でたくさん呼びたいし。
(何をされても可笑しくない状況下にて慎重に言葉を選んだ筈だが、彼には通用しない事を知った。身を守る防衛本能から対抗していたが刺のある視線に怪訝な面持ちのまま深まる眉間の皺。彼女の発言全て、彼には嫌悪だったらしい。会話をしてひとつ解った事がある。彼は自分の事を知られるのが怖くて嫌なのか____知ろうとすると直ぐに表情となって現れるのでそれを見過ごさなかった。そして嫌悪を抱くと感情を行動にて表す。それは彼女の頬の皮膚を爪で引っ掻かくという行動、軽くだがミミズ腫れになり赤い縦線から少量の血液が涙のように垂れた。痛みに僅か表情歪ませるも直ぐに彼は次の行動へと移る。薬の影響で身体は思う様に動かせず、抵抗する暇も与えずに首を鷲掴まれベッドへと強引に押し倒される。“人当たりの良い隣人”が演技でもずっと信頼していたので、ナイフを見せられ上腕へ突き立てられようが何故だか恐怖以上に彼をどうにかできないかなんて考えてしまう。彼の言う大人の遊びは解らないが、もしかしたら気分次第でこのまま殺められてしまう可能性が高まる。それは揺れる前髪から覗ける金色の瞳が強く物語っており、今迄刺激させぬ様慎重になっていたがそれもいつかは通用しなくなるだろう。それならと、重なり合う金色の瞳へナイフに力が入ると次はどうなってしまうのか焦り、顔面に少々恐怖の色が見えるが気を確かにと鼓舞して奮い立たせ、何故か表情は子どものようにあどけなく嬉々としており。)
大人の遊びにはナイフが必要なのね、わかったわ。……ねえ、ひとつだけ教えて。アナタは私を殺めたい? もしそうだったらどんな方法で殺めるのか知りたいわ。
何時もお世話になっております。まさかお返事をいただけるとは思わず驚きました。しかもお優しいお言葉まで。
投稿する前に最終チェックを何度も繰り返し、納得してから投稿する様に心掛けているのですが、前回は投稿してから細かいミスに気付いてしまい連投になりました。すみません。
最近はこれからどうなってしまうのかと展開に期待しながらも緊張しつつ、投稿しております。突き立てられたナイフの行方等気になる事が多すぎてどうなるCaroline、頑張れ。と我ながら応援しながらお返事を待っていたり。毎回Alain様のキャラクターが魅力溢れるので気持ちを翻弄されております。そう来るのか、などなど。手短に終わらせようとしたのですがとても長くなってしまいすみません。
ならAlain、君の印象に深く残った名のまま呼べば良いさ。______随分と怖いもの知らずなお姫様だね、何も知らない方が幸せだというのに。
(彼女の指先まで到達したナイフは一旦その場で停止させ、下から受ける視線へと瞳を返した。漸く、らしい顔付きになったかと思えば唇から発せられた言葉は二転三転も想定していたものとは異なり反射的に犬の様小首を傾げる。経験則ばかりの無難な世界に染まらぬ好奇心を持つ事は非常に良い事だ、もしかすれば己と似て非なる感覚を彼女持ち合わせているのかもしれない。とは言え殺戮の舞台劇場は未だ序曲に過ぎず、期待の返答は曖昧な回答で括らせる。代わりに彼女が今後どの様な生活を強いられるのかを披露してやろうとこれまで停止していたナイフでゆっくりと細い指先をなぞり、第三関節、第二関節へと辿って行く。心配しないで欲しい、指を切り落とすつもりはない、ただ_______指の爪を剥ぐのだ。積りに積もった底知れぬ貪欲な感情が脳内を支配し、誰にも咎める事の出来ないこの地下で己は遂に飢えを満たす時が来た。薬剤の効果と肉体差のある男に覆い被さられる体勢により無防備に剥き出しとなった小指の爪の間にナイフを滑り込ませ、間髪入れずに爪の中間部分までを引き裂いた。音はほぼ無音に違いが一瞬だけ爪から引千切れる肉の音が走る。嗚呼、この衝動はきっと被害者とナイフを握る己にしか分かるまい。剥がれかけた状態で終いにする筈も無く、追い討ちをかける様にして肉と爪によってナイフが挟まった部分を支点に、ナイスを持つ自らの手の甲に拳を振り落として支点に強い衝撃を与え、てこの原理で爪の根本から完全に肉から切り離し。飛び上がった爪は何処かへと落ちて行き、その様子を一部始終見ていた己の口からは自然と吐息が溢れ、そのまま悲鳴が上がりそうな唇を自らの唇で塞ぎ込んで)
今晩は、此方こそいつも心躍らされるやり取りを有難う御座います。見返してこうした方が良かった…考えていた内容を入れ込むのを忘れてしまった…というのは此方も良くある事ですので。
いよいよ本編がスタートした感じですね。行き過ぎた表現により背後様のご気分が悪くなってしまわないかと多少心配はしているのですが…、楽しまれている様で安心しました。今後も此方の綴る表現に対して不快な思いをさせてしまった場合は遠慮無くご指摘下さいね。宜しくお願い致します。
______っ!?
(ナイフの刃先の行方を視線で辿りながらも金色の瞳から目が離せずグリーンアイと再び重なり合って。行動からこの後はどうなるのか予想がつくと身体は未だに鉛のように重くて自由に動かす事ができずに。この後どうなろうが視線を逸らしたら駄目だと自身へ言い聞かせ、爪から引千切れる肉の音と共に今迄感じたことの無い痛みが瞬時に全身巡る。爪を剥がされた小指への痛みが特に強いく、剥がされ剥き出しになった小指は爪が無くなった事により肉の塊となってしまった。そこから赤黒い血液が、指伝いに純白のシーツを紅に染めあげる。悲鳴すら上げられず冷たい唇で押し当てられ無理矢理塞がれた。感情の籠っていないただ単に騒がれないよう押し当てられた行為でも、身体は異性だと強く認識してしまい。今迄ずっと堪えていたのか、恐怖にも似た感情がせめぎ合って一気に涙が瞼から溢れる位に流れ出る。痛い痛い______今は痛いしか言葉に表すことが出来ず、爪が剥がれ落ちた瞬間一体何が起こったのか全く理解できなかった。痛みも加わり身体は完全に動くのを止める。これからどうなってしまうのかと不安に駆られながらも、彼女は生きる希望は喪わなかった。異性とキスをしたのは最後はいつか、思い出せない程に久方振りというのもあってか無自覚に女の顔を晒してしまう。抵抗する訳では無いが、彼の反応が気になり自らの舌で当てられた唇をひと舐めしてみせた後、唇の角度を変えて続けたりとこんな状況下でも、純粋な気持ち忘れずに彼を異性として求めているのかもしれない。)
此方の会話は控えてメインのみにしようと思いつつも、こうやって話しかけてしまってすみません。メインストーリーに集中したい場合は遠慮なく言ってくださいね。瞬時に姿を消しますので。
あんな事をされたのにあの状況でも彼を求めるなんて、と異性として彼を求める様な描写にしてしまいましたが、その辺りは平気でしたでしょうか?想像していたのと違った場合、速やかにやり直しを命じて下さい。
(爪を失い剥き出しとなった小指は嘸かし激痛な事だろう、躾の内では地味な方ではあるが気に入っている方だ。純白を染め上げる紅は実に美しく優越感に浸らせてくれる十分な要素と成るだろう。塞ぎ込まれた喉の奥で止まる悲鳴による振動を舌先で感じながら、グリーンアイから零れ落ちる滴の行方を眺める。彼女は己よりも一回り年上で、外では患者を相手にする愛嬌があり優秀なカウンセラー、誰も悲痛に嘆く事になるとは思わないだろう。堪らない感覚、まるで壊れ物を扱うかの様にミミズ腫れを起こした頬を指先でなぞり。唇に柔らかな感触を受け、目線を下へと落とす。最悪な状況下において此方を求める様な行為に多少の驚きはあるもののストックホルム症候群の様な感情を抱かれた事は過去に幾度とある。さながら彼女も同様に過度なストレス下における一時的なものかもしれない、まあそれも今は愛する彼女から受けるものは何一つとして悪く無いのだが。受け応える様に熱く濡れた唇を貪り、豊潤な下唇を甘噛みしては柔らかく己の唇を割れ目に押し当て、幾度と無く繰り返しながら角度を変えて行く。同時にナイフを薬指の爪の間に移動させ、沈黙のまま残酷な二度目がある事を知らせた。当事者というのに唇は離さずまるで慰めるかの様に優しく接吻を贈りながらまた一枚爪を引き剥がし、今度は根元まで一瞬にして肉から裂けて何処かへと爪は跳ね落ちて行った。そこで漸く唇を離してやり、彼女の涙を人差し指で掬い取りながら実に愛おしそうに眺めて)
___僕は苦痛と快感は紙一重だと思う。此れに気付くには君一人じゃ無理だろうね、だから僕が何度も何度も何度も君に教えてあげる。そして君はいつか気付くんだ、快感に逆らう事は出来無いという事、僕に逆らう事も出来無いという事を。
ご負担でなければこのままでも大丈夫ですよ、とはいえ此方の会話を続けながら本編をした事が無いのでもし抜けていましたら申し訳御座いません。
肉体的拷問を受けながらも異性を感じる様は生々しくて素敵だと思います。こういった場面は今後も多々ありますので心して下さいな。
(激痛な筈なのだが痛覚は徐々に麻痺してきたらしく鈍痛に変化していく。涙で両目の視界が歪み、爪を剥いだ彼が頬に触れる手つきは優しく感じて違和感を覚える。苦痛を与えて優しく接するなど飴と鞭に似た感覚に彼女は戸惑う。窓や時計もないこの閉鎖空間にひとりでいるのは怖くて心細い、それならと温もりを求めて接吻続けたのもあるが応えてくれるとは思わず驚き涙で滲む目は見開かれ。下唇甘噛みされては神経が研ぎ澄まされて敏感になっているのもあり、躰は甘い痛みに素直に反応示して。甘い熱に浮かされながらもナイフの行方へを気にしており、薬指へ刃先が触れられただけで瞬時に理解する。___今度は薬指の爪とお別れね。様子を観察してきて一度で終わるような彼ではないと覚悟していたが、再びあの激痛を味わうのは恐怖しかなく二度目の時は爪が無くなるその瞬間、彼の唇を噛みそうになるのを堪え、その代わりにしがみつく様に背中へ腕を回して強く抱き締める。肩幅広く筋肉質な躰は背中も男だった。唇が離れてしまうと無意識に残念そうな表情となり、拷問をしておいて優しい手つきで再び涙を拭われ愛おしそうに眺められると困惑する。確かに苦痛と快感は紙一重だと思うが、其れは彼だけだ。詳しくカウンセリングしていないので彼の精神状況がどれ程だか解らないが、きっと肉体と精神は伴っていないと感じた。精神はまだ幼い、十代くらいだろうか。彼の過去が起因しているかわからないが、少なからず過去に何かあったのだろう。再びどんな拷問が待っているか解らないが、ひとりの人間として彼を放っておけないというかなりの甘ちゃんだ。情とかではなく、彼が演技だったあの頃の思い出があまりにも強烈的で一緒に居る時が一番幸福を感じていた。抱擁は止めずに抱き締める力は強まり、優しい声色でそっと囁きながら瞳は金色を捉え、爪が剥がれていない方の手で髪にも触れて。)
そうね、私はAlainに逆らう気はないわ。ずっとこのまま、二人きりがいい。アナタにとってあの日常は欺くためだったかもしれないけど、二人で過ごしていた時が一番幸せでAlainに癒されていた。この髪も、金色の瞳も___私は異性としてアナタを見ていたのかも。もっと親しくなりたかった…男と女として。拷問されて怖くなったから言っているわけではないわよ?
此方も負担でなければ引き続きこのままお願いします。メインに集中したい場合はすぐに言ってくださいね?メインを投稿して満足してしまうと当方もこっちの事を忘れがちになってしまうので気にしておりませんよ。
生々しいのは好物でして、受け入れてもらえて安心しました。今後もこの様な展開が多々あるのですか。楽しみに心してその時までお待ちしておりますね。
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