猫系女の子と

えっ…ああ！大丈夫大丈夫！倉本佳織ちゃん、だっけ？佳織ちゃんって呼んでいいよな？ちなみに俺は新橋和馬な、よろしく！

(声をかけられていることに気づき、ハッとしてそちらへと顔を向け人懐っこい笑顔を見せれば少し馴れ馴れしいぐらいに軽く身を乗り出しながら早速呼び名を半強制的に固定しつつ、こちらも名乗り)

いきなり名前呼びって…別にいいですけど…。あの私はなんて呼んだらいいですか？(初対面でいきなり名前呼びをしてくる相手に顔を歪めながらも仕方なく頷き。同じクラスになったとはいえ年齢的には先輩な相手はなんて呼ぶべきか分からず問いかけ)

ん？そうだな、俺のことも気軽に名前で呼んでくれていいぜ？先輩ってのも変だしさん付けが妥当なとこじゃないか？俺としては呼び捨てでも一向に構わないけどな

(唐突な名前呼びをしたことに対する相手の微妙な空気感には気付くことなど出来るはずもなく、何食わぬ顔でそう言葉を紡いで。歳の差があるとはいえ今は同じクラスなのだからといくつかある選択肢の中から妥当なものを提案しつつ、最後には少し空気の読めない発言もして)

…さすがに初対面でいきなり呼び捨てとか無理なんで、和馬さんって呼びますね。(彼の発言に少しだけ違和感を覚えながらもあまり突っ込んだ事は言わずにこりと微笑みながら呼び方を決めて。その後授業開始のチャイムが鳴ると、鞄から教科書とノートと筆記用具を取り出し授業の準備をし始め)

…やっべ、教科書忘れてきた…佳織ちゃん、悪いんだけど俺、次の数学の教科書忘れてきちゃってさ、良かったら一緒に見せてくれない？

(呼び方についても決まったところでこちらも授業の準備を始めたが、机の引き出しの中に次の授業で使う教科書が見当たらず、どこへやったんだっけと記憶を整理すれば課題の為に持ち帰って自宅の机の上に放置したままであったことを思い出し。とにかく厳しいことに定評のある数学教師にもしも授業で当てられて教科書を忘れて問題が分からないなどと言ったらどうなることかと今から軽く身震いし、どうしようかと考えた末に隣の彼女を頼ることにして顔の前で手刀を切って頼み込み)

え、教科書忘れる人っているんですね…。もし私が忘れてたらどうするつもりだったんですか？(授業の予習でもしておこうかと教科書を開こうとした所、隣の席の彼に教科書を見せて欲しいと頼まれてしまえば呆れた表情と少し冷たい態度で接しながらも、机を少しだけ彼の方に寄せて教科書を真ん中に置き見えやすいように配慮してあげて)

ん？…そうだな、そん時はそん時だな、ほら、俺ってフィーリングで生きてるからさ。まあ、佳織ちゃんはいかにもしっかり者っぽいしその辺心配してなかったけどな

(呆れたような目を向けられればとぼけたような表情浮かべ、何食わぬ顔で笑ってみせれば行き当たりばったりな自分の人生をそれらしいポジティブな言葉で表現して。一応は彼女の真面目で勤勉そうなイメージからすればそのパターンはまずないだろうと踏んでいたと軽い調子で述べてはこちらも教科書が見やすいよう身を寄せて)

フィーリングで生きてるって言ってる人初めて会ったんですけど…。ちなみに今ってどこまで授業進んでるんですか？(彼の言葉になるほどと頷きながらも、この人は何を言ってるんだろうかと不思議そうに首を傾げ。その後会話がキリのいいところで終われば教科書のページを捲りながら少しだけ距離が近くなった彼にちらっと視線を向けながら問いかけ)

んー、多分この辺じゃなかったかな…正直よく覚えてないんだよな、まあ授業始まればわかるし問題無いよな

(日頃真面目に授業を受けているとは言い難いため、彼女の質問に対する正確な答えを持ち合わせておらず、教科書をパラパラとめくって適当な数ページを指先でつまんで漠然とこの辺と答え、最終的にはよく覚えていないと投げやりに言って、しかし悪びれた様子も反省の色もなく呑気にその時になれば分かるだろうと平然と言ってのけ)

この辺なんですね…って、和馬さんちゃんとノート取ってるんですか？なんかその感じだと授業をまともに受けてない感じがするんですけど。(ページを捲る様子に何度か頷いていたものの、どこか曖昧な返答が返ってくれば冷ややかな視線を向けながら淡々と言葉を紡いで。そうこうしているうちに数学の教師が教室に入ってくれば挨拶をしたあと授業は始まっていき)

…痛いとこ突いてくるねー、佳織ちゃん

(これだけのやり取りでまともに授業を受けていないことを見抜かれてしまった…たと本気で思っているのは自分だけで、実際はこれまでの態度や言動を見ていれば大抵の人間ならそれぐらいはわかりそうなもので。しかし、そんなことはつゆ知らず呑気にそんな言葉を返せば、一時的とはいえ一応は授業に集中したようなフリをするが、例の如くすぐに集中は切れてしまい、何をするかと言えば教科書を見るのにかこつけて実際は彼女の横顔をジッと眺めていて)

………。(真剣な眼差しで教師の説明と黒板に書かれる内容を板書していきながら何度か教科書を見比べ問題を解いていくものの、先程から視線を感じていることに気づいてしまい。しかし授業中のため私語をするわけにもいかずノートを小さく破り“さっきからずっと視線を感じるんですけど。私に何かついてますか”と女の子らしい可愛い文字で書き留めれば小さくその紙を折り彼の机にそっと置き)

……いや、何も？ただ真剣に勉強してる時の横顔も可愛いなーって

(女子からのノートの切れ端の手紙なんて、特別感があってドキドキしてしまうなと、そんなことを考えてワクワクしながら折り目を開いて内容に目を通して。内容は自分の期待していたような色気のあるものではなかったが、視線に気づきそれを咎めるようなものだとわかれば悪びれた様子もなく、こちらは手紙ではなく顔を少しだけ寄せて小声で本音をそのまま囁けば、極めつけにウインクを飛ばして)

……っ！か、可愛いってからかわないでください…。(不意に顔を近付けられ思いもよらない言葉を耳にすれば、茹でたこのように耳まで真っ赤に染め周りに気付かれないようにこちらもなんとか小声で呟き。しかし相手は女好きということで噂が飛び交っており自分の中では完全にからかわれているのだと言い聞かせるようになんとか授業に集中すべく、いつの間にか黒板に問題が書かれたものをノートに写し黙々とペンを走らせ)

おっ、初々しい反応。いやー、いいねえ…

(余裕のない初々しい感じの彼女のリアクションを見れば、微笑ましげな様子で口元に笑みを湛え、クラスの女子相手では既にそういった反応は期待出来ないため彼女のような反応をしてくれると嬉しくなってしみじみと呟き。もう少しだけ話を振ってみようかと思ったが小声でのやり取りに教師が気づいたようで『私語は慎め』という言葉に少しだけ乗り出した身体を戻して授業が終わるまでの少しの時間だけ真剣に授業に取り組み、彼女が来て最初の授業が終わり)

…えっと、次は移動教室なんだ。えーっと教科書とノートと…(数学の授業が終わるチャイムと同時に号令がかかり教師が出ていくのを見届けたあと次の授業の移動のために教科書とノートを机の中から取り出し、移動をしようと席を立ち廊下に向かい)

おーい、佳織ちゃん！俺も一緒していい？…っていうか、家庭科室の場所わかる？

(席を立った彼女に遅れること数秒、こちらもその後に続くように立ち上がり教室を出て、側からみれば相当ストーカーじみているが自分にその自覚はなく彼女へと相変わらず馴れ馴れしい調子で声をかけると、そもそも意気揚々と教室を出たまではいいものの、転入してきたばかりで次の移動先である家庭科室の場所をわかっているのかを問いかけ)

え、なんで一緒に行かないといけないんですか…。場所は…分からないですけど勘でなんとかなりますから。(突然背後から親しげに声をかけてきた主の方に目を向けると、あからさまに嫌な顔をしながらこれ以上関わるなと言わんばかりにスタスタと家庭科室とは違う方向へと向かっていき)

ちょいちょいちょい！ちょっと待った、早速その勘思いっきり外してるって。家庭科室は向こう側だぜ？

(自分の顔を見るなりあからさまに迷惑そうな表情と態度を隠すことなく素っ気ない態度をとり、目的地と正反対の方向へと歩き出した彼女の進行方向を塞ぐように慌てて回り込んで後ろ側を指差して。しっかりしているように見えたが意外に抜けているところもありそうだとそんなことを考えると、本当に一人で大丈夫かと言いたげな目を向けて)

…たまには勘は外れることもあるんです…！ご親切にどうも。(今回は自分の勘が当たらず違うと指摘されてしまえば、恥ずかしさからか顔を真っ赤に染めて少しムキになればクルッと向きを変えながらぺこっと頭を下げ、家庭科室を目指して歩みを進めて)