さすらいの旅人さん 2019-11-12 07:31:18 |
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「斜陽」……面白いですか?
何やら真剣に読んでおられるので、僕も少し気になりまして。
(話は知っているが貴方と話したいと思い、そう問いかけ)
滅びの美学……。難しいですね。
(少し照れた様に微笑み)
……ヴァイス様は何かが生まれる瞬間と滅びる瞬間、どちらがお好きですか?
(口許に笑みを浮かべたまま、目だけが真剣になり)
どちらも、だな。
まあ…強いて言うならば、滅びる瞬間だな。
例えば美しい花が枯れ、腐り落ちる姿は哀れだ。
それでいて…とても美しいものだ。
(小説をぱたりと閉ざし、貴方を見つめ)
滅びる瞬間ですか……。
ヴァイス様らしいですね。
滅びの瞬間が美しい……僕にはよくわかりませんが。
きっと貴方の瞳に写るその瞬間はとても、美しいのでしょう。
(見つめてきた貴方を見つめ返し微笑むが、途中で目を逸らしてしまい)
な……っ、怒ってらっしゃいますか?
僕が何かしてしまったのであれば、謝ります。
ヴァイス様の目もきちんと……見ます。ですから、この手を離してください。
(貴方の手に優しく自分の手を重ね、優しい声音で頼み)
…何も怒っている訳じゃないさ。
話している時に目を逸らされるのは苦手なんだ。
俺の話が面白くなかったのか、なんて
考えてしまうからな。
(その容貌に良く似合う、どこか哀しそうで儚げな微笑みを浮かべ)
あ……申し訳ありません。
誰だって話の途中で目を逸らされるのは嫌ですよね。
僕が悪かったです。今後、気を付けますから。
だから……そんな笑い方なさらないで……
(すまなそうに目を伏せた後、貴方の目をじっと見つめ)
…はは、このお行儀の良い笑い方は
やっぱり俺には似合わないか?
(今にも瞳から大粒の涙が溢れそうに見える儚げな笑顔を引っ込め、屈託無く微笑み)
ああ……その笑顔です。
やはりヴァイス様がおしとやかに笑っておられると驚く、というかなんというか……。
兎に角、僕はその笑顔の方が好きですよ!
(貴方の見せた屈託の無い、いつも通りの笑みに安堵した様に少し微笑み)
つまり、お行儀が良いのは似合わないと。
そう言いたいのか?
(怒っている様子は微塵も無く、面白がっているように尋ね)
そういうわけでは……。
でも、そうですね。
きっとこれは僕が貴方様にはその笑顔で居てほしいという願望なんでしょうね。
(少し気恥ずかしそうに微笑みながら質問に応え)
……それと、ヴァイス様があの笑顔で毎日外を歩いたりなさったら男女共に理性が飛んでしまいかねません。
(珍しく冗談を口にして、貴方に笑いかけ)
ご冗談を仰らないでください。
ヴァイス様はとても綺麗な笑顔をなさいますよ。
……姉上様……あの方もまた、お美しいですからね。
(貴方の不貞腐れた様な物言いに笑いそうになるのを堪えながら、姉上様の顔を思い出しぽつりと呟き)
…そんなに言われると、照れるだろう。
(照れ臭そうに頬をほんのりと染め、ぽりぽりと頬を掻き)
「スカーレット、スカーレットは居ないの?」
(美しく幻想的な響きを持つアルトの声が廊下に響き渡り、その声の持ち主はヴァイスを探しているようで)
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