【古の戦場を】愛という名の茨道、IとYOUとでひた走り【駆け抜けろ】

夜分に失礼します。先生。あの、大変恐縮なんですけど、夢小説ってご存知ですか？

(/はじめるぜ）

こんばんは。私は構わないけれど、
こんな時間に珍しいね。
夢小説、というと普通の小説とは
違うものなのかい？
独歩君の周りでは流行っているのかな。

あっ先生！お返事ありがとうございます・・・・・！
すみません俺も詳しくはないんですが、
一二三が言うにはその小説に先生が出演なさっていたそうなのでてっきりご存知なのかと思いまして。

ふむ。私にはなんの話も届いていないね。
最近インタビューを受けた覚えもないよ。

ああ、そうだったんですね。すみません俺の早とちりだったみたいです。
なんか俺ヨコハマのヤクザさんが出てるのは読んだことあるんですよ。

しかし、なかなかに興味深いね。
私が登場する小説というものが
本当に存在するなら、読んでみるのも悪くない。

左馬刻君も登場するのか…。
夢小説というくらいだから、
「夢十夜」のような内容を想像していたよ。

先生のすばらしさをしっかり全て伝えきれているのかすごく心配です。先生の神々しさが減退するなんて耐えられないです・・・・・！

先生。浅識で申し訳ないのですが｢夢十夜｣とは以下なものなのでしょうか？

前々から言おうとは思っていたのだけど…。
独歩君、私はそこまで褒め称えられるような
人間ではないよ。

ああ、夢十夜は夏目漱石の小説の事だよ。
「こんな夢を見た。」という冒頭の文が
有名かもしれないね。
興味があるなら一度読んでみるといい。

いや！先生！それは間違いです。
先生は俺や一二三の恩人ですし、
俺みたいな男にも優しくしてくださって、たくさんの人を救おうとする素晴らしい方ですよ！
俺、神様がいるとしたら先生の形をしてると思うんです。

先生も小説を読まれるんですね。てっきりフィクションにはあまり興味がないのかと思っていました。すみません。
先生が言うなら面白そうです。
次の休暇に読んでみます‥！

君は至極、大真面目に書いているのだろうね。
私は生憎、神なんて高尚なものではないけれど、…
こうも手放しで褒められるとくすぐったいな。

学生の頃はそれなりに読んでいたかな。
最近は忙しくて、読む機会もあまり
ないんだけどね。
「夢十夜」なら本棚にあると思うから、
今度探しておくよ。

あ・・・すみません。
俺みたいなゴミに先生をとやかく言う権利はなかったです。
すみません余計なことを言ってしまって。
俺のせいです。

そんな！
お、俺なんかのために先生の手を煩わせるなんて、
とんでもないです。
それだけでなくお借りするなんて畏れ多すぎます。

…独歩君。
最近もあまり眠れていないのではないかな。
仕事が忙しい、というのは
重々承知しているけど、君の健康状態の
確認もしたいし、時間を見つけて
病院に来てほしい。


丁度、本棚の整理を考えていてね。
それも兼ねて、独歩君が読んでくれるなら、
譲ろうと思っていたのだけれど。
駄目かい？

えっ、そんな、い、いいんですか？
俺なんかが会いに行っちゃって・・・・・。
お忙しい先生のお邪魔にならないですかね・・？

そういうことであれば、
頂いてもよろしいでしょうか・・！
ありがとうございます！

勿論、無理強いをするつもりはないよ。
ただ、君は私の患者であると同時に、
大切な仲間でもある。一二三君も、
君のことを心配していた。
…彼が優しい子なのは、君が
一番よく理解しているだろう？


そのお礼という訳ではないんだけど…。
少し、相談したいことがあってね。

無理強いなんてとんでもないです！
ただ、そんな・・・大切な仲間だなんてこ、光栄です。
一二三、が心配？いや確かに優しいやつですけど、
そんな素振りなんて・・・・・

そんなお礼だなんて言わなくても
先生の頼みならいつでも聞きますよ！
もちろん、なんだって仰ってください

そうかな。…こんな時代だから、私たちは
言葉に重きを置いてしまいがちになる。
だけど思いは、言葉だけで表すものでは
ないだろう？皺ひとつないワイシャツも、
バランスのとれた献立も、彼なりの
思いやりのかたちだろうね。
…これ以上言うと、一二三君に怒られて
しまうかな。歳を取るとどうも、
説教っぽくなっていけないね。


良かった、ありがとう。突然だけど、
女性が喜ぶデートプラン、といって
なにか思いつくものはあるかい。

一二三・・・あいつも俺みたいなのなんかに
構ってなくてもいいのに。
あいつには迷惑かけてばっかりで・・
今度なにかお返しが出来たらいいんですが。

え？っとこういうのは一二三の方が
向いてると思うんですが、そうですね
強いて言うならホテルのレストランで食事とか・・？
無難すぎますかね。すみません。
1番はやっぱり行きたいところに
連れてっていってあげるのが1番なんじゃないですかね。

ふふ。でもきっと、一二三君も君に
感謝していると思うよ。一二三君の
弱い部分は、ほかでもない独歩君が
支えているんだからね。

ああ、すまない。追記するのをすっかり
忘れていたよ。女性と書き込んだけれど、
相手は小学一年生なんだ。

・・・そう、ですかね。そうだといいんですが。
先生にはいつも励まされてばかりで、
本当に申し訳ないです。

えっ？えっ？1・・？えっ？
あの、先生、不躾ですが、
それは一体どう言ったご事情で・・・・・？

少なくとも、私にはそう見えるよ。
君は自分のことを卑下しがちだけれど、
そんな君を大切に思っている人間もいる。
一二三君はもちろん、私もそうだ。
少しずつでいいから、
自分を認めてあげなさい。


自分が送った内容を見返してみたら、
あまりにも言葉足らずで恐ろしくなったよ。
誤解のないように説明すると、相手は
知り合いの娘さんでね。うちの病院に入院
していたんだけど、この前退院したんだ。
それで退院祝いにどこか連れて行って
ほしい、とせがまれて…
年の割に大人びた事を言う子だから、
大人のデートプランを考えてきて、と
言われてしまってね…。