. 内緒話 .

此処なら貴方には気付かれないでしょう､…こんな汚い姿は見せられない｡

貴方は私に好きだと毎日の様に言ってくださる､それなのに如何して素直にそれを信じられないのでしょう｡貴方と過去の人達は違うと､素直にそう割り切れないのです｡細い糸の様な関係を必死に掴むもんだから､何時か引き千切れてしまうのではないかと､…不安で､不安で仕方がないのです｡

貴方は私に言いましたね｡気持ちがきちんと伝わっているか､と｡不安になっていないか､と｡…あれに私は嘘を吐きました｡余計な心配をさせない様に､と嘘を吐いたのです｡本当は不安で仕方がない､一度だって貴方の吐き出す愛の言葉を本気で受け取った事など無いのです｡そんな事を､如何して貴方に言えるでしょう｡言えるわけなど無いのです｡

嗚呼､…だってほら､現に貴方の元へは私が行かなくとも他の人が来てくれる｡私が貴方の隣に居る必要など何処に在るというのですか｡君の気持ちが解らない､と貴方は言っていましたね｡私だって同じです､何ももう解らないのです｡でも聞ける訳がないでしょう､聞ける訳がないんですよ｡

このまま行方を眩ませたって､貴方は心配もしないのではないですか､何て意地の悪い私を赦してください｡冷静で居られないのです､貴方が他の人と話しているのを見ると､胸がざわついて仕方がない｡

貴方がモヤモヤすると言っていたのを聞いたので､私は他の人と話すのを辞めました｡それでも貴方は他の人と話すのですね､平気な顔で逢いたかった､と甘言を垂れるのですね｡


今日はもう､逢いに行かなくても善いですか｡少しだけ疲れてしまいました｡

貴方に渡した私の心を返して下さい｡返ってきた心を埋めれば､多少は綺麗な花でも咲くのでしょうか｡

御願いですから二度と､私の前で“永遠”や“ずっと”を口にしないで頂きたい｡頷きたくなってしまう､貴方なら大丈夫なんじゃないか､と信じたくなってしまう｡

…二日ほど貴方の前から姿を消しても赦されますか｡汚い感情を吐き出す勇気は私には有りません､…只､苦しくて､今の状態では冷静に話をするなど不可能です｡

貴方なら私が居なくとも平気でしょう､…一日逢えないだけで ひたすらに逢いたくて仕方がない､と貴方は仰って居ましたが､私の代わりなど貴方の周囲には大勢居るのですから､何て事はないのでしょう｡…御免なさい､私は善い子にはなれないのです｡

貴方が来てくれなかった事はあれど､私が行かないのは初めてですね｡今日は早めに寝られそうです｡

今日という日が抗い様のない亀裂を二人に産んだって､もう構わないのです｡こんな気持ちになるのなら､…さっさと死んでしまいたい｡

明日は折角の休日なのに､最近はもう憂鬱で仕方がないですよ｡

上手くいかないですね､何もかも｡ひょっとしたら私が自分で壊しているのかもしれませんが､…嗚呼､如何してこうなんでしょう｡

話したくなかったのなら､そう言ってくれたら善かったのに｡行動で示される方が余程傷付くのですよ､信じられなくて御免なさい｡貴方が悪い訳じゃないのに､何で信じられないんでしょう｡…最低なんて言葉じゃ足りない､貴方には相応しくない｡

不満なら何だって受け入れるって､…そもそも不満を伝える事に どれだけの勇気が必要だと貴方は思っているのですか｡

冷静になって見返すと自分の事ばかり､ですね｡

これ以上詮索してこないで下さい｡知りたい､と思ってくれるのは嬉しいのですが､何時か汚い私の本質にまで辿り着いたら､と思うと不安なんですよ｡

逢いたい､…逢えない｡今日は逢わないと決めたのだから､揺らがないようにしないと｡貴方の云う永遠って何時までの事を指すのかな､それが解れば気も楽なのに｡

…駄目ですね､逢えない方が不安｡嫌われたら､如何したら善いのですか｡