一期一振 2017-05-28 12:27:41 |
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あぁ。こいつはいいな、中に仕込んでおいた物が蓋を開けただけで飛び出すって仕組みらしい。…何て面白い箱なんだ!よし、粟田口短刀達が帰ってきたら早速こいつを……おっと、何でもないぞ。( 何度も伸縮繰り返すバネ部分を指で押して遊びながら相手にも分かり易いよう口頭でその仕組みを一から説明しては、それを再度まじまじと、しかも何処か妙にきらきらとした瞳で見詰めては独り言の容量で早速思い付いた新たな悪戯ににひひ、と笑み深めかけるも直ぐにしまった、と己の口許ささっと押さえてちら、 )
…今の言葉はどのようなおつもりで?( 興味深い新しい玩具を見つけキラキラとした瞳で口早に話している姿を微笑ましく見ていたのも束の間、自身の可愛い弟達に性懲りも無くまたも新たな悪戯を思いついたらしく。その言葉を聞いてはニコリとどこか不気味ささえ感じる笑みでそう言えば『没収しますぞ?』と続けて )
いやっ、特に深い意味は無い!こんなに面白い玩具があるぞ〜ときみの可愛い弟達に教えてやればさぞ喜ぶだろうとな、はは、( 一瞬にしてその笑顔から温度が無くなったことに気付けば、僅かばかし声裏返りながらもぶんぶんと首を真横に振って。苦しい言い訳を早口でまくし立てるも引き攣った表情を隠せない己の唇からは乾いた笑いしか漏れず、 )
…ほう?その言葉、信じて良いのですな?( 苦しい言い訳を繰り返す彼にジトリとした視線を送りながらそう言って。それからしばらくして、門の方が騒がしくなったのに気付けば弟達が帰還したことが分かり立ち上がっては門の方へと向かい )
おっ、弟達のご帰還か?( その後も少しの間弁明を続けていたものの、やがて聞こえてきた談笑と足音に隣の相手が立ち上がったのを見てそう声を掛ければ、早速出迎えに向かう相手の後ろへと何も言わずについて行き。勿論、例の箱を持ったまま、 )
お疲れ様、皆怪我の方は無いかな?( 門まで出迎えると疲れきっているはずなのにこちらへと駆け寄り誉は誰が貰った、無傷で帰還したなどと次々に話し掛けられ。流石は藤四郎の長兄と言うべきかその言葉ひとつひとつに耳を傾け微笑みながら頭を撫でてやりつつ共に迎えにやって来てくれた彼の方へと視線やれば『…鶴丸殿が、後で皆に見せたいものがあるようだよ』と続けて )
!あぁ、とびっきり面白い物だぜ。( 正に弟達の世話を焼く兄そのものの後ろ姿を一歩離れたところから少し微笑ましく思いながら見詰めていれば、思いがけず此方へと話題振られ手にしたままだった小箱をさっと後ろへと隠して、皆の視線一身に受けながらにんまりと笑顔見せて、 )
さあ、先に主殿に報告を済ませてきなさい。それから遊んでもらうといいよ、ね?鶴丸殿。( 彼に話題を振れば弟達の注目は一斉にそちらへと向いて。何を見せてくれるのかと次々に彼へと話しかける姿を微笑ましく眺めていたものの、先にやるべき事をしてから遊んでもらうようにと告げ彼にも確認のためなのか視線を向けてみて、 )
あぁ。驚きは後に取っとくもんだ。( 此方へと投げられた視線に自分も視線だけで同意示し返せば、行儀良く兄の言葉に従う者や中には不満の声を上げる者もおり報告を促す彼の肩を持つようにしてまだ内緒だと唇に人差し指当ててしー、と悪戯っぽい笑み深めて、 )
ふふ、皆鶴丸殿に懐いたものですな。( 弟達を見送った後微笑ましい笑顔を浮かべながらそう告げて。それからちょうど夕刻、そろそろ夕餉の準備を燭台切や歌仙達がやっているかもしれない、それならば少しくらい手伝ってもいいだろうと思えば『さて、私は夕餉の準備の手伝いができるか見てきます』と告げ )
きみと一緒に居ると自然とそうなってしまったなぁ。( ははは、と相手の隣で本丸の奥、審神者の元へと散っていく小さな後ろ姿見送りながら何処か感慨深くそう返して。夕餉との言葉にもうそんな時間だったかと思い出しては、真面目な相手とは違い自分は少し考えると「そうか。それなら俺は…あいつらに楽しい驚きを与える為にこの箱に仕込む物を仕入れて来るかな。あ、勿論泣かせたりするような怖い物は入れないぜ?」としっかりと約束してから一旦の別れを告げて、 )
ええ、もし泣かせてしまった時は…お分かりですな?
( 間違えても可愛い弟達を泣かすなど許すわけもなく。どうしても弟達には過保護になってしまうがそれも不可抗力というものなのだろうと思いつつ弟達のことは彼に任せることにして、礼をしては一度別れ厨へと向かって )
一期の奴は殊弟達のこととなると目がまじなんだよなぁ…。( 彼と別れ反対方向へと歩きながらくわばらくわばら、とぶつくさと独り言を漏らしては、さてこいつに何を仕込むかと手元の箱を見詰めながら広い本丸内を練り歩いていれば。出陣から帰って来たらしい一振りの人物と遭遇し、何やら説明をしたかと思えば籠に入った何かを受け取り満足そうに礼を言いながらその人物と別れて。 )
( 厨へとたどり着けばやはり予想通りの二振りがせっせと夕餉の準備をしており。こちらの気配に気付けば何か手伝えることはないかと尋ねたが非番の日くらいゆっくりとしてくれと言われたものの気にしなくていいと半ば強引ではあるが手伝いをしていき。しばらくすれば準備も終え大広間へと料理などを運んで行き )
よし、仕込みは上々…。( 先程の一振りから貰った籠から中身をその小箱へと仕込み終え、満足そうにそれを眺めて呟けば、丁度そのタイミングで報告を終えたらしい粟田口短刀達が部屋を訪ねて来て。彼らを歓迎し迎え入れては、少しの間この箱を開けずに此処で待っているよう申し付けて、恐らく広間の辺りで準備を手伝っているであろう彼の元へと赴いては「おーい一期、ちょっと来てくれ。きみにも見せたくてな。」と働く後ろ姿へと呼び掛け手招きし、 )
…?ええ、分かりました。( 準備をしていると背後から呼び止められて。共に料理を運んでいた燭台切に行ってきてもいいと了承を得ると礼を述べ彼の方へと向かい。おそらく先程弟達にも見せると言っていたものだろうと思うと『それで、どのようなものを?』と首傾げ、 )
待たせたな、長兄のご到着だ。( 彼の手を引き大人しく言い付け通りに待っていてくれた短刀達の元へ戻ると皆へそう声を掛けて、部屋の明かりを極限まで落としてから彼含めた全員の視線を例の箱へと集めると「見て驚くなよ?…そら!」と一息に蓋を開けて。すると中から沢山の淡い光─蛍が溢れ出し部屋全体がぽうっと明るく染まり、 )
!―これは…蛍?( 彼に手を引かれ弟達の待っていた部屋へと招かれると照明を落とし、これから何が起こるのかと柄にもなく少しだけ心が浮ついていて。それは弟達も同じようで声を潜めてはいるものの何が起きるのかと皆待ちわびていて。そのタイミングを図ったのか彼が箱を開けてはその中から一斉に淡い光を帯びつつ出てきた蛍達をみてはその幻想的な光景に息をのみ。部屋中に一斉に歓声が沸き『とても綺麗ですな、素敵な驚きです』と笑み浮かべて )
はは、どうだ?この驚きなら皆が楽しくなれるだろ?( まるで別世界にでも変わってしまったかのような幻想的な空間に予想通りの歓声や反応、様々な喜ぶ表情を眺めながら彼の言葉に満足そうに笑い返しては、あちこちで各々の楽しみ方をしている皆の姿を暫くの間見守って。一頻り自分も楽しんでから「蛍丸にも例を言わないとな。さっき連隊戦から帰ったばかりのところに偶然出くわしたんだ。」と一歩引いた位置で弟達を見守っている相手へとこっそり声掛けて、 )
蛍丸殿…?ああ、例の連隊戦ですか。それはお疲れだったでしょう、私も後で礼を言いにいかなければいけませんな。( この蛍を短時間でどうやって集めていたのかと謎に思っていたが彼の言葉を聞けば納得した様子で。彼の提案に快く頷いてくれたのだろうと思えば後で礼を言いにいかなければと思いそう告げてはしばらくその光景を眺めていて)
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