匿名 2017-04-17 22:31:01 |
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「……もしもし?」
『おはよう隠岐くん今日も元気かい!?とりあえず外を見たまえ外を!』
「朝から元気やなぁ」
『いいから外見ろ外!』
「はいはい、……。……うわぁ、」
『え、なんでそんな嫌そうなの。キレイじゃない?』
「キレイなんはキレイなんやけどな、雪かきのこと考えるとな」
『キミっ、この銀世界を見てはじめに考えることが雪かきって、それでも高校生か!』
「高校生までなるとあんまテンションあがらんて」
『ろんくんもゆんちゃんも大騒ぎだが!?』
「ろんくんとゆんちゃんくらいちゃう。……さむ」
『いやいや、そんなことなっ、……え、なに?……なんだって!?』
「こたつあったか~……」
『大変だ隠岐くん!!』
「お前らの頭がか?安心せぇ、お前らはもともとそんなもんや」
『違う!のんちゃんが!「雪積もってますよだっrrrrrrrrる」って!』
「せやろ~?」
『みんなちょっと精神老けすぎじゃなーい? 私とろんを見習ってほしいわ』
「あ、ワンチャン米屋くんとかどうなん?やっててもやってなくてもなんとなく納得できる人」
『米屋くんはやってるでしょー!!ちょっと待ってて』
「はぁい」
『もしもーし!』
「どやった?」
『さっそく!出水くんと!米屋くんと!おある方で雪合戦をしているらしいですよ!』
「元気やなぁ」
『さて問題です、とある方とは誰でしょう』
「緑川くん」
『いやいや同級生』
「え。……み、三輪くん?」
『正解』
「うそやん……」
『でね、今そこに、奈良坂くんと辻くんと玲ちゃんその他大勢が向かっててね』
「みんな朝から暇なんか」
『つまりね、同級生が集合しかけてるわけ』
「ほーか」
『ところで隠岐くん』
「ん?」
『キミは何歳だい?』
「17やで」
『いったな?じゃあこいよ』
「えー、ほんまにみんなが行っとるん?しょうみ寒すぎて外でたないんやけど」
『……仕方ないなぁ、そんなキミのために、』
ピンポーン
「……」
「ゆんが迎えに来てあげたよ」
「お前ほんま何がしたいん?」
「キミを驚かせたい」
「喜びや、大成功やで」
「やったー!よし、外いきましょ」
「待って待って、よう見て、俺まだ着替えてへんから」
「うわマジじゃんさっむ」
「だから出たないって言ったやん~」
「じゃあちょっとあがらせて」
「はいはい」
「よし、3分間だけ待ってやる。それまでに支度しな」
「も~、ほんまにみんな来るんやろな~……?」
「来なかったとしても、私がいれば充分でしょ?」
「まぁな~?」
「あはは、照れるわー」
「あ、」
「ん? おー、松岡じゃん。隠岐と奈良坂は……いねぇみてぇだな。珍しいじゃん、1人でこんなところに」
「……いや、この際もうキミでいいや」
「あ?」
「出水くん、キミ、誰か宛てのラブレターはもらったことある?」
「なんだそれ。ねぇよ」
「いやあるでしょ、米屋くん宛てのラブレターとか貰って渡してそうじゃん」
「お前俺に対してそんなこと思ってたの。ねぇよ」
「うそ、ええ、じゃあもうキミに用ないよ、立ち去れ」
「まーまー、ゆんさん、話くらい聞きますよ」
「ヒマかよ~」
「お前ほんと可愛くねぇな、さっさと吐け」
「仕方ないなぁ。……ほら」
「ん?……あ、お前まだ奈良坂のラブレター処分係やってんの?」
「違う違う、宛先見て」
「……、……おお、隠岐のじゃん。あいつもついにお前に処理を任せるようになったか」
「違う。よく見て。もっと詳しくみて」
「は?……」
「……」
「……」
「米屋くんだったらもう気づいてた」
「うっせ槍バカと一緒にすんな」
「一緒にしたんじゃなくて下に見たんだよ」
「……」
「……」
「……あ、これまだ封開けてなくね?」
「正解」
「え、……隠岐、内容も読まずに処分、」
「だから違うって。会話の流れをよみとって」
「……」
「……」
「……もしかして、誰かに隠岐に渡すように、頼まれた?」
「大正解」
「……で?」
「うん?」
「なにをそんなに深刻そうにしてんの?」
「私ね、他人のラブレターを読んだり処分したりっていうのは結構やってきたんだけどね、この役は初めてなんだ」
「フツーに渡せばいいじゃん」
「問題はそこじゃないんだ」
「?」
「実はね、隠岐くん宛てのラブレターって見たことなくてね、でもこれを素直に渡したら、せっかく私の手のもとにあるのに一生私はこのラブレターを読めなくなってしまうわけだよ」
「……つまり、これが読みてぇってことか」
「うん。読んだのがバレないように読みたい」
「こういうのにSEきかねぇの」
「残念ながら」
「ゴミだな」
「ほんとそれ」
「つってもなー、封開けるしかなくね?」
「んー、」
「もしくは、隠岐と一緒に読むとか」
「……隠岐くんが読んでるときに?さも当然のように一緒になって読めと?」
「うん」
「いや無理でしょ」
「いけるいける」
「……何を賭ける?」
「なんで賭け事になんだよ。……エビフライ」
「私べつにエビフライ好きじゃないし。タルトがいい」
「じゃあエビフライタルトな」
「キミはそれを美味しいと思えるわけ?」
「お前が作ったタルトなら多分どんなんでも美味くなるはず」
「私が作る前提かよ。……のった」
「おし、頑張れよ。転送開始」
「松岡了解ー。……、」
「あ、バカ走んな!壁あるからっ、」
「ぐふぅ」
「ほんとバカだなお前~」
「べ、べいるあうと……」
「俺が近くにいるので無理でーす。頑張って目的を達成してきてくださーい」
「くっそ~……」
「あ、出水さーん!」
「ん?……おー、ろんか。なんだ、やるか?」
「いやー、魅力的なお誘いではあるんだけど、それどころじゃなくってさ」
「?」
「うちの隊室来てくんない?」
「なんで?」
「ゆんが呼んでる」
「松岡がぁ?」
「うん。正直空気おもすぎてツライから1人で行ってほしい」
「え、なにがあったのアイツ。てかそういう状況なら俺じゃなくて奈良坂呼べよ」
「だってゆんが出水さんを呼べっていうんだもん。透くんはどうだか聞いてないけど、間違ってもコジさん呼んできたら殺すっていわれたから透くんもダメなんじゃね?」
「……隠岐を呼んだらだめで、俺をご指名、と」
「うん」
「了解、察した。すげぇいきたくねぇ」
「はいがんばってー!」
「お前そういうとこすげぇ姉ちゃんに似てるぞ」
「そっか!行ってらっしゃーい!」
「あーもうめんどくせ~」
コンコン、
「おーっす松岡、」
「入るな」
「は?」
「貴様がほんとに出水公平かどうか確認しなければならない」
「あ、じゃあ俺 出水公平じゃなくていいから帰っていい?」
「まぁまて。貴様が出水だということは実は知っている。あくまでも確認だ」
「さっさと入れろよ」
「あいことばを言え。……賭け事の賞品は?」
「あ、エビフライタルト食いてぇ。作ったか?」
「作るわけないでしょバーカ!!なに**ッとしてんださっさと隊室(中)入れボ ケ!!」
「お前ほんとそういうとこ直したほうがいいと思うぜ」
「うっせ!さっさと座れ!コタツあんぞオラ!!」
「はいはい。で、どうした?珍しく俺なんかを呼びだして。相談事なら仲良しの隠岐にすればいーじゃん」
「あーお前ほんとあとでぐちゃぐちゃにしてやるからな」
「言ってろB級」
「……」
「……」
「……」
「……で?」
「……ラブレターの件、覚えてる?」
「ああ、昨日のことだしな。さすがに覚えてる」
「そしたらね、」
「成功したか?」
「なんか無視されるようになった」
「あー、さすがに引かれたのか」
「やっぱり!?やっぱり引かれたのかな!?」
「ぶっちゃけ悪趣味だしな」
「ううっ、」
「奈良坂が優しかっただけなんだろうな。やっぱりお前の相手は隠岐じゃなくて奈良坂がピッタリだと思うぜ。ほらさっさとタルトつくって泣きつきにいけ」
「いやまずどっちもそういうんじゃないし……、奈良坂くんに関してはただの従兄弟だし……」
「従兄弟って発覚するまえは両思いだったのにな~」
「で、無視されてるわけなんだけど、どうしたら隠岐くんの機嫌とれるかな」
「謝ればよくね?隠岐は寛容なほうだし、謝ればすぐ許してくれるだろ」
「な、なにを謝ればいいんですか」
「なにをって……、あいつがどのタイミングでイラついたかによるよな。詳しく教えろ、アドバイスしてやっから」
「あーマジメシア。例のものを渡したのは、昨日の帰り道だったんだけど……」
「あ、あのー、隠岐くん」
「んー?」
「えーっとね」
「んー」
「……えっと」
「なんや急にモジモジして。らしくないな」
「いや、えっと~、……これ、なんだけど」
「? ……えっ、」
「いや、あの、なんというか、とりあえず受け取ってくれますか……?変に緊張が収まらないというか……」
「……え、いや、せやかてお前、は?」
「……」
「……お、あ、ありがとう」
「……」
「……」
「……えっ」
「……ん?」
「よ、読まないの?」
「えっ、いや、目の前で読まれたら恥ずかしいやろ」
「いやむしろ読みたいんだけど」
「自分これ読み返さんかったんか!?普通、誤字あらへんよなーとか、ちゃんと伝わるかなーって何度も読み返して恥ずかしなるもんちゃうん?」
「え、……?」
「なんでわからんの!?……なん、こ、ここで読めばええんか」
「あ、はい」
「……」
「……」
「なんで一緒になって読もうとすんねん!お前の羞恥の基準わからんのやけど!」
「え?え?」
「……は~、もうええわ」
「うん?」
「……」
「……」
「……は?」
「……いやー、すごい熱烈なラブレターだね」
「……」
「これはもう付き合うしかないのでは?安心して、これ渡してきた女の子チョー可愛かったから。隠岐の好みは知らないけど、おとなしそうな子だったよ。いいんじゃない、付き合えば?」
「……」
「……隠岐くん?」
「……なるほどな」
「?」
「うん、よーわかったわ」
「なにが?」
「お前がめっちゃ嫌なヤツってことがよーわかったわ」
「えっ」
「……」
「え、ちょ、待って隠岐くん、ちょっ!なんで逃げ、ぐふぅっ」
「……」
続く
「……っていう感じ?」
「……あー」
「なにがショックだったってさ、私が壁に顔打ち付けるようにワザと曲がらなくていい道曲がっていっちゃったことだよね」
「あー」
「……で、どこで彼がイラついたかわかった?」
「……んー、」
「……」
「……お前の態度?言い回し?が足りなかったところと、察しが悪いところ」
「えっ」
「正直に言わせてもらうとな、あの言い回しは勘違いするぞ」
「え?」
「なにが受け取ってくれだよ、なにが緊張しちゃうだよ、そんなん誰でも「松岡からのラブレター」だと思うだろ」
「……えええええ、」
「そしたら納得できねぇ?お前からのラブレターかと思ってたら、急に一緒になって読もうとかいうし、困惑してたら挙げ句の果てに全部自分の勘違いで、これは松岡からのではなく見知らぬ誰かからのラブレターだったわけだよ」
「……」
「そりゃあ、なんかイラつくだろ。知らないうちに振り回されて、期待させといて」
「……」
「……」
「……ど、どうすればいいのか本気でわかんないんだけど」
「……」
「……」
「……とりあえず、」
「うん」
「……タルトを作るか」
「詫び品ですか」
「そうだな」
「エビフライタルトですか」
「それは俺への詫び品な」
「えー、でも隠岐くんが何好きかとか知らない…私知らない……。なんで隠岐くんなんだ、奈良坂くんだったら好きなものわかるのに……」
「お前な、そう何かにつけて奈良坂奈良坂いうのもやめたほうがいいと思うぞ」
「ううううううううそんなんもう癖だもーん!無理だよー!」
「そこは頑張れよゆんさん」
「んー……、とりあえず、まぁ、チョコタルトでも作りますよ。作ったとしてだよ、私はどうやって謝ればいいわけ」
「……」
「……」
「……こくれば?」
「**」
「だって他にねぇだろ!「昨日は勘違いさせちゃってごめんね。ところで私は手紙なんかじゃなくて口頭で伝える派なわけ。さぁ隠岐くん、私と付き合ってください」どうだ、これで」
「どうだじゃないよ、どこも良くないよ。妙に私の言い回しわかっててキモいし」
「キモイはやめて、傷つくから」
「っていうか、こくるってのは無し。それ以外で」
「……」
「……」
「……えー、わかんねぇ。男心難しくね?」
「キミ男でしょーがぁ~!!」
「でもなんて言えばいいんだ?「私の言葉がたりなかったせいで勘違いをさせてしまってすいません」……とか?」
「……それしかないな」
「それ+タルトだから」
「了解。今から作る、付き合え」
「……仕方ねぇな、のりかかった船だ。エビフライなら任せろ」
「手伝う気サラサラないじゃんか。もー、チョコ溶かすだけでいいからやっといて」
「出水了解~っ!どうせなら槍バカとかにも手伝わせるか」
「米屋くんよりは三輪くん……、いや、やっぱやめて、この件をあまりいいふらしたくない」
「なんで?」
「……この話だと、まるで隠岐くんがマジで私に気があるみたいじゃん」
「……は?」
「私の曖昧な態度で勘違いしただけなのに、噂となってとんでたったら本当にそういうことになりそうで怖いよね……」
「俺はお前が怖ぇーよ」
「え?」
「ま、いいや。さっさと作ろーぜ」
「ん、松岡了解」
「……おお、どないしたん、隠岐。死んどるやないか」
「……どーも」
「せっかくのイケメンが台無しやで、せめて外見だけはしっかり見せな」
「それイコさんに言われると説得力半端ないっすわ」
「ん?」
「なんでもありまへん」
「で、自分がこないに落ち込んどるなんて珍しいやん。どないしたん?話聞くくらいならするで」
「……えらい機嫌ええですね、ナスカレーでも食いました?」
「いや、さっきゆんちゃんと会うてな、」
「……」
「なになに、めっちゃ睨んでくるやんこわ、ゆんちゃん関連なん?せやからそんなに情緒不安定なん?」
「話続けてええですよ」
「いや、」
「ええですよ」
「お、おん……。なんや、太刀川のとこの射手おるやん」
「……出水くんですね」
「それ。それと一緒になって騒いでてな、どないしたんーって入っていったら、2人でタルト作るんやって」
「へぇ」
「そのタルトの中身がおもろいんや。なにタルトやと思う?」
「たけのこタルトちゃいます?」
「それもおもろいけどな、エビフライタルトやって。そんなん絶対マズいやんか。せやのにあの2人めっちゃ楽しそうに材料調達に向かってるんや。そんなんおもろいから、まぁ俺の機嫌もようなるわな」
「……へぇ」
「で、自分はどないしたん、隠岐」
「……」
「いつもやったらイズミクンの位置は自分やん、なんや、ゆんちゃんと喧嘩でもしたんかいな」
「……」
「……マジか、自分ら喧嘩とかするん」
「喧嘩……では、ないですけど、」
「?」
「……イコさん」
「おん」
「出水くんとおるとき、松岡楽しそうでした?」
「めっちゃ笑ったり怒った忙しそうやったで」
「……はああああ」
「お、」
「……あいつ、ほんまずっこいと思いません?」
「?」
「あいつ、ずーーっといーっつも俺にくっついとるんです。俺見つけるとすぐ寄ってきて、周りよう見てへんから壁ぶつかりそうになって、俺が気付いてやらんとどんどん顔にぶつかった跡できてくんですわ。その跡みんのもしょうみ嫌いやないんです。せやけど、みてて痛々しいから、毎回壁にぶつかる前に俺が止めてあげたりしとるわけなんすわ。っつーか、アイツ俺を見かけようがなんだろうが、1人で歩いてると必ずどっかしらにぶつかるんです。誰かがついとらんとまともに歩くこともままならんのですよ。だけどアイツのこと常に相手できるヤツなんておらんくて。奈良坂くんはA級で忙しいし、ろんくんはポジション違うし。そうすると俺がアイツの世話焼かなあかんことになって、せやから俺めっちゃアイツをエスコートしとるんです。その癖してアイツ、俺に恩を返さんどころか、奈良坂くんさえ忙しくなきゃすーぐそっちいってまうし、こないに俺と喧嘩して距離開いても、そんなん気にしないみたいに他の男とじゃれあっとるんですよ。いつんなったら俺の世話焼きは報われるんすか、いつになったらアイツは俺に懐くんすか。ほんまずっこいですよ、アイツばっかり悠々に過ごしとって」
「……つまり、俺はめっちゃゆんちゃんに構ってんだから、ゆんちゃんも俺に尽くせってことやんな?」
「……大分俺に悪意ある纏め方ですけど、まぁ、間違っとらんですね」
「……それは無理ちゃう?ゆんちゃんやし」
「だからずっこいって話なんすわ。俺はあいつと距離とって寂しい気持ちでいっぱいや言うのに、アイツときたら他の男に絡める余裕があるんすよ。ほんまありえん」
「それゆんちゃんに言ったらどうなん?」
「イヤですよ、こんなん告白みたいなもんやないですか」
「違うん?好きなんやろ?」
「俺は負け戦はしたないです」
「これだからイケメンは……」
「イコさんやって顔ええでしょう」
「おまえにいわれてもイヤミでしかないわ。ほら、追いかけんでええのか」
「……え、松岡を?」
「そうや」
「いやいやいやないない、ないですって。無視してんのはこっちなんに急に何事もあらへんかったように話しかけんのはさすがにハードル高いっすわ」
「いや、隠岐はイケメンやからいける。もう素直に言うてこいよ、そうすれば思う存分束縛できる立場にたてるで」
「いや、束縛したいとかそういうんはべつに」
「あれだけ言っといてマジかお前」
「とにがく嫌ですってー、俺こっから動く気あらへんし」
「とんだ17歳児やな。まぁそこまで嫌がるならええけど、はよ仲直りせぇよ。長ひびいて長びいて、つぎの松岡隊との任務に影響でたら面倒やからな」
「了解です~」
「……どうしようもないやっちゃな」
「気のせいですって」
「で、どこで作るんだよ」
「え、キミんとこの隊室」
「いや無理無理。揚げ物できねーし、第一太刀川さんいるからめんどくせーぞ」
「あ、マジ? どうしよ」
「お前ん家は?」
「いや、今ちょっと汚くって……」
「あー……」
「……」
「……」
「「……食堂、」」
「だよな、食堂しかねーよな」
「うん。キミA級隊員だし、無理いえば使用許可おりそうだよね」
「マジA級一位様々」
「ごめんねぇ、さすがにダメかなぁ」
「うそでしょお姉さん!」
「俺A級一位ですよお姉さん!」
「いやぁ、私もわかんないけど、今まで隊員がここを料理目的で使ったことないからねぇ」
「じゃあ私たちが第一人者ということで」
「うーん、無理なものは無、」
「どうかしたのか?」
「えっ」
「あ、」
「嵐山さん!あ、丁度いいや!嵐山さん、ちょっと来て」
「出水くん任せたよ!」
「おっけー」
「え、え?」
「嵐山さん、俺たちどうしても食堂で料理したいんです、あのお姉さん口説いてきてください」
「え、え?」
「えっと、嵐山さんて松岡と面識ありましたっけ?」
「いや、ないな。賢と充が松岡隊のやつらに世話になってるだけで」
「あー、じゃあ松岡のことそんな知らない感じですか」
「透視のスナイパーだろ?」
「それだけですか?」
「ああ」
「そっか~……。えっとですね、松岡、今ちょっと面倒なことになってて」
「?」
「あいつの……友達?を、怒らせちゃったらしくて」
「けんかか?」
「まぁそんなもんです。で、確実に松岡が悪いので、なにか詫び品を作って謝罪して、仲直りをしたいんですよ」
「そういうことか!そうだな、仲直りするのは大切だぞ。よし、協力しよう。力になれるかどうかわからないが、彼女にはいつもウチのが世話になってることもあるしな」
「ありがとうございまーす!」
「あの、すいません」
「はーい?……あら、嵐山くんじゃないの!」
「こんにちは。ところで、出水と松岡さんの件なのですが、使用許可出していただけないでしょうか。万が一なにか問題があるようでしたら、俺が責任とりますので」
「え、そう?ならいいわよ!」
「「嵐山さんハンパねぇ」」
「はは、よかったな、出水、松岡さん」
「はい、ありがとうございます!」
「さて、やりますよ出水くん」
「ああ、最高のエビフライをつくってやる」
「目的を見失ってない?チョコがさきだからね」
「うぃーっす」
「……」
「……」
「……」
「……あ、いた」
「……」
「おーい!隠岐くーん!!」
「……」
「無視すんなバカー!!」
「ぐふっ、」
「……」
「……」
「……」
「……」
「尚無視かよ!タックルまともにうけといて無視かよ!」
「……」
「ねー隠岐くーん、こっち向いてよ~、っていうか喋ってよ~」
「……」
「おーきーくーん」
「……」
「こーじくーん??」
「うっさいわぁ」
「しゃべった!」
「なんやねんお前」
「隠岐くん、はいこれ」
「……」
「えーと、先日は私の言葉がたりなかったせいでいろいろ勘違いさせてしまったみたいですいません。これで機嫌直してください……」
「……ほんまアホちゃう?」
「えっ」
「タルトで機嫌とれるんお前だけやろ。これお前が食いたいだけとちゃうんか」
「そうだよ。食いたいの我慢してキミに捧げてるんだよ。受け取ってよ。食べてよ。機嫌直してよ。無視しないでよ」
「……」
「……」
「なんやねん、他のヤツんとこ逃げたんはお前やろ……」
「ん?」
「あーもう、ほんまお前ずっこい。一周まわってうざい」
「えーっ」
「あと3回くらい謝ってくれん?形だけでええから」
「……ごめん、ごめん、ごめん」
「……しゃあないなぁ、ほら、食うで」
「え、いやこれキミのだし」
「こんな甘ったるそうなの俺1人で食えへんわアホ」
「い、いいの?」
「いいもなにも食えって言うとるやろ」
「わ、やったー!ありがと隠岐くん大好き!」
「……ほんまアホやわぁ」
「ところでエビフライタルトはどないなったん」
「え、なんでしってるの」
「で?」
「ふつうに成功したけど」
「うまいんかそれ」
「おいしいよ」
「ほんま?」
「エビフライとタルトの味がまざりあうことないから普通においしかったよ」
「それタルト生地作る必要絶対あらへんよな」
「だって私エビフライ特別好きってわけじゃないし、てか出水くんがそれがいいっていうから」
「彼も大概アホやなぁ……」
「一応天才のはずなんだけどね……」
「ねぇ、絶対明日は家にいて。外にでないで」
「やだよ。任務あるし」
「それにいくなっていってんの」
「任務にいかなかったら、私はなんのためにボーダーやってるわけ」
「明日の任務いったらお前消えちゃうんだよ」
「そんな危険な任務なら尚のこと行かなきゃな」
「お前がいかないってなったら、太刀川さんが代わりにいってくれんの」
「太刀川さんを守らなきゃ」
「太刀川さんなら大丈夫なんだよ」
「わー強いねぇ」
「ねぇ、だからいかないで。ずっとここにいて」
「でも私ボーダーだしなぁ」
(奈良坂とゆんで寝ている人にやりたいことをしないと出られない部屋)
「……」
「……」
「……ほんとに寝てるな」
ぐにー、と頬を引っ張ってみても、長いまつ毛を数本抜いてみても、目前に眠るたけのこ王子サマが起きる気配はない。はて、と腕を組んで考える。私はわりと素直な人間だと思う。だから、やりたいと思ったことは、そのときそのばでいつも実行している。即ち、今更改まって彼にやりたいこともなにもないはずだ。だが、それも困る。なにも思いつかないからといってこのまま過ごしていても、穏やかに眠る彼は起きないし、ここの部屋の頑丈な壁も開かないだろう。
そうとなれば、やるべきことは1つ。とにかくなんでも試してみるのだ。幸いこの部屋には、ある程度のものが揃っている。私は、数々思い浮かんだ「彼にしかける行為」のなかで、最もやってみたいと思えるものを選び、水性ペンを取り出した。
「っく、くふふ、あはは!!」
あの王子サマの顔に、落書きをしてやった。どうせお互いトリオン体だ、本体には影響はないわけだし、と、迷わず、目を丸で囲ったり、髭をつけてやったり、普段奈良坂くんが私にやってくるような落書きをしてやった。いわば、仕返しみたいなものだった。
だが、扉があく気配は一切しない。ひとしきり笑ったあと、また冷静になって考えてみる。正直、最有力候補だったので、すこし意外だ。なんだ、私はこいつになにがしたいんだ。手を顎にあて、彼の顔をじっと眺める。落書きされても尚眠りつづける姿は、少し此方を不安にさせる。もしかして、時間制限とかあって、このままじゃ死んじゃう……。なんてこと、ないよね。
一度後ろ向きな思考がでてくると、案外それは簡単には消え去ってくれなくて、うーん厄介なことをしてしまった。とりあえずおちつかせるために彼の頬をぐにぐにと触ってみるが、一向に反応を示さない。
「……」
「……奈良坂くん」
「……」
「……透くん、」
「……」
「……開かないし」
いよいよお手上げである。私は最終手段にでることにした。傍らにはイーグレット。これで壁をぶちぬいてやろう。どうせ外はボーダー機関のどっかなんだ。だって、私の透視能力が効かない壁なんて、普通無い。それがここに存在しているということは、これはなにか特別な壁で、そんなことができるのはボーダーくらいだろう。とくに確証はないけど、あの機関は少し何でもアリなところがある。
私はイーグレットを構え、扉の鍵穴に焦点を合わせた。動かない的を狙うのは苦手だが、どっちみちこの部屋を半壊させることは決定事項だ。私は、少しの罪悪感も何ももたずにトリガーをひこうとしたところで、すんでのところで止めた。ふと、彼のほうを振り返る。穏やかに眠る、ふざけた顔。私は星を飛ばせると、もしやと、若干自分にひきつつ、彼に近寄った。そして、彼の右目に、銃口を突きつけた。
「……ど、どうせ死なないしね。一応、一応試してみて、ダメだったらだめで部屋を壊すのをまた再開すればいいわけだから……」
「……」
「……ご、ごめんね、」
ズドン。そんな音がした。銃口からは彼のトリオンが溢れてきていて、私は恐る恐るといったように、そこからイーグレットを離した。すると、
「ひぃっ」
奈良坂くんの左目が、開いていた。私はさすがに笑うこともできず、驚いてしりもちをついてしまった。ガチャリと開錠された音が聞こえたけど、それどころではない。奈良坂くんはふざけた顔のままベッドからおり、私の前にたち、しゃがんだ。片目がない状態の奈良坂くんが、目の前に。ああ、なんて言い訳をしよう。私だって、私の本音に、若干ついていけてないというのに。
奈良坂を一回も撃てたことがなかったゆんさん
「……嘘を見抜くSE、」
「そうだよ」
「うーん、じゃあキミとはあんまり話したくないなぁ」
「なんで?」
「私、嘘ばっかりついて生きてるから」
「なんで嘘吐くんだ?」
「自分を守るためだよ」
「例えば?」
「えっ。……うーん、私、自分のSEのことは弟にしか話してないの。周りの人みんなに言って、それが広まっちゃったら、みんなから軽蔑の目で見られちゃうでしょ。それが怖いの。……こんな感じ」
「ふーん」
「なんだい、その顔は」
「お姉さん、名前なんだっけ」
「松岡ゆんだよ」
「ゆんさんか。ゆんさんは優しいんだね」
「……、嘘を見抜かれて、優しいって称されたのは、初めてだな」
「あ、嘘ついたね」
「あはは、うん、3人目だよ。弟と従兄弟くんは見抜いても優しいって言ってくれたね。私はそんなキミたちの気が知れないけど」
「ゆんさんは優しいよ。少なくとも、おれがネイバーであることを知ってるにも関わらず、こうやってジュースまで奢ってくれたんだしね」
「ありゃ、知ってることもバレてたのか」
「うん」
「SEハンパないね」
「それは自分が一番わかってるんじゃない?」
「いや、私のSEなんか大したことないもの。壁が透けるだけって」
「それでも、ボーダーの役に立ててるじゃん」
「私がいなくても変わんないよ、ここの組織の戦闘面の充実っぷりは」
「そうじゃなくて、ゆんさんがいるお陰で、救えてる命があるでしょ。少なくとも30こくらい」
「随分現実的な数字を使うね。……とても前向きな意見だね、私もそう考えられたら楽なんだけど」
「むずかしいことではないぞ。ゆんさんが卑下するのをやめればいい話だ」
「それが難しいんだよ」
「めんどくさいな」
「よくいわれる」
「ところでゆんさん、スナイパーだっけ」
「うん?そうだよ」
「なら、チカが世話になる機会があるかもな」
「ああ、トリオンモンスターね!」
「知ってるのか!」
「あの場にいたもんーっ。あれ凄かったなぁ。なに、キミの彼女?」
「違う。同じチームなんだ」
「あー、そうなの。あはは、じゃあ、近々対戦する機会もあるかなぁ」
「え、でもまだB級だぞ」
「私もB級だよ」
「え!」
「そんな驚く?」
「いや、ゆんさん、よくだれかと話してるの見るけど、ほとんどがA級じゃん」
「同級生みーんなA級だもの。でも、普通にB級でしょっちゅう話すヤツもいるよ。どっちみち私より強いけど」
「へー。じゃあ、対戦するときはよろしくな」
「キミは強いらしいからあんまり戦いたくないんだけどね……。あ、そうだ、キミはアタッカーなんでしょ?じゃあ、今度私の弟紹介するよ」
「ほう」
「松岡ろんっていうんだけど、基本的に……。……誰といるんだろ。多分いろんなところウロウロしてるようなヤツだからすぐ知り合えるよ。私に似てるから見ればわかるだろうし」
「へー。つよい?」
「ん~……。それなり」
「それなり」
「まぁ、適当に相手してやってね」
「了解」
「あ、お迎えきたんじゃない?」
「む?」
「よ、お二人さん」
「どうも迅さん」
「2人は知り合いなのか」
「私SEもってる人にすっごいグイグイいく人だから」
「ああ、こられた」
「でしょ?」
「はは、もう仲良くなったのか。そりゃ良かった」
「良いことですか」
「ああ。ゆんちゃんは秀次と仲良いから、もしかして仲良くなれないかなーって思ってたんだけどな」
「ゆまくん」
「嘘だね」
「げっ」
「うん、今のは私でも嘘ってわかるよ。だって、私が、ネイバーといえどSEもちを嫌いになるはずがないもの」
「あー、そうだったな。ごめんな」
「む~、偏見に過ぎないが、SE持ちって嘘をつきたがるな」
「うん、偏見だねー。他の人は嘘つかない人ばっかだねー」
「オレらがイレギュラーだな」
「シロくんは恐ろしいほど素直だし、村上さんは嘘つくような人じゃないし、影浦さんの嘘はただのツンデレだし」
「陽太郎だって、嘘つくような年齢じゃないしな」
眠いから続きはいつか
多分流れ的には
(0.従兄弟だと発覚)
1.隠岐くんと出会う
2.奈良坂くんと仲良しなんだよアピールしつつ隠岐くんの世話をやかなければならなくなるゆんさん
3.隠岐くんとよく行動するようになる
4.ろん入隊
5.隊結成、隠岐くんの好意があからさまになってくる
6.B級6~8位をうろつきはじめる
7.ゆんが隠岐の気持ちに感づきつつもスルー
8.原作開始
っていう感じ。
イメージ的にはゆんさん三輪くんと同じクラス。なにかいい案が思いついたらそのつど改変
こんこん、
「三輪くんいますかー?」
「……松岡か」
「あれー、マジでいるじゃーん。珍しいね、隊室にいるの」
「それほど珍しいわけではないぞ」
「え、私が来るとき大体ここの隊室誰もいないのが普通なんだけど。奈良坂くんと古寺くんは訓練いってるし、米屋くんは模擬戦にいってるし、蓮さんは見たことないし、キミも基本いないし」
「松岡の間が悪いだけだな」
「ええ、そうかな……?」
「というか、話を少し戻すが、お前は俺が居るのが見えていただろう。何故わざわざ驚くような態度をとるんだ。そういうことをやめないからまた嘘をつくのが癖になるんだ」
「ご、ごめん……。いや、キミがいるのはわかったんだけど、もしかしてキミに会いたすぎての幻覚なんじゃないかと……」
「……はぁ。で、何の用だ?」
「えーっとね、これなんですけど……」
「……」
「そ、そんな目しないで」
「提出は明日だぞ。どこまで終わっていない」
「……137ページまでじゃん?」
「ああ」
「93ページまでは終わらせました!」
「前回の出題範囲から1ページも進んでいないが」
「だ、だって、いろいろ忙しくって」
「ほう。A級の俺より忙しかったか、B級隊員」
「仕方ないの…今月の報告書に手間取っちゃってて……それで……」
「……ああ、ろんが暴れたらしいな」
「あいつダメだよ、同級生が同じ任務についてるだけでチョーはしゃいじゃってさぁ」
「お前だって同級生が同じ任務についてるとお喋りが止まらなくなるだろう」
「……否定しない」
「否定できない、な」
「まぁとにかくそういうことなんですよ!お願いします!課題写させてください!」
「……」
「……」
「……なら、」
「はい!」
「俺と模擬戦をして、」
「負けたほうが勝ち!?なら余裕だね!」
「バカか」
「無理だって、三輪くんに勝つのはキツいって」
「何も勝てとはいってない。10先で、お前が一点でもとれたら写させてやる」
「お!」
「ただし、イーグレットとアイビスの使用は禁止だ」
「……げ」
「お前、俺が教えてやった鉛弾、使いこなせているらしいと聞くぞ」
「それだれに聞いたんですか」
「奈良坂」
「奈良坂ぁ……!!」
「だから、師匠として、弟子の実力を見てみたいと思ってたんだ」
「マジ?いや、ほんと無理だって、鉛弾くんはあくまでもサブで、不意打ちを狙って使ってるだけで」
「メインで使えることに越したことはない」
「そうなんだけど!それはガンナーさんのお仕事というか!私はあくまでもスナイパーというか!」
「俺の弟子な時点で立派なガンナーだ」
「第一キミを師匠にもった覚えもないしね!」
「……、じゃあいくぞ」
「なんで今笑ったの!?なんか面白いことあったかな!?あ、まって三輪くん!、ぐふ、」
「どんくさいな」
「いま、いま絶対わざと閉めたでしょ」
「さあ」
「も~!!」
「お前弱くなったか?」
「だから!本職!スナイパーだから!」
「俺が教えていたときのほうがまだマシだぞ」
「だ、だって、あのときみたいに毎日世話ないてもらってないし、腕は落ちるばかりにきまってんじゃん」
「だったら訓練しろ」
「鉛弾の訓練とか、キミがいないときにやっても意味ないよ」
「そんなことはない。お前はやればある程度できるんだから、もっと積極的に行動していけ
「はーい……」
「……」
「にしても、課題はもう諦めるか……」
「大丈夫なのか、成績」
「だって、今からやっても無理だもん、あんなの……」
「……教えてやるか?」
「……え、でも私負けたし」
「俺が条件を出した上で交渉したのは課題を写させることだ。べつに課題を手伝う手伝わないの話しはした覚えがない」
「……ほ、ほんとにいってる?」
「本当のことだろう」
「~!三輪くん!!好き!!」
「約2名面倒な気持ちを抱くやつがいるから、唐突な告白はやめろ」
「はーい!ありがとね、三輪くん!」
「ああ。さっさと終わらせて訓練するぞ」
「……え、それは聞いてないよ」
「……はぁ」
「また悪かったのか。見せてみろ」
「えー、やだ」
「課題を手伝ってやったヤツに言う言葉か?」
「仕方ないなぁ……」
「……」
「……」
「……国語だけとれる。勉強をしないヤツの典型的なパターンだな」
「うっ」
「松岡、なにも知恵熱で倒れるほど勉強をしろとはいってないんだ。人並みに努力をしろ」
「……そ、その努力に費やす時間が、なくて」
「なぜだ。A級の俺ですらあるぞ」
「いや……」
「お前は出水たちのようにゲームをするわけでもないし、太刀川のように課題ほっぽりだして訓練に勤しむってタマでもないだろう。お前はヒマ人なはずだ」
「けっこうグサグサいってくるね!?」
「で?」
「……」
「……」
「……いや、フツーに過ごしてるだけなんだけどね?」
「ふつうに」
「フツーに」
「よし。なら、お前の生活をグラフ化するぞ」
「ん!?」
「とりあえず座れ」
「え、いや日直の人に迷惑なんじゃ」
「今日の日直は俺だ」
「あ、ハーイ」
「まず、朝は何時に起きる?」
「そこから? えーと、5時」
「で?」
「で、って。そのあと、ろんを起こして朝食食べて、身支度して、7時には学校着くようにしてるよ」
「……、学校が終わるのが、まぁ大体17時ということにして、それからは?」
「ボーダー行く。早くても20時まではいるね」
「そこだな」
「え?」
「そこの時間を勉強に当てろ」
「ええええやだやだやだ」
「やだじゃない。訓練室行っても寝てるだけってよく聞くぞ」
「誰から?」
「奈良坂」
「奈良坂ぁ……!!」
「どうせ寝るならその時間を勉強にあてろ」
「ええ……。ボーダーで勉強……?気分のらないよね……」
「俺がいつでも教えてやるが?」
「えっ」
「それに、ボーダーには進学校のヤツらだっているんだ。家で1人で勉強するよりはるかに捗るだろう」
「でも、進学校ったって、綾辻さんは基本いないし、亜季ちゃんは顔見知り程度だし、歌歩ちゃんは歌歩ちゃんどころじゃなくなるし、辻くんは辻くんだし、奈良坂くんはなんか癪だし」
「……俺しかいないか」
「でも、三輪くんも忙しいでしょ?」
「お前に構うくらいの時間はある。お前と違って、効率のいい生活を送っているからな」
「なかなかイヤミな……」
「で、どうするんだ?」
「……おねがいしまます」
「わかった。お前今日任務あるか?」
「ないよ」
「そうか。じゃあ今日からやるぞ」
「ええええええ」
「でないとお前はいつまでもずるずる引き延ばしにするだろう」
「否定はしないけど、え、マジかぁ……」
「ほら、さっさと支度しろ。時間がおしい」
「うぇ~……。……三輪くんさぁ、すっごい私に世話焼いてくれるけどさぁ、なに、好きなの?」
「まぁ、好意がなければここまでは尽くさないだろうな」
「……私キミに好かれるような行動をした覚えないんだよね」
「なんだ、俺に好かれるのは不満か?」
「いや、納得がいかないだけ」
「……なら、」
「?」
「お前の姿をみてると自分の姉を思いだすから、という理由にしておいてくれ」
「……え、三輪くんのお姉ちゃんこんなだらしなかったの?」
「そういうことではない姉さんを侮辱するな」
「いやいやいやそうとしか」
「それに、あくまでも建て前だ。あまりつけあがるなよ」
「ええええ、どこか理不尽に感じるんだけど私だけなのかなぁ、これ」
「そうだ」
「ええ……?」
「お、松岡」
「ん?あ、隠岐くんね」
「珍しいやん、こないなとこおるなんて」
「珍しいって。私スナイパーなんですけど。ここがホームなんですけど」
「最近めっちゃ拳銃推してるらしいやん」
「それはいろいろ訳があってね……」
「スナイパーん中でお前完璧万能手目指してる説出始めてたしな」
「え、それは盛りすぎでしょ」
「……」
「マジ?」
「わりと」
「無理だって!こんなしょっちゅう寝てるやつが!完璧万能手って!」
「それに万能手はろんくんの仕事やもんな」
「えっ?」
「ん?」
「え?」
「え、ろんくん、万能手になるって言っとるやん」
「そうなの?」
「最近話してないんか」
「うん、ちょっと課題におわれててそれどころじゃなかったというか」
「その間にろんくんは万能手への道へ踏み出しはじめたで」
「アイツどこ目指してんだ……」
「てか隊長に報告しないあたりがろんくんやな」
「ね。せめてのんちゃんには報告しておいてほしいところだけど……、まぁろんだしないな」
「まぁ、精々指導頑張ってな」
「……いや、だから私はスナイパーだから。万能手になる気はサラサラないから」
「えー、ほんまに~?イーグレットより点数高なったって噂でとんで」
「んなわけないだろうが!」
「……ここにいたのか、捜したぞ」
「ねぇしゅうくん」
「その気持ち悪い呼び名をやめろ」
「もしかしたら私、出水くんのこと好きかもしれない」
「……またか」
「またじゃない!出水くんははじめて!」
「勘違いだ、出水はやめろ」
「だ、だって、なんか最近出水くんと話してるときすっごい楽しいんだよ。今日だって出水くんが模擬戦やってるっていうからここまで来たいって思ったんだもん」
「お前はそればっかりだな。前も全く同じ理由で太刀川にひっついていたことを忘れたのか」
「ああ、あれは勘違いだったね」
「今回も勘違いだ」
「ちがう!ちがうもん!」
「違くない。……というか、そんなくだらない理由で訓練をサボるな。俺がどれだけお前が来るのを待ったと思ってる」
「痛い痛い痛い、……10分くらい?」
「5分だ」
「せっかちかよ!」
「1分1秒もおしいというのに、お前ときたら……」
「だって、乙女の本能が出水から目を離せない……」
「乙女なんてここにはいないが??」
「そんなんだからしゅうくん彼女できないんだよ!」
「余計なお世話だ。ほら、立て。立つ気がないなら引きずるぞ」
「まって、引きずるのはなし、うへえっ!」
「あ、あの」
「……」
「えーっと……」
「……」
「ん、どないしたん?」
「あ、隠岐先輩、」
「このアホに用でもあるん?起こそか?」
「起こしても大丈夫なんですか…?」
「かまへんかまへん~。……おい、松岡」
「……んん、」
「お客さんやで。お前がはなしがってた子やぞ」
「……ん~?んー……、……ん!?」
「お、」
「わ、」
「ト、トリオンモン、千佳ちゃんじゃん!」
「は、はいっ」
「わー、わー!いやー、毎日入り浸ってるもんだね、やっと会えたー!」
「え、え?」
「わー!、ぐふっ」
「困っとるやろ」
「く、くび、首しまってるから」
「だ、大丈夫ですか……?」
「大丈夫、大丈夫だよ……。やっぱり玉狛の子は優しいね……、本部のヤツらとは大違いだね……」
「お前も本部の一員やからな」
「ほらね、こういうかわいげのないヤツらばっかり、いいい痛い痛い痛い」
「用件言えずに困っとるやろー?ごめんな~?」
「い、いえ」
「あ、そっか、私に用があってきたのか。なになに?」
「あの、松岡さ、」
「ゆんでいいよ!」
「っはい!ゆ、ゆんさんは、鉛弾を使うって聞いて」
「うん?」
「だから、どうやって使ってるのか、みせてもらいたくて」
「……松岡は鉛弾使うけど、狙撃やなくて拳銃やで」
「えっ」
「うん。私の戦術がね、基本はこの目でターゲットを見つけて、アイビスで打ち抜くって感じなの。で、万が一接近戦になったときに、まぁどうやっても勝てないから、相手の動きを封じて逃げるように鉛弾をもってるだけなの。だから、遠くの人を狙う分には、鉛弾は使ったことないかな」
「……そうなんですか」
「……」
「……」
「……あ、や、やっぱり、狙撃で使ったこともなくはない、かな……?」
「は?」
「!、 そうなんですか、」
「うん!ろんの補助とかで、たまに……?」
「……! で、でしたら、忙しくないときにでも、見せてもらえませんか!」
「おー、おっけーおっけー!ただ、今日はちょっと用事があるから、……あ、明後日とかでもいい?」
「はい!よろしくおねがいします!」
「はーい」
「……お前狙撃で使ったことないやろ」
「……」
「なぁ」
「……あの困った顔みて耐えられるヤツいないよ」
「せやかてお前、どないすんねん。教えられるんか」
「……今日、三輪隊っているかな」
「……奈良坂くんはそこおるで」
「よし、助けて三輪くん!!」
「たぶん無理やと思うで~……」
「……俺は万能手だ」
「知ってる!」
「完璧万能手ではない」
「知ってる!」
「なら話は終わりだ」
「そこをなんとか!」
「自分でまいた種だろう」
「お願いします!あとでなんでも付き合うので!よっ!鉛弾の使い手!」
「……はぁ。上手くいかないからといって、俺のせいにするなよ」
「~!!三輪くん!」
「ほら、座れ。使い方を考えるぞ」
「はい!」
「あ、完璧万能手擬」
「よっ松岡」
「……キミたちほんとに仲良しなんだね」
「自分と隠岐の仲良しパラメータ見てからいえよな~、そういうの」
「ちょ、隣座るの許可してないよ」
「まぁまぁ」
「まぁまぁじゃなくて」
「っていうかこんなとこ来てどうした。マジでアタッカーやってみる気なの?」
「えー、松岡には向いてねぇって」
「だから!違うし!人の話聞く気無しか!」
「じゃあなんだよ」
「ろんのお迎えだろ?」
「いやー米屋サン、そんなつまらない理由で行動するヤツじゃないですよ、コイツは」
「あら」
「あらら」
「つまらない理由で悪かったな」
「あれ、マジ?」
「てっきり秀次目当てなのかと」
「しばらくボーダーで三輪くんの顔見たくないね」
「お師匠様な~」
「秀次スパルタだろ?」
「うん。もう意味わかんないくらいボロクソいってくる。お前スナイパーのくせになんで的に正確に撃てないんだって。すごい傷付いた」
「あー、お前は動く的専門だもんな」
「ちょっとのズレをアイビスでカバーする系ガバガバスナイパーだもんな」
「お前の強みSEだけだもんな」
「キミたちやっぱり彼の友達だね。そんなボロボロ言ってくるとゆんさん泣いちゃうぞ」
「ゆんさんは泣かないでしょ~」
「その真っ黒な目から涙は想像できねぇな」
「米屋くんにいわれたくないわ~~~」
「まぁ、なんだ、頑張れよ」
「は?」
「お前ならそこそこまでいけるって。完璧万能手」
「だから!違うし!!ほんっと話聞かないなぁ!」
「いやオレは正直松岡には無理だと思うぜ」
「わかってるから!なる気もないから!もうほっといてよ!」
「あ、ところでパーフェクト」
「その呼び名止めてくれない?」
「ろん今とある人に稽古つけてもらってるから遅くなると思うぜ」
「はやく言ってほしかったなソレ。できれば出会い頭に言ってほしかった」
「後の祭りだな」
「米屋くん頭良さぶんなくていいよ」
「お前初対面時にこめやくんって読まれたの忘れてねぇからな」
「っていうか、稽古って誰につけてもらってるの?風間隊って確か任務入ってたよね?」
「ああ。誰だと思う?」
「お前もよくお世話になってる人だぜ」
「えっ。……」
「……」
「……」
「……み、三輪くんじゃないよね」
「お前のその常に最悪の未来を想定して構える姿勢、おれ結構好きだぜ」
「オレも」
「ねぇ否定も肯定もしないってどういうことなのねぇ」
「こういうことだバカ」
「わぁっ!?」
「あ、ずりー松岡。ココアじゃん」
「え、え、なに?ん?くれるの?」
「コーヒーと間違えたんだ。お前らの分もあるぞ」
「秀次ボタン間違えすぎじゃね?」
「バカ、てれかくしだろ」
「いや、ゆんのために買ったココアで当たりがでただけだよ」
「おい」
「マジか秀次!」
「おまえその松岡へのサービス精神なんなの!?」
「な、なにを企んでるの三輪くん……」
「違う。ほんとに押し間違えただけだ」
「まだしらを切るつもりだコイツ」
「ねーゆん~、もう帰ろ~?マジヤッベー疲れたんだけど~」
「ろんの言葉遣いほんと気になるわ直させろよ松岡」
「米屋くんも似たような感じじゃん」
「ほんとお前オレに容赦ないよな?」
「三輪隊のなかで唯一の輩だもの」
「お前マジ、」
「っていうかわりと米屋くんと出水くんへの対応はかわんないんだけど」
「おれのことも輩認定なわけ!?」
「出水さんは輩だろ」
「なんでそういうとこだけノるんだお前は…!もう射手教えてやんねーからな!破門だ破門!」
「えまって、ろん出水くんに教わってたの?」
「あ、そうだゆん、今日の夕飯ホットケー」
「話をそらすな!隊長命令だ!!」
「そういやお前隊長か」
「ボーダー内で一番モブ顔のくせにな」
「なんだとデコだし!」
「……お前らもう少し互いを尊重しろ」
会話文で誰がなに喋ってんのかわかんないくらいごちゃごちゃさせるの好き
と奈良坂の昔話
「あれ、奈良坂くん?」
「……?」
「こっちこっち」
「……、あ、?」
「あれ、わかんない?私、同じクラスの松岡なんだけど」
「いや、さすがに前の席の人くらい覚えてる」
「あ、奈良坂くん後ろの席だっけ?」
「そこは覚えてないのか…」
「まぁいいや、奇遇だね、こんなところで」
「ああ。松岡さんもボーダー入るんだな。そういうイメージなかった」
「あはは、なんならボーダー入るためだけに引っ越してきたってところあるんだけどね」
「へぇ」
「ねぇ、奈良坂くんのポジションどこ?」
「狙撃手だ」
「え、一緒だ!」
「そうなのか。よろしくな」
「うん!よかったー、知らない人ばっかりのところでやってくの不安だからさ~」
「松岡さんはそういうの得意そうだけどな」
「ないないない、人付き合いちょー苦手だよ」
「少なくとも、挨拶する程度のクラスメイトにこんなにぐいぐいこれるんだから心配ないと思うぞ」
「あ、嫌だった?」
「いいや、変に距離をとられるよりはマシだ」
「よかった~」
ちょっとたってから
「あ、奈良坂くん!」
「……」
「おーい!」
「……」
ドンッ
「!?」
「いあっ!!」
「……」
「いった~……」
「……やっぱりお前か」
「どうも……」
「お前これで壁にぶつかる……いや、突っ込んでいくの何回目だ」
「わかんない……頭痛がいたい……」
「俺も頭が痛いよ」
「これからはちゃんとトリオン体になってから行こう……」
「そういう問題じゃないと思うがな。……松岡」
「んん?」
「なんか俺に隠し事してないか?」
「……」
「図星をつかれた人間は怒るか黙るかの二択らしいぞ」
「べ、べつに人間だれしも隠し事の1つや2つあるよ」
「……」
「キミだって私になにか隠し事してるでしょ?」
「いや、してないぞ」
「えっ」
「俺は隠すようなことはないから、お前にけっこうなんでも話してる」
「……」
「フェアじゃないよな」
「そ、そっちが勝手にやってるくせに……」
「いいから、吐け。なんでこんなに壁にぶつかるんだ。おかしいだろ、急に人が壁に向かって突進するんだ。周りからみたら恐怖そのものだぞ」
「……だ、」
「?」
「だれにもいわない?」
「ああ」
「……じつは私、さ、SEもってて」
「……」
「……」
「……え、」
「……」
「どういうのだ?」
「……とう、透視。壁が見えないの。だから、壁の先にみえるキミを見つけては、実はそこにある壁にぶつかって、毎回頭抱えてるの」
「……」
「……」
「……で?」
「え?……い、以上です」
「……なんだ、大したことないじゃないか」
「!」
「あの松岡が言いづらそうにしてるから、どんな面倒なものかと思えば……」
「……」
「SEって全部が全部迅さんみたいなものじゃないんだな」
「……」
「……松岡?」
「……ふへへ」
「? どうした」
「なんでもない!そっか、大したことないか」
「……悪い、軽率だったか」
「うん!ちょー軽率!ほんっと軽率!」
「……?」
「大したことないだって!そんなことないよ、キミ何回私にアイビスでやられてんの!」
「……!あれ、透視で場所がわかってたのか」
「そうだよ。アイビスくんなら壁だって関係ないしね」
「なるほどな……」
「……ねぇねぇ、奈良坂くんってチョコ好きだったよね?」
「タケノコな」
「あはは!ねぇ、チョコタルト好き?昨日作ったのがあるんだけど貰ってくれない?」
「いいのか?」
「うん!もちろん!」
「SE持ちって大変そうだよね」って同情されるのがめちゃくちゃ嫌いなゆんさん
たぶん三輪くんも同情はしてこないと思います。三輪くんは「透視か。運がいいな、狙撃手にはピッタリじゃないか?」くらいの反応だといいな。
反対に隠岐くんと米屋くんは全力で同情してきそう。人間ができてる彼らはすごくやんわり同情してくれるのでゆんちゃんは多分彼らに対してなかなか素直な態度がでてこないです
こんこんこん、
「どーも、風間さーん!」
「……」
「あ、ちょ、どけよシロくん。おまえに用はないんだけど」
「風間さんだって松岡に用ないよ、でてって。っていうかその呼び方やめて」
「ちょっと~、最近ゆんに構ってもらえてないからってオレに当たるのは違うんじゃないの~?」
「は?頭沸きすぎ。ゆんさんのことなんか何も言ってないじゃん」
「またまた~。ごめんね、来たのがゆんじゃなくてろんで。ゆんなら三輪隊にいったよ、会いにいってくれば?」
「べつにゆんさんに用ないし。っていうかなんでわざわざあんな人のとこにいかなきゃなんないの」
「ゆんのこと好きなくせに~照れちゃって~」
「だからべつに好きじゃないから」
「あ、ゆんだ」
「、」
「嘘だよ~!!さっき三輪隊に行ったって言ったばっかじゃーん!なに焦ってんのー!」
「あーもうほんと出てって!!」
「いい加減にしろ」
「うっ」
「……」
「ろん、俺に用があって来たんじゃないのか」
「はい!えっとですね、実はオレ、万能手になりたいと思ってまして!」
「あ、ちょ、」
「……ほう」
「だから、シューターとガンナーどっちが向いてるかな~って悩んでて。風間さんはどう思います?」
「自分で決めるものだろう。俺はおまえの師匠でもなんでもない。口出す権利もない」
「でも、俺の先輩であることには変わりないです!その先輩の意見が聞きたいんです、オレは!」
「……シューターだろうな。おまえは器用だからどっちでもいけるだろうが、隊の構成を考えるとなるとそっちのほうがバランスがとれる」
「あー、ゆんが銃使えますもんね」
「あいつは鉛弾しか使わないが、それでもガンナーとしての役割がきちんと果たせている。あいつの隊での一番の役割は援助、そしておまえの役割は攻撃だ。だったらおまえは、正確に相手にダメージを与え続けなければならない。そこでおまえがガンナーを選んだとして、おまえはすこし引け気味になってしまうだろう。おまえは自由に動きまわるのが得意なんだから、おとなしくその場に応じて戦い方を広げられるシューターにしたほうがいいと思うぞ」
「……なるほど」
「……すまない、一気にいろいろ言い過ぎたか。区切ってもう一度説明するか?」
「大丈夫ですよ!オレゆんと違ってバカじゃないんで!」
「そうか。なら大人しく出水のところにでも行ったらどうだ」
「え、二宮さんじゃダメっすかね」
「……出水が嫌なのか」
「いや、なんか癪で」
「……」
「……」
「……」
「わ、わかりました……」
「ん。さっさと言ってこい」
「うえ~……」
「……風間さん、意外と松岡隊のこと知ってたんですね」
「後輩のいる隊のことくらい気にする」
「……」
「……おまえは三輪隊にいかなくていいのか」
「だから違いますって」
知り合って数週間くらい
「……あれ、」
「? あ、隠岐くんじゃん。やっほ」
「どーも。……なんや、今日おかしない?」
「え?なにが?」
「いや、なにがって……、なんやろな」
「なんやろな~」
「真似せんといてください、」
「あだっ」
「痛ないやろ、トリオン体なんやから、……。……あ、それや」
「え?」
「トリオン体やん。めずらしく」
「え、あ、あ~……。やっぱ、私がトリオン体だと違和感ある?」
「おん。めっちゃある。あとあれ、よくよく考えるとな、ここにいるのも違和感ある」
「?」
「いつも居るんここやないやん。あそこやん」
「あ~……」
「やっぱ今日おかしいよな?どないしたん?なんかあったん?」
「……えーっとね、」
「すいません東さん、松岡知りませんか」
「ひいいいいっ」
「……あれ、三輪くんやっけ。三輪くんが原因なん?」
「うーん、半分正解……」
「久しぶりだな。松岡ならさっき見たから、この辺に居るはずだぞ」
「ありがとうございます」
「なんで…なんでだ東さん…なんで味方をしてくれないんだ……」
「うーん、日頃の行いっちゅーやつなんちゃうかなぁ」
「私キミにそんな言われるようなことした覚えないんだけどなぁ……」
「あ、近付いてくるやん」
「ああああん無理無理こわいよ~??」
「鬼の形相やが」
「あ、それは元々」
「それはもともと、」
「……おい、松岡」
「お、」
「ひぃっ」
「なにこんなところ来てるんだ。さっさと帰れ」
「……」
「今日おまえはなんのために学校を休んだんだ、言ってみろ」
「……」
「ろんが心配してたぞ、ゆんが帰ってこないって」
「(待って ろんって誰や)」
「……だって、ずっと家にひとりって、寂しくて」
「なにが寂しいだ。おまえは辺りを見渡せば見知らぬ人が腐るほど溢れてる世界にいきてるくせして」
「(……?)」
「だからこそ寂しいよ。だから嫌だよ、帰りたくない。どうせろんは9時まで帰ってこないし」
「(同棲中の彼氏さん説あるな、ろんさん)」
「だとしても、帰れ。第一、おまえ立てないほどに調子が悪いと聞いたんだが?その証拠に、普段生身のくせに、今はトリオン体だな。どうせ生身にもどったらぶっ倒れるんだろ」
「そ、そんなこと」
ちょっと眠いから明日つづきかく
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