201 2016-12-29 23:04:24 |
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モブ登場させるの結構好きなのですが、出してしまってから201様が苦手だったらどうしようと思っていたのでそう言っていただけて良かったです……!
わわ、そうですよね。では夏に日向で数時間車を放置はちょっと大変なことになるので、初夏くらいでどうでしょう?それでこちらは引っ越しやら就職、渡瀬くんは仕事を辞めた辺りを軽く巻いて同棲生活をスタートさせるとしたらちょうど今くらいの時期まで飛ばして……という感じにしますか?
(彼が座ったのを確認して、運転席に乗り込む。初夏の午後。外では温く弱い風が街路樹の枝を揺らしていて、ドアを閉じた瞬間少しむっと熱気を感じた。空はからりと晴れ渡り、真っ直ぐな陽射しを車内に注いでいる。エンジンをかけてエアコンの風を調節していると、ゆらりと覗き込むように視界へ入り込んできた彼と否応なく視線が絡んだ。化粧品の匂い。高いものを使っているのだろうが、近づくとやはり独特な匂いを嗅覚が拾い、ふっと肌へ視線を滑らせる。濃く塗り重ねた厚い化粧、彼と向き合うよう身体を捻ると、「……落とさないまま来てくれたんだ。」なんて呟きステアリングに触れる彼の白い手へ視線をやった。返事を待たずすぐに口を開くと、「運転に支障が出るほどは悪くないよ、普段もかけてないし。ありがとう。」と微笑んでそっと手を重ねる。……乗っていなくちゃいけない理由なんてないのに、代わろうか、なんて。勝手にきつく指を絡めて、一人で勝手に苦しくなった。我儘で嫉妬深い人だってわかっていたのに、昨晩は言葉が足りていなかった自覚があって、でも言葉を尽くすだけじゃどこにも行けないこともわかっている。恋人でもないのに彼の言動は泥のように重苦しくて、実のところ今までの俺なら一番苦手なタイプではあった。手に負えない癇癪、それは彼自身が持て余しているもの。だけどそんな人間を愛してしまったのもまた紛れもなくこの俺だった、から。もう一度彼と視線を合わせ、「……今朝のあれは、これまでのきみだよ。宝物だ。俺が撮った俺だけのきみだから、写真展になんて出してやらなかった。他の誰とも分け合うつもりはない……大事な人だから。スタジオから声がかかったその時から俺の中じゃ引っ越しももう決まったことだったんだ、きみを連れて。」ゆっくりと、言い聞かせるように語った。空気を読まないエアコンの風が音を立てる。ランチタイムが過ぎたファミレスの駐車場はそう混んでいないとはいえ、さすがにここで白昼堂々ハグできないのがもどかしい。だからさっさと絆されてくれよと思いつつ、言葉の選択を誤れない緊張感で眉間に汗が滲むのを感じた。「……好きだよ。竜児は、俺のこと、好きじゃない?」念を押すように付け加えて、様子を窺うみたく目を細める。正念場だと思った。緊張と焦りからか、彼の返事を待たずに言葉を投げかけてばかりだ。……だって一丁前に、今のままじゃ嫌だった。貧乏なフリーターのくせして、トップモデル様とセ.ック.スフレンドじゃ嫌だったのだ。)
私はモブを上手に使えなくてそれこそただの小説もどきになってしまうので敬遠していたのですが、竜児の周囲の人との関係性や接し方を描きたくて。でも失敗ですが(笑)! 遠慮なさらずお好きな書き方して下さいね。
そうですね、話し合いの中にあったごたごたが済んだら飛ばして季節をリアルタイムに合わせましょう。
(重ねられた手が生温かくてハッとする。心臓がどくどくと勝手に俺を置いて生き急ごうとする。隣り合わせるだけで済むから車で良かったなんて思ったくせに自分から目を合わせるようなことをしていて、そのことに今更気付いても余りに真っ直ぐ見つめられるから反らせなくなってしまった。彼の口から紡がれる言葉は、意味は理解出来るのに現実感が伴わない。ぎゅっと絡まった指がしっとりと汗ばんで、ああ突き放されるわけじゃないんだ、と妙に冷静に納得出来たから握り返す必要は無かった。だって昨夜あれだけ喚き散らしておいたのだから、俺の想いが伝わってないなんてこと、ないだろ? まだ冷え切っていないエアコンの乾いた風が頰を撫でる。シンプルな愛の告白に、今度こそ堪え切れずに顔を背ける。目を見開いてから、ゆっくり、シートに沈み込む。手は絡めたままだ。でも今にも震えそうだった。きっと、裏の裏を読んで身勝手に落ち込んで逆ギレする俺のために、うんとやさしい声色で言葉を選んでくれているから、そのまま全て信じていいんだろう。「……俺は、大好き」目は合わせられなかったけど、たぶん幸せそうに笑えたはずだ。でも、今じゃなきゃ言えなくなりそうだから、すぐにまた口を開く。「あなたは、……あなたは本当に割り切ってるんだって思って、俺らの関係。身体だけで、繋がっているのは、すごく簡単……刹那的で、居心地がいいから。最初はそうだった、けど」俯いて、ジャケットのジッパーを見つめる。浅瀬でもがいているみたいな想いを救出して彼へ届ける作業はとても困難で、近道が見つからなくて倒置法を繰り返してばかりだ。困り笑いみたいな表情を浮かべた顔は、隠すことは出来ない。短く切り揃えた髪を初めて後悔した。「そうゆうの、解ってて、勝手に好きになって、あなたを責めるのは間違いかもしれないけど、悔しかった。順番なんてどうだって、俺にはユウトとの全てが恋愛だった。……ねえ、あいしてる」ステアリングと彼の手でサンドウィッチになった手を引っこ抜いて、彼の手の上に重ね直して力を込めて握る。上げた顔は情けなくても、しっかり彼の視線を捕まえて。涙の膜が少し厚くなって、視界が僅かに揺れる。本当は、彼が俺なしじゃ生きていけなくなればいいって思う。いつからだろう、心が満足しなくなったのは。初めは自身の華奢だけれども柔らかくもなく骨ばって可愛げもない身体を求めて乱れてくれるだけで単純な欲求は満たされたのに。性的に結ばれた相手と恋に落ちるなんて経験値の少ないガキとまるで変わらない。けれど、まっとうな恋愛のステップを総じてスキップしていようが、どうでもいい。ちゃんと解って、届いてと祈るような気持ちだ。強気でいたって自信はあまり無かったんだ)
ありがとうございます……!
はい、それではそのようにいたしましょう。ご丁寧にありがとうございました!(何もなければこちらは蹴っていただいて構いません)
(重ねなおして、ぎゅっと握られた手がしっとりと汗ばんでいる。直接語られる想いに深呼吸でもしないと叫びだしてしまいそうなくらい嬉しいのに、胸が詰まるからそっぽを向いた。こんな場所でハグなんかできないのに、それ以上のことをしてしまいそうで浅い呼吸を整える。しばらくそうしていた後もう一度彼へ向き直ると、涙をためた切れ長の瞳と視線が交じってぐらりと動揺した。「……想いを伝えあった二人が恋人になる、最高に幸せなシーンのはずだろ?泣かないで。」そう言って、空いた方の手で彼の頬に触れると一度だけ親指で撫でつけすぐに手をおろした。俺はごてごてなハッピーエンドが大好きだ。ヒーローが世界を救って、ついでにヒロインも手に入れてしまうような。俺は別に世界を救ってはいないし、生憎想い人はずっと男だ。だけど例えば自分を主人公にして作る映画での最高のラストが今ここにあって、でもこれは映画ではないから二人にはもっと良い未来が待っているはずなのだ。朝、出くわした俺に彼が向けた恨めしそうな顔を思い出す。だけどわかるよ、本当は少し嬉しかったろう?そういう男を愛してしまった心とじくじく苛む劣等感を同時に抱えつつ、住む世界が違う彼のことを征服しようと躍起になった。その戦いのゴールも知らないのに、欲しくてたまらないと思ってしまった俺の浅はかな欲深さを今は褒めてやりたい。だって彼が俺を引き出したのだ、彼も俺に引き出されたのだと思いたい。「……これから時間ある?化粧落としなんかうちにないし、すぐ帰すから。」眉を下げ懇願するようにうちへ誘った。とにかくこんな誰に見られているかもわからない場所からはいなくなりたくて、それに見せたいものがあったから。一種の確認のようなものだ。こんなの臆病ですっごくダサいから、絶対に悟られたくはないけれど。うちで例の写真を再び見せることでまたこじれてしまうことも込みで、それでもどうしたって俺は彼にあの写真をきちんと直視してほしかった。じっと彼の瞳をのぞき込んで、少し、出会った頃を思い出す。うつくしいひと。あの頃と今じゃ抱く感情は全然違うけど、ずっと俺を魅了してやまないことに変わりはない。瞬き一つ、溜め息一つ。もてるイマジネーションを汚染されたのだ。シャッター音と彼が纏うもの。その二つが空虚なままの俺を埋めた。)
(思えばいつだってそうだった。率直で、大胆で、スマートで、ドラマチック。それが彼が語る言葉の全てで、ちゃんと意味があったしそれだけで完結してしまうようなうっとりした響きがあった。潔いほど短絡的だと思わずにいられないこともあって、だから俺は混乱したし困惑したしものすごく怒った訳だけど。だけど、本場で育ったとかは関係無くて本当にそういう海外映画の吹替みたいな口調が似合う人だ、と思う。魔法みたいにすっと胸に溶け込んで、炭酸みたいにぱちぱち弾けてひろがる淡くて温かい気持ちに鼓動が応えるようにどきどきする。頰に触れる彼の指の感触にゆっくり瞬きして、素っ気なく離れていってしまう体温に、顔面を覆う色のついた粉やら液体やらの厚みさえもどかしい。正直、車に乗ってすぐ彼が言ったことはまだきちんと整理できていないしそれに対して返答をしたでもない。つまり片付けなきゃいけない宿題は残っている。けれど、後回しでいいじゃないか、一度大きな衝突を経験した二人には今更近道なんてないんだから、手を取り合ってゆっくり前進すればいい、神様の気まぐれで決められた俺らの運命が良いものであるように祈りながら。そんなふうに、思えたのに。彼らしくない誘い文句に一瞬、息を詰まらせる。それが不安やおよそ彼のイメージにはそぐわない謙虚さから出たものだとわかっていても。薄笑いで茫然と彼を見る。人は、心を守るために、場面に釣り合わなくとも笑ってしまうのだという。すぐ帰すって。そう言った。一緒にいなくてもいいってこと? 思わず重ねた手を離して膝の上でぎゅっと握り込む。化粧を落とさずに来た俺への気遣いだって分かってるのに、そんな言い方をされたことがどうしてもショックで、さっきは溢れなかった涙が、真逆の感情に上書きされてじわじわと視界を閉ざしていく。漸く「うん」と頷くとその拍子にぱた、と手の甲に小さな水溜りが出来た。そのまま俯いて「でも」と濡れた声で続ける。ああこういうところが面倒臭いんだと自覚するけど一度口を開いてしまえば止められない。「なんで? どうして帰れとか言うの? 好きって言ったのに? だって、化粧落としくらい自分で持ってるし、明日も明後日もオフなのに?」ぐすぐす鼻を鳴らしながら、彼の方が忙しいのかもと思い至るけど俺が言いたいのはそういうことじゃないから、俺は好きな人とならずっと一緒にいたいって思うから。あなたはそうじゃないの? と責めるような口調になってしまうのは、俺の中で彼の言った"好き"に納得出来ない矛盾が生じてしまうから。)
(口ほどにものを言う彼の瞳が揺れている。ぼんやりその理由を考えていると、薄笑いを浮かべた彼がするりと離した手を膝の上で握りこむのを見て、あ、泣く!って思った。彼と平穏に過ごすためには敏感に研ぎ澄まさなければいけない、これまでの対人関係においてはわざと機能させていなかった俺の察する力が「泣きスイッチを押したね」と冷静に囁いたのだ。でも、と続く責めるみたいな言葉たちは口から零れてしまったら彼自身止められないことを知っているから、きちんと耳を傾けて、丁重に誤解を解かなければいけないぞと頭をフル回転させる。想いを伝えあった後だからこそ納得出来ないのであろうその口調、おどけたように苦く笑っては、「……ハンカチ持ってないんだ。持ってたら泣いていいってわけじゃないけど。」なんて言って彼の太ももにそっと手を置いた。……まったく何でこうなったかな!?このままいい雰囲気で俺のボロアパートまで車を発進させるシナリオを能天気に描いていたから、何が泣かないでだお前が今泣かせてるんだぞと心の中で自分を罵倒しては白目をむきそうになるのをぐっと堪える。彼の太ももに置いていた手を冷汗が滲む自身の額に移動させ、鬱陶しい前髪をかき上げ平常心を取り戻したらそのまま肘をステアリングに置いた。「ならきみこそうんなんて言わないでよ。知ってたら帰さないし……不安にさせたのは悪かった。でも俺、きみに帰れとは言ってないでしょ?」困ったように笑っては、穏やかな声でそう告げた。そして返事を待たずに「……この件に関して悪いのは絶対場所だ。だって二人っきりならきみの恋人はきみが望むこと何でもしてあげられるからね。賢い竜児、俺の馬.鹿な発言許すのは後でもいいから、泣き止んで、早くこいびととして触らせて。」また縋るように懇願しては、曖昧に微笑んでじっと彼の反応を待つ。セラピードッグも顔負けな精一杯の気遣いは、誰に褒められなくなっていいのだ。だって俺は多分、竜児のそばにいながら竜児の面倒なところを最も理解しようとしていない男だから。俺と竜児は絶望的なくらい考え方が近くなくて、だからぶつかることも多いし、これからも絶対ゼロにはならない。だけど竜児の苦悩を勝手にわかったふりして自己完結したくないから。理解できない重苦しさを、その都度わかっていきたいと思うのが俺の彼への愛だから。そうしてちょびっとずつ受け入れて、二人で歩いていけたらそれがいい。だから誰に褒められなくたっていいのだ。竜児に向けられた愛の中で、これは俺だけの形でいいから。)
訂正把握しました! わざわざありがとうございます。私も誤字脱字してそうですが、心の目で読んでいただければと思います……。
そして毎度この世のどの女性よりも面倒臭い竜児ですが、彼ならこういう反応したと思いますので、暫しお付き合いください。
それと左右固定なしとしていましたが、受けっぽいキャラ避けというのもあったので、今の時点で何かご意見ありましたらおきかせください。ネコ避けと言っていながらかなり竜児が女々しいですが……直接的な描写はできないとしても、これでリバとか竜児が上とかだと大分かわいいなあと思ってしまった次第です。
(ああ、困らせてる、と頭のどこかで焦りと罪悪感を感じるのに、違うそうじゃない! と"でも"と"だって"を繰り返す意固地な子供みたいな自分が心を支配する。些細な一言を捻じ曲げて理解して息が苦しい程に思い悩むのは自分に自信がないことの裏返しで、相手の想いをちゃんと確かめたいだけなのだ。一瞬も逃さず実感したいんだ。何故そんな簡単な一言を噛み砕いて理解できないの、と問われたって、恋してるからとしか答えようがない。普段は問題なくやれているのだから。「泣いてない」とむすっとしながら今更隠すように手の甲でごしごし目を擦る。擦れて落ちた化粧品が粘膜に触れて目が痛んだ。「……俺、帰すとか言われたくない。ユウトは悪くないけど、俺たちもう損得とかそういうの関係ないでしょ?」好きだから一緒にいたいっていう当たり前の思いは、時間も感情も空間も、願いや祈りも、無駄なものなんてひとつもなくて全てを相手に与えて託すから二人じゃないと完全じゃないってこと、今の二人は欲望や利害の一致や損得勘定で繋がっているのではないから、チープなポップスのありがちな歌詞にだって共感できちゃう気持ちだから、きっと擦り切れるくらいに気を遣ってくれた彼の台詞には全然返答になっていないけど、そう言えばわかってくれると信じて、ぱっと顔を上げて確かめるみたいに彼の表情を窺う。男前な造作の顔が、ふんわり曖昧なニュアンスに歪んでいる。あ、やっぱり困ってる。本当はそんなふうに慎重になって欲しくない、もっとも、俺の激しい感情の起伏を宥めるには彼はそうすべきなのかもしれない、でも彼のしたいことや欲しいものだってちゃんと俺に求めて欲しい。ならば、彼が、恋人として触れたいと言ってくれたことが全てで、答えはとっくに出ていた。ごめん、とごく小さく謝って、甘えるみたいにほんの少しだけ上目遣いにゆっくり睫毛を持ち上げて。「行こ、俺も早く二人きりになりたい」車を出すよう促すようにステアリングにかかった彼の腕をそっと撫でて)
なるほど、左右固定なし表記はネコ避けだったんですね。左右固定なしということはこのサイトでよく目にする喰い合い的な関係性を望んでいらっしゃるのかなと思っていたので、むしろこんな感じで一方的に彼氏面していて(精神的に有人が左寄りな感じ……)いいのかなと考えたりしてしました。ネコちゃん可愛がっていたいバリタチ気質なもので……。
それとキャラ作成時にも申し上げました通り女々しいとか重いとか面倒臭い子大好きなので、「左右固定なし表記は単にネコ避け目的だったので、女々しい竜児が嫌でなければ撤回しませんか」的な意味でのご意見ありましたら……というご質問だったのであれば喜んで彼氏面させていただきたく思います。あの、トンチンカンな回答していたらすみません。
かわいい……。有人は精神的な男役は譲りたがらないんだけど竜児くんよりキスが下手で、いい雰囲気になってさあ組み敷くぞとちゅっちゅし始めると主導権持ってかれてちょっとイラっとしていたり……してそう……。自分が年下であることを感じさせられる瞬間が嫌い、というか。
(四つ。小学六年生と高校一年生の差は大きいんじゃない?とカラカラ笑っていた日本人の知り合いの言葉を思い出した。そんなの知らないよ、とスニーカーのつま先で小突いてそっぽを向いた自分はふとした瞬間大口を開けて襲い掛かる余裕のなさに誰より一番気が付いている。そのはずなのに、他人に初めて指摘されことが冷や水を浴びされたみたいに鋭く刺さって拭えなかった、その時は。かわいい、すきだよってしつこいくらいに囁き続けたベッドでのリップサービスがずいぶん前から本心に変わっていたことなんて知らなかったでしょう?色素の濃い真っ黒の瞳をてらてら濡らしながら不貞腐れる三十過ぎの男への征服欲を腹の中でじっとり育ててきただけあって、年上だなんて思えないよって思ってしまえばその場の空気にそぐわない嬉々とした感情が膨れてくるのが自分でわかった。……うん、うん。泣いてないって強がりと、損得とか関係ないって言葉にやたらにっこり二度頷いて、こんな場所でやめてくれと言いたくなる目をしたコイビトから自然を装って視線を外すと「よかった。」と安堵したように呟きシートベルトに手をかけた。
ファミレスの駐車場を出て、交通量の多い大きな通りを走る。はやる気持ちと運転の荒さは比例していて、法定速度ぎりぎりで突っ走る車体が信号前のブレーキでバウンドするたびごめんねって前を見ながら謝って、でもそれ以外何も話さなかった。擦り切れて白線がほとんど見えなくなってしまっているボロアパートの駐車場にバックで車を入れた後、さすがに申し訳なさそうな顔で「大丈夫?」って声をかけるまでずっと。ごめんね、でもあんな事情の前みたいな顔されちゃあしょうがないよとはさすがに口にせず、さっさとシートベルトを外すと意図して視線をよこそうとしていなかった助手席の男へようやく顔を向ける。人通りが少ないのをいいことに、ろくに返事も聞かずがばりと覆いかぶさるように抱き着けば、無防備にさらされた首辺りに鼻を擦り付け甘えたようにくすくす笑って。)
あ、いえ食い合いでもいいんですが、全く内容を決めずにの募集だったので、いかにも受けですみたいなキャラをやりたいって方に来られるとちょっとなあという……(笑)。此方が受けキャラをやりたいという訳でもなく、ただそういうノリというか、が苦手なだけなんですが。
有人くんがタチ気質なのはわかっていたので、其方がよければでは普段は今まで通り竜児に我儘女王らしくキャンキャン言わせておいて有人くんに彼氏役に回ってもらい、ここぞという時は竜児にちょっといいところ見せてもらいましょう。竜児はケロッとして俺も男だしとか言いそうです。
経験もあると思いますが竜児は本能的に相手を喜ばせるやり方を知っていて、相手に優越感を感じちゃうのが好きっぽいです。有人くんがそれを嫌がるのは勿論、嫉妬なんかしちゃって、でも逆らえない、とかだと尚良い……です……。どうでしょう?!
今回もまた進行を遅らせる、タイミングの悪い感じですが、有人くんがペアの子と会ったくだりを回収できたらなと……すみません。ちなみに彼女の名前は豊枝ひかり、童顔ですが24歳で実家の農業を継ぐ予定で婿養子絶賛募集中の長女です。メイクは自分でしちゃう派。
(するりと後退して滑らかに車体を駐車場に滑り込ませる手さばきに内心で丸をあげる。さすがに俺も免許は持っているけど、10年近く運転していない今ならS字クランクで脱輪する自信がある。頷いてシートベルトに手を掛けたところで、彼の頼もしい腕にぎゅっと包まれて、金具から外れたシートベルトが中途半端に二つの身体に挟まれる。自分が驚いていることに気付く前に腕を回してしまうのは、抱き合って愛を表現する文化を作ってきた人間の本能に近い習性なのかもしれないなと思う。首元に鼻を押し付けてくる仕草が大型犬みたいでかわいい。心をくすぐられたから彼の茶金の髪をくしゃくしゃとかき混ぜるように撫で、「速度は守ってたね……」と皮肉っぽく吐息で笑ってみせる。あれ以上うだうだと湿っぽい話をしたり甘い言葉を囁いたりする必要もないと思ったし、殆ど無言の静かで短いドライブはそんなに心地の悪いものではなかったけれど、彼にとってはそうじゃなかったみたい。でも、法定速度内とはいえ安全運転とお世辞にも言えない荒っぽさで急いでくれたのは嬉しかった。指を差し込んで地肌をなぞるように乱した髪を梳いていく。本音を言えば早く車内から脱出したい。彼のしっとりした体温にやっとちゃんと触れられたから何だか落ち着いてしまいそうだけど。助手席と運転席が見た目より遠く感じるのはこんな時だ。身体を捻らないと抱き合えない場所じゃなくて、もっとちゃんと密着できなきゃ嫌だ。とんとんと背中の真ん中を軽く叩いて「ね、降りよ」と訴えかけたところで間の抜けた電子音がぴろん、ぴろん、と立て続けに二回、同時に脇腹のあたりがぶーっと振動する。片手で彼の後頭部を抑えたまま、少し無理のある角度でもう一方の手でジャケットのポケットから音とバイブの発信源を取り出して彼の肩越しに見ると、チャット形式のSNSアプリにさっき一緒に仕事をした女の子からのメッセージだ。仕事終わりの挨拶だろうと察しはつく。毎回律儀に送って来る子だから。無視しなかった自分が悪いのであって、タイミングを考えろと彼女に怒るべきではない。何故か宥めるように彼の後頭部を撫でて、すぐに返さなくても良い相手だから、中身は読まずに「ごめん、降りよう」と彼から手を離し)
なるほど、了解いたしました!
ああいいです……お互い濃いのでシチュエーション尽きないですね……いろんなごたごたをやりたいです……!
あっぜひぜひ!有人はすっかり忘れてるので、今有人が考え事してる後ろでラ〇ンチェックして知って声かけてくださっても、もちろん後でも大丈夫です!ロル内で促せなくてすみません。ひかりちゃんの詳細もわざわざありがとうございます。
ちなみに有人の部屋は入ると狭い玄関のすぐ隣に台所があって、目の前には六畳の居間、あとは押し入れやトイレ、お風呂、奥には申し訳程度のベランダがあるようなよくあるアパートです。あんまり物は置いてないタイプ。(というかお金がない)
(彼以外はブルー。これは内緒の話なんだけど。寂しいときは、流行りのSNSが苦手な俺のためにメールで連絡を取り合ってくれている彼からのメッセージを読み返している。彼からのメールだけ通知ランプが緑色に光るよう設定しているのは、緑色のアイコンのSNSを巧みに使いこなす彼への対抗心と、縁っていう字に似ているから。赤とかピンクはちょっといやらしい感じがしたし、黄色やオレンジはガキっぽい。だから彼以外は青。彼以外はブルー。俺は冷たい男だ。彼以外はブルーなんて。……ぴろんぴろん。某SNSの通知音がする。音源は十中八九彼のスマホで、案の定ごそごそと空いた手でジャケットをまさぐっていたからなんとなく冷めて黙っていた。しばらくすると聞こえた降車を促す声に、「うん」と短く返事をしてするりと彼の腕から抜け出す。コンソールボックスに置いていた財布やらスマホを手に取り車内を後にすると、助手席の彼も降りたことを確認してリモコンキーでロックをかけた。
安アパートの二階にある数時間ぶりの我が家。鍵を差し込んでドアを開けると、似たような薄汚れたスニーカーばかり転がる玄関のありさまを、他人事のように汚いな、なんて思った。これは客人に申し訳ないとスニーカーを脇に蹴飛ばしてスペースを開けると、「どうぞ、鍵掛けてね。」なんてお決まりの台詞を言いながらぺたぺたと中へ上がって。元々必要な物しか置いていなかった部屋は、小さな家具たちが所々に置かれた段ボールの中に詰め込まれてしまっていることで普段より更に殺風景だ。引っ越しの準備を進めていることは明白で、いくら和解の後とはいえなんとなく触れ辛かったから、いつも言っている「汚くてごめんね」って台詞は口にしなかった。(大体、普段も今も玄関以外はそんなに汚くない。)いつも通り端の方にあるベッドにでも腰かけてくれよと目線で促し「化粧落としてて良いよ」なんて声をかけると、部屋の真ん中にある小さなボロテーブルへと近づいて。鎮座する四角いクラフト製の箱と眼鏡の横に財布とスマホを置けば、テーブルに手をつき数秒逡巡し、ふう、と小さく息を吐く。しゃがんでそばにあった段ボールを開けると、わざわざしまい込んだ荷物をまさぐり探し物をして。)
なんてことない些細なことでもこの二人は大事にしてくれそうなので妄想が尽きません(笑)。いろいろやらせたいですね! 他にも何か思いついたら随時お知らせください!!
了解いたしました。ということでなんだかもちゃもちゃと詰め込んでしまいました……。
ありがとうございます。通常のワンルームという認識で大丈夫でしょうか? 後で同棲する部屋はもう有人くんが決めているということ(で合ってるでしょうか)ですが、もし間取りなど考えてあればお教え下さい。まだまだ出番のなさそうな部屋なので全然後でも、相談して決めるのでも大丈夫です〜
(素っ気ないというよりは、淡々としていて無駄がないだけなんだろう。さっさと車を降りてしまう彼を、もどかしくシートベルトの呪縛から解かれて足元の鞄を無造作に掴んで追う。自分自身、一緒にいるときに携帯を弄る人はあまり好きじゃないのに、抱き合ってるときになんて論外じゃないか。これから彼の部屋へ招かれるのだから、車内での抱擁を解くのに未練も何もないんだけれど、何だか彼が少し冷たくなったように感じて、ぎゅっと唇をかたく結ぶ。何度も来ているけれど、いつも玄関に足を入れた瞬間ふわりと漂う彼のにおいに生活感を感じてどきりとする。ブーツの紐を片手で解きながら、言われた通り鍵をかけて、上がった先の彼の背中越しに見た部屋はいつもより少し広くて、無愛想な段ボールが点々としている。敢えてそこには触れない。そういう冷淡さみたいなものが、彼から、というよりは住人が出て行っても関係ないよとその痕跡が残ろうが知らんぷりを決め込むこの手のアパートの部屋と段ボールから発せられているような気がして。暑苦しいジャケットを脱いで、鞄と一緒にテーブルの脇に置いて、少し迷ってから重ねて着ている薄手のニットのカットソーを脱いで、その上にぽいと投げる。囚人みたいなボーダー1枚になってやっと季節相応の格好だ。そんなに化粧された顔が気に入らないのかと苦笑いしたくなるほどに気にかける彼にうん、と短く返すけどその気はなくて、ベッドに乗り上げて三角座りで携帯をぽすんとぞんざいに放り投げる。アプリの画面を開いて、だ。変わりばえのないお疲れメッセージだろうなと思ったから文面は読んでいない。派手なスタンプと絵文字が踊っていた気はする。そんなに大事じゃないし疚しくないっていうアピール。彼がSNSが苦手なのは俺とメールでやり取りしている時点で明白で、嫌だったり気になるなら言えばいいじゃんと思うから。……じゃなくて、白けさせたなら自分が悪いとはいえ、ああいう会話の直後でこんなふうに放っておく? もっとも彼は俺が真っ先にメイクを落としに行くものだと思っているのかもしれないけど。「ね……こっち来て。はやく」と膝の上に顎を載せて、段ボールをごそごそやっている彼の横顔を睨む。「キスしてほしい、から」追い討ちだ。それとも、車のアレで満足したの? 本当に? だって、今、彼が俺に触れて俺が彼に触れるってこと以上に大切なことってないだろう。彼が振り向く前にふい、と膝に頰をくっつけてそっぽを向くと目に入る豊枝とのトーク画面。『彼氏さんに謝っといてください(泣き顔)』の不可解な部分にぽつん、と頭上にクエスチョンマークが浮かんだ)
ありがとうございます!!竜児くんが仕事してるとことか見に行きたいですし、有人が賞をとった写真の人物も出してみたいですし、ニューヨーク行きたいですし、破局騒動(距離を置くとかでも)もいずれは……とか思ってます……。もちろんできる範囲で構わないんですけども……!
はい、そんな感じです。引っ越し先に関しては都心のマンションかなあとしか考えていなかったのですが、希望等ありますか?
(鳥や兎を相手にしたことはないから、例えるなら夜店の射的の景品とか。カメラと彼の存在は、そういう何かを射るのに似ている。顔が好みだって理由で引っ掛けたその人は日本で有名なモデルで、だけど俺がそのことを知ったのは彼と寝たずいぶん後だった。アルバイト兼風景専門の貧乏写真家はそんな世界に縁などなくて(家にテレビもないし)、出会って数秒で芸能人だと聞かされておいて失礼ながらそのことに半信半疑だったのだ。一応人には言わなかったけど竜児……渡瀬ユアンと寝たなんて荒唐無稽な話、例え行きつけのゲイバーかなんかで口を滑らせたところで誰も信じなかったと思う。でも帰国後たまたまコンビニで手にした雑誌の表紙からこちらを睨むその人は確かに、あの日乱れたベッドの中で俺にしなだれかかっていた男で、シーツを纏った下半身が人魚みたいで綺麗だと褒めたら猫みたいな眼差しが悪戯に細まったのをよく覚えている。それを剥ぎ落として現れた白く細い足に目を奪われていたら、見てないで早くって求められるみたいに唇を合わせられてたまらなく興奮したのだ。日本でも会おうって言ったのはどっちからだったかな。寂しがりな人だった。甘やかしてくれる人に飢えていると言ってもいい。最初さえ間違えなければ、きっと俺じゃなくても落とせたんじゃないだろうか。いわばその程度に脆い人なのだ、四つ上のこの男は。出会った頃を思い出しながら動かしていた手の甲が、ごつんと目当てのものにぶつかって少し痛かった。しびれを切らしたように掛けられた恋人の声に振り向いて、慎重に取り出したミラーレス一眼を手に立ち上がる。軋むベッドに乗り上げて、そっぽを向き三角座りを決め込むその人を太ももで挟むよう覆いかぶさると彼のスマホの傍にカメラを置いた。リップ音付きで額に唇を寄せて、「キスだけ?」なんてくすくす笑いながら問いかけると、返事を待たず肩へ回した手に力を入れ押し倒す。化粧品の味がしたのは気にするまい。待てができないのは俺も同じだから。身体を倒した衝撃でボスンと跳ねた彼のスマホの画面が付いていることにその時ようやく気が付いて、「電源落としなよ」って声をかけた。これは後でいいかとカメラを端に寄せて、今日は妙に間が悪い彼のスマホを手渡そうとして目に入ったのは某SNSのトーク画面。俺は恋人に覆いかぶさりながら「あっ…」って感じの間抜けな顔を晒す羽目になって、手を伸ばしかけたスマホの画面に食い入りながら簡潔かつ変な誤解を招かないよう昼の出来事を説明する台詞を考えた。)
有人くんの写真のモデルさんは気になります! 一悶着ありそうですね、有人くんは綺麗なもの好きな芸術家なので竜児が嫉妬するとか考えずにその人のことを褒めたりしちゃうんでしょうか……。ニューヨークも楽しそうです。竜児の「もう会わない」ですね……初めに話していた通り些細なことでもいいですし、お互いの仕事関連とか、それこそ有人くんの写真の人物絡みとか。割と出しやすそうではありますね。
うーん……有人くんはどんな部屋を選びそうでしょうか。部屋数に拘らず同じ寝室で寝るのか、それぞれ部屋が割り当てられるのか、とか。有人くんは暗室が必要か、とか……。
(やっと彼がこちらを向いたのを気配で察してなお、不貞腐れたように顔は向けない。身体をすっぽり覆ってしまえる大きな影が落ちて来て、髪を掻き分ける必要もなく剥き出しの額に、ちゅ、くすぐったさと直後にじわりと広がる熱。彼がごそごそやっていた訳にも気付いたが、カメラなんて、持って来てどうすんの、問う前に一瞬でそんな思考はふわりとどこかへ消えてしまう。堪らなくなって彼の腕にしがみつくと澱みない動きでシーツに背中を倒されて、泣き出す寸前の子どもみたいにきゅうと目を細めて彼を見上げる。キスだけじゃない、まだちゃんと抱き合ってすらいないのに。俺はウリじゃないし、恋人がいないときだって節操無く誰とでも寝てきた訳じゃない。だから、キスだって躊躇しない。即席だろうが一夜だけだろうが愛の行為だと思うから、特別な感情は要らないけれど、何かをセーブして感じられないのは悲しい。彼とだって数え切れない程口付けを交わしてきた。それを今更だって言わないで。いちばん意味のある特別なキスをしよう。意地悪で気が早い恋人はでも、それ以上俺との距離を詰めようとせず、放っておかれながらも健気に画面を光らせる俺の黒い薄ぺらな相棒(と呼んでいる割に扱いは雑で画面の端が割れている)に気を取られたようだ。「ん、いい、消えるから……」と急かすように片手で彼の腕をさするのに、彼はやっぱりその何の面白味もないチャットが気になるよう。ハンサムが半減する表情に、ああ、と思い当たって、「ひかり……今日いたおかっぱの。モデルの子。"彼氏"ってユウトのことだと思うけど」なんて、豊枝ひかりが彼と接触したとは1ミリも思わない俺は、引っかかるとしたらそこだろう、と見当をつけて「ユウトのこと彼氏って訊かれたし俺浮気とかしてないからね」と続けて。名前も外見も、画面上に"hikari toyoeda"とあるし、丸いアイコンは笑顔の彼女の写真だから、言わずともわかるんだけども。もういいでしょ、というように彼に両手を差し出す。色々着せ替えの壁紙があるらしいのだが、頓着せず初期設定のままのアプリ画面ももうじき音もなく黒くフェードアウトしてしまうはずだ。)
被写体の設定なんかもちらほら考えてはいるので、もう少し纏まったらお伝えします…!日本人で、有人と同い年の男性です。そうですね、褒めまくった後に「でも俺にこれを撮らせたのはきみだよ」とかキメ顔で言うんでしょう……。
家に仕事を持ち込まないと思うので(軽く写真撮るのは趣味)、暗室は必要ないとしてどうせ何部屋あっても同じ部屋で寝たがると思います……。二人とも自室はあって、でも寝室は一緒のペット可なマンションって感じでしょうか。あっそういえば猫の描写をしてない……すみません、キティは今ベランダの柵からどこかに遊びに行っています。
(思うけど、って。俺以外に君の彼氏だと周りに思われるような距離の人でもいるのかいと言ってしまいたくなって、でも縁起でもないからすんでのところで飲み込んだ。そのかわりちょっと冷めたような表情をしてしまったような気もするが、誤魔化すみたく彼の鎖骨に顔をうずめると小さく息を吸った。その一瞬で全て切り替えましたとでも言いたげにすっと顔を上げ微笑むと、「昼間会ったからそのことかな。じゃあ俺からはありがとうとでも言っておいて。……浮気じゃないよ?」なんて悪戯っぽく囁いて。彼だって必要最低限の説明しかしてくれなかったんだから、俺だって長々と語りたくないし絆されてほしい。スマホを脇に寄せ差し出された白い両手を絡め取り、頭上でひとまとめにしたら左手でシーツにそっと押さえつける。彼の目を見ながらゆっくりと下唇に吸い付くみたいな口付けを落とせば、甘えるようにまたはにかんで口を開けた。キスしたいって顔で安いベッドに横たわっていた恋人に、「これだろ?」なんて自信ありげに尋ね、でも返事なんて求めてないから舌を平たく突き出しては開けてって言いたげに彼の唇をべろりと舐める。空いた右手で彼のジャケットに手をかける合間も唇は馬鹿みたいに夢中で音を立てながら彼の唇を食んでいる――のが理想ではあるのだが、正直彼の服っていっつもやたらと脱がせづらい!自分が普段絶対に着ないような服ばかりだから構造がわかりづらいのはもちろん、飾りボタンやらチャックみたいな装飾が多いからどこに手をつけたらいいか迷ったりして恥ずかしい。服脱いで待機しててくれない?なんて口が裂けても言えないくせに、スムーズに格好良く事を進めたいからあえなく唇を離す他ないのだ。ムカつく。それに彼が身に着けているのはそこらのポ.ルノみたいにガッと引き裂いてしまっていいような安い服でもないから、名残惜しそうに上半身を起こすと彼を拘束していた左手も離し不満げに頬を膨らませて。まだ明るい部屋の中、右手は彼のジャケットを脱がしにかかり、左手は下心丸出しで彼の脇腹をねちっこくさすっては「うーん、撮りたい」なんて打って変わって真剣な顔つきでひとり言を零した。)
了解しました! そんなことされると竜児は絶対拗ねますね。なんでわかんないのって詰め寄ると思います。
あ、二人の誕生日とか、やりたいです!
ええと、では3LDKということになるのでしょうか。新婚向けとか、ファミリー向けっぽい……竜児は築年数は最低でも10年以下、オートロックでエレベーター付きが必須、とか何とか言いそうですが。因みに今住んでいる部屋は駅から徒歩10分程度の高層マンション、広くはない2LDKで一部屋は衣装部屋兼物置、寝室にはセミダブルベッドと本棚、ラック、リビングと引き戸で繋がってるので基本は開けっ放しで1LDK気分で使ってる、という感じです。リビングダイニングは使わないのにカウンターキッチン付きで、ソファ、ローテーブル、テレビ、2人用ダイニングテーブルはパソコンデスクと化している、みたいな。……出番のない設定かもしれないですが。家具は気に入ったものを使っているので引越し先に持って行きたがると思います。
私もキティさんのことすっかり失念skてました……! すみません、そのうち竜児が構います。
あ。それから、竜児、ジャケットすでに脱いじゃってます。分かりづらくてすみません。
(どういうこと、と反応する前に両腕を束縛される。ん、反射で声をあげて抗議の眼差しを向ける。こういうのは、好きじゃない。だって彼に触れられないから。そんなに強い力で押さえられている訳じゃないから解こうと思えば簡単だろうけど、力強い瞳に射抜かれてしまえば合わせた視線を逸らすことも出来ない。必死に見上げ返し、望んだものが手に入る瞬間、そっと目を閉じる。彼の上唇をおなじ吸引力でうっとりと吸い上げ、じんわり拡がる期待で心臓のBPMが少し上がる。離れ際、彼の唇を追うように顎を上げると自信満々に問われるけど、そりゃあ正解は先に俺が出しているのだから、そうに決まっている。今日は午前に一度会っているし、仕事が終わってからも随分長く一緒に居た気がするのに、初めてするキスだから。それに彼が自分のものになってからも初めてだから。いい気にならない訳がなくて、頷く代わりに目を細め視線で笑って肯定してやる。温かな彼の舌がくれる愛撫は俺を悦ばせるもの以外の何でも無い。とろんと口を開けて彼の舌先をちゅるんと唇だけで吸って、服に手をかけた彼に任せるよ、というように身体の力を抜くとふっと視界が開けて両手が自由になり、見上げた先に彼の拗ねたような顔。子供みたいな表情がかわいくて、ふ、と笑んで彼の頰を両手で包んで撫で、彼のためにまたすぐ腕を下ろす。けれど脇腹を摩る甘い手つきに少しだけ腰を捩ると降ってくる呟きは全然、展開に削ぐわなくて。「写真? おれ?」と問いつつ大人しくしているつもりだったのに身体を起こして不意打ちで彼の首をぎゅっと掻き抱く。唇を掠めて鼻先、頰、首筋に音を立てずしっとりと口付けを落として。「ねえひかりと会ったって何? 知り合いだった? 俺今朝のことは結構……怒ってるよ」忘れてないぞと言わんばかりに、でも甘えてじゃれつくように背中をぎゅうと抱いて肩口に頭を預ける。彼の髪が頰に触って少しくすぐったい。豊枝と会ったことはまだ不可解すぎて話が読めないから感情の動きようがない。今朝のアレだって過ぎたことだし解決したに相違ないから本当はあまり怒りは引き摺っていないのだけど。今じゃなきゃ後で聞けなくなりそうだし。さっき俺を放ってカメラを持って来たり、"撮りたい"じゃなくて、もっとキスしようよ、触りたいよ、と思うから。俺の我儘をわかってるくせして恋人はいつだってやっぱり少し気まぐれで自由で奔放だ。)
セイチャットのルール上このままいたしちゃうわけにもいかないので、描写飛ばして事後まで移ったあたりでそのお話をしたいなと思っています。ちゃっかりカメラ用意していますし。
竜児くんがシドと同じ誕生日なのであれば有人の誕生日はナンシーと同じとかどうかな~と思っていたのですが、有人の誕生日は夏っぽいのでアメリカの独立記念日とか覚えやすくていいかなあとぼんやり考えています。ぜひ!やりましょうね。
なるほど、では新居その案をまるっと採用させていただいてもよろしいでしょうか。
あああああそうでしたねすみません…!!いえ私がすっかり忘れていただけですので…!!本当にすみません……。
(生きていけるギリギリ、これと言って潤いのない日々に突如舞い込んできた一人の男。彼が自分の生活圏に侵入してきた頃、俺はその姿をこっそりとファインダーに収めることに夢中になっていた。それを暇つぶしと言ってしまうのはあまりに恐れ多くて、自分の写真を出展すればいいなんて彼の提案をはねのけたのはもっと恐れ多いことだと俺は知っていた。視界の端でじっと息をひそめるカメラを横目に、腕を解放された途端体を起こした恋人。その意図が読めず、顔中に寄せられたあまりにも優しい口付けを黙って受け入れる。甘えるように抱き締める仕草とは裏腹に、(多分竜児はもうそんなに怒ってないよとでも思っているのだろうが)こんな時にこの話を掘り下げてくるのは今どうしても聞かなきゃいけない事柄として、俺とひかりさんの関係が少なからず彼の心に引っかかっている紛れもない証拠であった。じゃれつき半分なようでいて、答えの選択肢を間違えたら長く尾を引くアレコレの恐ろしさを俺は知っている。だから「あの子、きみより先に仕事終わったんだろう?竜児待ってるときにたまたま会って、それだけ。朝のことは……きみを失いたくなくて必死だったんだよ。許して」って静かな声で弁明してはこちらも彼の細い体に腕を回して、縋るふりしたいやらしい手つきで右手を背中側から服の間に滑りこませる。肩に頭を預けた恋人の短い髪の毛に左手を差し込んで、後頭部を固定するとこっち向いてって言いたげに横顔にばかり口付けを落とした。だって恋人になったその日のうちに、罠だらけの沼地みたいな竜児の疑心にはまるわけにはいかない。毒蛇なんて住んでないよって今更言われたところで信じられるはずもなくて、濁った水面を睨んで唸る間抜けな俺が脳裏に浮かんでちょっとだけ萎えた。なめらかな背中を撫でまわしながら「下脱いで」ってなんでもないように告げて、彼の上半身がまとうものだけは自分の手ではぎ取ろうと躍起になる。薄目で彼の唇に吸い付けば、顔を少しだけ傾け厚めの舌をねじ込んで口内を荒らした。)
遅くなりました。すみません。
了解しました!
シドアンドナンシー! 年末にリマスター版公開してましたね。面白いですが覚えにくいですよね(笑)。二人とも誕生日が何か所縁のある日にちでそれにまつわる話があると面白そうです。
3LDK、築年数10年以下、オートロック、ですか? 是非竜児の我儘をきいてやってください……。
いえいえ大丈夫ですよー! 私こそ勘違いとかしてたら言ってくださいね。
(本当は、もっと詳細まで一気に喋ってくれればいいのにと思う。別に彼と自分の知人が会ったっていいのに。それだけ、なんて言われたらきになるに決まっているじゃないか。何を二人で話したら豊枝が謝って彼が感謝しなきゃいけないんだろう、でも、ついでに言ったような軽い台詞だったのに許しを乞われてしまったらいいよって即答したくなって困る。直接肌に触れてくる彼の手が気持ち良い。急いているのは俺も同じだから。前者の件は今度ひかりに聞こう、女の子っていう生き物はお喋りだし。そう内心で呟いて、「せっかち」とむくれたフリで口を尖らせ、すん、と彼の首筋を嗅ぐ。微かに甘い湿ったにおい。夏のまだ明るい時間からシャワーも浴びずに、っていうのはすごく、非日常っぽくてセクシーだと思う。体臭に異常なほど敏感で風呂に入ってからじゃないと会ってすらくれない人……要するに年上で自分のにおいを凄く気にしていた、尤も、煙草も吸わないし香水もつけないし加齢臭なんてのも全くしなかったのだけどとにかくそういう人種と付き合っていたことがあるから、気にする素振りも見せない彼はなんというか、アメリカ育ちっぽいなあと陳腐な感想を抱いてしまう。今更だけど。ふ、小さく笑って彼の首から腕を離す。上を脱がそうとする癖に下も脱いでなんて、腕が二本じゃあ無理だ。「どっち……ユウトも、脱いで」とぎりぎり言い切れたところでキスをされて、吐息も洩らさないように密着させて舌を伸ばして彼の舌を追って絡める。鼻と鼻を擦り合わせて、唇と唇もくっつけて、堪え切れず伸ばした手で彼の頰を撫でる。口内にもピンポイントな性感帯があるらしい。昔どこかで聞いた話だ。上顎と、舌の裏の付け根のべろりとしたところ、らしい。そんなことを今思い出してしまったら試すしかない、だから、前歯の裏の少し奥、平らな場所をざらりと舐め上げて、舌先でくすぐるように擦ってやる)
いえ、大丈夫ですよ!
ロルを二分割して一気に飛ばしてしまいました。不都合がおありでしたら仰ってください。
音楽、クスリ、チェルシーホテル……彼らの短くて激しい人生はこう、いちいち好みのツボを付いてくる感じがして大好きです。そうですね、こちらでも何か考えておきますので、誕生日にまつわる何かやりたいことがあればお教えください!
はい、では新居はそんな感じで!
(竜児は、実は俺が煙草を好きじゃないことを知らない。舌先で上顎を擦られるとくすぐったくて息が漏れた。昔からここが弱くて自分の舌を尖らせてなぞるのですらビリビリくるのに、他人にやられちゃたまらない。思わず口で息を吸うと、煙草の味がしてつい顔をしかめてしまった。でも俺は我慢するよ、だって煙草を吸うのがきみだから。べろりと彼の上顎を舐め返してそっと唇を離す。こういうのは喧嘩した時……そうだな、今回みたいに俺が悪いんじゃなくって、竜児が責められる立場の時にでも淡々と言うに限るのだ。ずうっと口にしなかった不満が、毒みたいに竜児の中を這うのはたまらなく俺を興奮させる。
いつの間にか日はすっかり落ちた。瞳はとうに薄暗闇に慣れていて、シーツだけ被った裸のまま手を枕元のカメラへ伸ばす。衝動が荒かったのは多少なりとも傷付いていたからかもしれない。お生憎様だけど誰も傷付かないなんて台詞、強がりだって知ってても俺は傷付いたから。多分このやり場のないないまぜの感情を、ボロアパートのベッドで組み敷いた男とのセ.ック.スで無意識に発散させようとしていたのだ。彼がこういうのあんまり好きじゃないって知っていて、無理やり手首を絡め取って押さえつけてしまうくらいには自分勝手に。だけどそんな手負いの獣に竜児は優しかった。四つ上の恋人にいつだって俺はメロメロで、愛し合ったばかりのベッドの上で断りも入れずカメラを構えてしまう。とろんとした顔で寝そべる恋人は単純でいて、容易には言い表せない性格をしていた。そんな彼を前に撮りたいという強烈な欲求を抑えるのは難しくて、満足したことなど一度もない。けど俺はその渇きを他人と分かち合おうとは全く考えなかった。渡瀬ユアンはみんなのもの。それでも竜児は俺だけのものだから。静かにフォーカスを絞ってシャッターを押す。宝物がまた一つ増えた瞬間だった。)
何の問題もございません! 毎回有人くんの新しい面が見れて楽しいです。
クスリといえば(?)、有人くんは煙草嫌いということですが、ニューヨーク時代に手を出したりしてたんでしょうか。NYはウィードもまだ、違法ですよね。
誕生日に仕事で会えなくなっちゃうとか、プレゼント紛失事件とか、何かと大事な時にトラブりそうな二人かなあと思いまして。あとは、そんなに卑屈ではないかもとは思うんですが、自分の誕生日を自分でないがしろにして、片方が大事な日だろって怒るとか……うーん全然シドが絡まない(笑)。竜児はきっと学生時代にも社会人になってからも周りのコアな人間にシドヴィシャスと同じ誕生日じゃんおめでとうって言われながら全く興味のないピストルズのティーシャツとかグッズを貰ってそうです。
(嵐の中ではぐれないように必死になるような、そういう愛し方だったと思う。言葉よりもキスや愛撫の方が有効だと気付いてからは名前さえ呼ばなかった。うつ伏せでシーツを握り締めて、呼吸が整うのを待つ。じっとりと全身に纏わりつく汗や体液が乾く前の湿気は気持ち悪いけど後始末も面倒で、だけど気分は悪くない。甘い倦怠に支配されて、目を閉じるとこのまま眠ってしまいそう。隣で恋人の動く気配がして目を開ければ何の心構えもないまま科学の力は俺の無防備な姿をフィルムに焼き付ける。今朝のあの大量の写真はこういうことだったのか。知らない間に幾つも隠し撮りされたユアンじゃない素の自分。渡瀬ユアンは人気こそ出てしまったもののいつだって主役ではないから。あくまでも洋服の良さを引き立てる為のツラとスタイルを持っているに過ぎないから。くすぐったい気はするけれど、宝物だなんて大袈裟な名前をつけて溜め込まなくたって、生身の自分がちゃんといるのに、とも思う。「高くつくよ」と薄っすら笑って、頭を起こして見回す。目当てのものはパンツの後ろポケットの中だ。辛うじてベットの縁に引っかかっていたジーンズを手繰り寄せ、潰れたクールのケースから皺々になった一本を摘み出して、百円ライターで火をつける。ごろんと仰向けになっては天井に向けて白い有害物質を吹き付ける。行儀が悪いのは許してほしい。モク中ならではの小さな幸福感に身を委ね、貧相とも言える身体を惜しみなく晒し、「よかった?」ぽやんと彼の方に視線を向けて、焦点が合うまで少しだけ時間がかかる。問うたのは当然さっきまで二人で夢中になっていたことで。空いた手でカメラを持った彼の指を撫ぜる。薬指。左右はどっちだっていいし、気付かれなくても構わない。所有の証が欲しいのは、芸術家を相手にしているからかもしれない。表現は果てないものであり、ストイックでロマンチストな彼らに愛や恋で追いつこうとするのは難しい、というのが持論だけど。勿論それだけじゃなくて、いろんなことを怖いと思うから、でも今は大丈夫だって安心したいから、俺だって何か形にしたい、彼が写真を撮るように。なんちって。中学生がふかすように、肺まで入れないで口の中に煙を溜めて、輪っかにして少しずつ吐き出す。)
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