ユビキリ 2016-09-20 10:02:09 |
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散ル櫻に焦がれた心。小指で交わした契り、赤い糸を紡ぐ宵
晩秋の風が貴方の髪を揺らめかし、掴めぬ貴方を恋うて乞うて
夢に迷い子、無情に無常と向かいの鴉が一様に敬礼し「右習え右」
ラヂオはブー…ンと情報を語るのを止め、部屋の片隅で鼠が死んだ
約束したでしょう、指切りげんまんしたでしょう、
_ ねぇ、 ほら。 ゆびきった _
⇒大正時代に拗れた恋慕、儚く散るか足掻いて散るか、バッドエンド前提の儚き恋
見世物小屋に働くその人を気の迷いか恋慕か焦がれて見受けしたのが運の尽き。
えぇ、えぇ、その人の愛情と言うのは自分ばかりか人の命すら惜しげも無く燃やすのです。
湖畔に二人で沈む日は、そうと遠くじゃないのかもしれません。
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提供
→ 見世物小屋で働き生き凌いでいた少女(10才程)
貴方に対して異常な執着と捨て身の愛情を持ち、身勝手に縋る。
募集
→ 提供子を見受けした男性(20代後半から30代前半程)
病み尽くし貪る程の異常執着依存愛を向けられる
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→ ロル100~の長ロル(小説ロル、多少の確定ロル可能。置きレス推奨)
ろり子でもしょた子でも基本は攻め気質です。ろり子を選択の場合でも攻められる事を前提に
進め方を相談できる方
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(/この度はお声掛けを有難う御座います。早速になってしまいますが、提供いたしますろり子の内面外見などに好みやご希望、避けて欲しい物なの有りましたら教えて頂けると有難く思います。
簡単に考えておりますのは、凛とし大人びる年齢不相応のませたロングヘアの子か欲求に素直で貪欲な度超えの甘えたがりのセミロングの子のどちらかで考えておりました。こういう子が希望と有ればお気軽に教えて下さいませ)
(/質問への丁寧な解答、またトピ建てありがとうございます。
当方の希望としては、自らの魅力を知っていてこちらを弄ぶように嫐るようにじわじわと愛で雁字搦めにしてくれる様な年不相応の凛とした子がいいな、とぼんやり考えておりました。子供の我侭さを理解し、自らの武器として利用する子であれば最高です。外見に萌萎は特にございませんので主様の好みで作っていただけるとありがたいです。
こちらの提供になにか希望などはございますでしょうか?想定していたのは多少気が弱く、押しにも弱いどちらかと言えば真面目な男、もしくは成金の親をもつ道楽者で自由気ままに生きてきた男です。こちらも主様の希望や萌萎を教えていただけると嬉しいです)
(/お早いご移動を有難う御座います。
想像するだけでも少しずつ蝕まれるような深くて身勝手な愛をもつ娘で今から構想を練るのが楽しくて仕方がありません。
そして提示されるどちらの方も又魅力的で、構想中の娘ならどの様に絡みに行くのだろうと想像してどちらが一層と自分に彼を縛り付けようとするのだろうと最後のバッドエンドまでを考えて後者の自由気ままな男性にお願いをしても宜しいでしょうか。自由に生きて自由に過ごした彼を蜘蛛の糸に引っ掛ける様に少しずつ念入りにと網を張るろり子にしたいと思います。
萌萎は特に有りませんので扱いやすく、PL様自身が愛を持てるように作って頂ければ嬉しく思います。テーマとなります指切りに準えて、身請けの際に強請る「ずっと一緒にいてね」と言うゆびきりの約束に言葉だけじゃ信じられず、ろり子が左手の小指を切り巾着に詰めて渡し、自由な彼を縛り付ける一手として身に着けさせたく思うのですが如何でしたでしょうか)
(/自由に生きていたいと願い、自分の意思で動いていたはずなのにも関わらず気づいた頃には既に絡まる愛情の糸から抜け出せぬ所でもがいていただけ、なんて、想像しただけでお相手するのが楽しみでぞくぞくいたします。
了承しました、もしpfを提出した際になにか引っかかる所等ございましたらその時にご指摘いただけると幸いです。
素敵な提案に心踊ります。それを受け取った当Cがどのような反応をするのかを考えるだけでも今後の展開に胸が高鳴ります。貴Cの無い指を見る度に思い出し痛々しさに顔をしかめるも、何故か手放すことが罪のようにしっかりと身につけてしまっている巾着。既に絡まる一本目の糸、ですね。
主様の描く世界観がしっかりとしていて感嘆の声ばかりです…、少しでも趣向に沿う様にお話を作り上げていきたいので、なにかあれば遠慮なく仰っていただけると嬉しいです。)
名前 悦
読み えつ
性別 女
年齢 10程
性格 普段はおっとりと忙しない時間の流れを止めてしまうように嫋やかなる立ち振る舞いを見せ、朗らかに微笑を浮かべては凛と背筋を伸ばして前を向く心優しい少女の面を被る。欲しい物はただ一つ、自分にだけ向ける両の目と、自分だけにお喋りをする唇と、自分だけの声を受け入れる二つの耳…等々、挙げればキリが無いがひっくるめると貴方様だけ。欲しいという欲求を抑える事が出来ずに愛しい愛しいと思えば思う程に貴方様を独り占めしたくて仕方がない。愛される術を知りつくし、達観としているがそんな手は有って要らない物。時に述べる冗談ですら噛み砕けば愛の詩。愛しているの好きなのよ、そう述べるにはまだまだ未熟で若すぎるにも関わらず年に不相応な妖艶さが未熟さのアンバランスで形になる。歪み過ぎた性根は最早、自分自身が何をすれば正しく正解かを見失い目の前の貴方様を自分の手中に落とす事だけが全てと疑わない。時に愛くるしい子猫のようにすり寄って甘え、時に売女のように名を呼んで頬に口付を。全ては貴方様に喜んで貰いたいからとはなんて言い訳、裏返した自分の為だけの無条件の押し付け愛。
容姿 125程の身長は幼子特有のふっくらと柔らかい肉で包まれておりほんのりと紅色が差した決して色白過ぎない肌色をしている。彼岸花の花弁を一片混ぜたように黒色の髪には赤色が薄く滲み、蝋燭の灯りに燈された暗闇の様な冷たさを孕む。ぱっつんと目の上で切り揃えられた前髪と頬のラインで揃えられる両サイドの髪を除けば後ろは腰に掛かるほどの癖の無い長髪。半分ばかり括りハーフアップのように持ち上げお団子にした髪型には赤いリボンと共に金色の蝶々揺れる簪を括りつけている。見た目だけならば愛想のいい気品ある笑顔の力も大きく、薄汚れてさえいなければ良い所の娘さんと言った雰囲気を持ち、猫のように目尻が吊り上るアーモンド形の眼さえもが歪みを隠し淑やかを演じる。濃い紅色の花柄が幾つも描かれた着物を纏い、金魚の様なひらりひらりとした白色黄色の帯を重ねて巻く。赤い下駄はお気に入りで、外に出る際にはいつもそればかり。左手の小指が無く、外に出る際、来客が有る際、それを隠すためにも左手には革作りの指を模造した布きれ詰まる黒い手袋を嵌めている。口角の右下に小さい黒子が一つ、両の眼を縁取る上向きの目尻に掛けて長くなる睫毛が特徴的。
備考 双子の弟がおり、二人で五体満足有触れた幼子が貪り尽くす悪食芸と言う演目で生きた蛇や鶏喰う所業を見せる事で生き長らえて来た。物心ついた頃には阿鼻叫喚の地獄が故郷、最初は嫌だと泣き叫んでも野次馬共の人畜生はやいやいと囃し立てけらけらと笑い、逃げども逃げども子供の悪あがきなど痛くも無く捕まりゃ終わりと繰り返される折檻の中で全てを諦め、年齢不相応の歪みと考え、生き方を学ぶ。5歳を超えたころから逆らう事を止め、少しでも痛い事をされないようにと媚びる事や愛される術を手にするようになる。この地獄から救い出してくれた貴方様に最初は捨てられまいと罪悪を染み付けるために自分の小指を切り落としちいちゃい巾着に詰めて渡した。彼が自分を罪悪感で手放せないようにする為の脅迫だったのかもしれない。愛されたいなんて微塵も思っていないが、彼を愛していいのは自分だけだと本気で思っている。彼がこの先、もしも、自分を置いて何処かへ行ってしまうなら、自分以外を愛して自分以外に愛されるなら貴方の両手で私の首を絞め殺してね、嘘のけじめよ。と淡々と思う。そうして、貴方の脳髄に私の死に顔を永遠染み込ませればいいのよとも。達観しているが年齢不相応の考え方も語彙も有るが、根っこは10才であり、自分の最大の魅力で武器は幼さだと自覚しており幼さを理由に理不尽な我儘や甘えを向ける。ただ、純粋な子供のように無条件な愛を向けられたり損得の無い優しさを向けられると何の思惑無しに無条件に喜ぶ事が出来ないほど屈折しきっている。
ロルテ 愛しているわ、ほんとうよ、うそは嫌いだもの。(外は太陽の優しい日差しで心地いだろうに、必要以上と外には出たくないと閉鎖的に部屋の中に籠っていればチッチッチッチと遅れる事も早まる事も無い規則的に繰り返される時計の音に耳を傾け、誰と会話をするでもなく愛しいあの人を頭に浮かべ、睫毛を重ねるように目尻を細めて愉悦と表情を笑みに変え謡うような独り言を。気を緩ませる為に使っていた香の匂いが数センチ開いた窓の隙間を潜り抜ける温風に交じり体に纏わり付き、すんとその香りを楽しむ様に吸い込んで。時計の音ばかりの静かな部屋で真っ赤な毛糸を使い綾取りをしていれば指を抜けた赤い紐がはらりと床に落ちてしまい「まぁ__ざんねん」落ちてしまった赤い毛糸に言葉とは裏腹、釣り上げる笑顔で救うように拾い上げクルクルと重ねるように左手首へ巻きつけて「わたしの愛しい人はどこかしら、…隠れんぼは上手なのよ」部屋の扉を開いて足音を立てずに歩みだし、愛しい彼は何処で何をしているの?私の居場所は彼の傍だけなのに。と時折頭を左右に揺らしてまだ見えない彼の姿を探し)
(/此方のプロフィールが出来上がりましたので提出させて頂きます。変更希望の箇所などが有りましたらお気軽に伝えて頂ければと思います!
そして提案に乗って頂けてとても嬉しく思います。私の趣味ばかりを捻じ込んでしまっているのですが、あまり深く考えずに作りやすい様にお子様を作って頂ければ嬉しいです。)
(/素敵なろり子─悦ちゃんのプロフィールを読ませていただき、相手が出来ることをとても嬉しく思います!不満な点等ひとつもございませんのでそのままお相手していただけると幸いです!
そしてこちらのプロフィールなのですが、申し訳ありません、背後の事情と作りこみたいという思いからまだ完成しておらず、本日中には完成を予定しておりますのでそれまでお待ちいただけると幸いです。取り急ぎご連絡失礼致しました。)
名前 渋澤 瑛二
読み しぶさわえいじ
性別 男
年齢 25
性格 成金の典型である傲慢で弱者を見下す親を持ち、幼き頃からそんな親のようにはならぬと冷静に先を見据える目を持つ故に自由に好き勝手生きていく方が得なのだと判断を下し自由気ままに本能に忠実に生きるように。金が目当てか顔が目当てか寄ってくる女を取っかえ引っ変え、遊びに関しても泡銭なら腐るほどあるとでも言うように博打に酒に湯水の如く使いそれに何の抵抗もない。遊んで得たのは女を喜ばす術と上手な嘘のつき方、後は虚しさだけ。本当の愛を知らぬまま育った心は本来は繊細で臆病な依存心の塊であり、愛なんて、と馬鹿にすることで均等をギリギリ保っている。なにかに執着することはほとんどなく、好き勝手生きて明日死ぬならそれでいいと思いながらも見世物小屋で見た悦の無欲な生への執着と子供らしからぬ妖しげな美貌に何か心動いた様で気がつけば身請けを申し出ていた、子供など煩いだけで邪魔だという考えを覆すような悦の言動に惹かれつつもどこか恐怖を感じているのは確か。子供として扱いながら自分の方があやされているような錯覚に陥ることすらあり、既に抜け出せぬ彼女の愛の罠の中にいるのだろうか。
容姿 背丈は170半ばと多少高い程度、食に関心はないのか薄い体ではあるがうっすらと割れる腹筋など筋肉はついている模様。垂れた目は男性にしては大きく、長い下睫毛は優しげな色気を放つ。すっと通った鼻、薄い唇と顔立ちは整っており女性の方から声をかけられることも多い美男子の顔立ち。元より色素の薄めの髪は焦げ茶色で外へと出る時はきっちりとオールバックに決めているが普段は邪魔そうにかきあげたゆるいオールバック姿が多い。女が好む姿というものを研究し、常にその姿を保つようにし、その時々付き合った女達の理想へと合わせていたのだが悦と出会ってからはそのような興味は多少薄れてしまったようで前ほど服や身に付けるものに散財をする事は少なくなった様子。紺に藍色の線の入った着物に辛子色の帯を付けており、外に出る時は似た色のインバネスコートを纏い、黒の山高帽を被り同色のブーツを履く。
特徴と言えば女性のように細く長い指であり、長かった爪は悦が来て少しした頃からだろうか短く切りそろえられ、暇さえあれば整えているためその指が幼子の肌に触れたとて傷つく事はないだろう。
備考 成金の親をもつ次男坊、兄は親の背中を見てそのまま育ったであろう人間であり、既に家族もおり、さらに別に女を、そのことを突っ付けばいくらでも金は湧いて出る。次男という立場柄家を継ぐことも、名を残すことにも責任はなくふらりふらりと女の世話になり、一夜を過ごせばまた別のところへ、その日の宿がなければ兄や親を訪ね、と道楽した生活を送っているところに学生時代の悪友から連絡が来た。見世物小屋を見に行こう、下衆な趣味だとは思いつつものんべんだらりと過ごす日常に多少の刺激が加われば、と軽い気持ちで足を踏み入れ、悦を見つける。泣き叫ぶことなどせず蛇に歯を立てる幼子2人、特にその媚びぬが媚びる不思議な目に惹き付けられる、全てが終わり主に声を掛け金ならいくらでも出す、悪食の娘を身請けしたいと言えば二つ返事で譲り受けられた。悪友には幼女趣味だと囃し立てられたが、本人すら気づいた時には身請けを申し出ていたのだから否定しようもない、直ぐに家を借り、童女を飼うような生活を始める。初めての贈り物は衝撃的で気味が悪く、何処かへ捨ててしまおうと思うも何故か捨てられない、捨ててしまえば楽になるのにその楽になることすら咎められているような気がしてしまい、結局はインバネスコートのポケットが巾着の定位置に。気づけば生活にするりと入り込む悦を良くも悪くも持て余す、女には慣れていると言っても童女を喜ばせる術などは生憎持ち合わせておらず、欲しいものがあれば何でも言えと言い、甘えられればそれなりに喜びの感情は表すが彼女が本当に求めているものなど皆目検討がつかず。
ロルテ ──悦、どうした?(戸を開ければ相手の黒い頭がふらりふらりと揺れているのが見え、片手に風呂敷を持ちながら問いかけて。野暮用で兄に呼ばれ、少しの時間ならばと思いそっと家を抜けて兄の元へいったがなんだかんだと長く話し込んでしまい、待たせてしまったかと思いながら山高帽を外せば、相手の揺れる頭にはだいぶ大きいがそのままぽすりと被せて。手首に巻き付く赤い糸を見れば独りで遊んでいたのかと納得するも、この齢の子は他に何で遊ぶのか、欲しいものを告げれば何だって買い与えるつもりではあるがそれは優しさというよりは思考を放棄した傲慢さでもあり。「甘いものは好きか?」と扉を開けて部屋へと上がれば机の上に風呂敷を置きながら問いかけ、コートを脱ぐ前にポケットの中へ指を滑り込ませて中身を確認すれば指先に触れるいつまでたっても慣れぬ巾着の布の感触に少しだけぴく、と指を震わせるも何事もない顔でコートを脱ぎ出せば相手の様子をちらと横目で眺めて)
(/遅くなってしまって申し訳ありません!作りこみたいと言いながらもこのようなプロフィールになってしまいました……何か不都合な点、不明な箇所や付け足すところなどございましたら遠慮なく仰っていただけると幸いです!)
(/とても素敵なプロフィールの提出を有難う御座います。選ばれる言葉の単語一つから溢れる魅力や自由に生きることを望んでいるのが透けて見えるのに嬲られるように恐怖を交えて堕ちていく様子を想像して心躍ります。ロルテに絡む形で話を進ませても宜しかったでしょうか、それとも新しく場面を決めて絡ませましょうか。どちらも魅力的で考えるだけでとても楽しいです…!)
(/お褒めいただき光栄です!悦ちゃんの魅力に見合うようにと考えて練ってみたのですが、お気に召したようでしたら嬉しいです!
ロルテに絡むように進めていただいて大丈夫です!もし新しく、ということでしたら出会いの場面からと考えておりますがいかがでしょう?こちらとしてはどちらでも構いませんので!お好きな様に進めていただけると!)
(眼孔の奥が腫瘍が出来たように腫れていると錯覚する程、時間に逆らい裸電球が幾つもギラギラと照らし。その中心で見せる演目は一度目や二度目等ではなく、毎日毎日飽きる程繰り返し、これが出来なければ碌な食事が当たらないと言葉通りに勉強をしている。引き攣る舌を伸ばして痙攣を起こす肉を噛み千切る、滴る血液に浴びる絶叫は慣れたものと繰り返される茶番劇と同様に繰り返される観客の反応を諦めきった思考では冷めたる感情のまま血まみれの口元で澄まして笑い。千切れんばかりの蛇の頭部と胴体を見せつけるように尻尾と頭を手で掴み、右へ左へ披露すれば悪趣味なほどの大きさの奇声や嬌声、蔓延る笑い声に蝋人形の様と顔色一つ変えずに蛇の頭部へ小さい口を大きく広げ咥えるように喰らいつき、一口大の噛み千切られた蛇の頭を血まみれのぽてりとした舌の上に乗せてその舌先を少し伸ばし、口の中に有る事を確認させてから年齢に似つかわしくなく愉悦を目元の笑みで表現し、ガリがり、と歯を使い数回の咀嚼。空っぽになる口の中を、今一度見せびらかす様に公開すれば自分の出番は此処までと、楽しそうに自分の出番を待つ弟と変わり。一つ、また、罪が重なったのだと目を閉じれば殺めた生き物たちの怨嗟に呪い殺されそうだと悪食双子の演目をすべて終える間、目を伏せる事も逸らす事も無く確りと開き。全てを終えた所で団長に自分だけが呼び出されれば、今日の演目の中でへまをしただろうかと不安が過り心臓が痛くなる。数多の命を奪っておきながら、自分は少しでも殴られたり蹴られたり引いては殺される事など嫌なのだと身勝手な感情に小さな手の平に力が籠る。呼ばれて褒められた試しはこの地獄を楽しむ弟ばかりで自分には無い事、団長の傍へ近づく度に心臓が痛くなり嗚咽すら込み上げる、そして信じられないと驚愕を一つ。今まで見た事無い程、ご機嫌で諂う団長のその姿に唇は薄く開き瞳孔は真丸に。そして、並ぶ一人の男性を見上げればそのお人はなんて事は無い、先の演目を見ていた客人の一人だと思い出す。綺麗で端正な面構えは下品で醜悪な面を晒す小屋の中では物珍しく、記憶に残っていたと言うだけ。それなら、どうして?と自分が呼ばれた理由と客人が此処にいる理由を探り。「麗しい旦那さま、今宵は血腥き甘美な悪夢を心行くまでご堪能できました」少しだけ頭部を傾ければ演目の最中と同じ、口角を上げ目尻を少し細める凛とした微笑を共に話しかけ。血がべっとりと染み付いた着物袖口を使い口元をそろりと隠せば"ふふ"と綻ばす様に笑い声を交え「悪夢はちょいと覗き見るからたのしいの。長く居過ぎたら__帰れなくなってしまうのよ」団長のご機嫌な面はきっと何か悪事を考えているのだ、奴が下手に出るときは甘い罠を撒き散らかしているだけなのだ、と拙いながらの推測で彼が口車に乗せられて此処の演者にされるのではと、それを引き留める義理は無いが。人の目を奪う美しい彼はこの地獄に不釣り合いだと「おてんと様がおかおを出す前に、さぁさ。夢から覚めてちょうだいな」向ける言葉だけは威圧感も迫力も無い、ゆったりとした喋り口で。ただ両の眼だけは彼のその目をジと捉え、逃げる事を、今しか逃げれない事を伝えるべく彼の姿を鏡のように反射させるほど真っ直ぐに見つめて)
(/寧ろ悦が瑛二さんに釣り合い浮いてしまわぬよう頑張らさせて頂きます…!そして折角ですので出会いからやらせて頂きたく思い、初回絡み文を提出させて頂きます。文章を短くすることが不得手でして、とても長くなってしまい申し訳ございません><PL様の負担にならない様に回しやすい長さまで削って頂いて全然問題ありませんので!)
(見世物小屋にて。ぐい、と誘ってきた友人に腕を引かれだいぶ前の方へと行くことになってしまい。悪友に文句をいう暇もなく演目が始まれば目をやり、顔を顰め。結局のところ奇形児たちの展覧会なのだ、生きるため、というのが皆目分からない自分には滑稽と笑い飛ばせるほどの見下す悪意もなく、ぼんやりと裸電球の下を眺め、来たことをほんのり後悔しかけており。演目の終わった者が下がれば、2人の幼子が現れ。こんな幼い子供まで何をするのかと思えば「悪食双子」と書かれた看板に変える黒子の姿、先に前に出たのは娘の方で、手にした蛇に愉悦の表情を見せながら噛み付いたのを見て、背筋がぞくとし、今日一番ではないかと思うほど熱狂した声を上げる観客の声も耳に入らぬほど娘を見つめて。楽しげに蛇の頭を食いちぎればその赤い舌の上に乗せ、見せつけるように口腔を見せる姿に息が詰まりどくりどくりと心拍数が上がるばかりで、噛み砕かれる蛇の頭の骨の音は脳内を響き渡り、まるで自分の頭が砕かれたのではないかと錯覚するほどくらくらとして。娘が下がり代わりに少年が出てくればはっと冷めたようで視界が開け、喧騒が耳から脳へと広がり、先程のような悪趣味なものが自らの性癖の一部であったのかと思えば嫌悪感が湧き上がるも、続いて出てきた少年の食いちぎる鶏の姿よりも下がっていく娘に視線は奪われ、幕が下がってしまえば目の前にいる少年に対して際ほどの娘の影を探している自分にはたと気付き。
すべての演目が終わり、見世物小屋から出ればギラギラとした世界から一転、薄暗い夜空の下で夜風に吹かれ、くうるり体の向きをまた変えれば人の流れに逆らいながら見世物小屋の入口に立って、友人の呼び止める声を無視しながら戸を開き、ここの責任者はどこにいるかを近くにものに尋ねれば直ぐに現れ、何か問題でもあったかと不満げな顔でじろじろと顔を眺める団長に嫌悪感を覚えつつも「悪食の双子がいただろう?」と尋ねれば未だ訝しむ様に頭の天辺から足元までを眺めている団長の返事を待たず「幾らでも出す、悪食の娘の方を連れて帰りたい」と告げて胸元から財布を取り出して押し付け。中身を見てぴたと止まり蝿のように手を擦りながら御機嫌を取りコチラにに笑顔を見せている団長から視線を苦々しく外し、娘がいるであろう幕の奥を眺めて。声をかければ娘は直ぐに出てくるが戸惑いと驚愕が入り交じる表情で、先ほどの妖しげな表情を見せた娘と本当に同一人物なのかと疑問に思うほど幼げであり。しかし、口上を述べる姿はまさに先ほどの娘そのもので、また胸が掴まれたかのような気持ちとなり、血で汚れた着物の端へと目をやりながら「帰れない、か」と小さく呟き。このように言うのならばもしやこの娘はこの場を好いて留まっているのではないだろうかという考えが端にチラつきながらも自らを真っ直ぐ射止める目を見ればただその目に取り憑かれたのかもしれない、欲しい、という生まれて初めての執着心が生まれ。相手の視線と合わせるようにしゃがみこみ、綺麗な猫のような瞳を覗き込めば、自然と右腕が相手の頬へと伸びていて。薄汚れた頬を指でなぞりながら「夢から覚めろというならば君も覚まさなくてはならない。名残惜しいかもしれないがこれから生きる時間全ては僕のものだ、財布一つで君を身請けた。別れを告げたいものがいても、僕はそれを許す事はしない。」と相手の言葉を借りるように告げ、すと立ち上がれば横目で団長を見てから、有無を言わさず娘の腕を掴み、強い口調で「もう、此処へは帰さない」と言い放って。見世物小屋を出ていこうと歩みを進め、扉を開くも既に悪友は帰ってしまったのかそこには誰もおらず、一先ず人攫いの疑いはかけられないだろうと安堵し、女のもとを渡り歩いていたためしばらく帰っていない自室はどうなっているのかは分からない、しかしそこ以外には相手を連れていける場所は思い浮かばず、とりあえずそこへと向かおうと一歩踏み出して)
(/お返事遅くなりまして申し訳ありません!いえいえ、本当に妖しさと幼さが共存していて理想のお相手様でございます…!
かなり長々とした文章なのにも関わらずぐだぐだと語っており時間があまり進んでおらず申し訳ないです…、こちらもいらないと判断したところは削って頂いても構いませんので!)
(見れば見る程、彼と言う存在はこの場所に不釣り合いだと一刻も早く此処から出してやらねばと、小さい脳みそで自分には何が出来るかを巡らせていれば手が伸びている事に気づくのが遅れ。頬に、触れる手の温かさの心地よさなど知らぬと巡る思考も動きすらも薇が切れたようにピタリと止まり。ソロソロと降りてきたのは蜘蛛の糸、掴みぶら下れば千切れてより深い地獄に真っ逆様かもしれない。甘すぎる言葉は俄かに信じがたい程、夢のようで安易に手を伸ばすことを躊躇う程の毒なのだ。もう二度と、夜になれば隙間風に吹かれ寒さを凌ぐために丸くなりやり過ごす、与えられる食事は肉の切れ端ばかりの砂の交じる薄い味、生きるもの皆平等と与えられる夢の中ですら幾つもの恨み辛みに休まらない、こんな地獄を、彼は今何と言っているのだ。口元に宛がっていた着物の袖口をきりり、と食む様に歯を立てる事でふうっと離れてしまいそうな意識を留めて。金さえ渡していれば自分の意志など有ってない物、腕を掴まれれば遠退きかけていた意識が手元に戻り着物を咥える歯から力を抜いて自分に触れるその手の力強さを実感して、改めて血がじんわりと滲むほど下唇を噛み締めて。「麗しい旦那様、悦は一人ぽっちじゃお客様を盛り上げることが出来ないわ」連れられるように引かれる腕の、その負担になるまいと懸命な足取りでついて歩くその中で自分の状況を探り探りとすれば甘い言葉を信じてはいけないと言う防衛か、鵜呑みにして傷つく大きさを最小限にとどめる為か、地獄の場が変わっただけだと自分の芸をする場所が変わっただけだと、そう思えば続く答えを導くのはとても簡単で。羽振りが良く傷の無い美しい男性で有る彼は、きっと道楽の一つとして小屋を持っていても可笑しくないと思えば途端と笑いが込み上げ"ころころ"と笑い声を交えてはそう伝え。売られ買われ主人が変わる、ただそれだけのこと。と割り切れば自分の手を掴むその腕にもう片方の腕を絡めてぎゅうと抱き着いては「でも旦那様、教えられれば悦は何でもできるわ」澄ますような微笑を共に、財布一つと彼は言ったが金が大好きな団長が一つの頷きで商品を売ったのだ、決して安くは無いだろうと頭の片隅に浮かべつつ買われた自分が使い物にならないと捨てられた時、それこそ死の道しか残されていないと生に対する執念からか言葉を選び。抱きしめる腕は温かい、先ほど頬に触れたその手の平だってとても暖かくて優しい物だった。許されるならば、もう一度。その手で顔を触れてほしいと泡の様な願いを持つほど、彼の優しさや体温の魅力に縋ってしまいたくなり。澄んだ空気の夜道を歩く、逃げ出すのじゃないのだから堂々とした足取りで。そんな事すらも自分にとっては初めての事、気持ちが高まる事を抑えきれずに「行きはよいよい、帰りはこわい。__帰らなければそれで御終い」顔を振り向かせこの世の地獄をちらり一瞥、別れを悲しむ感情など少しも浮かばずに振り返っていた顔を見上げて彼へ顔を向け「ねぇ、旦那様。夜道を歩くならだんまりは駄目よ。あっちもこっちも百鬼夜行、一瞬隙を狙って鬼に連れてかれてしまうわ」喋る事を止めた後の沈黙を無くすため、そしてあわよくば彼の事を少しでも知る為と漠然とした言葉を残して)
(/いえいえ!置きレス推奨ですので負担無くまったりと進めて行ければと思います…!
とても素敵なお相手様に情景を想像しては心が躍る次第です!それでは背後は一度消えますが、何か有りましたらまた直ぐに呼んでくださいませ!)
君が望まぬことはもう、二度としなくていい。
(芸をしない自分を求める者などいないとでも言うような言葉に相手の顔など見ず進みながらきっぱりとそう告げ、心の奥底には未だあのような行為を相手は望んでやっていたのではないかと言う疑問の火がちらちらと燃えていて。若し仮にそうだとしたら誰にも見せないように自室へ閉じ込めてしまえば娘はもう裸電球の下で見せた妖艶さと儚さをひめた眼を見せることはなくなってしまうのだろうかと身勝手な不安を思うも、掴んだ腕とは逆の手が絡められたことにぴく、と反応をして。あんなところにいて楽しいわけが、あのような行為を幼子が望むわけが、決してあるものか、蝶の標本のように娘を貼り付けたとて、それはもうあの生に執着する姿ではないのだ。生きるため、下卑た大人に仕込まれ媚びることを知った果てが今の行為へと繋がったのだろうかと思えば悲しげに目を細め、零した言葉にふと足を止め相手の微笑みを見下ろして。「君、──嗚呼、悦、と呼んでもいいだろうか?」二度繰り返された単語が名前であることに気づけば早る胸の鼓動を抑えるように一息付き、ゆったりとした口調でそう訪ね、「僕も旦那様、なんて大層な呼び名じゃあなくていい、ただの道楽者の阿呆だ。瑛二、と呼んでくれて構わない」と卑下するような言葉をぽつ、と零せば自らの名を名乗ってから「生きるための媚びならば其れらとはもうお別れだ」と夜風が揺らす相手の髪を眺め、愛おしさからかまた触れてしまおうと指が動くが、振り返る相手の姿ゆっくりと下ろし、相手の零した言葉はなんとも悲しげなもので。この娘には、もう、何処へも行き場がないのだ、例え此処で自分が手を離してしまえばもうあの見世物小屋へと戻ることも出来ず、頼る身よりもなく、ただ独りこの美しい目を腐らせていくだけなのだと思えば痛々しげに相手を見つめ。顔がこちらへくるりと向けば娘の零す言葉は幼子の戯言のようでいて、何かを求めているようにも感じ、ふ、と口元を緩めれば「そうだな、人ならまだしも鬼や神にでも隠されてしまえば僕は悦を見つけられなくなってしまう。だから、」といえば言葉を区切り、絡みついた腕はそのままに相手に向きなおればまたしゃがみこみ、相手を真正面から抱き寄せれば割れ物でも扱うかの如く優しく持ち上げて。下駄が落ちぬように注意を払いながら歩き出せば、「離れるな。そして、身請けのことなど忘れ、君の意思で此処にいてほしいと願っておくれ。そう願わなければ僕は鬼以下の人攫いになってしまう。」と苦笑しながら零し「君が望まぬことはしなくていい、望むのならば何だって俺に言え。それが君に与える枷であり命令だ。」と、取り繕った言葉で語ることをやめれば人称にも素が出てしまい。だんまりになるな、と言われたが娘の喜ぶ言葉などはたとわからず、自分の気持ちを吐露してしまったが幼子に自分のような人間が押し付けるように気持ちを伝えて伝わるのかと疑問に思うが、わからぬならそれでいい、分かるまで側にいるまでだ、と思い直せばこじんまりとした、それでいて小綺麗でしっかりとした作りの自宅が見え、「此処が、これから君の帰るべき場所だ。地獄よりは幾分ましだろう?」と軽口を述べ、戸を開いて)
(/ありがとうございます!お待たせしてしまうときも御座いますが無断失踪だけはしないので長くお相手していただけると感謝です!
わかりました、重ね重ね感謝です…。こちらも遠慮なく呼び出していただいて構いませんので!)
(今までの自分の事をすべて、一から百までを覆す言の葉の数々は正に夢に見ていた其の物で。名を呼ぶ優しい声色さえも夢に見る程、欲しい欲しいと願い渇望しては祈り虚しく滑稽とせせら笑われてきた其の物で。瑛二、と教えられるその名前だけは何が有っても忘れちゃいけないと鍵をかけるように頭の中に確り閉じ込め、人の顔色を見て生きなくて良いと言う、続く言葉にこくり。と息を飲み込んで。確りとした両腕が自分の事を抱え、空に浮くように両足が地面から離れると地から離れた両足と同じく、地獄に繋がれていた鎖が千切れたそんな気がして。ずっと何かを返そうと考えを張らせていた言葉のいくつかも散ってしまえば近い距離になるその顔を見つめて。垂れた眼も縁取る長い睫毛も浮かべる表情も、絵に描いたように美しい。近くで見れば一層と彼と言う存在は単純に綺麗なのだ、見た事が無いが演目を見ていた学生が話していた黒白映画に出ている俳優ですら彼の端麗な容貌に勝てやしないだろうと結局は言葉を返すことなくその顔にポーと見惚れ。途端、心臓がバクバク音を立て滴るような初めての恋心に思わず絡めていた両腕を離し、かと言って暴れて落ちるなんてへまも見せず。自身の左手を彼の顔もとへ伸ばし、緩く拳を握れば小指だけをピンと立て「ひとりぽっちは嫌い。……要らなくなっても捨てないで、ずっと一緒って」望むことを言えと言われれば今まで抑え込み留めていた理性は崩れ、優しさを社交辞令とかわせる程大人じゃなければあっと言う間に彼の温かさに脳味噌を溶かされて。頬を緩めれば本当に望みを口にして許されるのかと言葉の途中に躊躇いを見せた上で一か八か踏み込むように甘え「ねぇ、瑛二__ゆびきりしましょ」教えられたその名を口に出来る茹だる程の悦びを噛みしめて、初めての強請り事を。今まで散々と食らい尽くした畜生でも共に過ごしてきた脳足りんでも無ければ自分が本当に地獄から離れ、この場所へ導いてくれたのが彼だと思えばそんな彼に愛を持つなと言う方が無茶なこと。交わしたユビキリは子供じみた約束事だが、子供相手で有れば十分の効力を持ち。たった一回の指切りの余韻に浸るように左手をあぁ愛しいと右手で包み、到着したと言う家と対面して。綺麗な家はやっぱり彼にお似合いで自分が汚す事が憚られる反面で、自分でも不思議なほど、彼が自分と同じように堕ちてしまえば捨てられることが無いのだろうと気づいて。地面に卸される前にこてん、と頭を彼の首元に寄せるとすり、と頬を摺り寄せ「もういっこだけ、お願い。おてんとさまが顔を出すまで悦と手々を繋いでちょうだいな」身に余るほどの幸せは正直なところ夢か現か踏み外せばあの日常に戻るのではと恐れる程未だフワフワとしたもの、目をつむり朝が来れば彼は存在しなかったと言われても当たり前だと受け入れられるほど自分にとって都合のいい話。優しい腕の中で守られるように人の温度を感じるなんて描いていた夢の都市。もしもこれが夢の都市ならば二度と覚める事無くずっと縋っていたいと願いばかりが先走り幸せに浸っては微笑みを浮かべ。触れ合う体温につい我慢が出来ず"くすくす"と笑い声を漏らしてから既に麻薬のごとく頭に染み渡る幸せを目一杯に貰って「_…あったかい」と初めて顔に触れた優しい手の平にも抱いたその言葉を喉のつっかえも躊躇いも無くした今、漸く言葉にして)
(近くで見れば子供の紅の差す頬、口元の小さな黒子、じぃと見つめる目の美しさに脳を揺さぶられたような感覚があり、今の今まで抱いてきた女たちに抱いたことすらないほどの愛おしさを持ち。その頷く仕草さえも全てあの場所は知らぬままこの娘を手放したのだと思えばとても財布一つで足りないほどのものを手に入れたのだと幸せに垂れた目を細めて相手を愛おしげに見て。子供というものが、こんなにも自分の心を揺さぶるのか、嫌、そうではない悦だからなのだと無意識に気付きながらも、そこを自覚してしまえば恋の奈落なのだろう、この感情は子供に向ける愛おしさなのだ、と自分の意識へと歯止めを掛ければぴんと伸ばされた小指、はてと顔を見つめれば止めどなく溢れるのは先ほど自らが望んだ我が儘、というもので。要らなくなったとて、捨てるものか。いいや要らなくなるものか、と一人否定し。同時にいつか捨てられるのは自分ではないかと思えば胆がひやり冷えるも、そのころには自分の執着は少なからず薄れることであろう、何故っていつもそうだ、欲しいものはなんだって手に入った自分は何もかもを求めなくなった、今は、その途中なのだ。自分から捨てることはないだろうが、捨てられればそれを受け入れることであろうと高をくくり。緩んだ頬を見ればつられたように此方も口元を緩めて続く言葉を待ち、名を呼ばれればぴり、と電流が走るように脳が痺れていき、こんなにもこの言葉を、名を呼ばれることを待ち望んでいたのかと思って自らを心の中で嗤い。いい、とも悪いとも答えずするりと小さな指に自らの細い指をからませれば「──嘘ついたら、針千本のます。指、切った。」いつ振りだろう、破ることない約束など。とぼんやり考えながら絡めたその大きさの違いにすら驚き、嗚呼、そうだこの娘は十ほどなのだ、と改めて年不相応な振る舞いを今までしていたことを認識して。離れる指を名残惜しく思うも、その指を大切そうに右手で包む仕草に幼さを感じて、庇護するものの笑みを浮かべて。戸を開け、履く下駄を脱がすため下ろそうとすればすり寄る猫の様な体温を感じて、「一つだけでいいのか?ならばまた明日にでも他のことを強請っておくれよ」と少しは自分へ慣れてくれたのかと心から嬉しく思えば冗談めかしてそう尋ね返して。下ろさぬまま相手の下駄を脱がせば部屋へと上がって、薄暗い部屋の中、部屋の端へと畳まれた儘の多少の埃臭さ残る布団、と視線を移し、かたりかたり風で音を立てる窓の外を見つめれば頬に触れる温かいもの。それが相手の手であると気付けばふ、と息を零して相手を抱きしめたまま床にどかと座り詰まれた布団へと背中を預けて。今宵は、めまぐるしく情景が変わる、本来ならばこの手に抱いているのは娘よりも十以上離れている娼婦だったのかもしれないと自嘲し、電球もつけぬくらい部屋の中相手の顔をじぃと眺めれば血のにじむ唇、そして薄汚れた着物には血の跡。本来ならば湯を浴びせて布団を敷き横になることが必要なのだろう、しかし今宵は疲れすぎた。ぎゅうと強く力を込めて抱きしめれば「嗚呼お休み、悦、悪夢などもう見なくていいのだから。」と後ろの髪を撫でながら呟けば目を閉じて)
――おやすみなさい(いつだって自分を守るのは自分であり、人に目を掛ける余裕が有るほどこの日本は優しい世界じゃないと思い込んでいた。両腕を自分の体に回しては自己給油的に誰にも愛されなくとも私は私を愛しているのよ、と愛を謳い仮初の体温を感じていた自分が、いま揺り籠の中のように抱きしめられてお前はいい子だと言うように後ろ髪に触れられていれば手放してはならないと縋りつき貪るように右手で彼の着物をきゅうと握り締め、指切りげんまん愛しき約束を大きな契りのように繰り返し頭に落して。安心やら込み上げる愛しさやらで重たい瞼を薄らと開き、ちらりと両瞼が降りても尚、難の付けようが無いと言う綺麗なそのお顔を盗み見、見上げるようにだんまり見つめてからゆぅくりとした喋り口でその挨拶を送り。就寝時間がどれだけ遅くとも、太陽が昇り窓越しの光が段々と明るくなる夜明けの時分にはパチリと夢の世界から意識を戻し。今日は騒々しい鶏の目覚ましが無い、あぁ、寝過ごした。と朝早くからの雑務をしなければと眠たい眼を手の甲で擦り、ここが固い布の上じゃないと思い出し。まだ眠る彼のその腕の中だと思い出せば身に余る悦びに浸り、声は漏らさず静かに凛と微笑めば彼の左胸へ耳を押し当てて。規則正しい心臓の音、ただそれだけの音がどうして此処まで幸せな気持ちにさせるのだろうと愛しいだなんて安い言葉じゃ片付けられない程に彼を薬と契りを交わした左の小指をぐ、と伸ばし。滑らせるように左から右へ形の良い彼の唇の上をなぞり再び自分の元までその手を戻せば「すきよ、愛しいの、指切りげんまんしたでしょう。」ちう、と小指の根元へ別れの口づけを一つ。信じていない訳じゃないが一時の感情で買われた自分が一時の感情で手放されることをどうすれば回避出来るのだろうと考えれば躊躇いはなく、自身の演目同様にあんぐりと。大きく口を開けば前歯を使い切り取り線のように小指の根元に歯形を残して、起こす行動に対して恐れは微塵もなく、浮かべる目には”これ”がほんの少しでも枷となり彼を縛り付ける要因になりますようにと願いを込めて年齢不相応の色を持ち、赤い舌の上に小さな小指を乗っけると次第に纏わりつく唾液は透明から赤に染まり。ぼたぼた、と溢れ滴る血液が肉を裂くほど量が増え出し手の平を伝い着物に新しい染みとなり。痛みに熱を持ち歯が骨に届くころには余りの痛さに意識は混濁、放棄してしまおうかと決意は迷走。既に、常軌を逸していれば迷いを持った眼に再び意志の強さを取り戻し。これは自分にとって最後の演目なのだと自分の持てる最大の力を歯に込めて。蛇の頭部を砕いた時と同様のガリ、と鈍く響くその音と合わせて食らい付いていた唇から手は離れ。袖口に入れていた小さい赤い巾着を取り出すと中に入るびいだまを全部逆さに落し、れぇ。と指の乗る舌を延ばせば滑り落とすように噛み落した小指を巾着に入れ。口内に溜まっていた血液をゴクンと喉を揺らすように飲み込めばそこに心臓が有るほどズキンズキンと頭を割るような激しい痛みすらも愉悦、満足と口元を綻ばせ「ねぇ、ほら。__ゆびきった」くすり、と小さく息を漏らしては巾着をそっと彼の胸元へ置いて。はらり、と長い髪を体に掛ければ止まらない血が滴るその腕をだらんと垂らして、痛みか貧血か睡眠不足か、重なるそれらのせいでか飛びそうになる意識を留めるように再び彼の心臓の上へこてん、と身を預け)
(眼を閉じ、少しすれば振ってくる幼きゆったりとした声、それを聞けばまるで阿片でも吸ったかのような高揚感、同時にすぅと泥にまみれるような疲れからか眠りへと落ちてしまい、撫でていた髪へと指をからませたまま力が抜けていき。起きたときに娘は本当にいるのであろうか、もしやあの見世物小屋の風景すらとても悪趣味な色あせた夢だったのではないだろうか。そんな不安からか一度太陽が昇る前に目をとろりと覚ませば自らの上にある重みに安堵して一息。髪を一撫ですれば手にリボンが触れ、闇の中で揺れる蝶々のちゃり、という音が響いて。その音で本当に娘がこの場所にいることを確認したかのようにふぅ、とまた瞼を閉じ、朝日が昇り、悦が起きたら新しい着物を誂えよう、悦ならばどんな着物が似合うだろうかと考えていればまた意識を夢の中へと手放して。
ぱちり、目を覚ませば自分の胸の上に転がる悦の姿、硬くなった体を伸ばそうと少し体を動かせばころりと落ちる小さな巾着、悦の持っていたものだろうかと目線を向ければ畳に黒い跡が点々としており、黴かと身体を持ち上げれば悦の荒い呼吸が聞こえて何事かと目をやり。昨日よりも明らかに黒い面積を多く持つ着物をまとう姿に目を見開いて。驚いたように肩を掴んで顔を見れば口元を汚す紅はけっして紅を引いたものではなく、もしや舌でも噛んで死のうとしたのではなかろうかと思えば「──悦、お前、」と震える声で名を呼んで、ぐい、と自らの右の親指を乱暴に口に突っ込み開かせ舌の感触にほ、と胸を一時撫でおろすもではこの畳や着物を汚す血液は。と思えば昨夜の脳裏によぎる『ユビキリの約束』そんなわけがなかろう、子供の約束事、と思いながら昨日指切りをした左の手を見れば着物の裾はどこよりも新鮮な紅が滲んでいて、「悦、悦」と戯言のように繰り返しながら左の腕を掴めばそこには信じがたい四本の指、嗚呼、何故だ。と心臓は跳ねるように脈打つばかりで。立ち上がり、悦の腕をぐい、と挙げれば布団の布をびぃっと細く切って、応急処置の知識など薄い、ただこの出血をとりあえず止めなければと思えば膝をつき悦の左手首へと切った布団の布を巻いて強い力で縛って。意識はあるのかと不安そうに顔を見つめればいつもよりも青白い顔、意識は混乱を極め、どうしてこんなことに、そんなにも悦はこの場を嫌うのか、俺は蝶々へとピンを刺してしまったのだろうか、悦を手に入れようとすること自体が罪なのかと思考がぐるぐる廻れば思えば顔を顰め、此処にいろと誓わせた昨日を後悔するばかりで。は、と意識を戻し、立ち上がれば使う機会などないと埃をかぶる救急箱を部屋の片隅からひっつかんで、忙しない動作で開けば開けたことすらないガーゼの袋をびりびりと開けてそのまま歪な切断面へと押し付けて。「悦、医者を呼んで来る。独りで待っていられるか。」知人に医者はいただろうか、なんでもいいのだ誰でもいいのだ、今の悦を救えるのは自分ではない無力さに唇をかみしめてから震えた声で尋ね、足は既に立ち上がっており)
(気付いた頃には呆気も無く意識は遠退き、靄の残る頭では状況判断が難しいが口内を弄る指先と酸素が体内に入り辛い息苦しさに伏せていた眼を薄らと開き、唐突の詰まる苦しさに嗚咽を一つ、うぇ。と何かが競り上がる様に肩と肺を一度ばかり大きく揺らし。薄く開いていた眼をゆっくりと開いて、その後の展開の速さに何処か自分の事じゃないような、懸命な彼をその傍で立って眺める傍観者はたまた客人のような。繰り返し呼ばれるその名さえ甘美な事と場違いにも嬉々として。持ち上げられた腕が圧迫されたことで既に強い痛みは麻痺をして痛いという感覚が薄れている現状に気が付き、寝起きのようにボンヤリしていた頭が漸く覚醒を見せ。きぃと彼の頭の中には、今は自分しか存在しないのだ。そう思えば今迄生きてきた中で何よりも満たされる充実感があると知り、無意識の内に歪と吊り上がり半円を描く口元で切磋琢磨と自分を如何にかしようとする彼に込み上げる感情は独占していると言う愉悦と満たされると言う充実か。嗚呼、愛しいと彼の頭の内を自分の存在で満たすことが出来たのならばあんな犠牲のちっぽけな事と転がる巾着に目配せを一つ。然し彼が告げた言葉の意味を汲むと睫毛を逆立てる程大きく眼を見開いて、ぴたりと呼吸さえも止め。「__いや、約束したわ。そうでしょう、独りぽっちは嫌いなの、医者なんて要らない」このままでは置いてかれてしまう、そんな不安から反射的に言葉を選び頭を左右に揺らしては嫌じゃ嫌じゃと幼子特有の理不尽な我儘を。聞く耳を持たぬそんな我儘を真正面から向けて、ふらり。と立ち上がれば「きょうもお願い聞いてくれると言ったでしょう、…悦に瑛二の今日を頂戴な」最初は短く息を吸い込んでからはく、はく、と何を言うでもなく躊躇いに口を動かして。右手で彼の手を掴みぎゅうと離さぬように握っては、優しい彼はきっと子供の願いを無碍にはしない、なんて狡い考えを邪と浮かべつつ不安に泣きじゃくるのではなく、にこりと笑い。「悦はお腹が空いちゃった、お腹がくっついてしまいそう」澄ましたような微笑と共にくすくす、と笑い声を交えれば生臭さが臭い立つこの場に似合わない悪戯を含むようなそんな内容を。掴んでいた手から力を抜いて一本ずつ指を離していくと傍に転がる巾着を拾い上げて「ねぇ__きいて、悦はとても幸せものよ」足音無く再び静かと踏みより。「だから、そんなお顔よりにっこり笑顔が見たいわ」言葉通り朗らかな、作っているのではない自然な笑みを目を細めては首を拉げつつ伝えて。再び目の前に並んだところで巾着の紐を二重に円にすると彼の手首に引掛けて鼻歌のように指切りの歌を口遊み「…うそついたら針千本、のぉ_…ます。」確りと手首に引っかかったことを確認しては歌を止め、つんと足先に力を寄せてつま先で立ち上がり背伸びをし右手を口元に軽く添えれば耳打ちをするようにヒソヒソと「なくしちゃ駄目よ」なんて小さい注意をするように些細な口ぶりで)
(/当方絵を描くことを趣味としておりまして、瑛二さんのプロフィールに書かれる容姿を想像するだけでは飽き足らずに勝手にイラストにしてしまいました。もし宜しければこれからも交流のイラストを時々描かせて頂きたいと思いまして、此処のイメージが違う、此処の解釈を間違っている、等と有れば小さい事でも教えて頂けると幸いです…!悦のイメージも何となくですがこんな容姿をしているのかとイメージ程度に参考になれば…!と思い、一緒に上げておきます…!
https://pbs.twimg.com/media/CtSY9o4VMAAwKhE.jpg
https://pbs.twimg.com/media/CtSY5YYUkAA-Q1D.jpg)
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