主 2016-03-02 23:55:43 |
通報 |
……其れは厨の方に持って行ってくれ。今日の夕餉は薬研だと思うからアイツに渡せば良い。農具とかは俺が片付けておくから。
(日本号にああは言われたものの、矢張り気まずいものは気まずく。然し、こっちも至って普通を装おうとして、やや視線は泳いでいたが相手の質問に答えていき。また鍬やホースを持てばそう付け加えていって。農具を片付ける為に倉庫の方へと向かおうとしたが、徐ろにその足をピタリと止めれば「……俺もお前も納得出来る答えが見つかれば良いな」そう振り向かないまま独り言のように呟いて、再び倉庫へと足を動かして立ち去って行き)
(特段意識せずとも自然に耳へ入ってきてしまった相手の呟きには内心でそっと肯定するに留め、相手とは反対方向にある廚目指して足を進め。カゴから溢れんばかりの野菜を落とさぬ様に留意しながら目的地へ辿り着くと「今日の収穫を持ってきたぞ」と声を掛けつつ調理場へ立ち入り)
おっ、こりゃ大量だな。
(廚で夕餉の準備をしていれば畑当番だった相手が来て、胡瓜が沢山入ったカゴを受け取れば用途を考えていき。此れは今日のサラダに使おうと決めては、相手の背中をポンと軽く叩いて「お疲れさん、長谷部の旦那。今から俺っちが美味いメシを作るから其れまでのんびりしていてくれ」と、そう労っていっては笑みを浮かべ)
(/差し支えなければ、ここから食事が終わった後まで飛ばしても大丈夫ですよ)
(不動とあの様なやりとりをした為か、何となく顔を合わせにくくなってしまい主からは離れた位置へ座って摂った夕餉。自身の取ってきた胡瓜が使われていることにささやかな達成感を覚えながらも完食してしまい、さて自室へ戻るかと立ち上がったところで今朝の約束を思い出し。あ、と声を洩らして意識から外す様にしてしまっていた主の方をふっと向いて)
(/ではお言葉に甘えて。お気遣い感謝します/蹴り可)
(食事を終えれば立ち上がり、何故か夕餉の時に限って遠くに座っていたへし切に視線を向けていって。ちょうど目が合った為に其方へと近付けば「朝餉の時に言った事は覚えておるよな? さて、行こうか長谷部。執務室はこっちじゃ」と特に此れといって威圧の無い普通の声の調子で言えば、相手を促して執務室へと向かって行き)
(無言でこくりと頷き、促されるままに相手に続いて執務室へ向かい。しかし日中の不動とのやり取りの件もあり内心はひどく落ち着かなく、朝方言われた通り"腹を割って話す"のだとして一体何話すことがあろうかと悶々とした思考は止まず。あっと言う間に目的地まで着いてしまえば迷う様に入り口で足を留め)
(/お返事遅くなりまして申し訳ございません!ここ一週間立て込んでおりました……。ひとまず落ち着きましたのでまた今まで通りレスは返せます故、まだお相手をしてくださるのであればお願いします)
(執務室に着けば障子をガラリと開けて中へと入り。夕餉後とあって、すっかり外の夕日も沈んでいるため電灯を点けて薄暗さを取り払い。「長谷部。お前は其処に座れ」と、予め敷いていた座布団に座るよう入り口に立っているへし切へと促していき。己は其れと対面する場所にある座布団にドッシリと構えて座れば、なるべく相手を萎縮させない様にしているものの此れが中々難しく。取り敢えず、相手の準備が出来るまで待ち)
(/お疲れ様です…!リアルは大事ですのでお気になさらずに。そして再びこのトピへと足を運んで下さりありがとうございます!勿論です、当方長谷部並みに待てますので、むしろまた宜しくお願いします!)
(失礼致します、と不思議と夜の静けさが満ちている空間にぽつりと声をこぼして足を踏み入れ。示された座布団にそうっと腰を下ろすも心地は落ち着くどころかますます強ばるばかり、所在無さげにうろうろしていた視線も床の一点に固定されたままで。しかし沈黙にそう長々と耐えることも出来ず、そろりと口を開き)
……用件を伺っても良いでしょうか、主。
(/お優しいお言葉感謝です……!もうしばらくは一日1、2回程度の置きレス気味になってしまうのですが、ご容赦頂けると幸いです/蹴り可)
嗚呼、では用件を言おうか。お前に聞きたい事が一つあってな。単刀直入に聞く。長谷部、お前はわしに捨てられたと思っておるか?
(シンと静まり返った中で、ぎこちなく唇を動かす相手を見ては、遠回りに聞き出すのは逆に酷かと判断して、勿体付けず直ぐに惜しみ無く本題を提示していき。朝餉の時に言われた鶴丸の言葉を片隅に置きつつも、相手との間にある見えない深い溝を此の場で暴いてしまおうと鋭い双眸で目の前のへし切を見据えていき)
っは……?
(あまりに直球な問いに、一瞬呼吸さえ乱れて喉元からはひゅうと掠れた音が鳴り。そんなもの問われるまでもなかった、むしろあの下賜を捨てられた以外にどう受け取れと言うのだろうか!主に織田信長の記憶があると知ってもなお、相手はかの魔王ではなく"主"なのだとの一念で押さえ込んでいた積年の恨みやあれそれがともすれば溢れそうで。それでも無理矢理に口元をいびつな笑みに変え、もはや半ば自己暗示に似た調子で言葉を放ち)
何を仰るかと思えば。俺と"主"はまだ出会って二日、まして捨てられたなどと思う様な待遇は受けていませんよ。
ふむ、言い方が悪かったか。先程のわしの言葉は前世の織田信長としての言葉じゃ。主は主でも、お前にとっては元主の方じゃな。
(何処か藤色の瞳を揺らしながらも口元では気丈に笑みを描くへし切を真っ直ぐに捉えつつ、目は口ほどに物を言うなと顎下に手を当てて己は思い。此方の言葉を直ぐに理解をしている癖に敢えて"主"などとしらばくれる相手に半笑いを浮かべれば、ならばと退路を塞ぐ様な上記の言葉を発していき。生まれ変わりとは言え、己が持つ記憶は紛れもなく織田信長のもの。故に今も先も紡ぐ言葉は嘘では無く、相手が過去に知り得る事が出来なかった事も今は知らせる事が出来る。然し其れは相手が聞こうとしなければ意味など無い。再び、目の前の付喪神へと一部分だけを変えた問いを投げ掛けていき)
もう一度尋ねるぞ、へし切。お前はわしに、織田信長に捨てられたと思っておるか?
……何を、当たり前のことを。
(駄目押しの様に繰り返された問いに今度こそ何かの糸がぷつりと切れた気がして、今し方よりも数段声音はほの暗くなり。「名付けまでしておきながら、結局は手離しただろう」、「直臣でもない輩へ下げ渡しただろう」、「捨てた以外にどう受け止めろと?」話しているはずの自身にも何を言っているのか断片的にしか分からぬ言葉を投げつけ、ようやく落ち着いた時分には妙な空虚感があり。はは、と乾いた声を上げて一転ゆったりとした声で)
けれど貴方は、主は織田信長ではありません。ただ記憶を持っているに過ぎない、こんなものは主には関係のない話だ。
…其処まで言っておいて、わしには関係無いと?ははっ、意地が悪いなへし切。生まれ変わりとは言え、記憶を持っている以上は介入しても良いじゃろう? むしろそうすべきじゃとわしは思う。
(相手の恨み辛みの籠った断片的な言葉を聞き、鶴丸の言っていた事がいよいよ明るみに出て来たかと思いつつも、常に何処か一線を置いていた相手の本心が垣間見えれば何となく嬉しく感じるもので。然し、最後の最後で其れら全てを無かった事にしようとする相手の発言には、ピクリと片眉が僅かに上がり。目の前の付喪神の真意は分からぬが、其れは己が紛い物だと言われている様な気すらする言葉で、軽快そうに笑ってはみたものの眼光は鋭いままにそう断言し。また焚き付ける様な言葉を投げ付けていき)
…嗚呼、其れともわしの口から真実を知るのが怖いのか?その様な逃げ道を作るなど。
怖い?はは、主に捨て置かれた事実より怖いものなどありましょうか!
(相手の口先とは裏腹な鋭い眼差しに僅かにたじろぐも、心底おかしいとばかりに顔を歪めて相手の言う"真実"を暗に自身への悪い評価なのだと決め打ち。「主をあの男だと認めたくないのはね、俺がもう二度と仕えたくないからです。あんな男に仕えたが最後、……また、いつ捨てられるか知れたものじゃない」と拒絶の理由を震えた声に乗せて告げ、にこりと日中に見せる対主用の曇りない笑顔で)
貴方は俺のことを捨てたりしないでしょう?だって貴方はあの男とは違う、別の人間でしょう?
…捨て置かれたと、お前はそう決め付けておるのだな。嗚呼、それと残念じゃがわしもあの男も根は同じじゃ。別の人間とは一概には言えぬ。
(ジロリと己の鋭い双眸を相手へと向けては、決して軽くは無い声色で言葉を発していき。思い込みによる積年の恨みは、如何やら安易には払拭出来ぬかと視線を鋭くさせ。然しながら一見感情を出しているかのようで、何処か押し殺しているかの様な相手の笑みのチグハグさは、見ていてあまり気分の良いものでは無いと感じ。また其の口から何度も告げられる"捨てる"と言う単語に、鶴丸が言っていた通り此れはトラウマになっているなと察せられ。少し考えていたが、此のままでは平行線な上に拒絶の理由も相手から聞けたので仕掛けるかと、自身の懐から閉じた扇子を一つ取り出せば、其の先端と共に自身が持つ真実を相手へと向けていき)
のう、へし切。何やら誤解が生じている様じゃが、元よりあの男_もとい、わしはお前の事など捨ててはいないぞ。
(相手の言葉にふっと表情を消して視線を正面から見据え。扇子を取り出す所作はひどく懐かしささえ覚えるもので、はじめから内心十分に承知だったものの改めてこの方は疑いようもなく信長様なのだとの思いがすとんと胸に落ち。とはいえそれを認めていない体の自分は主と信長様の同一に関しては言及出来ず、小さく息をつくと無表情のまま首を僅かに傾けて、どの様な言い訳が飛び出すのやらと半ば諦念混じりに)
……捨てていない、と言うのは?
其のままの意味じゃ。_お前はわしが黒田に渡した事を捨てたと捉えている様じゃが、何も理由無しにわしはお前を渡した訳ではない。
(先程へし切が告げて来た、直臣でもない輩へ下げ渡しただろうと言う言葉を聞いて直ぐに黒田へと渡した事が捨てた事だとされているのだろうと、鶴丸の推測と合わせてそう察していた為に扇子を差しながら上記を述べ。「理由は二つ有る。一つ目は、お前程の刀でないと有能だった黒田をこちら側に繋ぎ止めておく事が出来ないと考えたからじゃ。二つ目は、お前を大切にしていたからこそ手離した」あまりに一遍に言われても整理は出来ないだろうと思ったが、小出しにして途中で会話を切られる心配は無い為に一遍に言い、扇子を持っていた手を胡座を掻いている膝に置けば相手の反応を伺い)
大切に、していたから?
(あっさり告げられた下賜の理由、その一つ目は納得出来るかはともかく理解は出来るもの。だが二つ目のそれは根本においてまず理解が叶わぬ説明であり、はっきりと疑問を顔に出して引っかかった言葉をオウム返しにして。大切な物は手元に置きたいはずだ、それをだからこそ手放すという相手は何と複雑怪奇な価値観なのだろう、ほんの一時今のいざこざを忘れて純粋な疑念に眉を顰めて)
嗚呼、そうじゃ。大切にしていたからこそだ。…わしは、多く者から恨みを買っていたからな。だから此の側は危険だと判断した。
(己が多くの者から恨みを買っていた事は自覚しており、だからこそ何時か其れが此の身に帰って来る事は理解していて。自身の側は何よりも危険な場所だと、月日が経つ毎にその考えは増していき。名前を授けるほど大切にしていた刀、其れだけは巻き込みたくは無く事が起こる前に、誰の恨みも買っていない黒田へと渡して正解だった。実際に其の後、己は本能寺の変で焼け落ちた。其の様な地獄にまで付き合わせてしまった左文字や不動、薬研には悪い事をしたと思いながらも静かな声色で言葉を続けていき)
……現にあのまま共に居たら、わしと同じくへし切も焼けていた。真っ直ぐで美しい刀だ。己の手では終わらせたく無かった。
……っ、信長様は、分かっていない!
(思いもよらぬ言葉に息を飲んで目を見開き、自身と相手の考えの差異につい相手をかつての名で呼びながら声を上げ。それは確かに大切なものを守るという行為なのだろう、それでも自分はそんなことを望んではいなかった。荒げてしまった声に触発される様に六百年もの間溜め込んできた本音がほろほろと溢れだし)
あの頃の俺にとっては信長様が全てで、官兵衛様は確かにお優しい御方でしたが、それでも俺は、貴方と共にありたかった!薬研が、宗三が、不動が羨ましい、俺も叶うなら貴方の側で朽ちてしまいたかった!守られなくたって良かったんです、貴方の最期に側にあれたならそれが最上の幸せだったんです、少なくとも俺にとっては。
トピック検索 |