主 2015-12-23 12:06:24 |
通報 |
………カラ、松……
(殴った手をじぃと見つめ確かに兄を殴った感触に自分のせいにも関わらず悲しみと苦しみを感じ、一方で″こんなことできるのは僕だけだ″と段々酔いしれて。まだ残った僅かに冷静な部分を押さえつけるように座り込んだ相手の背中をグリグリと押し。「…ねぇ、答えてよ、兄さん。そうなんでしょ?弟四人のうちの単なる一人、しかも兄を蹴る最低なドクズだ」と饒舌にまくし立て)
……一松は、っ…クズなんかじゃない。弟を傷付けた俺の方がクズだ。
(“一松は特別だ”。そう続けたかったがこれを言ったら弟にまた迷惑を掛けてしまうと、奥歯を噛み締め言葉を飲み込んでは堪えきれなくなった涙をポロポロ落とし「一松は誰よりも優しくて兄弟思いだ。」と振り返り眉を下げ笑みを浮かべては“俺の誇りだよ”と付け加え。)
ぁ、っ…なんで…なんでそんなに無駄に優しくて眩しいんだよ…!こんなゴミには一生届かないって言いたいわけ…っ
(肯定されたことに息が詰まり動揺して蹴る足がぴたりと止まり。優しい、誇りだと並べられた言葉が心臓を貫く気がして、嫌だ聞きたくない、と呟きながら相手の声を止めようと首に手を掛け。けれど相手の涙が手に触れればハッと自分のしようとしている事に気付き。その場にどさりとしゃがみ込むと「…生きてる価値、ないよ…僕」と震える声で俯いて)
いちま…ッ……?一松!?大丈夫、…そんな悲しいこと言うな…お前がいなくなったら俺は、俺はっ…生きていけない…。
(違う、違うと首を横に振り否定していると首に手を掛けられ、流石に危険と感じたのか相手の手首を掴んでは青褪めていき。目をぎゅっと閉じていると首元から手が離れて行き、薄っすらと目を開くと相手が座り込んでいて。慌てて側へ寄ると相手は震えており、その吐かれた台詞に顔を歪めては一瞬迷った後相手を優しく自分の胸元へ引き寄せ。)
…ぅ、あ…っ、カラ松…あった、かい……
(突然の抱き締められる感覚に驚き目を見開くも、その優しい温もりに安心感を覚えて幼い頃のように相手の胸に擦り寄り。段々と気持ちが落ち着けば深い息を吐いて、確かに聞いた生きていけないという言葉を思い出し口角を上げ。顔を耳元に寄せれば「…同情心だって、何だっていい。アンタがいてくれるなら生きてるから。俺から逃げないで」と低く落ち着いた声で囁きそっと背に手を回して)
そりゃあ生きてるからな。お前もあったかいぞ。
(拒むこともせず擦り寄って来た相手に兄心が擽られ頬を緩めれば相手の肩に頭を置き。そして近くに来た気配に顔を上げては「俺はお前からは逃げない。お前は、…こんな俺が側にいて良いのか…?」と不安気に眉を下げるとぎゅっと相手の服を掴み。)
…生きてる、から
(肩にかかる重みに心臓が飛び跳ねる思いをするもどうせまた兄弟の情だろうと期待しないようにし、当たり前の事だが心に引っかかった相手の言葉を無意識に小さく呟き返し。引っ張られる感覚に抱く力を強めれば「カラ松じゃないとダメなんだよ……その言葉、忘れないで」と静かに念押しするように)
ん?どうした一松。
(何か引っかかったのか先程言った言葉を繰り返し口にする相手の顔を覗き込んでは相手の頬に手を当て。相手の言葉に力強く数回頷き「忘れない。絶対忘れない」と自分で良いと言ってくれる相手に嬉しさからかまたじわりと涙を浮かべ。)
……別に、なんでもない。ただ…今は生きていたいと思っただけ
(覗き込む相手の額を軽く押してから、添えられた手に自らの手を重ねぼそりと言い。大きく頷く相手に何か声を掛けようとしたが突然の涙に動揺し「は、何泣いてんの…そんな顔されたら、期待するだろうがっ…」と顔を逸らし抱きつくのをやめ相手から離れれば、どうしていいか分からずに少し距離を取り一人体操座りして)
一松お前…今だけじゃなくずっと生きててくれ。
(相手の言葉に顔を歪め押された分また顔を寄せ相手と額を合わせては震える声で述べ。離れてしまった相手を名残惜しそうに手を伸ばすが直ぐ下ろし、「だって、お前が俺で良いって…き、期待…?」ぐずぐずと鼻を啜っては期待という単語がいまいち理解出来ないのか疑問符を浮かべて。)
…アンタには一生わからないよ、この言葉の意味も、俺の気持ちも
(額の熱っぽさを感じ震える声を聞くと、小さく「…わかった」とだけ返して。伸ばされた手に視線をやるが此方に届かないのを見てはすぐにまたそっぽを向き、自分の服の端をぎゅっと握りしめるとどこか遠くに投げかけるように呟いて)
…ごめんな、一松。こんな兄貴で…。……下行ってくる。
(自分はどこまでも頼りない兄貴だと自嘲的な笑みを浮かべれば少し気持ちを整理して来ようと立ち上がり、去り際に相手の頭を撫で。)
……っ、
(離れていってしまう相手を追いかけたくても体も口も動かずに黙ったまま俯き。階段を降りる音が聞こえれば撫でられたところに触れ潤んだ瞳を閉じ「ごめんなさい」と届かない声を漏らして)
あれ、兄さん達帰ってきてたのか。おかえり。…あー…一松は上で寝てる。
(もしかしたらこの頼りない兄に失望したかもしれないと表情を暗くさせながら居間へ入るといつの間にか皆揃っており、いつもならイタい台詞の一つや二つ言ってるが今回はそんな余裕は無く。一松はと三男に問われればちらりと階段を一瞥しつつありがちな嘘を吐けばいつもの表情張り付け机の前に腰を下ろし。)
…カラ松……?…、いやだ、見捨てないで……
(下から聞こえてくる声たちに小さく溜息をつき、じっと暗い部屋の隅にいるといつの間にかうとうとして。朦朧とした意識の中、相手が自分に「もう嫌いになった」と言って離れていく夢を見ると、目からは涙が伝いがたがたと震えながら寝言を言って)
フッ…仕方がない。俺が呼んでこよう…。
(他愛もない話をしているといつの間にか飯の時間になっており、皆寛いでいるからか動きたがらずその様子に小さく笑った後いつものようなセリフを吐けばイタいと投げつけられた座布団をキャッチしつつ階段へ上がり襖を開け「一松。飯の時間だぞ…ん?…本当に寝てたのか…」と声を掛けるが返事が無く静かに近寄ると何か嫌な夢を見ているのか涙を流す相手に眉を顰め、隣に座り相手の涙を指で拭えば「一松、」と小さく声を掛け。)
……やだよ、カラ松…
(はっきりとしない意識が自分を呼ぶ声で引き戻され、夢うつつで隣にいた相手の服にしがみ付くと震える声で。また涙が溢れそうな目を覆うように相手の胸に顔を押し当て「なんで、なんでもう僕と、帰らないなんて言ったの…っ」と素直に聞くことができなかったことを問い)
一松…?え、あ…そ、れは……俺は、お前の側に居たらダメって言われて…だから、その…ごめん…
(寝ぼけているのか珍しく自分の胸元に来る相手を心配そうに覗き込んでは次に問い掛けられたその質問に動揺し。言って良いのか迷ったが弟に嘘は吐けないと途切れ途切れに答えては愛する弟を悲しませてしまった罪悪感に苛まれ奥歯を噛み締めて。)
は…言われたからって……そんなのっ、理由になってない…!
(相手の答えに眠気は一気に醒め、あまりの納得のいかなさに小刻みに震えるとかっとなって相手の胸倉を掴み。その勢いのまま相手を壁に押し当て「…なんで俺がカラ松の側にいたらダメなわけ?何、他人が勝手に介入してきてんの…そいつ、誰、教えて」とイラついた様子で詰め寄って)
ッ、ぐ……俺が、お前の側にいるとお前がダメになっちまうって…っ…俺の、友達が…い、一松、あの、友達は悪い奴じゃないんだ…!全部俺が…
(壁に押し当てられると小さく声を漏らし痛みで顔を歪めると詰め寄ってくる相手に身体を震わせ青ざめながらに両手を前に出し相手を制止させ、友達は巻き込みたくないのか首を横に振り。)
トピック検索 |