なりたい私 眩しい貴女【非募】

（/時間進めました）

ピアノ…？まさかね…真姫が裏通りでやる訳ないわよね
（相手との別れを得てから2年後自分はロシアに帰ったり日本に来たりと繰り返し、自分は一応歌だけは続け海未や真姫に曲作りをちょっとだけ依頼して出来た曲を自分なりに演奏そして歌うそんな事を繰り返してきたのだが、今日は裏通りで歌おうかとマイクだけを持っていて突然電子ピアノの音が聞こえ、ピアノを弾ける人物と言えば真姫位なのでまさかと思い相手がいるとはわからず裏通りに姿を現して）

ありがとうございましたー！
（歌と演奏、それを聞きつけて少しずつだが観客も増えだして、よほど集中しているのだろう観客の中に相手がいることに気付かず、μ'ｓ時代の曲を何曲か電子ピアノの演奏つきで披露し、最後の曲を終えれば観客の方から拍手があがり、自分の演奏の為に集まってくれた観客へと感謝の気持ちを込めて満面の笑顔で手を精一杯にブンブンと振って拍手へと応えて

穂乃果…？というかいつの間にピアノを…
（どうやら演奏をしていたのは真姫ではなくリーダーだった相手で、ピアノを弾けるようになっているなんて大きな成長というか２年も連絡さえとっていないから何をしているのかも今こうやって笑顔でお礼を言っている事くらいしか知らず、多分真姫に教えてもらったに違いないと考えれば相手に話し掛けようとは思ったが、二年前のことを思い出し話しかけるべきなのかどうか迷ってきてしまっていて）

…あっ、絵里ちゃん…
（路上ライブを終え、他の観客が帰って行く中でこちらを見つめたまま微動だにしない人物の姿があって、そちらへと自然と視線を向ければ遠目からでもわかる太陽の光をキラキラ反射する金色の髪に凹凸のハッキリした綺麗に整った身体つき、それらの特徴がかつて自分たちと共に歌った仲間であり友人であり、そして2年前に己が傷つけてしまった自分の中にある記憶の中の彼女のものと重なっていき、何故こんなところに居るのだろうかという疑問と、さっきからずっと自分の演奏を見ていたのだろうかという疑問、そんなものを抱きながらも視線はそらすことなく彼女へと向けたまま声はかけないながらもやや控え目に、しかし遠目からでもちゃんと見てわかるように手を振ってやり

穂乃果、久しぶり…まさかピアノを弾けるようになってたなんてね
（控えめだけどちゃんと自分の事は見ていてくれてるので何処か安心した様な感情が生まれて、軽く手を振って声を掛けるべきなのかではなく二年前の仲を取り戻して留めなければいけないと思い、相手に話しかけると２年前相手に告白した時は緊張とか考えもあってそして相手にフラれ泣いたあの夜と比べれば告白する前の気持ちが強くなってしまい、相手がピアノを弾けるということに驚きを感じながら小さく首をかしげ）

久しぶり、だね…こんなところで会えるなんて思いもしなかったよ
（自身の胸の内に大きなシコリを残し、三年間の高校生活で唯一ともいえる心残りとなっていた相手とこうして再会をしてまた言葉を交わす機会を与えられたものの、いざこうして会ってみると今更自分に何が出来るのか、どんな言葉をかければいいのか、気の利いた言葉の一つも浮かんでは来ず結局今の自分には相手の心へと必要以上に大きく踏み込む勇気もなく、当たり障りのないやや距離感を感じさせるような台詞でその場を流すことしか出来ず

えぇ、それは私も…というより今の穂乃果が別人に見えちゃったというのは驚きだけど
（あの告白が原因で相手の話し方が変わったというのは分かるのだが、相手のことだから気にして入るけど無理をして笑顔を見せるというのが相手らしいところなのだが、今はそんな雰囲気を醸し出す所か自分の告白というあまりにも大きな壁が相手の心の中で邪魔をしているのだろうと判断し、まずはその壁を壊し普通に話せるようにしようと苦笑いしながらいつも通りのように話しかけ）

えへへ、大げさだよー。穂乃果…、じゃなかった、私は私だよ
（気まずく感じてしまっているのは自分だけなのだろうか、それとも此方に気を遣って気丈に振る舞っているのか、別れた二年前のあの日から変わらない彼女らしいそんな調子で声をかけてくれば自分もいつまでも引きずっていてはいけないのかもしれないと考え、何よりもあの頃のような関係に戻れるのならそれは何よりも喜ばしいことであり、こちらもいつもの調子で照れ笑いを浮かべながら言葉を返してはついつい相手の前ではμ'ｓの仲間であった頃のように言葉を返して、一人称も当時のものとなってしまっていて

ふふっ、わざわざ言い直さなくても私は何も言わないから
（ようやく見せた相手らしい笑顔と言い直そうとした一人称の仕草に、クスクス笑いながらμ'sの時にしていた事を思わず相手の頭を撫でたりしてしまい、わざわざ言い直さなくても自分は何も言わないからと恐らく穂乃果を一人称にしていた相手は私という事でμ'sの解散を通して変えていったのだろうと、二年もたっているのに仲間だった自分の前では穂乃果の一人称になりかけるとは無理はしなくていいと、とにかく相手が言いやすいようにさせてやろうと考えていて）

あはは…なんか恥ずかしいね、これ。でもすごく懐かしい感じがするよ
（幸いにもからかわれたりすることは無かったものの、こうして頭を撫でられてしまうと照れ臭そうに笑って、昔は今のように頭を撫でられたりといったことには抵抗もなく、珍しいことでも無かったが久しぶりだとなんともいえない気恥ずかしさを感じてしまいながら、それと同時に懐かしさが胸の内からこみ上げてきて、またあの頃のような繋がりを取り戻すことが出来るのだろうかと、そう考えると止まってしまっていた時間が動き出すような、そんな万感の思いがあって

ふふっ、確かに久しぶりで懐かしいけど…気恥しいって言うのはあるわね
（何時もなら頭を撫でていれば掌に擦り寄る頭から甘えるように体まで擦り寄せてくるのがμ's時代の相手の仕草なのだが、今はこうやってしているだけで恥ずかしさを感じてしまっているというのはなんとも新鮮な気がして、それが伝染してか撫でる側も何故か恥ずかしくなってしまい、小さく笑いながら気恥しいというのはあるねと、苦笑混じりの言葉を交わし）

だよね。ところで絵里ちゃんは今はどこで何をしてるの？
(クスクスと照れくさそうに、はにかんだような笑顔で恥ずかしい気持ちは此方も同じだと同調するように頷いてみせ、それからふと真顔になればこれまでの会えなかった時間、お互いに連絡を取り合うことすらしなかった二年間という年月の中でぽっかりと空いてしまった隙間を埋めるように静かな口調でポツリと呟いて

私は一応歌を歌ったりしてるわ…一つだけしか曲はないから新曲を期待されちゃったり…海未と真姫には世話をかけさせてばかりで申し訳ないけど
（表情が変わったのを見れば二年間の隙間を埋めたいとでも思ったのだろうか、自分だって初恋の相手が今どうしてるのか知りたいし聞かれたからには答えるしかないので、肩に下げているマイクの入った鞄を見せ歌を歌っているのだと告げては、一つの曲を歌い続けてるので今は真姫と海未とで話し合ったりしているようで「穂乃果は…ピアノを弾きながらμ'sの曲を歌ってるのね」と先程相手が歌っていた曲は一番よく知るメンバーの1人として、ピアノまで弾けるようになって歌ってるんだなと見た感じの考えを相手に聞いてみて）

そっか、絵里ちゃんは音楽続けてるんだ。私の場合は本当にただの息抜きっていうかそんな感じかな、仮にも大学生だから学業を疎かには出来ないし
（自分とは違ってオリジナルの曲で元μ'ｓの作詞作曲の担当であった二人とも結託して、精力的に音楽活動をしているのだと知り、素直に凄いなと感じて驚きのあまり目を丸くして、そんな彼女の活動に比べれば今の自分のしていることなんてそれこそ中途半端なものだということを苦笑混じりに述べ、それと同時に自分が今は大学生でありむしろそちらが本業であるということや歌やピアノも全てはその合間の息抜きとなっていることを話し

大学行ってるのね…私は短大を出たばかりだったし。息抜きのつもりが趣味になっちゃって…最近ツバサさんとデュエットで歌おうかって話にもなってるの
（息抜きだからといってピアノをわざわざ弾けるようにして続けているだなんて、寧ろすごいしμ'sの頃の勢いとかを少しばかり感じられるようになってしまって、オリジナル曲を作って結託して息抜きってつもりだったけどそれが周りの人の目に止まって、以前ライバルだったA-RISEのリーダーと一緒に歌うことになったのだと告げれば「良かったら…穂乃果も歌わない？穂乃果も知ってる曲だからヒントはスクールアイドルで」と二人で歌うのもいいけど歌を続ける相手が目の前にいるなら一緒にどうだろうと誘ってみては、相手も自分も知ってる曲だというヒントを述べ）

さっすが絵里ちゃん、最近よくテレビにも出てる売れっ子のツバサさんとデュエット出来るなんて…これは絵里ちゃんのプロデビューの日も近いね！いやぁー、元μ'ｓの仲間として鼻が高いよー
（本人は趣味なんて言っているが音楽を嗜む者として既に自分よりも遥か高みにあり、高いプロ意識を持って活動しているのだろう相手の口から出た名前は自分のよく知る意外な人物であり、名門UTXを卒業後プロのアイドルとして衝撃のデビューを飾った伝説の元スクールアイドルユニットA-RISEのリーダーと相手が組む、それはつまりそれだけ相手の実力が評価されたということを意味しており、成功までの道筋がもう既に描かれているのだと相手を羨望の眼差しで見つめ｢…そんな大きな夢に私を誘ってくれたことすっごく嬉しいよ。でもごめん、それは今は決められないや、考えておくよ｣A-RISEまでも巻き込んで大きく膨らんだ夢、いくらかつての仲間で友人だからといって今では素人も同然な自分をこんな大事な計画へと誘ってくれたことに驚き、軽く感動すら覚えていたが、安易に結論を出すことはせずに相手を真っ直ぐに真剣な面持ちで見つめては返事を濁して伝えて

プロデビューはするつもりないわ、だって穂乃果なら私がμ'sはスクールアイドルで拘りたかったって意味を理解してるでしょ？
（プロデビューそれは将来を約束されたに違いのだが、自分はそのプロデビューはする考えはないと相手なら自分がμ'sをスクールアイドルで拘りたかった理由について、一番に理解しているだろうと問いかけつつもしプロデビューを意識している人物がいるのなら相手も自分も想像はつくにこの方だと考えていて「ん、まだ時間はあるから大丈夫よ。穂乃果なら即答してくるとは思ったけど…成長っていうのね」と普段の相手ならこう言う誘いは必ず受けて今から練習しようとか言ってくるはずだったが、人気のあるA-RISEと趣味で歌う自分や相手が一緒にステージに立てるというのは流石に考えるかと頭を撫でながら頷けば、ゆっくりと考えるよう話しておき）

私はいいなーっておもうけどね、確かにμ'ｓは私たちだけのものでスクールアイドルに拘りたいっていう気持ちもわかるけど今の絵里ちゃんはμ'ｓの絵里ちゃんじゃない、絢瀬絵里っていう一人の人間だもん
（確かに限られた時間の中で輝くスクールアイドルが好き、あの時は自分でもそう結論を出してその気持ちを大切にしたいという気持ちも当然わからない筈もないが、それはあくまでもμ'ｓとして活動を続けるつもりがないという意志表示だと自身はそう思っていたようでμ'ｓを終わらせたその先のこととはまた別の話しだろうと考え、そもそも今や本物の芸能人の仲間入りを果たしたツバサと一緒に歌う時点で一定以上の活躍を期待されているということではないのかと、そう考えるとプロデビューを意識しない相手のことが不思議に思うぐらいで｢成長…っていうのかな？こういうの｣確かに自分が足を引っ張ってしまうかもしれない、そんな心配がなかった訳では無く、無謀に突き進むばかりではなくなったという一点のみを見るのならば確かに成長したと言えるのかもしれないが自身の思うところはまた別にあるようで

…それもそうね…でもプロデビューを決めるのは私じゃなくて相手側…出来たら儲けって感じで考えておくわ
（μ'sの自分ではないことくらい分かっているつもりだったが、改めて考えると何だかプロデビューを目指したって構わないのではないかなんて考えてしまい、プロデビュー出来るかは自分の決めることではなく事務所側なので、プロデビュー出来たら儲けとして受け取っておこうと決め「えぇ、前までならどんな難しい壁でも危ないとわかる壁でも乗り越えようも向かってきてたから今となれば無理はしたくない…というより恐れてるって思う感じはするの…二年の間に何があったのか分からないけど」と此処からは本音に近いのだが本当は自分がきっかけとかの考えはあるし、むしろ相手がこの誘いを考えさせてくれだなんて言わない人だったから、この二年の間に何があったのかについて考えていて）