主 2015-12-05 22:37:41 |
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聖職者だからって何もかも綺麗事では通せん。生身の人間なのだからな。
(神父に夢を見すぎだ悪魔の癖にと一蹴して、引いた表情に心外だとばかりに顔をしかめ。尋ねてきた言葉に肩を竦め、「他にしようがあるまい」と恨みがましく元凶たる相手をじと、と見る。だがすぐに目を逸らして仕方ないな、と諦念を洩らし)
それはそうでしょうが、表向きだけでももう少し取り繕っては……いえ、やはり何でもありません。
(相手の言葉が分からないわけではなく、寧ろこれまでに見てきた人間たちの様子から十分に理解しているつもりではあり。外面だけでもらしくしてはどうか、と考えたが、よくよく考えれば相手が聖職者らしからぬ発言をするのはこの場に悪魔である自分しかいないからではないかと推測し、口に仕掛けた言葉を撤回して。こちらに向けられた視線に悪びれることも無く鼻で笑っては視線をそらし)
……今更だが、お前無駄に聖職者に詳しいよな。悪魔は本来俺達と接してこないものだと思うのだが、俺の元に来る前にも神父や修道女などに絡んでいたのか?
(やたらめったら神父らしくない、と言及してくる相手にふと悪魔は普通そこまで聖職者"らしさ"など知らないはずではとの疑問が浮かび。自分に手慣れた様子で声を掛けてきたところを見るに、やはりよく教会を狙って来る類の酔狂な悪魔なのだろうかと想像を巡らせて。話しながら見えてきた街、その予想以上の人の多さに僅かに顔をしかめて)
えぇ、まぁ、何度か……別に狙って手を出していた訳ではありませんがね。聖職者を堕落させるのは少々骨が折れますが、その分楽しみもありますから。
(相手の問いを受け、目を伏せてやや俯き、過去に関わった人間達のことを思い出しつつ。言葉の最後の方には意地の悪い笑みを浮かべて。街が見えると、こちらもこの人間の多さは予想していなかったらしく少し驚いたような表情を浮かべ。しかし別段嫌な顔をするでもなく、「おや、随分と活気のある街ですね」と単純に思ったことを口にして)
悪趣味め。……ちなみに、堕ちたのか、お前が手を出した連中は。
(母親が人混みに流されかける子供の首根っこを掴む様を見て、ふむと頷き恐らくは人混み慣れしていないであろう傍らの悪魔の服を掴んで引き寄せておき。群衆に流されながら目的の店へじわじわ接近しつつ、返答があればその笑みに呆れたとばかりに評して。やはり手を出された者は聖職者とはいえ例外無く堕ちたのだろうか、と聞くのも躊躇われた問いを少し迷って結局口にし)
さぁて、どうでしたっけ。焦れて殺してしまったこともあるような気がしますが……
(余所見をしていたところを引き寄せられ、少しふらついては不満げな視線を相手に送り。相手が問いを口にするのに躊躇った様子を見せるとにやにやと笑いつつ、わざとらしくとぼけてみせ。挑発でもするかのように、敢えてなんてことのないような口ぶりで)
(殺したと隠す気も無く宣う相手に目尻を強ばらせるも、静かに「……死なら、堕ちるよりは救いようがあるな」と呟き。挑発の為か事実そうであるのかは定かではないが、殺したのかさえも定かではないという言葉が肝要の殺したという言葉よりも気にかかり、表情を消したままに淡々と)
お前にとっては、殺したかどうかも覚えていないほど人間を殺すというのは軽い行為なのか?
……私にとって、それが軽いか重いかなど考えたこともありません。しかし……忘れてしまうということはそうなのでしょう。
(薄い笑みを口元に貼り付けたまま口を閉ざしては、腕組みをしてから街並みに視線を移し、まるで相手のとの会話に大した関心も無いかのように装い。しかし、暫し沈黙した後最終的には答えを返し。その時には既に笑みはなく、視線は依然として他所へと向けられたままで)
……まあ、悪魔だものな。
(頑としてこちらを向かない相手の真意を探る為にじっと視線を向けていたものの、やがて諦めた様な声音でぽつりと上記の言葉でまとめ。自身とは明確に異なる価値観に小さく羨ましいものだ、と呟いて一方向に一際強く相手の服を引く。見えてきた店を指してこっちだぞ、と話も切り替えて)
えぇ、悪魔ですから。
(クスリと小さく笑ってから頷いては、相手の呟きの訳を問おうと口を開きかけ。しかし丁度服を引かれ、一度相手に視線を戻し。わざわざ話を戻すつもりも無いのか素直に指さされた方向に視線を向け「もう到着ですか」と、肩を竦めつつ呟いて)
この後にも何軒か巡るがな、ひとまず一番近いところからだ。
(雑然とした店内に入ると勝手知ったるとばかりにさっさと目的の品がある場所まで進み、適当にいくつか補修材の入った袋を引き出して持てとばかりに相手へ突き出し。「荷物持ちに限界が来たら一旦教会に戻るからな、荷物が持ち切れなくなるか呪いの時間切れが来たら言ってくれ」と話す間も袋をひょいひょいと渡していき)
はいはい、分かりました……呪いの方はもう暫く大丈夫でしょうけど。
(突き出された袋を素直に受け取りつつ、呪いをかけられてから次の晩までの間のことを思い出し、不愉快そうに眉を顰めつつぼそりと。荷物持ちというからにはそれなりに大量の荷物を持たされることは覚悟していたものの、一軒目からこんなにもと少々表情引き攣らせて)
何だその顔は、何度も言うが恨むならばこれだけ買わねばならぬほど派手に破壊した己を恨め。
(ものの数分であらかじめ確かめておいただけの分を揃えると、懐から会計の為に財布を出しつつ店員の居る方を指差し。財布から紙幣に混じって突っ込まれたメモを出して確認をし、早くも次の店で買うものを考え始めており。「とはいえこの程度の買い物なら大したことはないだろう、悪魔様?」と話半分の状態ながら発破をかけ)
(返り討ちに遭うとは思わなかったのだと反論しに口を開きかけるも、逆に無様でしかないと気がつくと小さく舌打ちをして視線を逸らし。指さされた方向に視線を向けては、そちらへと足を向けつつ相手の言葉に対して「……は、当然です」と、眉を顰めたまま答えて)
(手早く運んでもらった品の会計を済ますと、大きな袋に買ったもの全てを詰めようとする店員を止め、別の袋に一部を分けて入れてもらい。小さい方を右手で持ち、大きな方を「気持ち程度だが軽くしてやったからな、もう二、三軒頑張ってくれ」と相手に渡し。店を出ながら足は既に次の店へ迷いなく向いており。ふと思い出した様に相手の服を再度掴んで)
次は二つ先の通りだ、はぐれるなよ。
(容赦なく全ての荷物を持たされるだろうと思っていた分相手の行動にやや戸惑い。何か嫌味の一つでもぶつけてやろうと思っていた気も削がれると荷物を受け取りつつ「はいはい……そんなことせずともこの程度の荷物ならば苦にもなりませんが」とせめてもの強がりを口にして。相手に続いて店を出、再び掴まれた服を見ては「逸れたりしませんよ、子供でもあるまいし」と呆れた様子で)
子供とは思っていないが、子供以上にタチ悪くふらふらしそうだろうお前。
(子供は他意無く迷子になるがこいつは自覚した上でどこかへ行きかねん、と判断し掴んだ服は依然離すことなく。荷物と服とで両手が塞がったままながらどうにか人を押し退け目的の店まで辿り着けば、今度は塗料の店為大して迷うこともなさそうだと歩みを進め)
……そんなことしませんよ、多分。
(その言葉に対して眉を顰め否定するも、その後視線をそらしては敢えて不安を煽るように一言付けたして。多くの人と肩がぶつかる感触に鬱陶しさを覚えつつも相手と同じように人々を押しのけながら相手についていき。辿り着いた店に並べられた塗料を物珍しそうに見て)
(悩む時間もなく白の塗料を複数手に取り、会計へ持っていこうとしてふと目に入った缶を笑いながらつつき。やや黒の混じったような暗い赤色に「見ろ、お前の目の色にそっくりだぞ」と楽しげに声を掛け、何を思ったかその缶も一つ持って会計に向かおうと)
(相手が塗料を手に取って居る間、退屈で仕方が無いとばかりに視線をぼんやりと棚に向けながら手に持った袋の持ち手部分を弄っており。しかし声を掛けられるとはっとした後、一体何を言っているのやらとそちらに視線を向けて。目に映った塗料の色に首を傾げると「……似てますかね……って、そんな色どこに使うんですか!?」と、その缶を手に取るのを見てぎょっとしつつ相手の後に続いて歩き出し)
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