イドの男 2015-10-28 13:04:46 |
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……足跡?…誰か来ているのかしら?貴方達は此処に居なさい。私が中を見て来ます。私が呼んでから中へ来てちょうだい?(助手が運転する車で遺跡へ到着して下りてみれば足跡を発見し訝しむ研究員達に指示を出し遺跡の中へ。この遺跡の名を聞いた時の胸のざわめき、今その遺跡を前にしたこの懐かしさ、これは一体何なの?「私はこの場所を知ってる…?」と思わず呟き中へと進むに連れてそれは確信に変わり)
……!…っ………メ..ル?
(次の瞬間、一人の男性の後ろ姿が視界に入って来て息を詰め初めて会う筈なのにその姿は自分が前世で唯一愛した人で見間違える筈もなくけれど相手も前世の記憶を持っているとは限らない不安と今世でも逢えた嬉しさが混じった震える声で蒼い目に涙を溜めながら相手の名を呼び)
……?、…!エリーザベト…?
(目を開けた瞬間、背後から名前を呼ばれれば長い髪を風に靡かせ乍振り向けばそこには前世で愛していた愛しい人の姿。驚いたように目を見開けば本人かと確認するかのようにそっとその名を呼べば己の名前を呼んだ事から彼女も自身と同じ様に前世の記憶を持っていると思ってもいいだろう、そう思考してはどういう顔をして彼女に向き合えばいいのか分からず困惑した様に視線を落としては白く青白い自分の手をそっと握り締めては一歩歩き遺跡から離れ)
ごめんなさい。…でも嬉しい。ありがとう。メル…実はね?縁談の話がまた来ているの…もちろん直ぐに断ったわ…私には貴方だけだもの(大切な人へ秘密にするなんて辛い思いをさせてと謝り、けれど自分以外要らないと言われればその言葉に素直に嬉しいと微笑みながら伝え。相手の言葉で涙は止まりお礼を言って相手の背中に腕を回し抱きしめ返し最近の出来事を話し最後の言葉は相手の顔を見て微笑みながら告げ)
縁談、僕の所にも来たよ。僕ももちろんすぐに断ったけれど、ムッティが困っていたから…本当はムッティにエリーザベトを紹介出来たら一番なんだけどね(縁談、その文字に双眸を細めれば己の所へも来たことを告げ彼女と同じように断った事を言いながらも唯一の母親の困った顔を思い出しては一度目を伏せ。開けながら彼女を母親に、皆に紹介できる日は来るのだろうかと遠い未来を期待しつつ微笑む彼女の頬へ手を這わせ彼女さえ隣にいてくれれば、それで、と己は彼女の為なら全てを捨てる覚悟も。)
…!…やっぱりメルなのね?(相手から自分の名が出たことで彼もまた自分と同じく前世の記憶を持っていることが確定し、同じ世界でもう一度逢えるだなんて思ってもいなくてでも彼を忘れる事も出来なくてずっと一人で全てを抱えて生きて来た反動なのか蒼い瞳からは涙が溢れ出し頬を伝って地面に落ち動くことも出来ずに言葉だけを噛みしめる様に呟き)
……僕だよ、エリーザベト…。君も、前世の、あの眩い時代のことを覚えているのかい?(涙を流す彼女を見つめれば足音を立てながらゆっくりと近づいて行く、彼女もまた己のあの思い出を覚えていると知れば喜びも溢れ出てくるが前世の呪いなのか分からないが表情に変化はなく確認をするかのように問いかけ。今の己は神父で前世では復讐劇をしていたが、今ではそんな事をしようとも思わない。彼女の頬へ手を伸ばせばゆっくりと撫でて)
私、メルのお母様に逢いたいわ…けれど私達の関係がお兄様に見つかってしまえばメルのお母様がどうなるか…お兄様は何をなさるかわからないもの。どうしてお兄様にはわからないのかしら?愛し合うことが何よりも尊いものだと…(相手の言葉に自分も出来れば逢いたいことを伝える一方自分の兄がどれ程残酷な人なのかも知っている為ジレンマを抱え、自分の胸に手を宛て目を閉じて愛を実感し)
ムッティなら、きっと僕らの事を応援してくれるはず…。エリーザベトのお兄さんは怖い人、なのかい?ムッティは強いから、お兄さんにどうかされる事はないと思うけど安心は出来ないね…(双眸を細め彼女の頭を優しく撫でては首を傾げる。彼女がこんなふうに言うのだ、きっと怖い人なのだろうと思えばこの関係がもしバレてしまって己の母に何かあるとはないと思いたいが分からないため眉を潜め)
ええ、もちろん覚えているわ。忘れられるわけがないでしょう?あの最期の時、貴方が抱きしめ返してくれた温もりさえも私は未だに覚えているわ…もう逢えないと思ってた(相手の手に手を重ね、逢えて嬉しい気持ちは伝わって来るのに表情が変わらない相手に最期に逢った時のことを思い出しもしかして…と相手を見つめればそれ以外に考えられなくて…これが復讐劇の代償だとでも言うの?それでもメルには心があるわ?私にはメルの感情がわかるもの…それだけで十分よ?生きて逢えたのだから。と涙を流しながら相手に抱きつき)
エリーザベト…僕も君に逢えないと思っていた、けど、こうして君にもう一度逢えた。君に、酷い選択を与えてしまったと思っている。僕がしんで、君が残って…(前世で彼女と自身はお互いを好きあっていた、だが運命はふたりを悲しいほどに遠さけてしまった。抱き締め乍そっと彼女の額に口付けを落としながら眉を下げてはもう二度と逢えないと思っていた、けれど僕は君に会うために遺跡巡りをしていたのかもしれないね。と愛しさの混じる眼差しで見つめ)
メルのお母様は素敵な人ね?……お兄様は、国王陛下と親密になって色々と任される様になったの…そして遂には国の実権さえも握ったの…全てお兄様の策略よ?それからは気に入らない相手から爵位も財産も家族も奪って切り捨てるのよ…そして何もかも奪われた者は命を断ち…何事もなかったかのようにその一族の存在した痕跡を闇に葬るの…誰も異議を唱えることは出来なかった…自分の家族を守る為に。お兄様はそんな人…(相手の話を聞き羨ましそうに目を細め、兄の残酷さの全てを語り、話す最中に時折辛そうに睫毛を揺らしまるで武勇伝の様に嬉々として話す兄の姿を思い出し震える身体を自分で抱きしめて途切れ途切れゆっくり話し)
とっても、素敵な人だよムッティは。……お兄さんは、恐ろしい人だね。それなら、尚更隠し通さないとムッティだけじゃないエリーザベトや僕にまできっとその被害は来るだろう(そっと抱き締め頭を撫でてやりながら相手の兄を想像し恐ろしい人と印象づけこの関係がバレてしまえば狙われてしまうのは確実だろうと双眸を細め)
いいえ、私は後悔なんてしていないわ?…確かに貴方が死んだと聞かせられた時は悲しかったけれど…どんな形であれ貴方は私との約束を守ってくれたじゃない…それだけで充分よ?自分を責めないで?(後悔を口にする相手に首をゆっくりと横に振り慈愛に満ちた眼差しで相手を見つめ自分の思いを口にし相手の眼差しに神は私達を見捨てはしなかったのね?と自分の眼差しを絡め微笑み)
エリーザベト…、…ありがとう。あの時は、君との約束を忘れて復讐をする為に君の元へ行った。でも君の方こそ、僕との約束を覚えてくれていたんだね。もう復讐なんてしないから、…僕は今神父なんだ、昔とは違うだろう?(微笑む彼女に双眸を細め口元を緩めて微笑みとは呼べないが小さく笑えば胸元にかけている十字架を手に取れば意外だろうと首を傾げ、前世では考えられない職業に自分も何故なったのが分からない。前世への懺悔なのかもしれない。そんなふうに受け入れて)
メルのお母様にお逢いしたかったわ…叶いそうもないけれど…いざとなれば私が貴方を守ります!…(パキッ)!(目を伏せたかと思えば真っ直ぐに相手を見上げ決意を固めて宣言し、しかし次の瞬間木の枝を踏んだ様な音が聴こえ身を硬くすると草木を掻き分けて姿を現したのは使用人の1人兼兄の側近で「…どうして?」と口にするのがやっとの自分に対し「殿下」と後を振り返ると一歩後へ下がり「エリーザベト、これはどういう事だ?」と目の前に出て来て問う兄の姿に言葉を失い黙り込むと「縁談をことごとく断るお前が気になって泳がせていれば案の定といった処か…下等な人間に誑かされおって」と血走った目を見開き怒り狂い今にもメルを斬り殺しかねない兄の姿に決死の覚悟でメルを背に両手を広げて兄と対峙し「お兄様、私はメルを愛しています!この気持ちを偽ることは出来ません!私がメルを守ります!」と震える身体でけれど目は真っ直ぐに兄を見据え凛とした声で言葉を紡ぎ)
エリーザベト…っ!逃げよう!(彼女の言葉を聞いては目を見開き、そして予想もしない人物の登場に更に驚けば己を背に兄へ今の気持ちを告白する彼女の手を取るなりいきなり走り出し、あのままあそこへいれば恐らく己も彼女も危ない目に合うことになる、そう直感で察した判断である。足が木の枝に取られ転けそうになるものの持ちこたえ、彼女を庇いながら必死に走り)
もちろんよ?私が愛したのは生涯唯一人、貴方だけですもの。…そうね、復讐は何も生みはしないもの。きっと神の導きね?もう一度やり直す機会を与えて下さったのよ(相手の問い掛けに頷き真っ直ぐな想いで答え、相手の宣言にも見える言葉に遠い昔に思いを馳せ呟き神父になったと言う相手とその胸に光る十字架を交互に見て神に祈りを捧げる様に胸の前で手を組みそっと言葉を紡ぎ)
神の導き…、僕らは背け続けたのに、導きを…(彼女の手に己の手を重ねながら前世の自身を思い出しこんな僕でもいいのだろうかと内心呟き。彼女に逢えたことも神の導きなのかもしれないなんて思考してみればその可能性は無くもなく)
!…メル?…逃げるって何処へ…このままじゃ、メルのお母様が(突如手を取られ逃げようと走り出す相手に声を掛け後ろを振り返り「逃がすな!追え!あの馬鹿娘を連れ戻しあの下等な人間とその家族を殺すのだ!」と使用人達に叫び命じる兄の姿と追って来る使用人達を見て、相手に視線を戻し問い掛け)
大丈夫…っ!ムッティは強いから、大丈夫、!(問い掛けられた言葉に眉を潜めるも後ろは振り返らず走り続け気配でまだ追手たちが来ていることは容易く予想でき「例え、それに、ムッティをころさせはしないから!」と後ろの彼女へ聞こえるように宣言し木々を走り抜け)
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