生意気生徒 2015-10-23 19:14:03 |
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っそんな事するわけ無いだろ!!な、何を考えてんだお前は…っ、
(湿布が嫌なら何か目立たないような処置を考えやはり一度離れんとしていたのだが、腕に掛けた手を引かれると何一つ身構えていなかったばかりにされるがまま相手の方へ倒れ込んでしまい。いい加減にふざけるのはやめろと文句の一言でも言ってやろうと口を開き掛けるが、予想よりも間近に囁かれた言葉は自身の考えの遥かに上を行くもので。こう言った事に手慣れているのだろう、吹き込まれる声は心地良いが今はそれどころでなく、素早く片耳を押さえて限られた行動範囲の中精一杯身を引くと所構わず声を荒げてしまい。要望に応えてやったところで決して治療とは言えない。顔が熱いのも怒りの所為だと自らに言い聞かせながら顔を俯かせ)
....何考えてんのか、自分でもよく分かんないんだよね。でも先生見てると構いたくなっちゃって。
( 最近頻繁に、というかほぼ此方から仕掛けて強制的に会話を交わしているが普段はあまり感情を表に出さない静かな喋り方の相手がここまで大きな声を出した姿を見たのは初めてに近く流石に少し驚いたのか細い目を見開かせて。そういえばまだ自分でもどうしてここまで相手に執着しているかなんてあまり考えた事が無く明確な答えが出ていないため投げかけられた問いに対しての返答が少し出遅れてしまい。ただ相手が耳を押さえながら俯く姿を見るとやはり何かちょっかいをかけたくなってしまって此方も困ったように頬を掻き"可愛いなあ、"なんて消え入りそうな声で呟いて )
なら一生こっち見んな。
(見てると構いたくなるなんてまるでペットか何かのようだとは思うが、口に出すにはあまりに癪に障る。どうせからかっているだけのくせに、考えるも何も無い。依然として俯いたまま、声量と言い声の調子と言い、絶妙に恨めしげな声色で無茶のある要求を口にし。こんな近距離に、それも静寂の中に居るのだからどんなに小さな声であろうとも耳元へ響いてきてしまう。何処か困窮しているような声が呟いたのは異性への褒め言葉であり、屈辱的であるはずなのに正常ならば湧くはずの苛立ちの片鱗すら見付けられない。寧ろ火照る頬が余計に熱くなり、我ながら熱でもあるのかと疑って。保険医が風邪を引くなんて、こんな情けない姿は見せられない。正義感と意地とが混ざり合い一刻も早くこの状況から脱したく、相手の肩を押し遣りながら言葉を掛け)
…一旦離れろ。湿布貼ってやる。赤くなってんだろ。
( 相手から放たれる言葉は毎回棘があって冷たい雰囲気を醸し出しているものの個人的にはただの照れ隠しだと勝手に捉えていて。一生見るななんて出来る訳が無いしきっとそんな事ぐらい相手だって承知の上で言っているのだろう、それでも子供みたいな返しをしてくる相手が余計に可愛らしくて口角吊り上げ。頬が若干赤く染まっている事に気付くと、ついさっきまで目の前の人物に対しての感情が何なのかハッキリ分からずにいたが、火照って赤くなっている相手を見た瞬間に何となく確信のようなものが芽生えるのを感じ。それと同時に自分の事を完璧に拒絶している訳ではないのだと分かり嬉しさが込み上げると何としてでも離れようと肩を押してくる行為も他所に勢いよく抱き締め )
何か離れたくなくなったから、いい。湿布とかそんなの、どうでもいい。
はぁ?ちょ、っ…馬鹿、離せって…!!
(此方が肩を押すよりも力強く体に回る腕は全くもって予想外で、咄嗟に何の抵抗も叶わず気付けば相手の思うままであり。恋愛経験の乏しさは当然こう言った些細な事にも影響するわけで、どうすれば良いのか分からずに両手は宙を彷徨って。仮にも此処は公共の場、いつ誰がやって来るか分からない。鼓動が普段に増して明らかに心拍数を上げているのはそんな緊張感からなのだろう、無理矢理引き剥がす事もできずに相手の背を弱く叩きながらその律動の音が聞こえてきそうなまでの鼓動に困惑してしまい)
言っとくけど、俺誰にでもこんなんじゃないからね?
( 弱々しい背中への抵抗など気にする筈も無くまるで縋るように肩口に顔を埋めて。女子生徒からそこそこ注目を浴びている事も相手はどうやら知っているようだし、それでいていつもこんな軽い調子でしつこく絡んでいる訳だからきっと相手も自分に対して抱いているであろう軽くてチャラいヤツだというイメージを払拭するかのように少し真剣な声色で呟き。もう少しこのままでいたかったが残念な事に授業の終わりを告げるチャイムが響き、微かに廊下から足音が聞こえ始めるとまたいつものように緩く微笑んで相手から体を離してはあっさり扉へと向かいひらひら手を振って )
また放課後来るから、待っててね?なーんて。
(肩へ寄り掛かる相手の香りを仄かに感じる。思考が鈍っているのか強く拒む事はできず、その上真剣味を帯びた声に動悸がまた速まってまるで制御できない。対処しようの無い現実に直面した際の本能的なものなのか現実逃避宜しく歳か、なんて考えていて。視線は泳がない代わりに何処か一点を見詰める瞳が揺れていて普段よりも大きな動揺を表しており、刹那時が止まったように動きを静止し。相手の言葉の意味なんて分からないし理解しようとも思わない。交遊関係の広い相手の事だから、もしかしたら自分の反応を楽しんで数人の生徒とからかっている可能性もある。寧ろそちらの方がよっぽど現実味があり。それでも拒めないのだから我ながらどうかしている、静寂を破るチャイムに漸く意識を現実へ引き戻された頃には一足速く相手が離れていた。ソファに取り残されたまま相手に視線を向けるとその場凌ぎのように普段と変わらぬ言葉を返し)
…待たねぇよ。
( 相手を抱き締めた温もりがまだ残ったまま教室へと向かい。席に座ると自然と自分の周りには人が集まり何かと色んな話題を投げかけてくるも今の自分にはそんな事すら聞く余裕が無く半ば上の空で適当に返事をして。次の授業も特に熱心に受ける訳でも無く時間が過ぎ。ただ何となく過ごしているだけでもあっという間に時は流れ、漸く平凡な一日が今日も終わり数時間前に会ったばかりだというのに少し急ぐようにして再び保健室に向かって。いざ扉を開けて中に入ろうとした瞬間後ろから声を掛けられた。相手は隣のクラスの女子生徒数人で、甲高くて少し媚びたような声で遊びに行かないかと半ば強引に腕を引かれ連れて行かれそうになるも体調が良くないからなどと彼女達の気に触らない程度に軽く誤魔化し。残念そうに去っていく背中に手を振りながら小さく溜息を吐き。扉は開けたもののまだ相手が中にいるか確認はしていなかった為ハッとして室内に視線をやると探していた姿を見つけ安堵の笑み浮かべ )
待たないとか言って、居るじゃん。
(相手が去り早数時間、穏やかに流れる時間は普段のように有効活用できずに悶々としながら堆積した資料を見詰めていて。事務作業は毎日早めに済ませるのだが、どうしてしまったのか一向に進まず早々に諦めるなり机に突っ伏してしまって。倦怠感とも言えない無気力の原因は考えたところで分からず、ただ体の衰えばかりが脳裏を過る。それ以上に思考を占めるのは先程の相手の言葉であるが、それを考え始めると居ても立ってもいられない気になってしまい紛らすように無意味な救急箱の整頓を始め。元より中身は常に使いやすいよう最良の配置にしてある。にも関わらず道具を取り出しては同じ場所に戻すと言う同じ動作の繰り返しを延々行っていて。最早そんな自分の行動が可笑しいとすら気付かないのか、直ぐに目元は意思を失いぼんやりと手先を見詰め。だが時間は経過するもので、放課後なんて直ぐに訪れてしまう。保健室の外から女子生徒の甲高い声が聞こえ、やはり相手の声も聞こえてくる。たまには付き合ってやれば良いものを、また余計な罪悪感が募っていくのを感じ。冷静に考える一方で挙動はいまいち不審であり、精一杯平静を装おうとした結果慌てて閉めた救急箱を心許ない手付きで棚へ戻そうとした時相手が扉を開き。分かっていたはずなのにいざ目の前にするとたじろいでしまい、普段通りの相手からの言葉に同様に返してやろうと口を開き目線は救急箱の方へ落として)
…待ってない。仕事を終わらせないと帰れないだけだ。
もし俺に会いたくなかったら職員室とかでも仕事出来たんじゃないの?
( 一応念の為室内に二人しか居ない事を確認すると静かに扉を閉めて今度はソファーではなくベッドに歩み寄ると勢いよく腰掛け。相手は待っていないというが、もし本当に顔を合わせるのが嫌だとか相手をするのが面倒だと思っていたなら、自分は放課後に来ると堂々と告知していた訳だし逃避する余裕はあった筈だと考え。それをせずに此処に残ってくれている事が何だか嬉しくて調子に乗ってしまいそいになるもそんな事をすればまた相手は怒ってしまうだろうとなるべく落ち着いたトーンで返し。相手が視界に入るように腰掛けていたベッドにそのまま横になると救急箱をしまう姿を目で追いながら「やっぱ先生って綺麗な顔してるよね」とやはり相手が大声を出してしまいそうな言葉がつい口から出てしまいまずいとでも言うように口元を手で押さえ )
…何処で仕事しようが俺の勝手だろ。
(鋭い指摘に返す言葉が見付からず。暫しの沈黙の後に苦し紛れな抵抗を試みるが劣性以外の何物でも無い事は理解しており、普段通りに接する事ができていないのを感じながら救急箱を手にした両手を掲げて。丁度目線の高さ程にある棚へと救急箱を仕舞おうとした時不意に聞こえてきた言葉は今の自分には動揺を誘うのにこの上無いものであり、思わず動きを止めてしまったのと同時に鼓動が一度大きく跳ねて。唐突に息が詰まるような感覚に襲われると不慣れなあまり瞬時に短く息を吸い込み、指先から力が抜けた所為で重みのある救急箱は大きな音と共に床に落下し中身を派手に散乱させ。咄嗟に意識はそちらへ移ると慌ててしゃがみ込み散乱した中身を広い始めるが、相手の軽口に返す言葉が浮かんで来ない。こんな時どんな風に返していたのか思い出せなくなってしまって、体の異変と言い一体自分の身に何が起こっているのかと不安さえ感じながらも結局掛ける言葉は見付からずにおり)
えっ、ちょ....大丈夫?怪我してない?
( 口元を押さえてみたものの言葉を放った後にそんな事をしたところでもうとっくに手遅れで既に相手の耳元に届いてしまっていて。ふざけるのもいい加減に、なんてまた言われてしまうだろうか。そう思っていた矢先にびくりと一瞬身体が震えるくらいの大きな音と共に相手がしゃがみ込んだのが見えると反射的に慌てて起き上がり相手の元へ駆け寄っては散乱したものを拾っている手を思いきり掴み心配そうに眉を顰めながら問いかけ。「っていうか俺の所為だよね、まじごめん」自分が余計な言葉さえかけなければこんな事にはならなかったのではないかと後悔の念が押し寄せ、それまで心配そうに歪んでいた表情はすぐに申し訳なさそうなものに変わって反省したのか下を向き )
…手が滑っただけだ。何でお前の所為なんだよ。
(無心に努め散らばった小物を拾い集めていた最中、音に反応したのだろう相手が予想以上の焦りようで此方へ向かってきて手を掴まれると目を見開いて顔を上げ、あまりの勢いに僅かに仰け反り。ただ落としただけで怪我なんかしないだとか返す言葉はあるはずなのに、掴まれた手から徐々に熱が身体中を侵食していくような錯覚に陥り言葉を失って。しかし相手の声色は次第に落胆したような物へと変わっていき、何故だか分からないが救急箱を落とした原因が自分にあると考えているらしく。確かにタイミングこそ一致したものの単に体の異変に動揺しただけであって、指一本触れない相手に非があるとはどんな思考回路を巡っても考えが及ばず。思案する己とは対照的に相手はどんどん自分を責めてしまっている。俯いた姿が普段とはあまりに掛け離れていて不憫に思わざるを得ず、掴まれた手から意識が逸れた代わりにそっとそちらへ手を伸ばすと柔らかくパーマのかかった髪へ指先を絡ませるように撫でてやり。それがどんなにか自分らしくないか、こんな風に他人に触れた感覚がどんなに久しいものであるか、今は考えている余裕が無く。余計な心配を煽るのは憚られほんの少し脚色を交えながら静かな声で呟き)
...確かに俺の所為じゃないか、ちょっと自惚れ過ぎたかも。
( こういう時ぐらいいつもの調子で怒ってくれればいいのに、むしろ初めて聞いたと言ってもいいほど相手の声色に優しさが含まれており、やはりこういう時に大人の余裕というものを思い知らされる気がして泣き出したいぐらい胸が苦しくなり。てっきり自分が言った言葉に動揺してこういう事態になったのだと思い込んでいたが、それは相手が自分を意識していたらの話であってどう考えてもそんな事は普段の相手からして有り得ないだろうと今更になって思えば何だか急に恥ずかしくなり珍しく黙り込んで。変に構い倒しているのは自分の方であくまで一方的なものだと言い聞かせるも相手の指が髪に絡む感覚が心地良くて目を細めれば「そういう事すると俺調子乗っちゃうけど。」とまたいつものペースを取り戻そうと相手の目を見て口元緩め )
…拾うの手伝え。
(寧ろ相手の所為ではないのだからそれで良かったのではと思うのだが、どうやら相手からしてみればそうではないらしく。どの辺りが繋がって自惚れと言う結論に至ったのかは見当も付かず、微かに眉を寄せたのも束の間、うっかり相手の頭を撫でていた手に気付けば気まずそうに視線を逸らしながら慌てて手を引っ込め。此方が一方的に醸している何とも言えない雰囲気を払拭するため、散乱した物を拾う作業を再開しようと未だ掴まれたままの手をそれとなく離させるべく引き寄せながら視線は床へ落とし短い呟きを溢して)
...はーい。
( 折角相手から触れてくれたもののそう長く続く訳も無く髪から手が離れると少し名残惜しそうにその手を見つめ。誤魔化しの様にもとれる相手の言葉に素直に頷いて拾うのを手伝ってはいるものの何だか此方も妙な空気感を感じ取ったのか普段の適当な言い回しでさえ紡ぐのを止めて作業に徹し。それでも気になるのかチラチラ相手の様子を伺うもやはり相手の表情から読み取る事はなかなか難しく小さく息をついて。「でも本当、足とかに当たらなくて良かった。今頃歩けなかったかもよ」何とかこの場を少しでも明るくしようと大袈裟とも言える冗談零せば順調に箱の中に落ちたものをしまっていき )
大袈裟だ。それくらいの危機管理はできる。
(救急箱自体それなりの重量はあるが、幾ら足に当たったとしても流石に歩けなくはならないだろうと相手の気も知らずに淡々と返し。しかし未だぎこちなさは健在であり、早々に中身を全て拾い終えると一度机の上に置き丁寧に整頓し始め。何とも言えない沈黙を保ったまま静寂が息苦しくなった頃、何だかんだと先程は湿布を貼ってやらなかった事を不意に思い出し。相変わらず視線は救急箱へ向けたままぽつり、と呟くように問い掛けて)
…治ったのか、さっきの。
え?あぁ、うん多分治ったかな。
( 相手がただ淡々と整理している様子を特に何を思う訳でもなく眺めていれば急に問いかけられ間抜けた声で反応し。そういえば相手に額を弾かれて大分痛がっていた事を思い出すも流石に時間が経っている為もう触れても痛みは感じなくて。それよりも気になっているのは放課後になって自分が此処に来てから、相手が一度も自分の目を見てくれないという事で。何だか寂しいような悔しいような、物足りない感覚を覚えるとやっぱり自分に興味を示して欲しいのか少し困らせてやりたくなり未だ整理を続けている相手の腕を掴んでは自分の方に引き寄せ相手が先程放った言葉を見事に利用して問い )
....じゃあこういう危機管理は出来る?
そうか、なら良かっ…、
(痛みが無いなら大事にはなっていないのだろう。先程一瞬目にした額にも変色したような後は見られず、つい気の抜けたような声で呟き。しかしその言葉は最後まで紡がれる事は無く、不意に掴まれた腕にまだ意識が向かないまま引き寄せられると否が応でもそちらを向かざるを得ず。驚いたように目を白黒させながら相手を瞳に映したとき、問い掛けられた言葉にまたも不規則な動悸に襲われ、こうして視線を絡ませているのが居たたまれなくなると堪らず目を伏せてしまい。行き場の無い視線を左右に泳がせながらこの鼓動の速まりが伝わってしまわないよう細心の注意を払い口を開くもやっと口にしたのは問いの答えではなく、言葉に反し掴まれたままの手を離させることはできずにいて)
…なんだよ急に。…離せ、
離さない。ね、何で俺の目見ないの。
( 流石にここまですれば、そう思ったのも束の間相手と視線がぶつかったのは数えるまでもない程一瞬で、またすぐにそれは何処か別の方向へ彷徨っていて。もしこれが自分の事を良い意味で意識してくれているという意味であるなら問題は無いし逆に嬉しいと思える行動なのだが、何せ相手が相手なだけにそこまで読み取るのは不可能に近く、またこれを言葉にして問いかけてみた所で真実を答えてくれるとは到底思えず、どちらにしても相手が今何を考えているのか自分には理解が出来なくて。核心をつくより先に単純に視線が交わらない理由を尋ねる所から始める事にして )
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