Russian Blue 2015-08-18 22:00:45 |
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…っ、別に媚びて無いんだけど。寧ろセっちゃんが上書きしてくれて助かったよねぇー、あ り が と 。…なぁんかムカつく。セっちゃんムカつくー、
( 何処かそわそわとした様子の定員を前に注文時こそ人懐っこい笑みを浮かべてはいたものの注文終わればそれどころでは無いのか、彼女の気配が薄れた所でふと不機嫌満載なオーラを放ち。大体相手は何なのか、多少相手の嫉妬を煽ってしまうような行動は取っていたのかもしれない、それでも結果的には良い環境を得られた。相手にとって負荷は与えて居ないつもりになっていた己も己で有るがそんなに不満心を押し殺せるような容量は生憎持ち合わせておらず、ぐりぐりと足先で攻撃してみれば思わず子供じみた反論に棘を持たせストレートにムカつく等と言葉を零し。恐らくこの不服感情は相手の理解度だけでは無いのだろう、先程の定員に対する態度.ましてや此方よりも上手をいった等言われてしまえば全く無縁と思っていた何かしらの感情が悶々と湧き上がっているのも承知しており。またそんな感情を抑えられない自分自身にも何だかモンモンとしてしまえばまたブツブツと言葉を投げていた所、漸く注文していた料理が到着し。特に写真を撮るわけでも無く添えられたスプーンとフォークを握ってはまだ治らない苛立ちをそのまま言葉にし、後に挨拶言葉を口にしては先にと料理を口に運び、)
__もう良いし堂々と食べちゃうからね。セっちゃんはその飾り気無い女の子ーしたご飯でも食べてて。…頂きます、
はいはい、くまくんこそそんなの食べておデブになったりしないでよ?じゃ、いただきまぁす。
(相手の怒った顔や自分に対しての不満顔は苦手だったはずなのだが、それが嫉妬という好意の裏付けであると認識した途端そんな相手の表情が妙に嬉しくなってしまい、幼い子のようなテーブル下の反撃もまた可愛げのある行動に思えてきて。苛立ちの中食事を始める相手をどこか満足そうな目で見つめた後自分も食事に手を付け始めれば食べる仕草すら静かに美しく、まるで心がけながら食しているような模範的な作法のまま食べ進めれば、腹八分目ということなのだろうか少量残した状態でフォークを置き。僅かに唇に付着したソースをナプキンで拭ってから一息つき不機嫌さを未だ醸し出す相手に視線を移すと両手で頬杖を突きながらあまりに対照的な緩んだ表情を向けて。嫉妬してもらえているということが強く相手の好意を認識させてくれる、今まで遊木に対して一方通行なアプローチだった分間接的にでもその想いを感じられることがこんな状況だというのに嬉しくて、嬉々とした想いに仄かに頬を染めながら不服の顔を眺めればちらりと周りにどこか意味深な視線を流して。)
くまくんさぁ、さっきの女に嫉妬してるでしょお。俺もくまくんの時したから分かるよぉ?…ゆうくんは俺が他の子に目掛けてもなぁんにも反応してくれなかったから、そういうあからさまなの新鮮。くまくんは俺に無関心じゃないって、ちゃんと執着してくれてるって分かって……――なんか、癖になっちゃいそう。
…癖になるとか本当、悪趣味。そんな試す様な事しなくたって俺は"ゆうくん"じゃないし、怒るに決まってんじゃん。__でも、そうやって自分の欲とか曝け出しちゃう所とかも好きだなーって思うんだよ?…それがまたムカつくよね。
( 流石は芸能界で揉まれた経験の有る相手、礼儀作法はほぼほぼ完璧と言った風に小綺麗に食事を取る様子とは一転、未だ不機嫌さ放ったまま黙々と口の中へと頬張り気味に食事を運ぶ二人の光景を見ればこれまた可笑しくも見えてしまうもので。相手から少し遅れ完食とした所、既に食事を終えて居たのだろう相手は未だ気分が良いのか.それこそ滅多に見せる事の無い緩んだままの表情で此方へと話しかけて来れば嫌でも気になってしまうものであり。そんな気になる内容はごく簡単、あまり声を大にして言えない内容では有るも彼の素直な一言一言で。此処まで素直な感情を見せてくれることがそう多くなかった為か、不思議と苛立っていた矛先が散乱して行けばそれと引き換えにじわじわと歓喜の感情も湧いてくる様で。小さなため息がもう己自身が根にも持っていない事を象徴するものであっても、それでも相手に乗せられている感覚は気に入らないものなのか、もはや嫌がらせでも何でも無い.駄々言葉を口にすれば態とらしく机へと伏せてみて、)
あーあー…、なぁんかまだ苛々するなぁ。食後のデザートでも有れば俺の気も変わると思うんだけどなぁ。セっちゃんどケチだからなぁ、残念無念此処でふて寝しちゃうかもー、
はいはい分かったってば、一個だけね。あんなカロリー高そうなパスタ食べたんだから、デザートくらいちょっとは自重しなよぉ?
(想いを伝え合ったばかりの時こそ相手の想いがどれだけのものなのか、愛され慣れていないが故の"愛されている"という自信の欠如が生み出した不安感に悩まされていたものの、緩やかに自信を持ち始めたがために得た安定から相手の不機嫌も憎まれ口も心を揺るがすものにはならなくなってきていて。だからこそ出来るようになったまるで相手を試す様なこちらの行為に向けられた言葉に満足げに目じりを下げると声こそ仕方なしとばかりに繕いつつも満ち足りた想いが吐息にちらついたような普段より幾分か明るい声色で返しながらメニューをデザートの面を表にして差し出し。本音を言ってしまえばこの安らいだ感覚に任せて相手に好きなだけ好きなものを食べさせてしまいたい、などという堕落した考えも一瞬はちらついたがどうしたってそこでプロとしてのスタンスを捨てられないのが己、一応お詫びの体のはずなのだがそれでもあくまでアイドルとしてカロリーは気にするようにと口煩い言葉を挟みながらメニューの中でカロリーが比較的低いであろうフルーツ系のタルトやシャーベットなどをそっと指さして。)
やーりぃ、。割と甘いトコあるよね__んー、でも選択は相変わらず。けど良ーや、そこらへんも美味しそうだし。よし決まりー、
( 相手が妥協する事は目に見えていたのだろう、些か明るい声色に乗せて許しが出ればまるで先程の不機嫌さが吹き飛んだ様に笑みを浮かべながら顔を上げ。思えば不安がりな彼の事、己が見せた攻撃感情は苦では無かったのだろうか、つい今朝方見せた彼の言動からそんな不安が今更ながら沸き起こるもこの調子.もう彼なりに安心が得られたのならとこれ以上細作も無と感じれば口元緩ませ。それはそう、相手の指差すメニュー欄に目を通せば何を思ったのか.素直に妥協言葉を口にすれば桃色に近い柔らかな色の苺のシャーベットを選択し。_同時に定員を呼び注文を終えた所、時間も時間のせいか突如己の端末から音が漏れれば嫌な感と共にもぞもぞと遅い動きでそれを取り出し。着信主は思っていた通り兄の名前、この場で不快な態度を取ってもどうかと思ったのか、気付けば上手い言い訳と共に目の前の彼の手へとその端末を渡しており。)
_う。わぁ…兄者。…ねぇ、今俺がココで出たら絶対険悪満載になると思うんだよね。しかも今日セっちゃん、俺の家泊まるんでしょ?許可とっときなよ、ほら。お願いー、
はぁ?俺あの人あんまり好きじゃないんだけど…ていうか高校生にもなってそれとか、ちょっとブラコン過ぎて引くわぁ。
(一先ずデザートのお蔭か変に拗ねられるような事態は脱したらしい、注文を取った店員が戻っていく姿を視認しながらやれやれとばかりに溜息をついていれば目の前から小さな音漏れが聞こえて。飲食店なのだからと咎めようと口を開きかけたところで相手から渡された端末、それに表示された名前に相手程嫌ってはいないにしろあの独特な気性を思い出して思わず眉を寄せれば相手の逃げる様な要求に不満の声を漏らして。どの口が言うか、と突っ込まれそうな発言はさて置いて、確かに相手の家に泊まる以上相手の両親かそれに匹敵する保護責任者に了承を得なければいけないのは事実で、暫しなり続ける端末を見つめた後意を決したように通話のボタンを押すと端末を耳元に当てて。何だかハートマークが端末を介して飛んできているような錯覚さえ起こしそうになる電話相手の声に深く息をつくと、一応相手の兄だからという意識が働いたのか表情とは裏腹に声ばかり取り繕った言葉で返事を返して。)
――お電話変わりました、Knightsの瀬名泉です。凛月くんは今から其方に送り届ける予定なのですが、ユニットメンバー同士の友好を深めたいということで僕も凛月くんのお宅に宿泊させて頂けないかと思っておりまして。ご了承頂けますか、零さん?
だよねぇ、本当ありえな__、に、それズルいんだけど…。__。ん、?…あー…、そこ置いといて。ありがと、
( 如何やら己の作戦が通用したのか、未だ鳴り響く着信音と共に相手の妥協した様な承諾言葉が得られれば心端に安堵の心情が灯り。_とそんな悠々と注文待ちをしていようとも束の間.此方の愚痴紛いな言葉を遮る様に聞こえてきたのは己の認識に無い相手の口調言葉であり。多少の身構えが無かった訳でも無い、それでも何時もの彼とは思えない程の堅苦しげな様子に如何しても心揺らぐ己が居て。加えて身内と言う事も合ってか.そんな彼の様子が籍入れ前の両親御挨拶と被る等馬鹿馬鹿しく思える妄想に見舞われれば、何処か惚気た表情でぼうと相手の顔を見つめてしまい。そんな葛藤を繰り返して居た為か、食事持ち隣へと立つ店員の存在に一瞬ばかり反応が遅れれば己らしくもなく何処か素っ気ない返答をしてしまい。_と彼是している内に電話も一区切り付いたのだろうのか、タイミングを見計らえば如何にも自然と言うように会話の切り口を開くも.やはり先程の対応共に恥じらうべき妄想が過って仕舞えばふと視線を落としつつ目の前のシャーベットを備え付けられた食器で軽く突く等悶々とした様子で、)
_どーだった?、てかセっちゃん、クラス違うけどあの人と同じ学年じゃん。何時も通り嫌味ったらしい感じで泊まらせろーって言っといても良かったのに。あんな…ねぇ。
――…はい、携帯返す。同じ学年って言っても一応年上だし、あんな化物わざわざ挑発するような口きくのも馬鹿馬鹿しいでしょお?
(暫し電話口の彼の兄と幾らか言葉を交わした後通話を切ると、その間に運ばれてきたシャーベットに手を伸ばす相手の前に端末を置き返却し。相手が自分と兄との会話で何を感じたかは全く察せないものの、何にせよ自分より確実に格上、年上、おまけに好いた相手の親族ともなればおのずと緊張もしてしまい、気恥ずかしい感情だけはあくまで口に出さず言い訳の様な言葉を返して。「…あ、許可は取れたよぉ。ていうかすごい喜ばれたっていうか…『可愛い弟が友達とお泊り会なんて、お兄ちゃんうれしいのう…』って電話口でちょっと泣かれたんだけど。」ともあれ一先ず宿泊の許可は下りた、というかむしろブラコン気味の相手の兄からは喜ばれてしまったことを伝えた後複雑そうに頬を掻くとさりげなく相手から視線を逸らし。泊めてもらえるという事実は嬉しいのだが、相手の兄ということはもし結婚なんてしたら自分の兄にもなる訳で…などという妄想をしたところで自分の考えの恥ずかしさに気づき、じわりと頬に赤みを帯びながら眉を寄せると胸の前で腕を組んだまま沈黙してしまい。)
うげ…、。仮にも敵ユニットのメンバーだってのにその態度とかありえないんだけど…俺が友達居ない寂しーい子みたいじゃん。…あー…、いやセっちゃんの対応が良かったのかも__。、?
( 些か落ち着かない心情が有るものの許可が得られた事実が知れれば分かっていた事柄とは言え安堵した様に一息つき、それと共に漸く気持ちの整理が付いたのか俯き顔を上げれば目の前へと置かれたシャーベットを一口含み。それはどうあれ実の兄の許可内容、ただでさえ良くは思っていない上歓喜余る等鬱陶しい以外の何者でもないのか、苦味ったらしい表情を浮かべれば愚痴を零し。共に感じたのはまたその態度、自分で称するのもどうかと思うが愛する弟との通話.現在心広くおおらかな人物であれ別人となれば少しばかり良い気もしなかったのではないか、それでいて許可以上に喜びを見せられれば今更ながら相手の交渉術というか態度には感心する点が見受けられ。もごもごと口を動かしつつそんな事柄を思っていればふと、何を思ったのか突如赤面に沈黙とされれば多少ばかり動揺の色が見え。_まさかと思うのは己自身が落ち着かなくなる程の惚気事であるも、相手がそう感じるかは勿論確証なく。これで此方の読み違えとなれば恥も良いところ、だが今の舞い上がった心情内では"そう"としか思えず。 [_頭冷やせば、]丁度一口分、備え付けられたスプーンへとシャーベットを乗せれば釣られ火照り出す頬を隠す様に顔を背けながら其の儘相手の口元へと押し出し、)
ッ別にくまくんのお兄ちゃんだからって照れたりと、か……~っ!
(最近何だか自分の妄想癖というか、変に浮足立ってしまっている部分を思い知らされる場面が増えたような気がして小さく溜息をつけば放置してあったグラスに手を伸ばしもうすっかり氷の解けたお冷を口に含んで。とはいえこんなぬるい水で顔の火照りが収まるはずもなく、そっと自分の頬に片手を当て少しでも目立たないようにと努めていた矢先、相手から差し出された薄桃色のシャーベットが目に入り。冷たそうでいて氷の細かな粒が照明できらきらと控えめに輝くそれと相手を見比べながらその意図を読み取ろうとすればそちらから漏れ出た一言に思わずかっと頬を赤く染めて。まさか相手に思考を読まれていたのか、だとかそんなにあからさまだっただろうか、だとか色々なことが頭を巡りつつ変に考え込んでしまった脳みそが出した結論は一先ずこの場を誤魔化さなければということで、いつもの様なつんとした物言いである以上に重大な墓穴を掘る発言をぽろりと口にしてしまい。言ってしまっては後の祭り、自覚した時には既に遅く耳まで真っ赤に染めながらわなわなと体を震わせると差し出されたシャーベットを奪い取る様に素早く口に含んだ後完全に相手を視界に入れないようそっぽを向いてしまい。)
っ、と。下手なツンデレぇ、って…ありゃ…本当だったんだ…。へぇ、はぁ…、ふぅん…?
( 伸ばした手の先の相手の表情はどうなのか、此方の勝手な思い込みで頭を冷やせなど流石に不味かったかと思えば反らした視線をそっと彼へと戻した所.タイミングを合わせたかの様に言い訳がましい発言が聞こえ。己の兄だから照れた訳ではない.彼らしいつんとした口調から即座に嘘と見抜いてしまえば後の祭り、みるみると顔を赤らめていく相手に釣られ此方まで思わずきょとんとしてしまえば何時も素直に出てくる揶揄い言葉も喉奥で止まってしまい。同時に其の儘ぼやりとした表情で曖昧に言葉を濁しながら相槌を打てば空となったスプーンで己の頭を冷やす様に残りのシャーベットを黙々と口に含み。_暫し一息にかき込んだ後、まだキンとする口元を軽くぱたぱたと服袖で叩けば未だそっぽ向く相手の側へと立ち寄り、敢えてか何か此方も同じ事を考えていた等言うのは流石に恥じらいあってか飲み込むも何処か意図するように帰ろうなど言葉かけては軽い仕草で相手の腕引き立ち上がらせ。)
__ごちそーさまぁ。…ほーらセっちゃん、何時までも恥ずかしがってちゃキリないんだけど。別に恥ずかし事じゃないじゃん、ね。帰ろ?
…くまくんと違って俺は繊細なのぉ。それに子供じゃないんだから一人で立てるってば、腕離して。
(まさか相手も似たようなことを考えているとは勿論知らず、ひとりこんな場所で馬鹿げた妄想をしてしまっていたことを露見させてしまった恥ずかしさに熱い顔を上げられずにいて。そうしているうちに相手はデザートを食べ終わってしまったのだろう、立ち上がる補助とばかりに引かれた腕にそっと顔を上げるとむっすりと唇を尖らせながらそちらを見上げ。勝手に墓穴を掘って勝手に自滅したのは自分だが、それに対していつものように揶揄うでもなくさっさと平常に戻る様にと口にする相手の反応が何だか冷たく感じてしまって、少し拗ねたような物言いで返すと相手に掴まれていた腕を振り払い。さっさと帰りの支度を済ませた後伝票を片手にレジの方へと向かっていくと何となくもやもやした気分の当てつけとばかりに相手に支払わせる隙も与えぬようカードでの支払いを即座に済ませてしまい。自分に払われることにやや負い目を感じているように見受けられる相手にささやかな当てつけをしたことで少しだけ気も晴れたのか小さく息をつくと相手の方を振り返り。)
――…ほら、此処からはくまくん頼りなんだからしっかりしてよねぇ。
あーあー…、なぁんかしてやられた感。…まぁいーけど、頼りって言われても困るよね。俺ココが何処かいまいち分かん無いし、…んー…
( 差し当たり自分ばかりが、と惚気た妄想をしていたのにも関わらずロクな指摘も揶揄いもしなかった己を不満に思ったのだろう、拗ねた口調で此方の行動に非を当てられれば多少の狡さも感じていた為かそっと手を離し。またそれに被せる様か、幾ら他活動をしていない己であれ無一文なわけでは無い上先程多額な服諸々まで払わせてしまった為に流石に今度は此方がと口を開くも、余裕無く会計を済まされてしまえば流石に溜息出ない訳もなく。店を出た後も調子乗らずといった風にもたもたと歩いて居ればそれを察したのかまた偶々か、先程まで不満そうに見えた彼の軽い口調が聞こえれば流石は深く考え込むのを嫌う己.ぱっと表情を変えてみれば反応する様に相手の側へと寄り。_それでも相手に頼られてしまえば悩みの種、正直連れてこられたこの場もよく分からずと言って仕舞えば普段余り使う事の無い端末を取り出してみて 。 [んー…若者の使うモノこれは良く分からん…]日が落ちた事も有ってか、何処かまた己の立てたキャラを際立たせるような口調で手に持つ端末を弄って居れば恐らく自家のナビか何かを探してか首を捻り、)
ああもう鈍臭いなぁ!ほら、調べてあげるから住所言って。
(ここまで此方の行きたい場所を回る形で居たためだろうか、相手にとって見知らぬ場所から自宅までの道のりを調べるのに手間取っている様子を暫し見つめた後堪え切れなくなったとばかりに声を上げて。ただ何の興味もない相手ならば言葉通り"鈍臭い"という面倒事の一つとして見ていたのかもしれないが、遊木や葵ゆうたを含む好ましく思っている者に関しては何だか手の掛かる弟の様な庇護欲も同時に感じる手際の悪さでもあって。恋人として、プライド高い自分が口づけもその先も許してもいいと思える相手も勿論例外ではなく、むしろ普段の設定じみた吸血鬼キャラを引き立てようとしているような台詞すらどこか愛らしさを感じさせるものがあり。一瞬声を荒げこそしたもののすぐに手を貸すように相手の端末を横から抜き取り地図の画面を開くと仕方ないとばかりに薄く笑みながら、ナビの準備をした状態で相手の返事を待ち。)
おとと、調べてくれんの?さっすがセっちゃーん、若盛りぃー。あ、住所は__、
( 幾ら自分を年老いた吸血鬼などと称しても歳はまだまだ若い者であるはず、それでいても良く分からない物は分からないのか未だ明るい画面とにらめっこ状態で居れば痺れを切らしたか隣の彼の手にと渡り。こう思っても今更だが彼のこの頼りになる、というより兄らしい行動は己の中では苦々しい思い出こそ有るもののやはり何処かでは心地良く感じるものがあるのか、彼の意図を察すればその行為に甘える様に画面を一緒して覗き込む為身を寄せ手の先を見つめ。指示された通り住所を述べれば流石は活気的な現代、直様己の家が表示されれば [ほお、…]等と関心したようなこれまた間抜けな相槌言葉を零し。_とまた意外にもギリギリ歩いては行けない程の距離で無い事を知れば改めて己自身が余り外に出向かないのが痛く刺さり。過去に一二度か幼馴染である衣更に連れてこられた…程の記憶ではこの場もそう馴染み無かったのだと無理矢理結論付ければ、画面のさす方角へとそっと指差し、)
_わー、…割と近い。これだと30分、ってなってるけどさ…ここ、このちょっと雑木林っぽい所抜ければ20分位で着くかも。…歩いてく?、
…まあ、わざわざバスだのタクシーだの探す方が面倒くさいかもねぇ。いいよ、歩いて行こ。
(この程度のことで感心されても、と困ったように眉を寄せながら傍で相槌を打つ相手を見つめるものの、普段からお兄ちゃん面したがる性分にとっては頼られているという感覚がこんな些細なことでも優越感を感じさせ。そんな中表示された相手の自宅までの道のりは歩けないでもないが普段はタクシーでも探して移動するような微妙な距離、どうするか地図を眺めつつ悩んでいたところ相手からの案に顔を上げると少し考える様に唇に指を当てて。この微妙な距離でわざわざ足を探すのが面倒というのは勿論本音、それに加え雑木林を抜けるなど相手の案の道を行けば人目も少ないし町中よりは少しくらいいちゃつけるんじゃないか、などという下心もやや含め相手の案に頷いて。手にしていた相手の端末を返しながら相手が指さしていた方向に目を向けると変装用に掛けている伊達眼鏡を指で押し上げながら軽く相手の袖を引いて。)
うぇーい、了解。…夜なら俺万能だからさ、ちゃんと追いついて来ないと置いてっちゃうかも。くく、テンション上がるねぇ、
( 相手からして見れば勿論造作も無い事、あっさりと渡した端末を返し渡されればそっとコート横のポケットへとしまい。、昼間の己で有れば当然の様に歩く事すら外へ出る事も億劫がるもの、夜となれば完全に思考も変わってしまうのか普通に考えてもこの距離.歩いて行く等面倒と思えるにも関わらず歩いてみたいと思うのは好奇心と高揚感があるせいで。早速と腕を引かれたのもいい事、普段であれば此方がずるずると重みとなり引き摺られているも逆に現在.相手のやや前を進んでおり。また普段とは違う、相手を進ませているこの感覚が何だか面白くも感じてしまえば軽く振り向き挑発とも思える様な台詞を吐いてみて。そんなうきうきと浮かれたままの気持で暫しの歩みを進めていた最中、雑木林と言ってもこんな小綺麗な街中にそんな物騒と言っては何だが整備の入っていない場など早々無い事に気付けば.如何にか幼い記憶を探り寄せていく内伝えなければならない事項がふと浮かんでしまい、)
__あ、ねぇ。いっこ言い忘れてたけどその雑木林?さ…多分どっかのお金持ちさんの大庭園なんだよねぇ…。俺小ちゃい時は良く遊ばせて貰ってたけど今だと不法侵入になっちゃうかな、
ッ、は…ちょっと、なんでそんな大事なこと忘れてるわけぇ!?アイドルが他人の家に不法侵入とか、もし見つかったら罰則ものでしょお!?
(もう随分と空も暗くなったからか夜を活動の場とする相手らしい勝ち気な態度に思わず苦笑いを浮かべるものの、ごくごく一般的な昼型の自分にとっては闇夜を先行してくれる相手はこの場面では頼りがいのある存在となり。しかし先を行く相手について行く道中不意に零された、不意に伝えられるべきではなかっただろう重大な問題に思わず普段の如く不満と驚きを込めて漏らしかけた声を咄嗟に自分の両手で塞ぎ。相手の言う通り私有地なのだとしたら下手な大声は禁物だろう、一応こんな場面でもそんな理性が働く自分自身に思わず感心しつつ今更過ぎる打ち明けに潜めた声ながら怒りを露わにして相手を咎めると先を行っていた相手の腕を掴んで。今からでも引き返せば、と考え一度後ろを振り返るものの既に半ばかそれを過ぎた頃なのだろう、戻るにも自身には正直道が分からず。深く重たく、わざとらしいくらいの溜息をついてから掴んだ相手の腕を自分の方に引き寄せ声が届くように顔を近づけると不満を煮えさせたような低い声で囁いて。)
――…このお仕置きは此処抜けてから、たぁっぷりしてあげるねぇ?一先ず今は最短で林を抜けて、道分かるんでしょお?
ふふ、舞い上がり過ぎちゃったのかもねぇ…こーゆー時はまだまだ自分も子供だ__、って…わぁ、は…、ちょっとおふざけ過ぎた?
( 夜闇と言うだけでも気分が上がってしまう上愛しの相手と二人っきりでの散歩とは言えずとも同じ時間を過ごせているのが己にとっては純粋に"楽しい"事なのだろう、浮かれた心持ちでは普通に考えれば重大な物事も軽く思えてしまい。それでも重大事項には変わらずか、やはりと言ってはやはり彼の咎め言葉が飛ぶもへらりとした笑みで流して仕舞おうと変わらず手を引いており。_とまた余裕も束の間、稀に見る相手の強引さと言うべきか大胆さというべきか、言葉を遮る様に身を引かれれば思わず緩んでいた口元も苦々しいものへと変わっていき。何時もの笑みとはまた違った冷ややかな笑みを浮かべては、言葉こそまだ緩やかでは有るものの今更ながら己の仕出かした事に責任を覚え始め。、加えてこんな状況でも何なのだが相手の行動力や低い声色、何時も以上に顰めた咎める様な表情は如何しても惚れてしまう要素がある様で。声には出さずともそんな彼を"かっこいい"等と感じてしまえばその心持ちを表に出さぬ様と相手の腕軽く掴み[…ん、その木の間抜ければ出れるから]先へと歩み速め進め、)
――…ほんっとにくまくんはぁ!!俺が居る時は勿論だけど、ひとりの時ももうこんな道通らないでよねぇ!?
(流石に自分の剣幕から普段どれだけ叱ってものらりくらりと躱してしまう相手にも事の重大性が伝わったらしい、ほっとするというのも違う気がするが一先ずきちんと意思の疎通が出来たことに小さく息をつくと歩みを進める相手に腕を引かれながら雑木林を抜けて。完全に林を抜けて少しした頃漸く堪えていたものを放出できる環境になったと感じた途端背後から相手の後頭部をばしんと打つと、モデルとして紙面を飾る時のすました顔など想像出来ない様な不機嫌に満ち満ちたある意味生き生きとした表情で怒声を上げて。私有地を所有する家主に見つからず雑木林を抜けられたのは幸いだったが、この調子では他にも相手が不法侵入を疑われかねない抜け道を利用している可能性があると踏んだのか、それについても釘を刺す形で咎めるとまだむすっと唇を尖らせたまま相手から視線を逸らして。)
…で、あとどのくらい?俺この辺りはあんまり詳しくないし、雑木林なんて抜けたお蔭で全然検討つかないんだけどぉ。
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