狐死神 2015-04-25 21:39:34 ID:afe26c679 |
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-悲しみ-
クラスメート「ねぇ聞いてー。ランが転校したんだってー。」
クラスメート2「えー何それ本当!」
クラスメート3「親の借金払えなくて夜逃げ、あとランの暴力問題だろ。」
クラスメート2「まっ自業自得ってことね。」
ランが居なくなって四日目になった。先生からランはただの転校らしいけど……、実際はクラスメート達が言っている内容通り夜逃げだ。
まさかこんな事が姉とママが関わっているとは思わなかった。
昨日の夜、会話文のみ
ヒナ「ランが3日間も来てない…どうしたのかな?」
姉「ラン……ランってあの子か…。来てない……ぷっ、あははははは!アイツらの家族夜逃げしやがったか!ママーアイツら破産して夜逃げしやがったぞー!」
ママ「え、そうなの? ……うふふ、まぁそうよねぇ。」
ヒナ「え?なん…で…」
ママ「ママはねあの人達の借金を返済していた……手助けをしていたの。」
ヒナ「手助け?」
姉「簡単に言えば月1に金を貸してたんだよ。でその日がお前と会った日。」
ヒナ「じゃじゃあ何で払ってあげないの!」
ママ「別に…あの人とは幼なじみで親友だっただけで、別に払わなくて良かったのよ。」
ヒナ「そんな…酷い」
姉「あんた馬鹿?そうなったのはあんたの性なんだよ?雌豚?」
ママ「そうよー、あんな暴力女と離れさせるにはこれしか方法が無かったのよ…ごめんね…雌豚ちゃん。」
ヒナ「そんな…」
現在、学校
ということである。その話が広がったのは姉が広げたから。僕は……僕の家族はランに償いきれないことをしてしまった。
どうしよう…!
ヒナ「いった…」
頭を誰からか叩かれた。じーんとした痛みが走る。
クラスメート「お前なんて生きてたって意味ねーんだよ。シ,ネ。」
あぁ…償えるじゃん。ラン…僕、命張って償うよ。
……皆の代わりに……
-飛び降り-
ヒナ「…高い。」
僕がいるのは10建てのマンションの屋上。
あの後僕はすぐに教室を飛び出し此処に向かった。…高い、足がすくんで震えてる。
ヒナ「いかなきゃ…やらなくちゃ!」
一歩一歩前へ進む。
屋上の端まできたとき風がビュゥと吹いた。
ヒナ「きゃあ!…か…風か…。」
大丈夫…怖くない、飛び降りたら楽になる。
ヒナ「…よし…行こう。」
僕はそのまま飛び降りた。そして僕の意識は途切れた。
-優しいママ-
此処はどこ?真っ白な世界?…周りは…分からない、いや周りが見れない。
ヒナ「う……ん?」
ママ「ヒナ!…良かったぁ。」
ヒナ「ふぇ?…いっ痛い痛い!」
突然泣き出したかと思ったら抱きついてきた、痛い!
ママ「あっごめん!強くし過ぎたわね…。」
ヒナ「いっつぅ…。」
先生「お母さん…あまり…ね。嬉しいのは分かりますがあまり…お子さんに無理なさらないように。」
ママ「はい…ごめんなさい。ヒナもう止めないよ!自殺なんて!ママとても心配したんだよ!」ママってこんな感じだったけ?こんな優しいママだっけ?分かんない…。
ヒナ「ママ?…本当にママ?」
ママ「何行ってんのよ。ママよ。変な子ね、フフっ」
ヒナ「ひっく…こわぃ…何で?分からない、分からない!」
ママ「ヒナ!大丈夫!ママがいる。ママが居るわ!」
また僕を抱きしめる。ただ優しく割れ物扱うように僕を抱きしめた。
ヒナ「ひっく…ひっく…ママァ…。」
ママ「大丈夫、大丈夫よ。」
背中を優しくさすって僕を落ち着かせようとしてくれた。
優しいママ。これが皆の所は普通なのだろうけど僕にとっては嬉しい。もしかしたら演技かもしれない…それでも僕は嬉しかった……。
あれから二週間が過ぎた。ママもあれから暴言も言わず昔のママだった。ただお姉ちゃんは来なかった、ママ曰わく
姉「勉強と提出物がヤバい」と言っていた。
ママ「そういえばヒナ……あと4日で退院ね。」
ヒナ「あっ…そうだった。」
ママ「ふふっ…ヒナは忘れんぼさんね。」
ヒナ「えへへ。…わっ」
ぴっとママの人差し指で僕のおでこを強めに押された。
ヒナ「もぉー、何す……!」
ママ「……。」
おでこを抑えママを見ると……、
ヒナ「ママ……?」
今のママ……僕を豚としめ見るママになっていた。
ママ「ヒナ……話があるの…。」
ヒナ「なっ何?」
怖い、僕の心はそれでいっぱいだった。
ママ「…ヒナの退院の日、4日後にね…
パパが帰ってくるのよ!」
ヒナ「………………へ?」
え?ちょっと待って。ママの雰囲気や冷たい目になってたからまた暴言を言われると思いきや…パパが帰って……帰ってくる!?
ママ「ちょっと?どうしたの?ヒナー?おおーい」
放心状態の僕の顔の前でぶんぶんと手を振っている。
ヒナ「…パパが……パパが…帰って……来る……の?」
ママ「そうよ!帰ってくるのよ!」
ヒナ「本当に?」
ママ「えぇ、本当によ。」
ヒナ「ママー!」
あまりの嬉しさにママに抱きついた。パパが5年ぶりに帰ってくる!
ママ「ヒナったらーもう。ヒナの赤ちゃん返りね。」
と言いつつも僕を優しく撫でてくれて……。
ヒナ「あと4日後かぁ…楽しみ!」
ママ「ふふっ…そうね。料理は任せなさい!ママが腕によりをかけて作るわ!」
ヒナ「うん、楽しみにしてるけど…怪我しないでね。」
ママ「大丈夫ー大丈夫ー!」
パパが帰ってくる。とても楽しみでとても待ち遠しい。でもね……
パパが帰って来たことにより……僕が壊れることを…
-パパの帰り-
4日後
ヒナ「ありがとうございました。」
ママ「ありがとうございました、先生。」
先生「いえ、元気になって何よりです。それでは2ヶ月後骨折の状態の確認のためまた来て下さい。」
ママ「分かりました。」
今日は僕の退院日。骨折はまだ治ってないが来月か再来月には治っているだろうと言われた。……はどうでもいいのです! パパが……パパ今日帰って来ます!
ママ「ヒナ今日ご機嫌ねぇ~」
ヒナ「えへへ~。だって久しぶりにパパが帰って来るんだよ!僕楽しみ過ぎて寝れなかったよ。」
ママ「そう、ふふっ。」
いつもより倍の時間をかけて家路につく。
何週間振りの家だろうか? 久しぶり過ぎて少し緊張してしまった。
ヒナ「た…ただいまぁー」
__「お帰りー」
ヒナ「ふぇ!……まさか……。」
パパ「よっ、久しぶりだなぁ~ヒナ。」
ヒナ「パパ!」
やっぱりやっぱりパパだ! 何も変わってなくて前と同じパパだった!
ヒナ「うぅー久しぶりー」
パパ「おいおい泣くなよー。……あぁそういりゃヒナ、前誕生日だったろプレゼント買ってきてやったぞ。」
ヒナ「本当!やったー!ありがとパパ!」
その後パパから誕生日プレゼントを貰った。中身はボロボロで貧乏が着るという印象のワンピース。最初は吃驚したけど最近流行っているらしいです。
今日はとても楽しかった。ママもパパも優しくて、でもお姉ちゃんやお兄ちゃんは居なかった。ただそれがちょっぴり悲しかった。
-戻された日常-
その後パパは2日ほど此処に居たが仕事の為また居なくなった。
今での3日間はとても楽しくて……その分今はとても寂しい。
明日から学校に行くことになったけど……またあのいじめが始まることに少し怖かった。
ヒナ「あっママ。」
寝れなくて下に降りるとママが椅子に座って何か考え事をしていた。
ママ「……。」
ヒナ「? ママ?」
ママ「……黙れ。」
ヒナ「!……え、何で」
ママ「黙れ黙れ黙れ黙れ……黙れ!!」
静かな空間にママの叫び声。僕、忘れていた。
学校のいじめが始まるなら家でのいじめも始まる。……またあの苦しい日々が始まる。
パシンッ
ヒナ「いっつ…」
ママ「醜い顔を見せるな、誰が私と喋れと言った?誰が私をママと言っていいと言った!?」
ヒナ「え…あ…その…」
怖くて震えてしまい泣きたいのを我慢していると……
ガッ…
ヒナ「イタッ!」
髪の毛を思いっ切り引っ張って上を向かせ顔を無理矢理合わせられた。
ママ「聞いてんのか?雌豚ぁああ!」
ヒナ「ヒック…ひゃい…。」
ママ「ちっ…きめぇんだよ、いつも泣いて!」
ママから久々きいた罵声、新しく暴力が入った僕のいじめ。
痛い…苦しい…怖い…嫌だ…
誰か…誰か助けてよ…
作者の時間~
はぁ~い駄作者の放置常連駄作者の狐死神だよ~(ぷぅ←
いやーやっと30手前の28。やっとですよ、やっと。(笑)
30を超え35からは結末へ向けもしかしたら急展開かもしれません。
さて、作者の時間、もしかしたらこれで最後かもしれませんが
『東京テディベア』
よろしくお願いします
m(__)mペコリ
-人-
ヒナ「……っ。」
学校ではやはり私へのイジメが始まった。
クラスメート「おい引っかかったぞー!」
クラスメート2「まっじでーー!おもろっ!」
教室に入ろうとしたら突然黒板消しが落ちてきた。
ヒナ「ケッホケッホ!」
クラスメート2「ざまぁ、アハハハ!」
どっと笑いが起きる。私は黒板消しを置き頭についた粉を払う。
クラスメート3「お前、何で似生きてんの?」
ヒナ「っ!」
クラスメート4「それ俺も思った!」
口々に私もーや確かにーという声が上がった。
ヒナ「……。」
クラスメート「っ、何黙ってんだよっ!」
パシンッ
高らかに音がなった。
ヒナ「いっつぅぅ。」
叩かれた。なんで皆私をいじめるの?私は何かしましたか?
ねぇ…教えて下さい。
痛みと悲しみに涙が頬に伝う。
私は何処でも1人。
仲間は居ない。
誰か私の味方になってよ、嘘でも良いから……。
-雨-
クラスや家で私へのイジメや虐待が始まり、そして暴力というオマケがついてきた。
毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日精神的に体力的に疲労が重なっていく。
ヒナ「雨……。」
今日もクラスで今日も私で遊ばれた。
ヒナというおもちゃをまるで幼児のように叩きつけ蹴りつけそして楽しそうに嗤う。
そして今やっとおもちゃという決定事項から解放され今家に帰っている。
ヒナ「雨、私の心も雨。大雨……いや台風か」
あはは……と乾いた弱々しい笑い声が雨音に溶け込む。
何となく傘を閉じ雨に触れる。
冷たい……、私の心のように。
濡れてく……、私の感情が
溢れてく……、私の涙が
ヒナ「うぅ…ひっく…ひっく…何で…私だけが…私だけがーー!」
雨音が溢れて強くなっていくように私の泣き声が……私の感情が溢れていった。
雨か……、私は…………、何なのだろう………………。
-願い-
ヒナ「いった……!」
ママ「ヒナー?何か言ったかしら~?」
姉「ママー。ヒナさっきねー、クソババァって言ってたよーキャハハ」
ヒナ「そんなこと…言って無い!」
ママ「黙れ!雌豚ァァァァアアアアア!」
バシッ、ドカッ、ガスガスッ
叩かれ蹴られ引っ張り、ヒナを虐待していた。
姉は狂ったように笑って楽しみ、ママはまるで僕を消すために暴力を振るっていた。
ヒナ「いっだい…いだいよ…。」
一体どこまですれば気が済むのかな?……もう嫌だ、疲れたよぉ。姉とママの暴力は0時まで続いた。
~自室~
ヒナ「いっつぅー、痣だらけだねぇーテディ。」
0時きっかりに解放されそのまま自室に戻ってきた。いつもなら解放された後風呂に向かうのだが、いつも以上の暴力と痛みで今日は入らなかった。
ヒナ「テディー、今日は何の日かな?……9かぁ。って七夕過ぎちゃった!」
今更過ぎたことに気付きがっくりする。七夕の日にお願いしまくろうと思ったのにー……いや大丈夫だ。2日だけなら大丈夫!
ヒナ「2日過ぎちゃったけど大丈夫だよねーテディ。よし、テディも一緒にお願いしよ。」
ガラララッと窓を開け空を見る。残念ながらどんより曇り空だったがあえて気にせずお願い事をした。
ヒナ「……この苦しみから解放されますように…。」
一つ目、僕がずっと思っていた願い事
ヒナ「……前みたいにママとパパとお姉ちゃんお兄ちゃんと僕が仲良かった時に戻りますように」
二つ目、僕が心から叶えたかった願い事
ヒナ「…………、ママが元に戻りますようにように…」
三つ目、今僕が叶えたい願い事
ヒナ「これでお終い!さて寝ないとねっ」
窓を閉めてテディを抱き締めて寝る。
僕は朝に怯えながら朝を迎えた
-せんせー、何故…-
ヒナ「きゃっ!」
ザーーと上から水をかけられ小さな悲鳴をあげた。
ヒナ「わぁっ!」
ばふっと濡れ雑巾と黒板消しが頭に落ちてきた。
ヒナ「きゃぁぁあああ!」
ドンッと誰かに階段から突き飛ばされ悲鳴をあげた。
ヒナ「いったた」
足に包帯をくるぶしから太ももの半分位まで両方とた片腕と頭にぐるぐると巻かれた。
ヒナ「せんせーに相談しよっかな」
僕のいじめにもう気付いていると思うけど、改めて今日せんせーに相談することにした。
放課後、教室
先生「どうしたのです?ヒナさん」
ヒナ「せんせー…助けて下さい。僕、いじめにあってて……苦しいんです!」
先生「……ほぉ。……ちっ、俺の負けか……ったく。」
ヒナ「へ?」
穏やかだったせんせーの表情が一瞬で怒りの表情に変わった。
先生「お前、馬鹿か?そんなもん知ってるし。ていうか今日突き飛ばしたの俺。良い悲鳴だったなぁ…なぁ?」
ヒナ「せん…せー?どう…したの?ねぇ?」
バシッ。乾いた音が高らかになる。
ヒナ「いったぁぁああ」
先生「いいねーその表情だよー可愛いねーハハハ。」
ヒナ「嘘…。せんせー…何故…こんな事をするの?」
先生「楽しいからに決まってるだろ。さーてヒナ、たぁ~っぷりいじめてやろうかー」
ヒナ「し…失礼します!」
怖くなって走って逃げ出した。後ろからせんせーが「逃げ出してま無駄だーハハハハ!」
と、言っていた
ヒナ「ハァハァ…僕だけ…何で……。……皆さんさようならせんせーお元気で……。」
息を整え学校を走って出た。
-1人-
~家~
ヒナ「ッハァハァ……。」
全力疾走して息が荒い。足もガクガクする。
ヒナ「……。」
家に帰れば家族からの暴力、暴言。僕の居場所は多分無い。
はぁと溜め息を吐き出し家に入ろうとした時、ぐぃっと服を引っ張られ
幼女「お姉ちゃん!どしたの?」
と小さな女の子に聞かれた。
ヒナ「わぁっ、ん? どうしたの? 迷子? お名前は?」
幼女「迷子違う! あたちナヤ! 4ちゃい!」
……。4歳で1人は絶対迷子でしょう。
ヒナ「そっか…ナヤちゃん宜しくね!」
ナヤ「うん!」
可愛らしくお下げで黄色の帽子に水色のワンピース。幼稚園の服だろうか?
ヒナ「ナヤちゃんは幼稚園からの帰り?」
ナヤ「ううん。ナヤ悪いことしちゃった、だからおしょとで反省。ちゅまらないから出ちゃった!」
つまり……、ナヤちゃんが悪いことをし怒られ反省するまで外、または庭に出され家に入れてもらえなかった。だがつまらなくて家を飛び出し道が分からなくなったってことか……。つまり、僕と同じだ。
ヒナ「そっか……、辛かったね。」
優しく撫でてあげると不思議そうに首を傾げるナヤちゃん。……可愛い。
__「ナヤちゃーん!どこなの!」
__「ナヤー居たら返事しろー!」
ナヤ「あっママーパパー」
だったっと走っていくナヤちゃん。
幸せそうにな表情、僕と違う……。
ナヤ「あっお姉ちゃん、バイバーイ!」
ヒナ「バイバーイ!」
母「ナヤのことありがとうございます!」
父「ありがとうございます!」
ヒナ「いえ大丈夫です。でも目をはなさいよう気を付けて下さいね!」
母「ありがとうございます!」
父「さぁ帰るか。」
ナヤ「うん!」
幸せそうな家族、僕はとてもうらやましかった。そして一気に現実に戻された。
-意外な日-
――ガチャ。
扉を開けて中に入る。
あぁまたあの苦しみに耐えなきゃいけないんだ。
ただ今日は少し違った。知らない人の靴が置いてあった。だけどどこかで見たことのある靴でもあった。
ヒナ「誰だろう……。」
客かなと思い自分の部屋に行こうと思ったその時、見慣れた人が居た。
パパ「ヒナ!」
ヒナ「パ……パ?」
仕事で遠くに居るはずのパパが居た。僕は夢をみているのだろうか?ぶわっと涙が溢れ出す。僕はパパに抱きついた。
パパ「ヒナ……久し振り。」
ヒナ「パパ…パパァ…久し振りっ」
嬉しくて嬉しくて久々に笑顔を作れた。ううん笑顔になった。
ところでパパ、何でここに居るんだろう?
パパ「さて、ヒナ涙を拭いてリビングに行こう。皆に話があるんだ。」
話?一体なんだろうか?
パパ「さてー皆さんが揃った所で大事な話をします!」
姉「待ってましたー。」
兄「大事な話……飛ばされたのかい? 父さん。」
ママ「お兄ちゃん、縁起でもないことを言うんじゃありません!」
ヒナ「パパ、話って何?」
パパ「話と言うのは……。」
ごくり。つばを飲み込みパパの続きを待つ。
パパ「ここで働くことになったんだ……しかも副社長!」
え……えーーーーー!!
ママ「副社長!」
兄「ここで働くってことは……。」
姉「一緒に居られる。」
ヒナ「本当に……?」
パパ「今で迷惑かけてごめんな。今日から皆一緒だ!」
嬉しい。ただただ嬉しかった。またパパと一緒に居られる。
だけど僕は1ヶ月後……。
-幸せ-
小さい頃、僕はパパとよく遊んでいた。パパと一緒に笑ったり泣いたりママに怒られたり。
でも不思議なことに僕には幼い頃、パパ以外と遊んだ記憶はなかった。
その代わり違う子供と遊んでいた。
ママ……幼い頃の記憶だからあんまり思い出せない。でもママはあんなに落ち着いた人だっけ?
気のせいだろう……僕の。
それよりパパが帰ってきたのでパーティーだ!
パパ「うおっ豪華だな!」
姉「そりゃそうよ、何せママと私の料理ですもの!」
兄「ただ味見というつまみ食いだったけどな」
姉「うるっさいわ!」
ヒナ「わぁ……豪華。」
パパ「ヒナ……何で床に座ってるんだい?」
ヒナ「え? だって……」
姉「ちっ……、ヒナ床で食べるのかぁ? 早く座れパパに全部食われるぞー。」
兄「と言いつつ君が食べるのだろう。」
ママ「ふふっ。さぁ食べましょう!」
僕はお姉ちゃんに言われた通り椅子に座った。
見慣れた所から高い景色。僕は何故か突然違う景色を思い出した。
パパと違う人と子供。
どう……いう……こと?
僕はそのまま気を失った。
-決意-
ヒナ「ぅん……ここは……!」
パパ「大丈夫かぁ!」
ヒナ「ぇ……ぁ……きっ」
パパ「き?」
ヒナ「きゃぁぁあああ!」
僕ヒナは目覚めた後思いっ切り悲鳴を上げました。
パパ「ごめんな…」
ヒナ「……起きた瞬間に顔ドアップは怖いよ……。」
パパ「ははっ、気をつけるよ。所で大丈夫なのか?」
ヒナ「うん。大丈夫……だょ……。」
僕は多分気付いた。僕が嫌われている理由、あの記憶のことも……。
さてパパ僕は?を聞く、だからパパは!を答えて……。
-?-
ヒナ「ねぇ……パパ聞いて欲しいの。」
パパ「なんだい?」
ヒナ「僕は……
誰の子なの?」
パパ「っ。」
パパが目を大きく開き焦った表情をした。
ヒナ「……突然さ知らない人と子供を見たことがある。多分気のせいかも知れない……でも……でも……」
パパ「ヒナ。」
ヒナ「パパ? っ!」
突然泣きそうな表情で僕を抱きしめた。
パパ「ごめんな……ヒナ、本当にごめんな。」
ヒナ「パパ……。」
パパ「ヒナ、聞いてくれ。ママとパパのことを……。」
僕は、パパとママの出会いを聞いた。
ヒナ「う……そ……。」
パパ「ごめんな、ヒナ。」
-!-1
~ヒナが生まれる前~
とある裏道。
パパ「麻美さん!」
ママ「雲英君!」
二人は抱きつき甘いキスを交わす。
ママ「ふふっさぁ行きましょう?」
パパ「あぁ、行こうか。」
そのまま二人はホテルに向かった。
ホテルに入るとまたキスを交わす。その後他愛のない話をした。
パパ「麻美はどんな感じだい? 子供は大きくなった?」
ママ「えぇ、可愛いから立派になったわよ~。雲英はどう?」
パパ「うーん、妻がもう一人欲しいって言ってたね。」
ベッドの上で男女が二人絡み合う。甘いキスから深いキス……。
そう、二人は不倫をしていた。
パパ「それじゃあ麻美さん、また電話して。」
ママ「えぇ分かったわ。」
パパ「愛してる」
ママ「私もよ。」
二人は既婚者で二人とも子供もいる。だからなのか馬があい、たびたびこうして隠れて会っていた。
――しかし
パパ「妊娠したぁ!」
ママ「えぇ……妊娠……3ヶ月。今なら下ろせるから……下ろすわ。」
パパ「……いや下ろすな。下ろすな!」
ママ「何を……言ってるの?」
二人を包み込む不穏な空気。
男は狂ったような笑みで女は動揺したような表情。
お腹の中にはヒナがいた。
-!-2
ママ「雲英あなた……言ってることの意味分かってるの?」
パパ「あぁ……分かってるさ! 僕はコレを待っていたんだ、君を麻美を奪う為に!」
ママ「っ……馬鹿じゃないの! あなたにも私にも家族があるじゃない! それを……失えっていうの?」
パパ「僕は君を手に入れる為なら手段を選ばないよ……君の家族に手を出すことも。」
ママ「なっ! …………私には愛する家族がっ……」
パパ「僕は君だけが欲しいんだ。あぁ…分からないから戸惑っているのか……ちょっと待ってて。」
そう男は言うと携帯を持ち出し電話を掛けた。
ママ「……まさか……。」
――プルルプルル…
パパ「あぁ……君に話がある。僕と別れてくれ。は? 何でかって? うーん君より愛する人が出来たからだ。それじゃあ明日離婚届け持って行くよ。」
――ピッ
ママ「あなた……今……。」
パパ「あぁ別れたよ、だから君も。」
ママ「嫌よ! 私はあなたより夫の方がっ……きゃぁっ!」
男は女のカバンを奪い女の携帯を取り出す。そして……。
パパ「麻美さんの夫かい? 僕? 僕は麻美さんの不倫相手だ。だから君別れてくれない? 麻美と。」
ママ「やめて……やめてぇ!」
パパ「ありがとう、それじゃあ明日離婚届け持って行ってあげるよ。それじゃあね。」
――ピッ
ママ「ヒックヒック……どうして……どうしてよぉ……ヒック……うわぁぁあああ!」
女は絶望と悲しみに包まれ絶叫した。
-!-3
一年半後
ママがお姉ちゃんとお兄ちゃんを呼び出し大事な話をする。
ママ「お姉ちゃん、お兄ちゃん!」
姉「何? ママー。」
兄「どうしたんだい?」
ママ「ママね、新しいパパと妹が出来たの。」
姉「え、本当! やったぁ! パパと妹だー!」
兄「……!」
妹が出来て喜ぶ姉と突然過ぎて動揺が隠せない兄。そんな時、パパが赤ん坊を抱いて入ってきた。
パパ「はじめましてー新しいパパだよ。よろしくなー。んでこの赤ん坊がヒナだ。」
すやすや眠るヒナにママは顔が曇る。ヒナは自分の子、だが相手は愛する夫ではなく不倫相手の子。可愛らしい寝顔や笑顔をみるたびに、アイツは私の幸せを奪った憎い奴と見えてしまう。
姉「わぁ……ぷにぷにしてるー。」
兄「可愛い……。」
姉「兄ちゃんデレたー。」
兄「うるさい!」
パパ「まあまあ喧嘩するなって、とりあえず皆よろしくな!」
姉「よろしくー」
兄「よろしくお願いします。」
この日からママとパパの生活が始まり、そしてママが壊れていった。
ヒナの寝室
ヒナ「……僕はパパとママの子、でも不倫の子。」
パパ「違うっ、パパとママの子だ!」
ヒナ「……あの家族。」
パパ「? あの家族?」
ヒナ「パパ、隠さないで全部教えて! お願いだから!」
パパ「……分かったよ。ヒナのあの記憶も説明する……。」
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