ぬし 2015-04-08 19:45:11 |
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わ、悪かったって。
(呆れ混じりの怒声で告げられるものはもっともで返す言葉もなく、困ったように眉尻を下げ。聞こえてくる大きな溜息にそろりと目線を上げるも何処かへと向かう相手の背を見ては指示通り大人しくソファに腰を下ろし。右手の傷をぼんやりと眺め痛みをほとんど感じない上に経験から"死ななければ大丈夫"というのが自分の感覚であるため、救急箱を持ち戻ってくる相手を見ては「心配性だよな、文太って。」何てこれ以上怒らせまいと反応窺いつつ弱く笑み。)
これで心配しない方がおかしいだろ。
(やはり感覚がおかしいのか多少ずれている相手の発言に対して上記を。心配性だと思うなら心配を掛けないで欲しいものだが既に怒る気も咎める気もないのか静かに相手の隣に腰掛けては「お前は心配しなさすぎ。…もっと自分のことを大事にしてやってよ。」などと先程の発言に付け足すように述べ。そっと相手の右手を取れば消毒液染み込ませた脱脂綿で周辺のこびりついている血などを軽く拭い取った後患部を消毒し。)
ああ、…気を付ける。いつもありがとな、本当に。
(相手の重みに沈むソファに大人しく掛けたまま、簡単な治療を施していく相手の手元をぼんやりと眺めて。己が怪我をしてくる度にこうして手当てをしているのは相手である為、手際が良さも頷ける。相手らしい軽い口調ながらも懇願するような意を感じさせる言葉に胸の内が温かくなるようで、嬉しそうに目許を緩め。消毒液の沁みる感覚すら鈍い為か「俺、文太みたいに手当てできねえよ。」と感心したように小さく笑って。)
岡目は不器用だからね。
(未来永劫気を付けろと言いたい所だが心の底から感謝するような言葉を聞いてしまえば怒りは完全に消え失せてしまい。相手の感心したような口ぶりで述べられた言葉に対して色んな意味を含ませながら口許緩めて上記を。その間も慣れた手付きで広範囲の患部にガーゼ当て、上から包帯巻き付けて手当を終えてしまっては何を思ったのか相手の手をとって包帯の上から軽く口付け。)
うるせ。…いーんだよ、俺は。
(相手の言葉通りである事は自覚しており否定するような事はしないもののそれがいくつかの意味が込められていることは薄々感じとったようで少々不満げな口調で。手慣れた手つきによる手当が終わると少し大袈裟ではないかと感じるほどに綺麗に巻かれた包帯を眺めて礼を述べようと口を開くも、まるでお伽噺に出てくる王子を思わせるような口付けに目を見開き。動揺に徐々に頬は赤く染まり「っな…!な、何して…ッ!」何を言うべきか言葉が見つからずぱくぱくと口を開閉させ。)
まあ別にいいけど。その方が面白いし。
(どこか不満げな相手だが此方は不器用な所を個性だと捉えているため言葉通り相手にはそのままでいて欲しいなんて考えており。手に口付けてみれば面白い程大袈裟な反応を示す相手を見てくつくつと楽しそうに笑いながら「おまじない。早く治りますようにってね。」などと気紛れからとった行動だがそれらしい理由を付け。視線をもう一度相手の手へと移しては別の手で傷を刺激しない程度に上から親指の腹で撫でながら愛おしそうに双眸細め。)
面白いって、…俺の事何だと思ってんだよ。
(相手が居るからこそ自分は今のままでも構わない、と考えている為かどうしようにも自分には理解しがたい返答に怪訝そうに眉の形をひそめ首を捻り。まじないにせよ恋人同士がするような行為に空いた手は無意識に心臓の位置の服を握り締めており、落ち着こうと息を吐き出して「…そういう事すっから誤解するんだろ。」先程の行為すらも手慣れたものに見えたのか、溜息交じりに拗ねたように呟き。優しい手つきで包帯の位置を撫でる相手の手にもう片方の手を重ね、自分のものよりも小さなそれをゆっくりと握り。)
なんだろうね。…とにかくそのままで居ろって言ってんの。
(不器用な相手の言動が面白いからというのもあるが、相手の性質は己が傍にいる理由になっているため変わって欲しくないというのが本音で。何だと思っているのかという問いに対しては特別な存在であることは確かだが明確な答えが見つからないのか曖昧に濁すように上記を。どこか拗ねているような呟きを聞き取っては「誤解って?」と気づいていないのか、はたまた気づいていないフリをしているだけなのか軽く首を傾げて問い掛けつつ手を握られて反応するかのように動き止めて視線を相手の方に向け。)
何だそれ。…まあ、お前がそう言うんならいいか。
(強引な物言いに頭に疑問符を浮かべたままで、然しそれが相手らしいと思えたのか小さく笑みを漏らしては少しばかり照れ臭そうに頬を掻いて。己の問い掛けに対し演技か否か判断できないものの不思議そうに追求してくる相手に動揺し視線を泳がせて、「や、だから…その、お前…手が早すぎんだよ。」尻すぼみかつ口ごもりながらも言い切ると落ち着かないように触れた手の指を絡ませるように握り直し。)
人聞きの悪い言い方しないでくれる?
(納得はしていないもののそれ以上追及しようとはしない相手に心の内で感謝し。予想の斜め上をいく返答に眉寄せて事実ではあるもののもう少し別の言い方があるだろうと不機嫌そうに上記述べ。とはいえ相手が最大限努力した結果であることは理解しているため此方からも指を絡めたまま握り返しながら「誰にでもこういうことしてる訳じゃないから。」と。どうでもいい相手ならこういった如何にも恋人がするような行為ではなくもっと直接的な行動に出るであろう。ましてや他の男に手を出す趣味はないためはっきりと告げてやり。)
だって―…
(間違ってない、と続く筈だった不貞腐れたような言葉は次いで付け足された相手らしいきっぱりとした物言いに喉元で止まり。ぽかんと呆けたような表情を浮かべるもすぐに頬に熱が集まっていくのを感じ顔を背けるも、応えるように繋がれた手は離すことせず寧ろ少しばかり力を込めて。「…そんなの言われたら、自惚れるだろ。」と呟くように。誰より幸せを願う人物から好意を示すような発言と行動は素直に嬉しいものの、反応に困っているのか眉を寄せ。)
…自惚れていいんじゃない?
(困っているのか眉を寄せている相手だがここで離してやるような引きの良さは持ち合わせておらず、寧ろもっと困らせてやりたいなんて考えており。拒絶されていないことは繋がれた手や赤く染まった頬から伝わってくる為相手の呟きに対して上記告げながら包帯巻いた手に添えているだけだった手を顔を背けている相手の頬へと伸ばして此方を向かせ。)
そ、んなんでいいのかよ。
(好意的な行動を見せてはいるが的確な言葉を告げないところにもどかしさを感じ、此方に判断を委ねる疑問符つきの言葉が返ってくると考えを巡らせるように瞳を泳がせて。赤らんだ頬に伸びてくる手の温度に肩をびくりと跳ねさせては「待、ッ…見るな、はずい…から!」経験のない事にわたわたと動揺をみせ、相手の手首を掴み自身の顔から剥し)
いいよ。自惚れなんかじゃないから。
(あえて的確な言葉を告げずに相手の反応を楽しんでいたが瞳泳がせて戸惑う様子を見れば少しは反省したのか意味深な言葉をはっきりと告げてやり。力で相手に勝てる訳もなくあっさりと手を剥がされ僅かに眉寄せるも一瞬見えた表情にすぐ機嫌を良くしては「あはは、顔真っ赤。」なんてどこか嬉しそうに笑い。)
…文太、
(迷う余地をなくす発言に一度動作を止めると相手のほうに目線を向け、煩く高鳴る鼓動が相手に聞こえないかと心配しつつも躊躇いがちに口を開き静かに名前を呼んで。不機嫌そうな表情が一瞬視界に入ってくるも束の間、すぐに嬉々として楽しげに笑う相手に弄ばれているような心地になり不貞腐れたように眉を寄せ「っ…笑うな!ああもう、」これ以上相手に情けない姿を見せられない為か頬から引き剥がした手をそのまま引き寄せて自分より小さな身体を強引に抱き締め。)
…何、どうしたの?
(名前を呼ばれた次の瞬間に抱き締められるという事態には流石に驚いたのか目を丸くして動きを止めるもすぐに状況を理解したようで。返事のつもりだろうかなどとぼんやり考えながら相手の背中に腕回して子供をあやすようにぽふぽふと軽く叩きつつ上記問い掛け。)
…なん、となく。
(腕の中で一瞬動作を停止させる相手を離すまいと少しだけ腕の力を込めながら、頬に触れる相手の柔らかい髪に鼻先を埋めて。顔を見られたくない、なんて理由で咄嗟にこんな行動をとってしまったもののそれを相手に明かすことは少々情けない為に口ごもりながら上記。背中を優しく叩く手つきに「餓鬼じゃねーよ。」と複雑そうに眉を寄せつつも少しずつ落ち着いていくのは事実であり表情緩め)
…ふーん。なんとなくで男抱きしめるんだ?
(理由を言おうとしない相手だが何となくという言葉で片付けられるような行動ではなく、追及する気はないものの相手の反応を見たいがためにまるでそういった趣味があるような言い方をし。餓鬼じゃないと主張されるも相変わらず優しく背中を叩いてやりながら「知ってる。」などと悪びれる様子なく返答し。)
っ違…!お前だからこうしたい、って思…――
(鋭い言及に動揺し硬直するも誤解されないようにと慌てて否定し、考えるよりも先に口をついて出た言葉に徐々に声量は落ち先程誤魔化した言葉のほうがはるかにましだった事を自覚してはこみあげてくる羞恥心にいたたまれず顔を伏せて。淡々とした返答に年下の相手からあやされているという事実にも吹っ切れたようで「…そうかよ。」ぽつりと呟いて大人しくされるがままになり。)
俺だから?…ふふ、光栄だよ。
(自身の失言に気づいたのか顔を伏せてしまう相手見て小さく笑い、勢いで言ったことだとしても嬉しいことに変わりはなく口許緩ませながら上記を。すっかり大人しくなってしまった相手の背中を叩くことをやめて少しだけ回した腕に力込めてはふと思い付いたように「…ねえ、岡目。」と相手の名前を呼び。)
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