土佐人 2014-11-24 06:43:24 |
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ここで共演されてる木村多江さんに聞いてみましょう。
役者さんて自分のためにお芝居する方と他人のためにお芝居する方がいるんです。
内村(光良)さんは他人のためにやさしいお芝居ができる方なんですね。尊敬します。
NHKニュースシブ5時 BSドラマ 僕の妻と結婚してください 取材 アナウンサー 木村多江 より
次の格付けチェックはこれっ!!
芸能人謝罪会見っ〜!!
一流芸能人の皆さまなら大丈夫ですよね。
(略)
和田アキ子性別詐称!!実は男だった。峰竜太は知っていた!
番組改名「アキヒコにおまかせ」!!
ありえへん。ありえへん。これいまはハラスメントやで。
バラエティ『芸能人格付けチェック』浜田雅功 和田アキ子 より
「ガルマ!よせ」
しかし、そのシャアには、もうひとつの全く異なる思いもあった…………。
ガルマ・ザビもザビ家の一統である。いいではないか。むしろ、木馬が敵討ちをしてくれているのだ。そう思えば、それを目撃できるだけでもぎょうこうなのだ。
シャアは目をムサイの方向へ転じた。星々の中にまぎれてムサイの艦影を見る事はできなかったが、ドレンはよくやってくれていた。間断なくビームが木馬に発射されていた。
「木馬には、悪魔でも乗り移っているのか?」
シャアには、ムサイとガルマのガウのメガ粒子砲の中にいながら、直撃がないのに驚嘆していた。
「悪魔……いや……」
シャアは、あらためて戦慄する言葉を思い出していた。
「……ニュータイプの部隊なのか」
思い当たったことを口にして、そんな事はあり得ない、と否定した。
ニュータイプの事は、彼とキシリア少将ぐらいしか知らないことなのだ。それに、フラナガン機関のフラナガン・ロム博士だ。
アニメ『機動戦士ガンダム』小説 第一巻 PART3 キャルフォルニア・クラッシュ 本文 シャア・アズナブル より
後に、ギレンは、父のデギン公王に言ったという。
「殺しすぎ増したな。地球圏運営のために人的資源は重要です」
「……かつてジオン・ダイクンは言った増した。人類そのものが変わるだろう、とな……。そうなるのなら、人類はおのずと宇宙の支配者たる人類を生み出す」
「……ニュータイプのな」
「ならば、それは、私どもです」
「奢るなよ。ギレン。ジオン・ズム・ダイクンのジオン創業の志とは違う」
「優良種たる我等が支配する事。ふえすぎた人類をコントロールして、自然の摂理のバランスの中で永遠に繁栄するのに、私どもでは不足だと……」
「不足だな。権力欲望型の人間は、しょせん、前時代のものだ」
「私が?」
「知っているだろう。アドルフ・ヒットラーという名前を?……貴公は、そのヒットラーの尻尾だな」
「父上……!」
「ニュータイプは、違うのだ」
ギレンは、この時、かすかに父に対して殺意を抱いた。
アニメ『機動戦士ガンダム』小説 第一巻 PART4 ニュータイプ 本文 デギン・ザビ ギレン・ザビ より
<“ボルテール”は後ろから支援だけしていろ!いいな?前に出るなよ!死ぬぞ>
それを聞きながらディアッカはひそかに笑いをこらえる。
自分だって、アイツらの力を認めているくせに。
アスラン、キラ----どちらもけっして敵に回したくない相手だ。だが戦って勝てないからではない。
ディアッカはあらためて、自分の属する勢力に対して疑念をおぼえる。“エターナル”にいるのが本物のラクス・クラインであることは間違いない。アスランとキラがいるのに、ラクスが贋者(にせもの)であるはずがないのだ。それだけで議長は自分たちにひとつ、大きな嘘をついている。そしてディアッカの見るところ、これほど大きな嘘をつくような人間が、嘘をひとつですませることなどまずありえない。
“デスティニープラン”にしても、ディアッカにはとうてい受け入れられない。遺伝子なんかでわかるのは、その人間の生まれ持った能力だけだ。そんなモノで人間の価値は計れない。そのことを彼はかつて、自分たちより能力的に劣ったなナチュラルの少女に教えられていた。
----まさか、彼女も来ているんだろうか、ここに?
不安が心をかすめた。
アニメ『機動戦士ガンダムSEED Destiny』小説 第五巻 選ばれた未来 本文 イザーク・ジュール ディアッカ・エルスマン より
ちょっと来てくれ!
(ホテルの)部屋がせま〜い!!旅行バッグが広げられない〜!!
どうしたらいいんだ〜!
食ってやるぞ〜おまえを〜!
次はこれだ。初日は金庫かと思ったんだ。……だが開くと、冷蔵庫なんだ!中に入らない〜!何しにあるんだ。
次はこれだ。クローゼット、……薄着しか入らない。食ってやるぞ〜!
次は靴箱。靴が一足ずつしか入らない!せま〜い。なにしにあるんだ。
これ、ホテルの悪口になるよな。アハハ……。
バラエティ番組『世界の果てまでイッテQ!』内村光良アクション編 内村光良
握手をする将軍の手は骨太で力強かった。が、将軍は疲れているようだ。
「無理もない……」
アムロとブライトは将軍の部屋を辞した。
「ベガサス・J(ジュニア)に我々を放りこむのに、将軍は身体を張って参謀本部とやりあったということだ。ジャブローのモグラどもは、ジオン以上の敵だな」
ブライトの言葉に、そういうものだろうか、とアムロは思う。
アニメ『機動戦士ガンダム』小説 第二巻 PART11 前夜 本文 アムロ・レイ ブライト・ノア より
“ララァと同じだ”
シャアは口惜しく(くやしく)思う。
「帰投!」
シャアは短く叫んで、ドムを通常の飛行フォーメーションに戻す。正面にエルメスの尻がみえる。
“笑わば笑え!”小説は第二戦速でエルメスを追い抜く。僚機たる五機のドムは遅れまいとシャアのドムに随伴する。と、シャアはエルメスのパイロットの含み笑いを聞いたような気がする。と、同時に、閃光が一条、シャアの正面モニターに映り、尾を曳いて、ア・バオア・クーの一角に消えていった。エルメスである。
「女め!」
シャアは口の中で叫んでいた。
「私の名前は、クスコ・アル!女、ではなくってよ」
これは言葉ではなかった。シャアの認識のなかにすべりこんできたサインであった。
アニメ『機動戦士ガンダム』小説 第二巻 PART11 前夜 本文 シャア・アズナブル クスコ・アル より
人は平凡なのだ。ニュータイプでも人全体の問題であるのなら、平凡な現れ方であるべきだ。ルロイにしても、ニュータイプとしての能力があるとフラナガン機関のチェックで判定されたものの、自分が超能力者であるなどと思っていなかった。元来、画家志望の彼は芸術家としてのセンスが人並み以上であるだろうという自負はあった。それに健康のための体操を五年ほど続け、彼の中では共存し得た。情熱家であり冷静な哲学者的要素もあると信じていた。それだけである。その彼の感性は、シャアの素顔を見て正確に納得する。
“人はニュータイプたり得る!”
シャアの金髪がもう少し茶色がかっていたり、眉間の傷がもっと鼻茎(びけい)にかかっていたりしたら、ルロイとてそうは感じなかったかも知れない。が、人との係わりあいというのはこういうものだろう。ルロイの画家としてのセンスの中に古代後期の芸術家ミケランジェロに心酔するものがあった。
“ダヴィデの像から力を抜いた平凡人の姿こそ、シャア中佐ではないのだろうか?”その直観はルロイにとって絶対的裏付けであった。
アニメ『機動戦士ガンダム』小説 第三巻 PART18 ドズル・ザビ 本文 ルロイ・ギリアム より
「しばらくは同盟者と信じたい……こんな私を悲しい女と思うか?」
「…………」
シャアは返事に窮した。キシリアはザビ家の一方を支える政治家であるはずなのだ。これはあまりに悲しい女の悟性の言わせることではないのだろうか?
「そ、その言葉こそ悲しいと思いますが、人はそういうものと理解します。笑いはしません。私もそういう思いを重ねてきました」
シャアは本音を語った。
「ン……。キャスバル・ダイクン……私はギレンに討たれるよりキャスバル坊やに討たれる方を選ぶだろう……が、明日の保証はしない。それはお前もそうのはずだな」
「はい……」
シャアは挙手をしてマントをひるがえした。これですべての挨拶は終わった。状況の推移の中でひょっとしたらキシリアを討つ心境にもなる事もあろうし、討たれることになるかも知れぬ。が、ゲームとしては面白いことだ。共に己の運と能力を試すには……。そして、この程度のゲームをこなすこともできずに人の世の覇権を手に入れられぬだろうとシャアは思った。
アニメ『機動戦士ガンダム』小説 第三巻 PART20 胎動 本文 シャア・アズナブル(キャスバル・レム・ダイクン) キシリア・ザビ より
しかし、
(諦めてたまるものか)
カレンは、懐に手をやった。そこには、亡くなった夫の写真が入っている。
夫とは、医療生時代に知り合った。夫は、まだ若い医師で、集中治療室(ICU)に勤務していた。
集中治療室に入ってくる患者は、みな生と死の境目にたつような者ばかりだ。天秤が「生」に傾けば、一般病棟に移される。「死」に傾けば遺体安置室に移される。どちらにせよ、集中治療室から出て行くのだ。
夫は、そんな患者たちに向かって、いつも「諦めるな」と言い続けていた。
生きるのを諦めるな。
諦めなければ、かならず治る。
俺が治してみせるから。
カレンがサンダースに腹を立てたのは、諦めていたからだ。死神サンダースのジンクスを受け入れ、それを覆せないと諦めていたからだ。
(あたしは諦めないよ)
カレンはマグライトを口にくわえて、パネルの奥を照らした。そして空いた両手で、色とりどりのコードを引き出す。どうすれば直せるのか見当もつかないが、カレンは諦めるつもりはなかった。諦めることは、夫を否定するような気がするから。
(生きてやるさ)
マグライトをくわえる歯が、ギリッと音をたてた。
アニメ『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』小説 上巻 第七章 強敵 本文 カレン・ジョシュア より
「まったく、経験のないやつがハマるとは怖いよなあ」
不意に、エレドアが言った。
「僕だって……それがBBだったら同じようなことしてるかもしれない」
俯いたまま、ミゲルが呟いた。
「一度は隊長に救われた命です。今更、出し惜しむつもりはありません」
やけに晴れ晴れとした顔で、サンダースは笑った。
「そろそろ8小隊も、隊長つぶしって仇名は返上したいですからね。生きて帰ってください、隊長」
カレンが、慣れないウインクをしてみせた。
それぞれ言い方は違えど、その意味する所は一つだ。
つまり好きにしろ----である。
アニメ『機動戦士ガンダム第08MS小隊』小説 中巻 第四章 進駐 シロー・アマダ カレン エレドア サンダース ミゲル より
シロエっちもここまで予見したわけではないニャ。
隠れて引率しているわけにはいかないニャ。
アニメ『ログ・ホライズン2』第19話 赤き夜 にゃん太班長 より
「させるかよ!」
巨体を返すと、左腕を振りあげる。ハンド・ミサイルユニットが装着されているのだ。アンディがコクピットの奥にあるプラグを抜くと、それは、今獲物に飛びかからんとする蛇の口のように、バクンとカバーを開いた。
それをシャトル発射台に向ける。モニタの端に映っていた、倒れたジムが動いた。まずい、とアンディが心の中でわめいたがせつな、ジムの機関砲が炸裂した。
ほとんど同時に起こった爆発音を、アンディが聞くことができたかどうか。ひしゃげたコクピットが、彼の体をちぎらんばかりに深く噛みつき、倒れたモニタの破片が、彼の顔を貫いたその瞬間に。
ジムが放ったやぶれかぶれの一発が、カバーを開け無防備になった、彼のズゴック改のハンドミサイルに命中してしまった。
あたりに白煙がぱっと充満してしまったのだ。音という音がすべて、ジェットエンジンの噴出音に飲み込まれ、基地全体が大きく震えたようだ。シャトルはゆっくりと船体を浮き上がらせると、重力の枷を一気にひきはがし、シャトルの尾を引きながら、みるみるうちに上空へ飛翔していった。
静寂だけを残して----。
「♪♪ンーフフッフ、ンーフフッフ、ンーフフッフ……」
薄らいでいく意識の中で、アンディは血の味を感じながら、この鼻唄を歌っていた。不思議と、死ぬことへの恐怖はなかった。
彼は思い出した。この歌は、自分がまだ戦争ゴッコに夢中になっていた子供の頃、オモチャの銃を構えながら歌っていたものだということを。そして、可笑(おか)しくなった。いつのまにかゴッコがゴッコでなくなり、今はこうして、ゴッコの歌を友に死のうとしている。
オレの魂は、恐らく宇宙に昇るだろう----アンディは途切れ途切れの鼓動の中で考えた----今や宇宙にも、九十億もの人々が住む時代だ。そして、そこで産まれかわり、やはり戦争ゴッコにはやるガキになるだろう。それもいい。戦争ゴッコほど、心ときめく遊びはないのだから……。
アンディのなきがらを葬ったサイクロプス隊の三人が、唯一、心を救われたのは、この、良き戦友の傷ついた顔が、それでもなぜか、童心に返ったように穏やかであったことであった。
宇宙世紀00七九。一年前に始まったジオン公国対地球連邦軍の戦争は、ジオン軍の敗色が濃厚になりつつあった。
シャトルが昇っていった先、そしてアンディの魂が戻っていったところ、そこに、一人の少年が住んでいる。名前は、アルフレッド・イズルハ。いつの時代にも、どこの国にもいそうな、ごくありふれた少年だ。
物語は、彼の夢から始まる。
アニメ『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』小説 プロローグ/0079----冬 本文 アンディ より
「これで完成ですな----」ミーシャはクリップデータにつけたファイルをチェックし、シュタイナーに渡しながら伝えた。「テストの状態も良好、あとは武器の封印(シーリング)を外すだけですよ」
二人は今、ジオン軍モビルスーツ、“ケンプファー”の巨体の脇にいるところだ。太陽はあれから、再び空に昇り、その光は工場内に斜めに差し込んでいるところである。
アルを作戦に加えるという独断を下したシュタイナーであったが、そこは長年連れ添った特務の二人、ミーシャとガルシアは、彼の腹の底になにかあることを読みとって、こうして黙って、ケンプファーの組み立て工程にかかっていたのである。それももう、終わりに近づいていた。作戦が開始されるのは、今夜半なのである。
シュタイナーは、火のついてないタバコをぶらさげたままファイルを確認して、深くうなずくと、懐に手を滑り込ませてなにやら取り出した。ライターである。
「おや、禁煙はやめですか?」
「死刑囚でも、刑の執行前にはタバコくらい吸わせてもらえるだろう」タバコに吸いつけ、一息紫煙をくゆらすと、シュタイナーはニッと笑った。「だったら、オレが吸えない道理はない」
「淋しいですな----」
「……この戦争、ジオンは負けるな。ミーシャ----」シュタイナーは顎を上げ、天井を見上げた。「でなければ、オレたちの作戦が失敗したときに備えて、あんな条約違反の“保険”など、かけるわけない」
しばし、二人の間に沈黙が流れた。ミーシャも顔を上げる。工場の天窓に、だれかの腕が見えた。バーニィとアルが、屋根にいるのだ。「----隊長、あの子供のことですが」
「心配するな。手は考えてある」
「だろうと思いましたがね。しかし、威勢のいいガキですなあ」
「はっはは。子供ってのは、いつの時代も変わらんらしいな」シュタイナーはタバコを投げ捨て、どこか遠くに視線を投げて、言った。「オレにもそんな頃があったよ。まるでそれが夢だと気づきもしないで、戦争ゴッコにあけくれた日々がな----」
「オレも同じですよ、大尉」 ケンプファーの装甲の上から会話を聞いてたらしいガルシアが、工具を振って答えた。「まさか、それを商売にしちまうとは、思っても見ませんでしたがね。さて、武器の封印を外すのを、手伝ってくれませんか」
OVA「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」 小説 2 河を渡って木立を抜けて シュタイナー ミーシャ ガルシア より
頭のいい女は、頭のいいのを前面に出さない!そう!そのとおり!
ちょっとバカっぽく女を見せた方がええねん。
バラエティ番組『怪傑!えみちゃんねる』上沼恵美子 より
屈託のない、明るい子供たちの笑い声が、どこからか聞こえてくる。それは、口々に、なにかを祝福しているようだ。今日は、年が明けて最初の登校日である。
窓からこぼれる木漏れ日は、優しく、温かく、その小さな部屋の中に差し込んでいた。その部屋の主は少年であろうか。それも、まだ腕白な盛りのようだ。ゴミバコには紙屑が溢れ、床には玩具の銃が無造作に転がっている。机の上には、ノートやテキスト、ペンの類が散らかり放題という有様だ。
その山の中に混じって、黒い、小さな機械類が覗かせている。ビデオカメラのようだ。ディスクがセットされたままである。
それは、まるでノートの山の下に、隠すように置かれてあった。
少年がそのビデオを見たのかどうか----それはわからない。しかし、もしそのカメラを操作すれば、その者は、ディスプレイの中に、こんな情景を見るはずだ。
金髪の、まだ若い青年が、森の中、カメラに向かって話しかけている。そんな映像を。
「アル----。よく聞いてくれ」
彼は、まず画面に向かって、こう話しかけてくるだろう。
「おまえがこのビデオを見る頃、オレはたぶん、この世にいないと思う。これはアル伍長への、最後の命令だ。おまえに渡した包みの中には、オレの証言を納めたテープや、証拠の品が入っている。このコロニーが、核ミサイルの目標になったわけを、オレの知る限り納めた」
青年はディスプレイ越しに、優しい瞳で、それを見る者に微笑みかけてくるだろう。
「もし、クリスマス作戦が失敗したら、これを、警察か、軍に届けてくれ。オトナが本当だと信じてくれたら、このコロニーは救われると思う。クリスマス・プレゼントというわけだ」
ひと段落を置き、彼は続ける。淡々と。
「オレが自分で届けようと思ったんだが----悲しいけど、オレはジオン軍人なんだよな。やっぱり“できそこない”を、この手で討ち取ってやりたい。そう思う。別に“できそこない”のパイロットが憎いとか、連邦を倒さなきゃいけないとか、そんなんじゃないんだ。ただ、オレを逃がしてくれた隊長たちに、軍人として、少しでも近づきたいって----。わかってもらえるかな?アル……」
青年の心は、少年に伝わっただろうか。彼は、溜息をつくと、決意を込めた顔を上げる。レンズの向うの相手に向かって。
「アル。オレはたぶん死ぬだろうが----そのことで、連邦軍の兵士や、“できそこない”のパイロットを恨んだりしないでくれ。彼らだって、オレと同じで、自分がやらなければいけないことを、やってるだけなんだ。無理かもしれないけど、他人を恨んだり、自分のことを責めたりしないでくれ。これはオレの最後の頼みだ……」
青年はうつむき、しばらく黙り込み、そして顔を上げる。ぱっと晴れたそれを。そして軽い口調で、彼は言う。
「もし、生き伸びて、戦争が終わったらさ。必ず、このコロニーに帰ってくるよ。おまえに逢いにくる。約束だ」
ウインクをひとつ。そして右の手で指鉄砲をつくり、レンズに向かって、撃って見せた。なにか、ふっきれたような表情で。
「じゃあな、アル。元気で暮らせよな。クリスによろしくな」
青年は、ニコリと笑うと、すっと右腕を上げて、カメラに向けて、敬礼をする。きりりと勇ましく、そして、何より、レンズの向うの相手に、親愛の情をこめて----。
OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』小説 エピローグ/0080----春 本文 バーナード・ワイズマン(青年) より
「そうか。これはデラーズ大佐の専用機か」
ジオン軍では、指揮官が専用モビルスーツを持つ事が慣習的に定められている。もちろん式典用という意味合いが強いが、最後の最後には、指揮官自ら前線に立て。という魂の表れでもある。実際多くの指揮官が、前線において自ら出撃、勳功を立てた例も多い。例えばあの、“赤い彗星”のように。
----しかし、貴重な戦力には違いない。我が母艦、ドロワの直衛にも回らねばならんしな。
そう自分に言い聞かしながら、コクピット内に身を潜り込ませようとした瞬間。
野太い声がガトーを制止した。有無を言わさぬ、威圧感に満ちた声だった。
「待つのだガトー!」
さすがのガトーも、その重厚な声に動きを止めた。
声の主、それは今まさにガトーが乗らんとしているリックドムの持ち主だった。
エギーユ・デラーズ。このグワデンを旗艦とする機動艦隊の司令官である。
「エギーユ大佐。しかし」
「貴公の母艦ドロワは、沈んだ。連邦軍モビルスーツ隊の猛攻によってな」
「馬鹿な、あのドロワが?」
「ドロス、ドロワという両空母が失われ、我が軍の戦力はズタズタに引き裂かれた」
無念そうにその瞳を閉じるデラーズ。多くの戦士達の冥福を祈るかのように。だがガトーとして、その心がわかるからこそ、こうして出撃しようとしているのだ。こうなれば、弔い合戦である。
「しかし、このままでは散っていった兵も浮かばれません!」
「我が総帥ギレン閣下も亡くなられた。我らは、生きて総帥の志しを継がねばならぬのだ。それがジオン軍人としての使命であろう」
「ギレン総帥が……」
言葉が途切れる。しかし彼は、その驚愕の念を振り払い言葉を繋ぐ。
「ならばなおの事。ここで私に生き恥をさらせと言うのですか、大佐」
「アナベル・ガトー大尉!」
「行きます。行かせてください」
ガトーが再びコクピットに向き直った時、デラーズはキャットウォークから飛んだ。そして、ガトーの元にたどり着き、その右腕を捕らえる。ガトーほどの男が、一瞬顔をしかめるほどの豪力で。
「行ってはならん」
「大佐。お願いします」
「ならん。生きてこそ得ることのできる真の勝利の日まで」
右腕を握りしめ、デラーズは一語一語噛みしめるかのように言葉を紡いだ。ガトーへ向けてと言うより、内なる自分自身に対する決意の言葉だったのかもしれない。
だからこそ、ガトーも理解した。
大佐も同様に、いや、それ以上に辛いのに違いあるまい。生粋の武人ならば、理想半ばにして倒れた総帥の後を追い、戦場で散りたいであろうに。
生きてこそ得ることのできる真の勝利の日。
本当に、そのような日が訪れるのであろうか。
ガトーは無言でデラーズの目を見据えた。それだけで十分だった。それだけで彼は、来るべきその日を信じる事が出来た。
----この方の言う事ならば。
理屈ではない。かと言って、感情だけではなかった。右腕から伝わる、デラーズの情熱を感じとったからだ。
だからこそ彼は、
「その日まで、貴公の命、儂(わし)が預かった」
というデラーズの言葉にもうなずくことができた。
----生きてこそ得ることのできる、真の勝利の日まで。
「その日まで、私の命、大佐にお預けします」
デラーズは、ただ黙ったままうなずいた。
OVA『機動戦士ガンダム0083 スターダストメモリー』小説 上巻 本文 アナベル・ガトー エギーユ・デラーズ より
『少佐。おめでとうございます。後はコムサイの到着を待つだけですな』
16M(ザメル)のパイロットが、ガトーに通信を送る。
「世辞はいい。しかし最後の最後まで油断はならん。向こうもコムサイの到着には気づく頃だからな」
『万一の時は、おまかせを』
「このまま遭遇なしに2号機を持ち帰れるのであれば、それに越したらことはない。しばし、息を潜めて待つだけだ」
『はい』
制服の詰襟をはずしながら、ガトーは息をついた。それにこの後宇宙に無事帰れたとしても、まだまだすべき事は山のようにある。ジオン再興の道のりは、まだ最初の一歩目にしか過ぎないのだ。
ガトーは決意を新たにする。そしてモニターの映像に見入った。
彼を回収するコムサイは、すでに大気圏への突入を開始している頃だ。だが岩棚に囲まれたこの場所からは、目視する事は出来ない。隙間から見える満天の星空だけだ。
「地上から見る星空も、なかなかに美しい物だな」
『少佐、なんとおっしゃられました?』
「いや……」
----“星の屑”が成功した暁には、この夜空を、二度と地上から見上げる事もできまい。つぶやき、彼は口元に笑みを浮かべた。
彼自身気付いてなかったが、それは地上に降りて以来、初めて見せた笑みだった。
そして間もなく、日付が変わった。
OVA『機動戦士ガンダム0083 スターダストメモリー』小説 上巻 第2章 終わりなき追撃 アナベル・ガトー 16M(ザメル)のパイロット より
何を掴もうというのだろう。
大地に仰向けに倒れる緑色のモビルスーツは、その左腕を天に伸ばして息絶えていた。
上空をアルビオンがかすめる。黒い影を落としながら。
その前方には、白旗を手に立ち並ぶ百余命の将兵の姿があった。投降を求めて来たキンバライド基地の兵士だ。コウはモビルスーツデッキの舷窓からそれらを見おろしながら、深い感慨に浸った。初めて見る生身の敵である。彼は、呟くともなしに、口からその感慨を漏らしていた。
「あれが敵」
率直な意見だった。しかし敵という言葉に、憎しみはおろか、何の感情も含まれてはいない。ただ敵と呼ぶものの、具体的な形を確認しただけだからだ。彼がその言葉に意味を持たせられるようになるには、まだいくばくかの時間を要する。
OVA『機動戦士ガンダム0083 スターダストメモリー』小説 上巻 第4章 熱砂の攻防 本文 コウ・ウラキ より
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