ももか(๑→‿ฺ←๑) I Lᵒᵛᵉᵧₒᵤ宿題 2014-08-03 19:56:59 |
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でもね?
やっぱり夜が一番好き。
優しい月の光は、ソッと私を包んで。
散りばめられた星々は、宝石みたいで。
それを見るのが私は何より好きだった。
それに、星が降る夜は美しい夜。
美しい夜を見ると、あの子は笑うの。
だから………
──────
「しの!おはよう。」
『おはよう。』
朝、いつものように、いつもの場所で、親友の亜由美と合流して学校へ向かう
「今日、文化祭の買い出しだっけ?」
『うん。100均に。』
私と亜由美は文化祭実行委員
その日の放課後は、クラスで出す模擬店の買い出しに行くことになっていた
「でもさぁー…」
『何?朝からうかない顔して。』
「文化祭。しの、午後からずっと放送室にいるんでしょ?」
『うん。』
「うんって…
あんたは納得できてもね、私は納得いかないのよ!
たしかに、放送係は一番めんどうだけど…
不幸体質のしのとじゃんけんして、負ける人なんているわけないじゃない!」
たしかに…
私の記憶が正しければ、私はじゃんけんで勝ったことがないけど…
『そんなあからさまに言わなくても…』
「あ、ゴメン…」
まぁ、私の不幸体質は折り紙つきだし
『じゃんけんで決めるって言われた時点で、結果はわかってたよ。』
「もう。そのあきらめ癖、よくないよ?」
『はいはい。』
ちょうど会話が終わった頃、学校についた
そして私は、そんなどこにでもありそうな高校の、どこにでもいそうな女子高生
美人じゃないけど、ブスでもない。
地味じゃないけど、目立ってるわけでもない。
みんなより、ちょっと勉強ができて、ちょっと童顔なくらい。
ホントどこにでもいる高校生
「しのっ! シャツのボタンかけ違えてる!」
『あ…』
少しドジなのは許容範囲内
「まったく…」
『いやー。朝急いでて。』
ボタンをなおしていると、
「しのー!」
そんな声が廊下から聞こえた
目をやると、廊下にいたのは違うクラスの男子
『なにー!?』
小走りで廊下まで向かう
「借りてたCD。」
『あー!わざわざありがとう。』
「また借りていい?」
『うん!ぜんぜんいいよ!』
「ありがとう。」
そう言って颯爽と去っていく男子
あの人モテるだろうな…
私はかなり友達が多いほうだと思う
さっきも廊下ですれ違った先輩に
「しのちゃん、1-Dって何の模擬店だすの?」
ってきかれた
けど…
『私、あの先輩知らないんだよね。』
「しの、有名だから。お人好しも大変だね。」
『たこ焼きですって言ったら、しのちゃんのたこ焼き食べに行くねって。私、ほとんどいないんだけど…』
「先輩ガッカリするね。」
そう言うのは、クラスメイトの中では一番仲のいい静香
『なんで?』
「しのはモテるから。」
『美人じゃないし。ちんちくりんだし。』
「そうゆうことじゃないのよ。女は見た目じゃないんだから。」
『うそー。』
「本当。うちの学校で“しの”って名前、知らない人はいないよ?」
『“しの”は名前じゃないよ。』
“しの”はあくまでニックネーム
本名は篠原美夜
篠原の“しの”なのに、みんな“しの”って名前だと思ってる
『名前知ってる人だけでも、“みや”ってよんでくれたらいいのに。』
「それだけ、“しの”が有名で“みや”が知られてないの。」
『まぁいいけど。』
自分でさえ、みや”って呼ばれても振り向かない気がする
「まぁ、しのはやっぱりしのだよ。」
『うん。』
「じゃあ、また明日ね!」
『じゃあね!』
ホームルームもおわって静香と別れ、亜由美のクラスへ向かった
亜由美のクラスは1-B
2つ隣の教室に入ると、そこには亜由美のほかにもたくさん人がいて、みんなで何か話してる
「あ、しの!こっちこっち!」
亜由美に手招きされ、向かった先にあったのは一枚の写真
みんなそれを囲むように立っていた
『なにこれ。』
写ってるのは男の人が4人
それもみんな派手な
「やっぱりしのは知らないか。」
どうやら、私以外のみんなは知ってるらしい
「黎明(れいめい)の幹部の人たち。」
『黎明?』
「暴走族。」
ぼ、暴走族…
『亜由美、暴走族好きなの?』
「そんなわけないでしょ。アイドルみたいなもんよ、この人たちは。」
たしかに、整った顔ばっかりだけど
「でも、かっけーよな!」
そう言ったのは確か…浜野君
「暴走も喧嘩も、この辺じゃ敵なしだ。全国クラスだよ。」
そんな暴走族がこの辺で活動してる…
背筋がゾッとした
『亜由美。行こう。』
「うん。」
もう聞きたくない
早足で校門まできていた
「しの、そんなに暴走族嫌なの?」
『大嫌い。』
暴走族って言葉すら聞きたくない
「しの、怖い人とかチャラい人嫌いだよね。」
『嫌い。』
「人は見た目じゃないよ?」
『でも、嫌い。』
「…相当ね。」
亜由美がなんといおうと、嫌いなものは嫌いだ
『そっちのクラス、カフェでしょ?』
話題を変えようと、そう話をふった
「うん。今日の買い物は食器とか。そっちは?」
『うちは、パックと爪楊枝と持ちかえりの袋とか。』
材料は直前に買いに行くことになってる
「そしたら、少し遠いけど大きい100均まで行こうか。」
『そうだね。』
そう決めて、電車に乗り込んだ
けど…
『なんか、怖い人多くない?』
「多いね。」
電車の中が妙に張りつめてる
それに、金髪率がすごい
これは…
「黎明の人達だ。」
『げっ…』
「誰かつけてるのかもね。静かにしてよう。」
『え、違う車両に…』
「どこも同じよ。」
そんなぁ…
「大丈夫。黎明は一般の人には何にもしないから。」
『うん…』
今はその言葉を信じるしかない
はやく降りてと願ながら、亜由美の隣で縮こまっていた
「あ…」
亜由美の声に顔をあげると、黎明の人たちぞろぞろと電車を降りていた
『げっ…』
この駅、私たちが通学にいつも使う駅だ
私と亜由美の家はこの駅から歩いて10分くらい
いつもこの駅から電車に乗って高校に行ってる
でも、よりによってなんでこの駅で…
「最近この辺治安悪いからね。」
『あんな人が来るから治安悪くなるんじゃないの?』
「私もそう思う。」
沈んだ気持ちのまま、電車はまた走り出した
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