主 2013-11-30 15:59:21 |
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はい。…え?(返事をすると相手の手の中にほうきが現れた様に見えた。おかしいな、と目を擦ってもう一度見てもやはりある。問おうと思ったが相手はすぐに掃除に行ってしまって。気のせいだ、とそう思う事にして自分を納得させようとしたが思い切れず、不思議そうに時折首を捻りながら掃除をして。掃除の手を止めて今までの会話を思い返し「…と言いますと、神流祇さんは神様って事ですか」と信じられないと言う様に言って)
宜しくねー(目を丸くする相手に今までと同じ、柔らかい笑みで前記を述べると。手伝ってくれる人が居る…嬉しい…そう考えるも何か思い出したようにハッと顔を挙げ『やっぱいい!』と言いながら相手から半ば強引にほうきを取り上げ。神様なのかと問うてくる彼に『だからそうだって言ってるじゃん』と不満気に返せば)
はーい(考えていても埒が開かないのでそう軽く返事をし。同じ所を掃除してもしょうがない、少し離れた場所に行こうとすると突然ほうきを取り上げられ、相手の剣幕に怯んだ様に「急にどうしたんですか」と。まだ疑わしい所ではあるが、神であるならば先程の不可解な現象にも説明がつく。「いやー、だって信じられないじゃないですか」と不機嫌そうな相手に愛想笑いをしつつ、頬を掻きながら言って)
うん。気持ちは嬉しいけど…その…悪いから掃除はしなくて良いよ(相手を少々怯えさせてしまったことに罪悪感を覚えつつ、目を宙に泳がせながら前期を途切れ途切れ告げて。今度はほうきを手のひらで消し、自分の分のほうきも消滅させて。やる気なくなっちゃった、と苦笑すれば。愛想笑いをする相手に『この時代、信じろって言った方が無理があるのかもしれないね』そう寂しそうに言って)
いや、絶対嘘でしょ(先程までとは違いたどたどしく話す相手を指差し、理由を説明しろと言わんばかりのジト目で見て。ほうきが消えた時は目を輝かせて歓声を上げたが、終わると再びジト目になり、じりじりとにじり寄って。寂しそうな相手の様子を見、「あ、いや、俺は信じますよ!面白そうだし!」と慌た様に体の前で手をバタバタと動かして言い)
はあ…やっぱり嘘は苦手だなあ(自分で自分に呆れたようにそう言うと言葉通り肩を落として。ほうきを消すことで相手の気を紛らわせる事が出来ると思ったが、其れはほんの一瞬。又迷うも堪忍したように『俺はね…』と話し始める。慌てたように手を振る相手を見、薄く笑うと『そう…。有り難う。優しい君の名前、知っておきたいな』と)
(気落ちした様な様子を見、悪い事をしてしまったかな、と罪悪感に苛まれ顔を歪めるも、相手が話し始めると真面目な顔付きになり息を潜めて聞く体勢に入り。滅多に言われない言葉に「はは、そんなに優しくないですけどね」と照れ混じりの苦笑をすれば、一度深呼吸して背筋を伸ばし「楠川環と申します。…なんちゃって」と雰囲気を作って優雅に一礼したのち、悪戯っぽく笑って肩を竦め)
この神社の守神をしてきたんだ。2000年位(果てしなく遠くにある記憶を一つ一つ掘り返すように慎重に話をして。優しくないと謙遜する彼を目を細めて見れば『君みたいに信じてくれた人、二人目だよ。他に何百人も会ってきたけど信じてくれたのは君でたった二人』心底辛そうな表情で苦虫を噛み潰すように言って。ふざけた調子で自己紹介をする相手を見て面白そうに笑うと『環か。良い名前を貰ったね』と)
ずいぶん、長いですね(想像出来ない位長い時間。昔は栄えていたのだろうが今はもう人が来ない、何年間独りだったのだろう、そう考えると誰に言うでもなく寂しげに言葉を洩らして。こういう時どうするのが最善か分からないが「理解者がいないって辛いですよね…。その人、いい人ですね」と自身も辛そうな顔をし、腕を伸ばして優しく頭を撫で。「そうですか?たまに変って言われますよ」と言いながらも良い名前、と言われて表情を輝かせ、名前が好きなのかどこか誇らしげで)
そう。長い間生きてきた。だから、人間の良いところを沢山知れた。…悪いところも、もっと沢山(寂しげに言葉を洩らす彼を見、クスリと笑えば君がそんな顔しなくていいのに、と言うような顔をしながら左記を述べて。『変な人間だったよ、他の人は俺を避けるのにその人だけは俺に笑ってくれるんだ』そう呟き頭を撫でてくる相手の手を遠慮がちにどかせば触らない方が良いよ、と。変な名前、と言う彼に『両親が付けてくれた名前でしょ?変なんて言っちゃいけないよ。…俺なんか、"神流祇"として生きてきた時間が長すぎて、本名忘れちゃった』と相手を羨むように苦笑いで言って)
…人間は醜い生き物だ、って良く言いますからね(相手の話に感情移入してしまい、言葉を聞く度に段々辛い表情になって行き。話の切れ目にとうとう俯き、言いたい事は色々あったが自分の中でまとめ切れず、結局どこかで聞いた言葉を口に出して。「へえ、素敵な人じゃないですか」素直にそう思った事を言い微笑んで、触らない方が良い、との言葉は無視し、今度は退かせない場所にしようと服の袖を握り。「はいはい。…本名あったんですね」相手の説教じみた言葉に適当に相槌を打ったが、重い話にどう返せば良いか分からずそうとだけ言って)
君は…人間である自分も醜いと思っているの?(辛い表情になっていく彼に話を中断しようと口を紡ごうとしたが相手の発した言葉に反応しそう聞いて。『…もう、死 んじゃったけどね』昔の想い人の顔も思い出せないまま俯き、服の裾をつかむ彼に君は不幸になりたいの?と。『流さないでよ。……日本の神は元々人間だった、って話も多いんだよ』適当に相づちを打った相手にこのやろーと笑うと昔のことを思い出すような表情で)
そうですね。醜さの塊だと思ってますよ(突然何だと思ったが、顔を上げて自嘲の笑みを浮かべ、少しも迷う事なくすらすらと答えて。答え終われば、どうしてこんな質問を?と言う表情をして。「てことは、ずっと昔の人ですか」そうだろうとは思うが、もしかすると最近の人かも、と思い確認しようと訊き、それは嫌ですね、と言うが手を離す事なく軽く笑って。「丁重にお断りします。…人間が神に?それは初耳ですね」ふざけてお辞儀しながら答え、相手の表情を見て綺麗だな、と目を細め、神話の本でも読んでみようか、と腕組みして考え)
"自分の醜さと付き合える人こそが最も強い"…か(相手の返答を聞き昔の想い人がいつだったか言っていた言葉を思い出して呟く。聞きたいような表情をする相手に君は強いのか知りたかったからさ、と答えて。『…もう、100年は越えるかなあ』来ると思っていた質問にやっぱり、と言うように笑うと一瞬悲しそうに顔を歪ませて。嫌なら触らないで、不幸になるからと答えると『そう?残念だよ。……俺も人間だったんだ、でも、生きるのが怖くて…』と喋りながら小刻みに体を震わせて)
格好良い言葉ですね(そっと自分の胸に手を当てて自分もそうだったら良いのにな、という羨望を滲ませて前記を述べ。相手の言葉に当て嵌めるとしたら自分は付き合えてはいないだろう、本心から俺は弱いですよ、と。「100年…昔なのか最近なのか」2000年からすれば僅かな時間なのか、そんな事を真剣に考えていたため相手の表情の変化には気付かず、能天気に考え続け。それこそ嫌です、不幸になる気はさらさら無いですし、と掴む力を強め「そりゃすいませんね。……生きるのが怖いって…大丈夫ですか!?」様子の異変に気付き、震えを止めようと相手の肩を上から押さえて)
でしょ?俺、好きなんだよ此の言葉(格好良い、と言った相手にパッと顔を輝かせてニコリと笑い言って。自分の弱さを主張する彼に、それでも自分の弱さは分かっているのは凄いと思うよ。と尊敬するような口ぶりで。『一瞬だよ、100年なんて。瞬きしていたらいつの間にか過ぎていた、位にね』自分が情けない顔をしていたことに気づき相手に悟られていない事を良いことに明るい表情を作る。君は…馬 鹿な人間だな、自分の不幸よりも他人の幸せを願うのかい?と少し抵抗を弱めると『だ、大丈夫…大丈夫だから…ちょっとすれば落ち着くから…』と焦点の定まっていない瞳で)
本当に良い言葉です。なんか、勇気が貰えるっていうか…(胸元を握り、上手く言い表せないが熱の篭った口調で言って。凄いと言われ一瞬きょとんとし、じゃ、次は弱さの克服ですね。すぐに嬉しそうに笑って目標を立て。「人間だと、一生が100年ですけどね」あまりにも違い過ぎる感覚に苦笑して。不幸を遠ざけるのは愚か者、馬鹿にはなっても愚かにはなるな、ってね。抵抗が弱まった隙に手首を掴み、得意気に祖父の受け売りを語って「いや、大丈夫じゃなさそうですけど」相手の様子は強がっている様にしか見えず焦って言い、落ち着かせるには、と考えた結果、頭を抱え込む様にして相手を抱き締めて)
……!教えてくれたその人も、同じ事言ってた(相手の感想に胸の内を熱くしながら大きめの声でそう言って。弱さの克服を宣言する相手に無言で頑張れ、と頷いて。『…100年も生きられたら、俺も幸せになれたかな?』自分の人間時代の短すぎる一生を思い出し、願いというよりは祈るような声音で前記を呟く。…もう俺知らないよ。手首を握る相手に諦めたように笑うとこっちの方が良いと手を握って。『………っ!!』突然抱きしめてきた相手に抵抗する暇もなく目を丸くさせて)
おお…もしかして俺、その人の生まれ変わりだったりして(守神なんて不思議な存在があるなら、生まれ変わりもあって良いだろう。そうだったら良いな、と思うが相手にとって大切な人を軽々しく扱うのは厳禁。冗談に聞こえる様おどけて言い。無言ではあったが相手の意思を感じ取り、力強さを感じる瞳で相手を見、小さく拳を握って。「多分、なれたでしょう。好きな人と一緒になったりして、」相手の事を思うと、すぐに言葉が出て来ない。慎重に言葉を選びぽつりぽつりと発言して。知らないと言われれば不幸上等ですよ、と不敵に口角を上げ、少し強めに握り返して。「落ち着きましたか?」ゆっくりと背中をさすりながら相手の顔を覗き込む様にして)
…言われてみれば…似てなくもない…かもしれない(相手の顔を至近距離でしげしげと見つめ小さな可能性を肯定するように呟いて。雰囲気とか喋り方とかが多少似ているように感じられる気がする。『そうだよねぇ…。俺の代わりに君には100年生きて欲しいな』多分、と言う相手にしみじみと同意すると朧気に笑い、きっとね、と小さく付け足す。口角を上げた相手に変な人、と笑うと繋がれた手を見つめて。『有り難う…もう大丈夫。』そう言い相手から離れるも目元を隠していて)
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