ゼロ 2012-08-12 16:50:55 |
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しってたら、スマソ。
開くとき、親いないか注意しろよ
微かに甘い香りが鼻腔を|擽《くすぐ》り、まだ醒めない脳に広がって消えていく。加えて今、体には重すぎず軽すぎもしない、心地の良い重さがある。肩甲骨より、すこし低い所には軽く締め付けられているようにも感じられる。
気持ちは良いが不思議に感じ、まだ重い瞼を無理やり持ち上げる。ぼやけながらに開かれる視界に最初に入ってきたのは、クリームブラウンの髪だった。手には、やーらかい。やーらかい。本当にやーらかい感触もある。
意識は一気に覚醒する。
結果、目はパチパチと秒速瞬き。……おかげで、美波先輩の異様に露出している姿この双眸で捕らえました。手は、勿論揉みつづけ。
あ……これ、エロゲの王道パターンじゃん……
意識が醒めきる最中、某エロゲを思い出す。
……ん?まてよ。こういうのって、大半この後……
「まーくーん。朝だよー。いい加減、起きないのー?」
オワッタ……
8時30分までが登校時間の碧桜学園。そして、今は7時20分。いつもであったら7時には起床していた瞬だったが、今日に限っては別だった。
謎の倦怠感によって、無理やり眠らされていたようなものだった。目覚めてみれば、|現実《リアル》エロゲ展開。嫌というわけではない―――というより嬉しい―――が、今は本当に別だった。
「ふわぁ……あら、起きてたの?瞬」
美波が小さく欠伸をし、起き上がる。無論、俺を抱いていた形で起き上がるから、その……位置的には完璧?
同時に、部屋の外からは足音が聞こえてくる。
この部屋は2階にあるため、外への脱出は不可。一人、至高を巡らせる。
「あら、どうしたの瞬。そんなに慌てて」
そんな中、美波は瞬とは逆に落ち着いて動かなかった。
「そ、そりゃ、慌てますよ。てか、何で先輩がここに!?」
慌てつつも問う。足音は依然近づいているようだった。……今、階段だな。
「それは勿論、あなたの為よ?」
「……へ?」
互いに見つめ合うように黙っている中、足音が消えた。その代わり―――
「まーくん、入るよー」
―――ドアノブが回り、ドアが開かれた。そして、少し開かれたドアから、ひょこっと小さな顔が出てきた。
「まーくん。起き……な……」
顔はそのままの位置で、ドアが勝手に開かれる。
朝食を作っていてくれたのだろうか。エプロンを付けていた。
「お、おはよう、|咲《さき》。今、起きるから待ってて?な?」
「……まーくん。どういう事」
駄目だ、聞こえてない。
入口で直立不動の状態になると、プルプルと小刻みに体が揺れているのが見て取れた。……ん?右手光らなかった?
「さ、咲、落ち着け?な?」
「まーくん……何やってんのよ!」
右手でドアを殴る。殴られたドアは包丁が貫通し、外れて壁にぶつかった。
「お、落ち着け、こ、此れには深いわけガハァァ……」
言い分けも空しく、何かが飛んできて頭に直撃する。直後、意識が反転し、再び夢の世界へ舞い戻っていった。
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