カロンは冥王星の衛星公転周期は267年自転周期は6,75日 2011-05-18 17:28:36 |
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はじめに、「定義」という言葉がお分かりになるでしょうか。「ある新しい用語を使い始めるときに、その意味をはっきり定めるために宣言をする」というほどのことです。
では、まだ「数」という用語がなく、1,2,3だとか+という用語もない。そういう状態から出発です。
[イ] 数という用語を定義します。
[イ-1] 0 は数である。
(0とはどんな意味か、ということはどうでもいいんです。ここでは、「数というものは、『0は数である』と言える、という性質を持っているんだぞ」ということだけを宣言しています。)
[イ-2] aが数のとき、a’は数である。(←★注1)
(記号(’)はどんな意味か、ということはどうでもいいんです。ここでは、「数というものは、『aが数なら、a’も数である』と言える、という性質を持っているんだぜ」ということだけを宣言しています。
以下、「数」という用語は、「0は数である」と言う時と、「aが数なら、a’も数である」と言う時にだけ使います。だから、0って何だ、(’)って何だ、数って一体なんなんだ、ということを知らなくても構わない。従って、そんなことは決めなくても良い。決めていないのだから、そういう質問をされても答えはない、ってことになります。)
[ロ] 1, 2, 3, 4, 5 という用語を定義します。
[ロ-1] 1とは0’のことである。
(1は「0’を略記したもの」ということであり、1=0’です。[イ-2]より、0が数のとき、0’は数です。そして[イ-1] より、0は数です。だから、0’は数です。[ロ-1] で、この数0’を1と略記することに決めたのです。だから、「1は数である」と言えます。)
[ロ-2] 2とは1’のことである。
(2は「1’を略記したもの」ということであり、2=1’です。[イ-2]より、1が数のとき、1’は数です。そして[ロ-1] より、1は数です。だから、1’は数である。[ロ-2] で、この数1’を2と略記することに決めたのです。だから、「2は数である」と言えます。)
[ロ-3] 3とは2’のことである。
[ロ-4] 4とは3’のことである。
[ロ-5] 5とは4’のことである。
も同様。(←★注2)
[ハ]+という用語を定義します。
+ は、以下の二つの性質を満たす関数である。(←★注3)
aが数であるとき、a + 0 = a…(A)
aとbが数であるとき、a + b’ = (a + b)’ …(B)
(他にも定義の仕方はあります。)
[ニ]例題
ためしに、2+3=5を証明しよう。
2+3
= 2+2’ ([ロ-3]による)
=(2+2)’ ([ハ](B)による)
カッコの中に現れた2+2をやる。
2+2
= 2+1’ ([ロ-2]による)
=(2+1)’ ([ハ](B)による)
カッコの中に現れた2+1をやる。
2+1
= 2+0’ ([ロ-1]による)
=(2+0)’ ([ハ](B)による)
カッコの中に現れた2+0をやる。
2+0
= 2 ([ハ](A)による)
以上から、
2+3 = (2+2)’ = ((2+1)’)’ = (((2+0)’)’)’ = ((2’)’)’ = (3’)’ = 4’ = 5
であることが証明できた。
(1+1がどうなるかは簡単でしょう。)
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注釈
★注1: こうやって作った数が、どれも別のものでないと困ります。例えば、もし0’=0だったら、
1 = 0’ = 0
だから、これでは普通の「かず」とは全然違うものになってしまいます。だからきちんとやるには、「1は0とは違う、2は0とも1とも違う、3は0,1,2のどれとも違う、…」と言えるような「aの次の数a’」の作り方を、具体的に決めておかねばなりません。(作り方の説明には、集合についての初歩的な知識が必要です。)
★注2:有限個の、小さい数だけ考える分にはこれで良いのです。ただし、この先を幾ら続けて行っても、いつまで経っても数(自然数)全部を定義することはできません。ここが実は、数というものを数学の中で作り出す際に一番難しい部分なんです。
★注3:「(A)(B)の性質を満たす関数だなんて、そんな都合のいいものはないよ」ということだってありうるのです。だからきちんとやるには「 (A)(B)の性質を満たす関数、というものが確かに存在する」という事を証明しなくてはなりません。これも大変な部分であり、ここでは説明しません。
さて、関数というと、f(x)のように書くのが普通です。その書き方に合わせれば、
x+y
とは、2変数関数
+(x,y)
の略記法だと考えることができます。"+"が関数の名前(fの部分)です。
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